毎日のようにランチで使う飲食店。
ファーストフード、日本食、中華、イタリアンなどなど、日々集客のための激戦が展開されています。
今では、コンビニエンスストア、カフェ、路上の弁当屋さんなどを含め、熾烈な戦いが繰り返されています。
「25人に1人しか気づいていないお客様の集め方・増やし方」
土屋薫著 日経BP社 1500円+税
著者の土屋さんは、集客UP塾代表。
1956年生まれ、早大卒。様々な企業に勤務したあと、2003年より、個人経営の飲食店を対象としたコンサルタントとして独立。「集客」をキーワードに活動されています。
同書は、実際の飲食店のケースをもとにコンサルタントとしての助言・指導をまとめた一冊。
飲食店経営の方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
目次
第1章 忘れられない店になろう
第2章 ケースで学ぶ商圏内で一番になる方法
第3章 マンガで学ぶ店のブランド化とDM戦略
第3章のマンガは、とてもリアル。
面白おかしく読むことができます。
マンガ1・・・冬しか稼げない店を通年繁盛店に・・・フグ料理で冬に稼ぐ店。ただ、その他の季節には大苦戦。そのハンディを逆手に取り、仕入れ先を活かした新しいメニューを導入。店内のディスプレイも変え、成功をおさめます。
マンガ2・・・離れた常連客を呼び戻せ・・・新規客を集めるコストは既存客の5~10倍。既存客に着目し、呼び戻すためのダイレクトメール作戦を展開。常連だった社長さんを再度来店させることに成功します。
マンガ3・・・良いDM、悪いDM・・・開店3周年イベントのあとに、コンサルの指導で再度DMを出します・・・その結果・・・。
マンガ4・・・店頭は最大の営業マン・・・どこの店にもある店頭の看板。一つ変えるだけで多くのお客さんを呼び込みます。その秘法とは・・・。
マンガ5・・・味には自信があるのに…腕のある板前さんがいるのに苦戦する会席料理店・・・コンサルの一言で復活します。
多くの飲食店では、日々集客のために努力しています。
が、その中で成功するのはごく一部。
書名にあるように25名に一人・・・4%ぐらい。
著者の土屋さんは、飲食店の努力が空回りすることを回避するために、次のように解説します。
1 現在の客層を把握する。
2 来てほしいお客さんのイメージを明確にする。
3 自店の強みを再確認する。
1と2のズレを把握し、店の特徴をはっきりさせることが重要だと説きます。
著者の土屋さんが、現場で見てきた様々な飲食店・・・。
それを繁盛店にするための秘策は、決して奇策ではなく、お客さんに向かい原理原則を地道に追及した経営者のスタンスであるようにも思います。
成功の秘訣・・・それは、まさに原理原則ですが、その基本を徹底することは飲食店に限らずとても大変なことです。
さらに、生き残る25店の一店になるために、この基本を徹底するためのコツを10のシンプルなチャレンジテーマにまとめています。
1 どんな店にも強みはある。お客さんの声をよく聞き、特定分野の地域一番を目指す。
2 こうありたいという店をイメージし、どう表現すれば伝わるかを考える。
3 ニッチな分野で一番に。
4 1日に1~3組。また来てほしい人に声をかけよう。顧客情報は、座席数の20倍集める。
5 売り込みをせず、お店を好きになってもらうハガキを月に一回送ってみよう。
6 ブログやフェイスブックの活用。
7 POPやチラシに一工夫。
8 成果が出るまで半年がんばれ!
9 お客1~2割の上客に喜ぶ料理を。
10 強みを活かせる値上げを考える。
基本となる上得意さんの囲い込みのために、日々の地道な努力を積み重ねていくこと。
噂が噂を呼び、天使のサイクルに入っていく・・・。地域密着の顧客志向が必須だということだと思います。
日頃お世話になる飲食店をよく観察し、一言アドバイスが出来るくらいの力をつけていくことも大切です。
プロの飲食店コンサルタントが、店のどこに着眼しているか、同書から多くが学べます。
飲食店を経営している個人事業主の方には是非とも読んでいただきたい一冊です。