水木サンの幸福論
水木しげる著 角川文庫 590円+税
水木しげるさんが亡くなられました。
心からご冥福をお祈りします。
水木さんの代表作「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」など、子どものころに多大な影響を受けました。
ちなみに、「水木」はペンネーム・・・神戸時代に経営していた怪しいアパート(失礼!)「水木荘」にちなんだネーネングだそうです。本名は武良さんです。
その水木さんが残した幸福論。
NHKの朝のニュース「おはよう日本」で水木さんの幸福の7か条が取り上げられていました。
NHKの朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」でも、たくさんの人たちを勇気づけてくれました。
「水木サンの幸福論」・・・都内の書店では、どこも売り切れ・・・。
ネットで、やっと「水木サンの幸福論」を入手。
面白い一冊で、一気に読むことができました。
第1部には7つの幸福論、第2部には日本経済新聞朝刊に連載された「私の履歴書」27話で構成されています。
水木さんは、1922年(大正11年)生まれで鳥取県境港育ち。
(今では、境港市の「水木しげるロード」「水木しげる記念館」が大人気です)
太平洋戦争では南方ラバウルに送られ左腕を失います。
戦後は、様々な職業を転々としながら漫画家を目指し、努力、大成・・・まさに波乱万丈の人生です。
「ぼくは片腕でも人の3倍仕事をしてきた・・・両腕があれば人の6倍は仕事ができたよ!」
水木さんは、子どものころから、本当に変わり者(笑)。
天才的な絵を描く才能、不遇や不幸を笑って乗り越える力、なんとかする・・・なんとかしようとする諦めない力・・・本当にスゴイと思います。
その水木さんが残した幸福の7か条。
興味深いです。
幸福の7か条
第1条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第2条 しないではいられないことをし続けなさい。
第3条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。
第4条 好きの力を信じる。
第5条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第6条 なまけ者になりなさい。
第7条 目に見えない世界を信じる。
自分の好きなこと、続けられること・・・を徹底的に追及していくことの重要性を説きます。
自分のペース、好奇心、続けるためには「好き」、たまには力を抜く・・・。
そして、「目に見えない世界」を信じること・・・わたしたちは、生きているだけではなく、生かされているのだという認識が大切だと説きます。
同書の中では、手塚治虫さんの記述も出てきます。
戦後すぐに連載を持ってマンガ誌で活躍し始める手塚さん・・・そのころ食うや食わずの水木さん・・・。水木さんが食えるようになったのが40歳・・・まさに大器晩成。人気漫画家となっても二人の接点はほとんどなかったようです。
が、手塚さんは、わずか60年で人生を閉じます。
水木さんは、ショックを受けたという文章が出てきます。
水木さんのお父さんの教え・・・人生の幸福の量は一定・・・不遇だった水木少年に、生きていれば必ず幸福が舞い込むと励まします・・・。
天才手塚治虫とたたき上げの努力の達人水木しげる・・・興味深いコントラストです。
水木さんが93年の激動の人生で編み出した「幸福の7か条」・・・。
人生の節々に読み返したい金言だと思います。