今にして思うと、法学や法律学は、その入り口が大切だと思います。
それは、他の分野・・・例えば、語学や楽器のマスターでも言えると思うのですが、
導入部分のイメージがあとあとに大きな影響を与えるのです。
法学部では、昔、1年次に「法学概論」という講座からスタートしました。
今は、「基礎法学」というのでしょうか?
実は、この「法学概論」「基礎法学」の講座がとても退屈・・・。
一般論を、長々と講義する教授法で、法律アレルギーを起こす友人が多々存在していました。
この法学概論は、法を学ぶ上でのインフラ・・・とても大切なものであることが後々分かってきます。
あの時、ちゃんと習得しておけば・・・。
最近では、法学部で学び始める学生のための入門書や学習マニュアル的なものも出てきており、
うまく使えば法律の勉強が楽しくなると思います。
今回取り上げる一冊は、スムーズに法律学に入っていくためにも、とても有効な一冊です。
「元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方」
吉田利宏著 ダイヤモンド社 1700円+税
著者は、キャッチコピーにあるように元衆議院法制局の職員。
法律のエキスパートです。
前著「法律を読む技術・学ぶ技術」に続く続編として刊行されました。
同書の位置づけは、プレ法学、法律の楽しさを知るための一冊といってもいいと思います。
身近な事例や基本的な法律を取り上げながら、丁寧な解説がされています。
また、各章には、練習問題も付いており、自然に体得できるようになっています。
こんな本が、法学部入学時にあったらなあ、と思わず感じた一冊です。
同書を読むと、改めて新たな発見があります。
・「又は」と「若しくは」の違いは?
・「及び」と「並びに」の違いは?
・「その他」と「その他の」との違いは?
・「場合」と「とき」の違いは?
・「者」と「もの」の違いは?
説明しようと思うと、なかなか難しいものです。
同書では、実に懇切丁寧に、法学初学者でも理解できるよう説明しています。
そういえば、弁護士も「者」という法律用語を、「シャ」と「モノ」で区別していた記憶があります。
目次
第1章 法律は暗記科目ではありません
第2章 法律の構造には意味がある
第3章 条文の構造のルールを知ろう
第4章 法律が示す公平の感覚を読み解こう
第5章 条文を正しく読むための法令用語
第6章 法律の分類を知っておこう
第7章 法律の世界地図を描こう
第8章 民法・憲法・行政法を読む
第9章 解釈がわかれば法律はもっと楽しくなる
法律学を学ぶことは、ロジカルシンキングが身につく、リーガルマインドが醸成されるというメリットがあります。
また、パランス感覚や社会感覚が磨かれるということもあると思います。
さらに、精神衛生上にも良いということもあるのではないでしょうか?
友人の公認会計士の趣味の一つが、夜、一人、バーボンをチビチビやりながら、刑法の本を読むこと。
ざわついた俗世間を離れて、刑事法という実体法、哲学の世界に逃避できると語っていました。
そんな趣味もあるんですね~。
なかなか高尚な趣味です(笑)。
今回、同書を読み、もう一度、法律の世界に遊んでみたいと思った良書でした。