「経営戦略全史」
三谷宏治著 ディスカバー21刊 2800円
最近、書店に行くと経営理論史、フレームワークなどのビジネス本が平積されています。
ある意味、経営学ブームになったのでしょうか?
その中でキラリと光る一冊。
それは、「経営戦略全史」です。
2800円という少し高めの価格設定ですが、その価値は十分です。
著者の三谷さんは、現役の経営コンサルタント。
実務家視点からの解説は、たいへん分かりやすく、初心者でも、それなりの勉強を続けた人にも役立つ一冊です。
経営史の基本潮流は、大テーラー主義と大メイヨー主義があること。
1980年代に一世を風靡したポジショニング派、その後出てきたケイパビリティ派・・・。
そしてそれを融合するコアコンピタンス論やコンフィギュレーション派・・・。
経営戦略の歴史的潮流を分かりやすく解説しています。
最新のアダプティブ戦略まで、経営戦略理論の流れを、やさしく解説していきます。
わたしなどはテーラーの「科学的管理法」やダグラス・マグレガーの「企業の人間的側面」などの歴史的名著を一冊ずつ読んできた学徒ですが、その頃この本があれば、その理解も随分違ったものになったであろうと思います。
最近のワッツさんの「偶然の科学」、IDEOのデザインシンキング、ビジネスエスノグラフィ、dスクール、北欧のフューチャーセンターまで触れています。
昨年、ベストセラーになったロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン博士の「ワークシフト」も登場します。
ここで、みなさんにプレゼント。
リンダさんの、これからのキャリアサバイバルで求められる3つの条件を同書からピックアップさせていただきます。
三谷さん独特のショートフレーズが魅力的です。
1.好きなことの中で、複数の専門性を持つ
2.他者とのネットワークを作る やすらぎの関係も含めて・・・。
3.所得と消費による満足から脱却する
最期は、東洋的な「足るを知る」の世界です。
経営学をこれから始めようとする方、ある程度、経営学を学んできた方にも、お勧めの一冊です。
2800円+税の価値は十分にあります。