人事の潮流 人と組織の未来像
経団連出版編 経団連出版刊 1500円+税
日本の人事労務の第一人者17名による「ニッポンの人事」を語った一冊。
守島基博さん(一橋大学)、西村孝志さん(首都大学東京)、新将命さん(経営コンサルタント)、太田肇さん(同志社大学)、今野浩一郎さん(学習院大学)などが、生産性新聞に掲載した文章をまとめた書です。
現代の日本の人事制度、労務管理の新しいトレンドを理解することが出来るお得な一冊と言えます。
◆目次
パラダイムシフトする人材マネジメント
1 人材マネジメントの新たな枠組みの必要性(守島基博)
2 職場機能の再認識と現場人事(西村孝志)
3 人材管理の常識を問い直す
4 終わりなき人事システムの変革
イノベーティブな企業の創成
1 挑戦する企業風土を醸成する
2 未来に開かれた働き方の改革の実現(鶴光太郎)
3 定年後も居続けてほしい人材の育成
4 企業の変革を阻害する3つの壁
5 これまでにない人事の役割
6 人材の多様化に合致した働き方を整備する
7 企業業績を高める組織的アプローチ
8 組織変革を導く隠れた一手
9 層別人材マネジメントと隠れた人材コスト削減
10 経営者は将来の方向性を示せ(新将命)
11 海外から見た人材育成上の課題
12 ポスト工業化社会への舵取り(太田肇)
13 働き方の多様化と人事管理の自由化
14 グローバル人材開発の意味
成果主義の修正、モチベーション、ストレスチェック、ワークライフバランス、限定正社員、グローバル人材、女性活躍社会、シニア社員の活用などなど・・・人事労務の世界も、一つの転機に入っているような気がします。
人事部のスタッフも、やることが多すぎで、本当に大変だと思います。
ご苦労様です。
絶対的な正解はない世界で日々、妥当解を模索するニッポンの企業。
労組は弱体化し、リテンションやモチベーションの問題、ワークライフバランス、雇用形態の多様化、メンタルヘルス問題、ダイバーシティ、グローバル対応、セクハラパワハラ防止、人事部の中央集権の弱まりなどなど、新たな課題も次々と登場しています。
こうした中では、トップダウン・ボトムアップ型の人事施策の策定が必須になると思います。
プロダクトアウトだけではなく、マーケットイン型の人事制度、労務管理の仕組みづくり、納得・同意・共感を得ることが出来る制度づくりが、より大切になってくると考えます。
人事労務担当者にとっては、ホント、難しい時代になったものです。
人事労務の「ホンネの現場」を知らない学者先生からの提言にも、少しは聞き耳を立ててみることも良いと思います。