新聞の報道によると、マーケティングの大御所フィリップ・コトラー博士(米ノースウエスタン大ケロッグ経営大学院教授)が、今年の10月、広島県知事の湯崎さんの招待で広島を訪れるそうです。
国際会議「国際平和のための世界経済人会議」を広島市のリーガロイヤルホテルを中心に開催。
5000万円の税金の投入。
先週のオバマ大統領に続き、米国のレジェンドが来広されます。
湯崎知事も、スタンフォードのMBAホルダー。
なかなか面白い展開になりそうです。
ご高齢のコトラー博士は、マーケティングのフレームを築かれた経営学者。
「ミスター・マーケティング」です。
今まで、彼の提唱するフレームワークも次々と進化しています。
マーケティング1.0・・・製品の販売を目的
マーケティング2.0・・・消費者の満足させることに知恵を絞る
マーケティング3.0・・・より良い社会を実現するという崇高な目標を掲げて消費者に価値観を訴える
マーケティング4.0・・・自己実現を求める消費者、生活者のニーズに応える
そして、広島を起点とした未来志向としての「平和のマーケティング」。
これは、マーケティング5.0、いや7.0くらいのポジションになるのではないでしょうか。
国や地方公共団体、民間企業が、人類全体の幸福と共存のために、マーケティングの英知を活用していく・・・。
平和というプロダクトを、全世界というプレイスで、無限の価値のあるプライスで、コミュニケーションという手法でプロモーションしていく・・・本当に夢のある話です。
よく考えてみれば、オバマ大統領の広島での演説も、とても、マーケティング的。
スピーチライター、専任スタッフにより、練りに練られたコンテンツでした。
モノからコトへ・・・。
ストーリーテラーとして、感動を呼ぶ物語を荘厳に語りかけた名スピーチでした。
政治家や政治学者からは、マーケティングなんかで平和な世界が作れないと言われそうですが、まんざらそうでもないように思います。
今の世界には、インターネットやSNSで瞬時にして情報が拡散されます。
ジャスミン革命やパリでの不幸なテロへの非難などでも、人々は繋がり、行動を起こしました。
先週の広島。
オバマ大統領の感動的なスピーチにより、ヒロシマは全世界に、その名を発信されました。
世界中のメディアが、大きく取り上げ、プラハスピーチ以上の反響を呼びました。
広島の平和公園にある原爆資料館も、来場者数が倍増。
一日13000人が訪れるようになったとのこと。
オバマ効果、恐るべしです。
広島を訪れた観光客やインバウンドのツーリストは、広島の海の幸、山の幸を楽しみ、お好み焼きやもみじ饅頭を食べ、世界遺産宮島や瀬戸内海でのサイトシーイングを満喫する・・・大きな経済効果だと思います。
ただ、このレベルでは、まだまだ「平和のマーケティング」とは言えません。
オバマ大統領のスピーチにあったように、戦争をなくし、核をなくし、世界中の子どもたちが幸せに成長できる世界を作ること・・・それがゴールだと思います。
先の大戦でも見られたプロパガンダやスローガン・・・人間は、とても弱いもの。
「鬼畜米英」や「大東亜共栄圏」、「リメンバー・パールハーバー」・・・。
ナチスドイツの宣伝相ヨゼフ・ゲッベルスは、巧みなマスメディア操作で、国民を戦争に引き込みました。
大衆は、感情に流されやすい存在です。
マスマニュピレーション(大衆操作)ではなく、「平和のマーケティング」に進化させていくこと・・・。
そして、平和な世界を構築していくこと・・・。
これが、マーケティングの最終目標であるように思います。