矛盾社会序説 

2019年02月12日 15時45分03秒 | 社会・文化・政治・経済

 

 
その「自由」が世界を縛る 

 
 

競泳女子の池江璃花子がツィッターで白血病を告白

2019年02月12日 15時29分41秒 | 医科・歯科・介護

2/12(火) 14:15配信 日刊スポーツ

競泳女子の池江璃花子がツィッターで白血病を告白
ジャカルタ・アジア大会閉会式 アジア大会のMVPに選出され、トロフィーを手に笑顔を見せる池江璃花子(2018年9月2日)
競泳女子で来年東京オリンピック(五輪)の金メダル候補の池江璃花子(18=ルネサンス)が12日、白血病であることを自身のツィッターで告白した。

【写真】私服姿の池江璃花子

「応援してくださる皆様、関係者の皆様へご報告があります。

日頃から応援、ご支援を頂きありがとうございます。

この度、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、「白血病」という診断が出ました。

私自身、未だに信じられず、混乱している状況です。

ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります。

今後の予定としては、日本選手権の出場を断念せざるを得ません。
今は少し休養を取り、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。
これからも温かく見守っていただけると嬉しいです。

池江璃花子」(原文まま)

池江は先月18日から約3週間の予定でオーストラリア合宿に出発。今月7日までの予定だったオーストラリア合宿を途中で切り上げて帰国していた。

池江は15年世界選手権で中学生として14年ぶりに代表入り。得意は100メートルバタフライで、自己ベストは56秒08。16年リオオリンピック(五輪)決勝進出して5位入賞。昨夏のパンパシフィック選手権で主要国際大会初優勝。ジャカルタ・アジア大会では日本勢最多6冠で、女子初の大会MVPに選出された。現在、個人種目12個とリレー種目9個、計21種目の日本記録を保持している。

なお、白血病は医学の進歩もあり、復帰したスポーツ選手もいる。昨年11月にはJ2新潟のDF早川史哉(24)が約2年ぶりに復帰。02年にはプロ野球オリックスの岩下修一投手が1年のブランクを乗り越えて復帰している。

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何が日本社会の問題か?

2019年02月12日 15時22分05秒 | 社会・文化・政治・経済

貧困格差

日本は、GDPで、世界3位というのに、貧困率は世界4位という貧しい国です。
日本では年収300万以下の人が、40%もいます。
人数にして約1928万人が年収300万円以下というおことになります。
結婚できるのか、どのような生活をしているのかと不安になっている人もいるかと思います。

富める人と低所得者の差がますます広がって,中間層がどんどん減って、格差が広がっております。
原因は、非正規雇用者が多いことです。
もう一つは、父子家庭や母子家庭が増えたせいでもあります。若い人の年収が増えないことも原因に挙げられます。
年収300万円ということは、手取りで、240万円ほどで、一人暮らしの独身者の平均生活費は、168万円ですから、小遣いこみで72万円ということになります。
結婚すると生活するのが、やっとです。
さらに子供が出来ると、共稼ぎでなくてはやっていけません。
さらに問題は、子供の貧困です。
子供の6人に1人が貧困といわれています。
日本の場合は、教育費がほかの国に比べて高い為、年収300万円では、貧困な子供ということになります。
政府も子供の教育費を無償にする法案を出していますが、いまだに実現していません。

 


なぜ破壊活動防止法ができたのか?

2019年02月12日 14時41分13秒 | 社会・文化・政治・経済

共産党員が起こした有名な事件に練馬事件があります。
1951年12月、練馬区で発生した警察官の襲撃・殺人事件です。

事件当日の夜10時過ぎ、練馬区のある駐在所に学生風の男がきて、次のように話しました。「道路に行き倒れらしい男が倒れています。すぐ来てください」
勤務中の印藤勝郎巡査が男とともに駆け付けましたが、その後、連絡が途絶えます。

心配した妻が別の警察署に通報し、暗闇の雨の中、周辺を探しましたが見つかりません。

巡査が発見されたのは翌朝7時過ぎ、頭などを強く殴られて死亡し、拳銃も奪われていました。

なお、警察署にきた男の住所、氏名は偽りでした。


この事件の背景には日本共産党が1951年2月の第5回全国協議会で発表した「51年綱領」があります。
この中で、「日本の解放と民主的変革を平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがい」「武装の準備と行動を開始しなければならない」とする暴力革命路線が正式に採用されました。
練馬事件が起こったのもこの後です。
日本共産党は同事件をはじめ白鳥警部射殺事件(1952年1月)、大須騒擾事件(1952年7月名古屋)などの多くの事件を起こし、国民の反感を買いました。
翌年の衆議院総選挙では35の全議席を失い、暴力路線を隠す「ほほえみ路線」に変更することになります。
東京・蒲田署襲撃事件を皮切りに、1952年の春から秋にかけて、警察署や交番などへの衝撃(火炎ビン、暴行、脅迫、拳銃強奪は96件。
税務署や裁判所などへの襲撃(火炎ビン、暴行)48件に及ぶ。
日本政府は1952年3月破壊活動防止法は閣議決定。
法務省の外局として公安庁を新設。
朝日新聞は日本共産党の行動を指して「集団テロ」と形容。
毎日新聞は「暴力主義の党に疑問」の見出しで報じた。
共産党を監視対象下に置き、現在に至っている。

 

※1 白鳥事件・・1952年1月21日、札幌市内の路上で、市警警備課長・白鳥一雄さん(当時36歳)が射殺された
※2 大須事件・・1952年7月7日、名古屋市大須で共産党員・在日朝鮮人ら暴徒約1000人が警察や一般車両等を火炎瓶攻撃した



いじめ防止対策推進法の視点から

2019年02月12日 13時00分59秒 | 社会・文化・政治・経済

事例の概要

❶ 関係児童 ●【被害】小学3年女子A(1名)

●【加害】小学3年女子B、4年男子C(2名)

❷ いじめの概要 ●11 月中旬、3日間に渡って、登校班で登校中、小学3年女子Aが、同じ登校班の小学3年女子Bと小学 4年男子Cから「足を踏まれる行為」を複数回受けた。

Aは心身ともに苦痛を感じていた。

その行為を 見ていた登校班の児童が担任に報告

。しかし、担任は、事実関係を確認したところ、「足踏み遊び」の中 で起こった行為であったとして、校内の「いじめ対応チーム」に報告しなかった。

●11 月下旬、Aは学校を欠席し、その日にAの父親が来校した。

学校は、父親の訴えにより、「しつこく 足を踏まれる行為」を受けたことで、Aが心身ともに苦痛を感じていたことを初めて知った。

●学校は加害・被害児童の聞き取り調査を行い「しつこく足を踏まれる行為」を確認し、児童どうしの謝 罪をもって事案終結としていた。加害及び被害児童の保護者には、面談による報告や謝罪の場に同席さ せることもなく、電話連絡に留まっていた。

●12 月中旬、Aが1週間連続して学校を欠席した。

欠席の理由は「同じクラスのBが怖い」であった。 12 月下旬、Aの父親が、BとCの保護者を家に呼び出し、謝罪させるという事態が発生した。

本事例に対するコメント

❶ いじめ防止対策推進法の視点から

●11 月中旬の「しつこく足を踏まれる行為」について、担任は、Aが心身に苦痛を感じていた にもかかわらず、「足踏み遊び」の中で起こった行為であるとして、校内のいじめ対応チーム (学校いじめ対策組織)への報告を行わなかった。

これは、いじめ防止対策推進法第 23 条第 1項が求める「いじめの事実があると思われるとき」の「学校への通報」が適切に行われなかっ たケースと言うことができる。

この時点で、いじめの疑いがあるとして学校いじめ対策組織 へ報告し、組織的な対応をとる必要があったと考えられる。

●また、学校は、加害・被害児童に聞き取り調査を行った際に、Aの足を踏む行為がしつこく 行われた旨を確認していたことから、この時点で、いじめと捉え、学校いじめ対策組織への 報告等の必要な措置を講ずる必要があったと考えられる。

❷ 児童生徒への支援・指導の視点から

●学校は、「しつこく足を踏まれる行為」を確認した後、聞き取りや謝罪の場の設定等の対応 をとったが、Aの不安は解消されなかった。その後、いじめと認知し、学校いじめ対策組織 での指導方針を踏まえ、別室での学習体制の構築や進級時のBと異なる学級・登校班への配 置等の措置を講じた結果、Aが安心して登校できるようになった。

●これを踏まえると、より早期の段階から、いじめを認知した上でAの心情に寄り添った対応 を行うべきであった。

❸ 保護者対応の視点から

●11 月下旬にAの父親が来校し、Aが心身ともに苦痛を感じていることを把握した時点で、「し つこく足を踏まれる行為」がいじめに該当すると判断し、今後の指導方針等を丁寧に説明す る必要があった。

Aの不安が解消されなかったために、Aの父親がBとCの保護者を家に呼 び出し、謝罪を求める事態に至ってしまった。

学校が市 教育委員会に「いじめ」の報告をしたのはその直後であった


いじめ 事例に対するコメント

2019年02月12日 12時49分43秒 | 社会・文化・政治・経済

事例の概要

❶ 関係生徒 ●【被害】中学1年男子A(1名)

●【加害】中学1年男子B(1名)

❷ いじめの概要  BがAに対し女子生徒の嫌がることや、女子生徒への告白を「やらないと痛い目にあうぞ」「先生にはC(無 関係の生徒)にやらされたと言え」などと強要してやらせていた。

中学校における普段の二人の様子は、主従関係があるようには見えず、普段は一緒に行動していた。

周 囲には仲良くしているように見え、何もなく過ごしていた。

Aは性格がおとなしく静かなタイプであり、 そのことがBにとってAは自分の言う通りになる都合のよい相手であったようである。  今回の事案以外にも、同様のケース(BがAに命令すること)は複数あった。違う小学校出身の男子に「ア ホと言ってこい」、あるいは、違う小学校出身の女子に無差別に「告白してこい」「身体を触ってこい」などと、 昼休みに廊下で命令していた。

 Bが今回の出来事を起こした動機については、本人曰く特にこれといった理由はなく、ただ楽しかった ようである。

関係教職員は、違う小学校出身の同級生に、自分の存在をアピールしようとしたのではないか、 と見ている。

AとBに事実確認をしていく中で、二人は小学校6年生のときにけんかをし、それ以降、勝ったBがA との間に主従の関係をつくって命令に従わせていたことが判明した。

小学校では当時「けんか」と判断し、 事後の関係性に気づいておらず、小中間の引き継ぎも行われていなかった。

 よって、学校は、Aを自分の弟子として、見下して命令していたこと、過去の暴力で支配しようとした こと、Aをターゲットにし続けたこと、長い期間続いていること、AがBの暴力に怯え命令に従っていた こと、やりたくないことをやらされたこと、嫌なことを隠していたことといった理由から、いじめと認知し、 事案に対応した。

本事例に対するコメント

●本事例は、一見すると、対等な関係性の下で仲良く過ごしている2人の友人が、実際には加 害-被害の関係(非対称的な力関係)にあった事案である。

「いじめの防止等のための基本的 な方針」においては、いじめの認知について、「けんかやふざけ合いであっても、見えない 所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる 被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する」としている。

いじめは教職員の目の 届かない所で起きる場合があることに留意しつつ、児童生徒の感じる被害性に着目して、適 切に認知することが重要である。

●学校が事実確認を進めた結果、本件をいじめと認知したことは適切な判断だったと言うこと ができる。

なお、学校がいじめと判断した理由のうち「見下して命令していたこと」や「A をターゲットにし続けたこと、長い期間続いていること」は、いじめか否かを判断するに当 たっては考慮に入れる必要がない要件ではあるが、教職員においては、このような背景事情 にも留意しつつ、適切な支援・指導につなげていくことが重要と考えられる。

●本事例のように、加害者と被害者の関係性に気づきづらい事案の場合は、当該児童生徒の表 情や様子をきめ細かく観察するなどして、注意深く確認する必要がある。この点、生徒指導 担当教諭が、Aの様子を継続的に確認していることは有効な取組と言える。


基本的方向性 社会を生き抜く力の養成:文部科学省

2019年02月12日 12時41分42秒 | 社会・文化・政治・経済

基礎的・基本的な知識・技能、思考力・判断力・表現力等、主体的に学習に取り組む態度など

子供たちが「いじめ」について考える機会をつくる「人権教室」
配布された花の種子、球根等を協力して育てることによって、子供たちが生命の尊さを実感し、思いやりの心を体得することを目的とする「人権の花運動」
作文を書くことを通じて、人権尊重の重要性、必要性について理解を深めるとともに、豊かな人権感覚を身に付けることを目的とする「全国中学生人権作文コンテスト」を実施
「不登校に関する調査研究協力者会議」を設置し、不登校の未然防止や不登校児童生徒への必要な支援の在り方等について更なる検討を実施。
フリースクール等で学ぶ子供たちへの支援策等を幅広く議論するきっかけとするため、全国フリースクール等フォーラムを開催。
「フリースクール等に関する検討会議」を立ち上げ、フリースクール等での学習に関する制度上の位置付け、子供たちへの学習支援の在り方、経済的支援の在り方などに関して検討。
、「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」において、学校における自殺予防教育導入の手引である「子供に伝えたい自殺予防」、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」の改訂版及び「子供の自殺等の実態分析」について審議のまとめを作成し、公表。
スクールカウンセラーについては、全公立中学校(1万校:うち300校は小中連携型)及び公立小学校(1万4,000校:うち600校は小中連携型)の配置に加え、引き続き公立中学校等における週5日相談体制の実施(200校)等に必要な経費を計上し、スクールソーシャルワーカーについては、全国で2,247人の配置に必要な経費を計上。
また、貧困対策のための重点加配として、スクールカウンセラーで新規に600校計上するとともに、スクールソーシャルワーカーにおいても新規に600人計上。
不登校児童生徒及び児童生徒の自殺予防に関する効果的な施策の在り方について、引き続き検討する。 
いじめ、暴力行為等の問題への取組の徹底
「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において、暴力行為の発生件数は約6万件、いじめの認知件数は約18万6,000件、不登校生徒数は約17万5,000人にのぼるなど、児童生徒の問題行動等は、教育上の大きな課題。
、「いじめの防止等に関する基本的な方針」を策定。「いじめの防止等に関する普及啓発協議会」や、教員を対象にした「いじめの問題に関する指導者養成研修」を開催するなど、同法や方針を周知
「いじめ防止対策協議会」を設置。また、いじめの問題に主体的に取り組むリーダーとなる児童生徒を育成するとともに、全国各地での多様な取組を一層推進するため、「全国いじめ問題子供サミット」を開催。
いじめの問題への対応は、学校における最重要課題の一つであり、いじめ防止対策推進法及び基本方針に基づき、国・地方公共団体・学校・地域住民・家庭その他の関係者の連携の下、いじめの未然防止、早期発見・早期対応のための対策を総合的かつ効果的に推進する。
→ 体罰は、学校教育法で禁止されており、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員等への信頼を失墜させるものであるから、引き続き、その禁止の徹底を図る。
学校における体験活動及び読書活動の充実
○ 「健全育成のための体験活動推進事業」により、いじめの未然防止を図るため、児童生徒の健全育成を目的とした学校が実施する宿泊体験活動の取組を支援。

○ いじめの未然防止を図るために、農山村漁村等における様々な創意工夫のある体験活動を通じて児童生徒の豊かな人間性や社会性を育む取組を更に促進するために学校数を拡充(269校→468校)。
中学校、高等学校等の学校教育活動における2泊3日以上の宿泊体験活動の取組(356校)を支援するとともに、教育委員会が主催する夏休み期間中等に希望者を募って行う学校教育における農山漁村体験活動の導入のための取組(134地域)を支援することとした。
○ 学校における読書活動の充実については、学校図書館法の改正を踏まえ、地方財政措置等を通じ、図書整備や学校司書の配置を促進するとともに、全校一斉の読書活動や図書館と学校図書館の連携・協力の重要性を踏まえた子供の読書環境の充実に努めた。
○ 子供たちの豊かな創造力・想像力や、思考力、コミュニケーション能力などを養うとともに、将来の芸術家や観客層の育成につなげるため、小学校・中学校等において、一流の文化芸術団体による巡回公演や、芸術家の派遣を行う「文化芸術による子供の育成事業」を実施。(文化芸術団体による巡回公演:平成26年度1,797公演、学校への芸術家派遣:平成26年度2,783件)。 

○ 劇場、音楽堂等が小・中学校等や実演芸術団体と連携・協力を図りつつ子供たちが一流の実演芸術に触れる機会を提供する事業等に支援する「劇場・音楽堂等活性化事業」を実施(採択件数:平成26年度165件)。

○ 子供たちの感性や創造性を養い、将来の地域の文化芸術の担い手を育てるため実施する文化芸術の鑑賞・体験事業等、地方公共団体が企画する文化芸術の創造発信事業を支援する「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業を実施(採択件数:平成26年度115件)。

○ 我が国の「たから」である地域の多様で豊かな文化遺産を活用した、伝統行事・伝統芸能の公開、後継者養成、古典に親しむ活動や子供たちが親とともに地域の伝統文化に触れる体験事業など、特色ある総合的な取組を支援する「文化遺産を活かした地域活性化事業」を実施。
子供たちが親とともに、民俗芸能、工芸技術、邦楽、日本舞踊、茶道、華道などの伝統文化・生活文化を体験・修得できる機会を提供する「伝統文化親子教室事業」を、「文化遺産を活かした地域活性化事業」から独立した事業として創設し、これに係る予算を計上(12億円(3億円増)。
○ 平成24年度より実施された中学校保健体育における武道の必修化を踏まえ、武道の円滑かつ安全な実施のための指導参考資料「柔道指導の手引(三訂版)」並びに「柔道指導のための映像参考資料」を作成し、中学校及び高等学校に配布し、効果的な柔道の指導が行われることを支援。

○ また、武道等指導推進事業により、武道等の指導の充実を図るため、地域の指導者の活用に当たって、地域の指導者の技術及び安全に関する専門的な指導力の活用方策や、派遣する競技団体等の支援体制の強化に関する実践研究を実施するとともに、教員を対象とした安全指導の充実を図るための取組を推進。

○ さらに、平成26年度は武道必修化の全面実施3年目となることから、同事業において、今回の学習指導要領で必修化したことの成果と課題を把握、分析し、指導の一層の工夫改善を推進。
青少年を有害情報から守るための取組の推進
○ スマートフォン等のインターネット接続機器の普及とともに、インターネットなどの長時間利用による生活リズムの乱れや、有害サイトを通じた犯罪等に巻き込まれるケースが発生していることなどを踏まえ、文部科学省では、青少年インターネット環境整備法等に基づき、地域・民間団体・関係府省庁等と連携しつつ、普及啓発資料の配布、フィルタリングやインターネット利用のルールに関する学習・参加型のシンポジウムの開催、春の卒業、進学、新入学の時期に合わせた集中的な啓発活動などを実施し、保護者及び青少年に対する啓発や教育活動を推進。

○ 各学校では、学習指導要領に基づき、インターネットの適切な利用方法や、情報モラルなどについて指導。また、児童生徒の「ネット依存」をはじめ、スマートフォンやソーシャルメディアの普及に伴うトラブルの発生など、情報化の進展に伴う新たな課題に対応し、適切に指導を行うため、教員が指導する際に役立つ動画教材や教員向け指導手引書を作成し、全国の教育委員会に周知・配布。

○ 子供たちの情報モラルを育成するため、「子供のための情報モラル育成プロジェクト」を開始し、スローガン「考えよう 家族みんなでスマホのルール」とロゴマークを制作し、教育委員会や企業などの協力団体とともに取組を推進。

 

 

 


コミュニティサイト及び出会い系サイトに起因する事犯の被害児童数の推移

 

「コミュニティサイト」というのは、掲示板やチャット機能を持った同じ趣味や興味を持った不特定多数の人たちが交流を目的として集まっている幅広いサイトのことを指し、代表的なものとしてはSNSが挙げられます。被害児童数は平成29年上半期には919人にのぼっており、出会い系サイトにおける被害児童者数は減少傾向で、平成29年上半期は13人でした。コミュニティサイトでの被害児童数が増加傾向というのはここ数年変わっていません。

 


思い込みに基づいて意思決定

2019年02月12日 11時53分04秒 | 社会・文化・政治・経済

私たちは、昔の知識や思い込みに基づいて意思決定をしていることが多い。
世界の動きについても、子どもの頃に習った知識やマスコミ報道だけで世の中の動きを理解している人が多い。
その結果、無意味な政策や誤った経営戦略が採用されることになる。
間違い方には共通点がある。
人々は、世界を実態よりも悪い方向に認識しているのだ。
実際には、世界は以前よりもずっとよくなっている。
事実認識が間違っているのであれば、政策も間違ってしまう。
こうした事実を目にすると、人々の知識をアップデートすることが有効だ、という結論になりがちだ。
いくら正しい情報をわかりやすく示しても、一向に人々の認識は変わらない。
事実認識が古いまま、現状を正確に認識できない人々がいる。
私たちは悪いニュースに反応しがちで、良いニュースはなかなか報道されない。
また、絶対にあの問題は解決できないという宿命論で考える場合も多い。
社会や文化は変わらないと思いこんでしまう。
しかし、小さなゆっくりとした変化でも気が付いた時には大きな変化になっている。
悲観的な認識をもつことでのデメリットは、時間をかければ解決できることを解決不可能だと思ってしまうことだ。
大竹文雄さん(日本の経済学者。大阪大学大学院経済学研究科教授。専門は労働経済学、行動経済学)


10の思い込みを乗り越え ファクトフルネス

2019年02月12日 11時21分02秒 | 社会・文化・政治・経済

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 


商品の説明

内容紹介

ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。

世界で100万部の大ベストセラー! 40カ国で発行予定の話題作、待望の日本上陸

ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領も大絶賛! 

「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」―ビル・ゲイツ
「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」―バラク・オバマ元アメリカ大統領

特にビル・ゲイツは、2018年にアメリカの大学を卒業した学生のうち、希望者全員にこの本をプレゼントしたほど。

◆賢い人ほど、世界についてとんでもない勘違いをしている

本書では世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズを紹介している。たとえば、こんな質問だ。

質問 世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%

質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%

答えは本書にある。どの質問も、大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できない。しかも、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低い。
その理由は、10の本能が引き起こす思い込みにとらわれてしまっているからだ。

◆教育、貧困、環境、エネルギー、医療、人口問題などをテーマに、世界の正しい見方をわかりやすく紹介

本書では世界の本当の姿を知るために、教育、貧困、環境、エネルギー、人口など幅広い分野を取り上げている。いずれも最新の統計データを紹介しながら、世界の正しい見方を紹介している。
これらのテーマは一見、難しくて遠い話に思えるかもしれない。でも、大丈夫。著者のハンス・ロスリング氏の説明は面白くてわかりやすいと評判だ。その証拠に、彼のTEDトークの動画は、累計3500万回も再生されている。
また、本書では数式はひとつも出てこない。「GDP」より難しい経済用語は出てこないし、「平均」より難しい統計用語も出てこない。誰にでも、直感的に内容を理解できるようにかれている。

内容(「BOOK」データベースより)

ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家―ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。

著者について

ハンス・ロスリング
ハンス・ロスリングは、医師、グローバルヘルスの教授、そして教育者としても著名である。世界保健機構やユニセフのアドバイザーを務め、スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げたほか、ギャップマインダー財団を設立した。
ハンスのTEDトークは延べ3500万回以上も再生されており、タイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人に選ばれた。2017年に他界したが、人生最後の年は本書の執筆に捧げた。

オーラ・ロスリングとアンナ・ロスリング・ロンランド
オーラはハンスの息子で、アンナはその妻。ギャップマインダー財団の共同創設者。オーラはギャップマインダー財団で2005年から2007年、2010年から現在までディレクターを務めている。
アンナとオーラが開発した「トレンダライザー」というバブルチャートのツールをグーグルが買収した後は、グーグルでオーラはパブリックデータチームのリーダー、アンナはシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。
2人はともに功績を認められ、さまざまな賞を受賞している。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ロスリング,ハンス
1948年にスウェーデンのウプサラで生まれた。ウプサラ大学で統計学と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。1974年から1984年までの間に合計で18カ月仕事を休み、3人の子供の子育てに100%の時間を注いだ。1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気を発見した。それがコンゾだ。この病気の調査と研究によって1986年にウプサラ大学から博士号を取得した。1997年からはストックホルムにあるカロリンスカ医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。専門は、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究だった。カロリンスカ医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立。スウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた。また2012にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。2017年2月7日に他界した。

ロスリング,オーラ
1975年にスウェーデンのフディクスバルで生まれた。ギャップマインダー財団の共同創立者であり、2005年から2007年までと、2010年から現在まで財団のディレクターを務めている。ギャップマインダーのチンパンジクイズを開発し、知識不足を体系的に測定するプロジェクトやその認証プロセスを開発した。データを分析し、ハンスが行うTEDトークや講演の資料をつくってきた。1999年からは「トレンダライザー」として有名になった動くバブルチャートによるツールを開発してきた。2007年にグーグルがトレンダライザーを買収し、2007年から2010年までグーグルのパブリックデータ・チームのリーダーを務めた。その後、ギャップマインダーに戻り、新たな無料教育ツールを開発している。

ロスリング・ロンランド,アンナ
1975年にスウェーデンのファールンで生まれた。ルンド大学で社会学を学び、ヨーテボリ大学で写真を学んだ。ギャップマインダーの共同創立者であり、バイス・プレジデントを務めている。講演者であり、ギャップマインダーの利用者担当リーダーでもある。また、ギャップマインダーのグラフィックやスライドを作成し、動くバブルチャートのユーザーインターフェースも設計した。2007年にトレンダライザーがグーグルに買収されたあと、グーグルでシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。2010年にギャップマインダーに戻り、新しい無料の教育ツールを開発している。ギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。2017年にレジメ・スーパーコミュニケーター賞、金の卵賞、またファスト・カンパニー誌の世界を変えるアイデア賞を受章した。

上杉/周作
IT技術者。カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンス学士、ヒューマンコンピュータインタラクション修士取得。卒業後、シリコンバレーのPalantir Technologies社にてプログラマー、Quora社にてデザイナー、EdSurge社にてプログラマーを経験。現在はフリーランスプログラマーとして活動するかたわら、不定期で実名ブログ「上杉周作」を更新中。

関/美和
翻訳家。杏林大学外国語学部准教授。慶応義塾大学文学部・法学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。また、アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団の理事も務めている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



  人に会って何かを発見し、表現する

2019年02月12日 11時09分26秒 | 社会・文化・政治・経済

今週の本棚・本と人

『こころ傷んでたえがたき日に』 著者・上原隆さん

しんどさ抱え生きる姿に共鳴

 印象深い書名は、石川啄木の歌集『一握の砂』から採った。赤貧のうちに短い生涯を閉じた歌人は晩年、『時代閉塞(へいそく)の現状』を憂えて、理想実現に向けた「明日の考察」を訴えた。

 それから109年。現代にも同様の空気が漂ってはいないか。

 <友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ>

  上原隆(幻冬舎・1728円)

(2019-02-10 毎日新聞)

執筆のきっかけは、思想家の鶴見俊輔の著作との出会いだった。

団塊の世代である。
社会変革を目指した学生運動は潰えて、映画監督になる夢もかなわなかった。
劣等感にさいなまれたが、表現することだわりたかったという。
「鶴見さんに誘われ雑誌『思想の科学』編集会議に出てみたら、周りの教養の深さに圧倒されました。評論みたいなものを書いていたけれど、自分が頭で考えることは大したことない。人に会って何かを発見し、表現する方が断然面白い、という気持ちに変わっていきました」
人は傷ついた時、どうやって自尊心を回復するのか。
本書に描かれる22編には、著者が共鳴する「リアル」な姿がある。
失業、病気、別離、孤独・・・・人生は過酷で、誰でも喪失感にさいなまれることであろう。
<泣きたいのは、私だけじゃない>
そんな時、本書が生きるよすがになってほしい。
中澤雄大さん
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どんな人にも物語はあるという上原さんの言葉に心が温かくなりました。
自尊心というものは、時には人を守ることもあるけど、孤立させてしまうこともあるな。夕刊で目にした どうなるかわからんし、どうにかなるし。

月刊誌に100回連載した中での22編。
悲喜こもごもの人生を語ってくれたのは市井で生活している一般の方々。
こういう人も居るのだから貴方もしっかり生きて行きなさいなどと押し付けがましさではなく、感じ方は読み手にまかせるという何気に優しさが伝わるようでそれゆえ感動。後に超有名になる作家の話、娘を殺された両親のその後の苦衷さ、盲目の女性と盲導犬、ホームレス、などなど。
人生にはそれぞれの物語があり神様が終わりを告げるまで人は紡ぎながら生きているんだなと感じながら読了。

市井の人々の生きざまを、温かい筆致で綴ったドキュメンタリー。

上原さんに興味をもたれると相手も自分のことを語りたくなるのかもしれない、インタビュー映像が浮かんでくるようだった。その人にとっては日常であってもこちらからみると刺激的だったり尊敬に値することを思い知らされる。「僕のお守り」ではクローン病である主人公に対するお母さんの思いに胸が一杯になった。「恋し川さんの川柳」ではほんの一言に風景や気持が存分に詰まっていて圧倒された。境遇や才能に関係無く人は皆キラリと光る何かを持っているんだと実感した。

なんでもない人々は実はなんでもないわけもなく様々な物語を抱えている、それを引き出すインタビュースタイルにはそっと寄り添うような優しさが感じられた。
だからこそ短い子供たちへのインタビューにしてもそれぞれの心の痛みに深く感じ入れさせられたのだろう。これは簡単じゃないと思う。
著者と登場人物のそれぞれの人生に頭が下がった。


『こころ傷んでたえがたき日に』

2019年02月12日 10時25分48秒 | 医科・歯科・介護
『こころ傷んでたえがたき日に』(上原 隆/幻冬舎)

 

 NHKの「ドキュメント72時間」が筆者は好きだ。喫茶店やバスターミナルなど、定点観測ポイントに72時間、カメラを固定。訪れた人々が自身の人生を語る。人の数だけいろんなドラマがある。

『こころ傷んでたえがたき日に』(上原 隆/幻冬舎)もまた、市井の人々の悲喜こもごもが味わえる1冊だ。収録された22本のエピソードは、『正論』に今年3月の連載終了までの9年間に、著者が書いた100本から選りすぐったもの。

 ちなみにタイトルは石川啄木のこんな歌からとっている。

ゆゑもなく 海が見たくて 海に来ぬ こころ傷みて たへがたき日に(『一握の砂』所収)

 つまり、人生でつらいことがあったら(もちろんなくても)読む本なのである。

■60年間、休まず新聞配達を続けた男性の宝物とは?

 本書より、「新聞配達六十年」と題された1篇を紹介しよう。

 京都市左京区にある朝日新聞販売所のアルバイト配達員、国枝晃二さん(74取材当時)が主人公だ。著者は配達にも密着し、インタビューと交え、国枝さんの人となりや人生模様を紡ぎ出す。

 新聞配達を始めたのは14歳のとき。父が戦死。母子家庭となり家計を支えた。以来60年間、いまも朝刊は休まず配達しているというから驚きだ。

 というのも国枝さん、高校卒業後は就職し、現在は人気電気店の店主という本業もある。にもかかわらず、配達員はずっと続けた。その理由は、国枝さんが頼りになるため、「辞めないでくれ」と懇願され続けてきたから。頼まれると断れない性格。もはや、お金のためではない。

 本業もこなしながら、毎朝午前2時30分出勤の生活を60年。ふつうの人にはできない。しかも国枝さんには、辞めて当然の苦い経験もある。中学生当時、お金に困っていた弱みに付け込まれ、「配達区間を倍にすればもっと稼げる」と誘われ同意した。しかし賃金は微増しただけだった。それでも、店への感謝の思いから辞めずにいる。まさに無私の人、頭が下がる。

 著者の「六十年続けたことで得られたことがあったら教えてください」という問いに、「毎日毎日の充実感ですね」と言い、国枝さんはある箱を差し出す。著者が開けると、中には60年分の給与明細。そしてこう語る。

「人には紙くずかもしれんけど、これは六十年、毎日働いてきたことの証。僕にとっての宝物やと思ったんです」。人間国宝にすべき好々爺だ。

■ダ・ヴィンチニュース読者ならだれもが知る、あの大作家の若かりし日の様子

「彼と彼女と私」と題された1篇は、本書唯一のダブルキャスト作品。著者が取材するのは、都内で絵本・児童書などを販売する男性。だが語られるのは、その男性の近所に越して来て、ジャズ喫茶を始めたある若夫婦との交流の想い出である。

 読み進めていくと、その若夫婦の夫こそ、その後に、世界に名を馳せる人物(名はあえて伏せられている)となることがわかる。ダ・ヴィンチニュース読者ならだれもが知る、あの大作家の若かりし日々。それがこの1篇の隠しテーマだ。

 本書には他にも、ずっと真面目だったのにギャンブルがきっかけでホームレスに転落した男性の一方、若い頃は逮捕歴も背負った不良だったのに、その後更生して4人の子どもをしっかりと育てるシングルファーザーも登場する。

 また、10万人に1人の難病・クローン病を患う青年と母の愛の物語や、父と母の老々介護をサポートする著者自身の体験談他、涙と笑い、たくましさとせつなさが交錯し、人情や愛に心が温かくもなる。

 しかし、やり場のない憤りが、心の奥底から込み上げてくるエピソードもある。それが「娘は21のまま」という1篇だ。

 主人公は、東京・葛飾区柴又在住の小林賢二さん(69取材当時)と奥さんの幸子さん。2人が語るのは次女、順子さん(享年21歳)の想い出である。

 家ではお母さんによく甘えたが、学校ではリーダーシップを発揮するタイプだった順子さん。1996年9月9日。当時上智大学生だった順子さんは、2日後に迫った米国留学のための準備を自宅でひとり行っていた。新しく始まる生活に、胸を躍らせていたことだろう。

 しかし夕方、小林家に強盗犯が侵入。順子さんを殺害し、家に火を放つ。順子さんの夢もそして人生さえも、無慈悲に理不尽に、たった45分間(推定犯行所要時間)の間にすべてが奪い去られた。

■「時効廃止法案」を成立させて殺人犯に一矢報いた被害者遺族の悲しみ

 犯人は2018年8月現在、まだ捕まっていない。「いまもどこかで同じ空気を吸っているんですよ」と賢二さんがつぶやく。

 3年後に時効が迫った2008年、賢二さんは知人を頼りに連綿と人脈をつなげ、最後は国会を動かして2010年、「時効廃止法案」を成立させて犯人に一矢報いた。

 しかしそれでもこの先、犯人が捕まり極刑が下ろうとも、小林家にかつての幸せが戻ることはない。短絡的な無差別殺人強盗という悪魔の所業に手を染められる人間への憎悪が込み上げてくる。

 他者のドラマから、人生の労苦、エールや感動、教訓などを得たいという方はぜひ、本書を手にしてみてほしい。そして何かを感じたら、他者のドラマと割り切らずに、わが身のこととして思いを馳せ、何ができるかを考えてみてはいかがだろうか。

文=ソラアキラ



小説を深く読む~ぼくの読書遍歴

2019年02月12日 09時51分20秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 

商品の説明

内容紹介

「小説というものがあったから、ぼくは小説家になった」
「小説の深さに気づくと、小説を読む楽しさが、二倍にも三倍にも広がっていく。(中略)難しい話はしない。

子どものころからのぼくの読書体験をたどりながら、どのようにして深い小説と出会い、小説の深さというものについて気づいていったかを語ってみたい」(本文より)

芥川賞作家が書く「小説って何」!
ご自身の人生を振り返りながら、名作小説について語る読書エッセイです。
学校の授業などで習う「文学」というと、難しいもの、真面目なもの。

しかし、大学教授でもある著者は、そういった作品たちを本書でわかりやすく解説してくれます。

読んでよく分からなかった箇所が解明されたり、気づいていなかった点を教えてもらったり、小説を読んでみようかと思わせてくれる一冊です。
しかし、本書は単なる小説の読解読本ではありません。

随所に、著者のこれまで人生を振り返る記述が挿入され、エッセイとしても十分楽しめる内容になっています。登場する作家や作品、時代の出来事たちは、著者と同年代にはとても懐かしく、若い読者には新鮮に感じられるかもしれません。

内容(「BOOK」データベースより)

小説というものがあったから、ぼくは小説家になった。

芥川賞作家が自身の人生を振り返りながら、名作小説について語る読書エッセイ。



 由紀 粉雪

2019年02月12日 07時18分58秒 | 創作欄

体の芯まで冷えた中で飲む夜店コーナーの甘酒は、酒の麹が濃く格別の味わいだった。

「美味しいのね」由紀が微笑む。
「さすが、酒どころの甘酒だね」徹は一口、二口味わうように口に含む。
雪が降ってきてきた。
はじめは黒いダウンコートにゴミが溜っていると思って払ったら、それは粉雪だった。
雪の細かさに由紀は「こんな雪初めて、粉みたい」と空を見上げた。
「積りそうだね」と徹も空を見上げた。
目に雪が入ってきた。
痛さを感じない雪だった。
二人は借りた長靴を返すために民宿へ向かう。
民宿に宿泊する客たちはまだ戻って来なかった。
床にスリッパが揃えられていた。
「楽しみましたか」と出迎える民宿のお母さんの声に親しみがこもっていた。
「雪まつりを見て、懐かしさが込みあげてきました」徹の率直な気持ちだった。
「あの子が帰って来たら、伝えておきますよ」
徹は黙ってうなずいた。
「是非、また来てください」
「ありがとうございました。では」徹は頭を下げた。
民宿のお母さんが玄関の外まで出て見送るので、徹は2度、3度振り返り頭を下げた。
お母さんが手を振ったので徹も手を振った。
由紀は振り返らなかった。
「雪が段々大きくなってきた」由紀は両の手をかざすようにした。
そして、「徹さん、誰かを想っているようね」由紀は細い腕を徹の腕に回した。
「この敏感さはなんだろう」徹は由紀の横顔を見つめた。
「想っているのは、いい人のことね」由紀の腕に力がこもった。
二人は午後9時台の越後湯沢始発の新幹線で大宮へ帰る。
乗るのは約1時間であった。
由紀はカセットの歌をイヤーフォンで聴いていた。
歌を聴きながら涙ぐむ。
「やがて いつかこじれて だめになるより 恋のにおいさせずに そばにいたいわ」
「私のことを歌っているみたなのね」由紀はつぶやく。
徹は窓際の席に座り窓の外に眼を向けながら、民宿の娘の木村陽子のことを想っていた
徹は20歳になっても、日本酒もビールも飲んでいなかった。
初めて飲んだのは、10年前の民宿でのことだった。
「お客さんにお酒を飲まされたの」赤い顔をして民宿の娘が徹の部屋にやってきた。
「お酒は美味しいの?」
「新潟の雪中梅というお酒なの。美味しいわよ。飲んでみる?」
徹が黙っていると、娘は部屋を出て行く。
隣の部屋の客たちは麻雀をしていた。
徹は麻雀をしなかった。
かと言って学問一筋でもなかった。
学友たちと交わることが少なく、体育館で過ごすことが多かった。
民宿の娘の人なっこさに徹は好意を抱く。
このようなタイプの女性に接したの初めてだった。
娘は1本の徳利とお猪口を盆に乗ってやってきた。
掘り炬燵に娘も座り「どうぞ」とお猪口に酒を注ぐ。
悪戯好きな娘のような笑顔である。
「どんな味かな」徹は試すように日本酒を口に含む。
「どう、美味しいでしょ」
「そうだね。これが日本酒か」徹の父母は日本酒好きであるが、徹は酒を飲みたいと思ってことがない。
実は徹は5歳の時に、従兄たちに日本酒を飲まされ目を回したことがあった。
当然、悪戯が伯母に知られ、二人は往復ピンタを食らう。
従兄の父親は若くして胃がんで亡くなり、祖父が父親代わりで育っていて、小学生の従兄は祖父の酒を時々こっそり飲んでいたのである。
「お前たち、小学生で酒など飲むと、頭がおかしくなるよ」伯母は注意をしていた。
徹はそんな過去の話を、民宿の娘さんに明かした。
「そだったの」娘は口に手をやりながら、大声で笑った。
翌年、民宿の娘に惹かれるように越後湯沢へ行く。
その時も雪中梅を勧められた。
民宿の娘はその日も「お客さんにお酒飲まされた」と赤い顔で徹の部屋にやってきた。
そして、座るなり「お慕い申しています」と言うのだ。
古風は言い様に徹は戸惑った。
「酒が、言わせたのね。今のこと本気にいないでね」と言うなり娘は部屋を出て行く。

 
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