BC級戦犯としての死刑問題

2019年02月25日 23時01分42秒 | 社会・文化・政治・経済

『私は貝になりたい』(わたしはかいになりたい)は、元陸軍中尉・加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」の遺言部分をもとに、橋本忍の脚本で制作されたテレビドラマおよび映画である。
ストーリーは橋本忍の創作で、架空の物語である。
TBSテレビの前身、ラジオ東京テレビ(KRT)が1958年に制作したテレビドラマである。主演はフランキー堺。テレビ放送黎明期に制作され大きな反響を呼び、“ドラマのTBS”の礎となった作品として、日本のテレビ史に語り継がれている。
1994年には、所ジョージ主演でリメイクされた。1959年と2008年には劇場版が制作・公開されている。
劇場版は1959年版が1958年版ドラマに引き続きフランキー堺、2008年版は中居正広(SMAP)がそれぞれ主役を務めた。映画の配給はいずれも東宝。
あらすじ
第二次世界大戦中の昭和19年。高知県幡多郡清水在住の清水豊松(しみず とよまつ)は、気の弱い平凡な理髪師。
戦争が激化する中、豊松にも赤紙が届き、応召することになる。
内地のある部隊に所属した豊松は、厳しい訓練の日々を送る。
ある日、撃墜されたアメリカ軍B-29の搭乗員が裏山に降下。
司令官の「搭乗員を確保、適当(2008年の映画版では「適切」)な処分をせよ」という命令が豊松の中隊に下り、山中探索の結果、虫の息であった搭乗員を発見。
そこで豊松は、隊長から搭乗員を銃剣で刺殺するよう命じられた。
しかし生来の気の弱さから、実際には怪我をさせただけに終わる。
終戦後、豊松は除隊。
無事に帰郷し、妻と営んでいた理髪店で再び腕を振るっていた。
しかしある日、特殊警察がやってきて捕虜を殺害したBC級戦犯として彼を逮捕し、豊松は理不尽な裁判で死刑を宣告される。
彼は処刑の日を待ちながら「もう人間には二度と生まれてきたくない。生まれ変わるなら、深い海の底の貝になりたい」と遺書を残すのだった。
1958年版[編集]
サンヨーテレビ劇場
「私は貝になりたい」
ジャンル テレビドラマ
原作 加藤哲太郎(題名・遺書)
脚本 橋本忍(物語・構成)
演出 岡本愛彦
出演者 フランキー堺
桜むつ子
佐分利信
南原伸二
河野秋武
オープニング 作曲:土橋啓二
演奏:東京テレビオーケストラ
製作
制作 ラジオ東京テレビ(KRT)
放送
音声形式 モノラル放送
放送国・地域 日本の旗 日本
放送期間 1958年10月31日
放送時間 22:00 - 23:40
放送枠 サンヨーテレビ劇場
放送分 100分
回数 1
特記事項:
・全編モノクロ作品
・VTRと生放送を併用
・第13回芸術祭文部大臣賞受賞
表示
三洋電機の一社提供による単発ドラマ番組『サンヨーテレビ劇場』の一編(第42回)として、1958年(昭和33年)10月31日に放送。通常は22時00分から30分間の放送枠だったが、このドラマでは22時00分 - 23時40分に拡大された(本編の全長は約92分)。岡本愛彦演出、橋本忍脚本、フランキー堺主演。
第13回文部省芸術祭で芸術祭賞(2015年現在の大賞)を受賞した[1]。
キャスト
清水豊松:フランキー堺
清水房江:桜むつ子
清水健一:平山清
敏子(房江の妹):高田敏江
矢野中将(中部軍司令官):佐分利信(特別出演)
参謀:大森義夫
司令部将校:原保美
日高大尉:南原伸二(特別出演)
木村軍曹:清村耕次
滝田二等兵:熊倉一雄
立石上等兵(下士官):小松方正
大西三郎(同房の死刑囚):内藤武敏
尾上少佐:恩田清二郎
足立少尉:浅野進治郎
赤紙配達:増田順二
近所の仲間:坂本武、十朱久雄、垂水悟郎
小宮(教誨師):河野秋武
日系人通訳:田中明夫
弁護人:ジョージ・A・ファーネス[2](特別出演)
西沢卓次(戦犯被告):佐野浅夫
刑事:梶哲也
MP・警備兵:ジェリー伊藤ほか
戦犯:織本順吉、幸田宗丸ほか
アナウンサー:鶴田全夫
作品解説
冒頭部分には、実際の極東国際軍事裁判の映像(東條英機元首相に判決が言い渡される様子)が使用されている。

TBS放送センター完成記念
ドラマ特別企画
「私は貝になりたい」
ジャンル テレビドラマ
ドラマの冒頭では、湾岸戦争やベトナム戦争、朝鮮戦争など日本の戦後に起こった世界各国の実際の戦争の映像が映し出され、ドラマの随所では真珠湾攻撃に東京大空襲、広島市への原爆投下などの実際の映像が放映された。
原作 加藤哲太郎(題名・遺書)
脚本 橋本忍(物語・構成)
演出 山泉脩
出演者 所ジョージ
田中美佐子
津川雅彦
柳葉敏郎
渡瀬恒彦
オープニング 小椋佳『藍色の時』
清水豊松:所ジョージ
清水房江:田中美佐子
清水健一:長沼達矢
房江の妹:瀬戸朝香
矢野中将:津川雅彦
日高大尉:春田純一
滝田:桜金造
同房の死刑囚:柳葉敏郎
教誨師:渡瀬恒彦
矢崎滋
石倉三郎
杉本哲太
森本レオ
三木のり平
室田日出男
すまけい
小宮健吾
小坂一也
段田安則
竹田高利
寺田農
尾藤イサオ
ラサール石井
主題歌
小椋佳「藍色の時」
音楽監督
小椋佳


私は貝になりたい

2019年02月25日 22時36分52秒 | 社会・文化・政治・経済

今日のCSテレビの再放送で観る。

出演

中居正広、仲間由紀恵、柴本幸、西村雅彦、平田満、マギー、加藤翼、武田鉄矢、伊武雅刀、片岡愛之助、名高達男、武野功雄、六平直政、荒川良々、泉ピン子、浅野和之、金田明夫、山崎銀之丞、梶原善、織本順吉、笑福亭鶴瓶、草なぎ剛、上川隆也 、石坂浩二 ほか
橋本忍脚本、フランキー堺主演で1958年に放送された名作ドラマを、中居正広主演で映画化。

太平洋戦争の最中、上司の命令で捕虜を刺殺した為にC級戦犯として処刑された元兵士(理髪店主人)の悲劇を描いた衝撃作!中居正広が死刑を言い渡された元兵士役を熱演し、その演技が高く評価された。

また、人気女優・仲間由紀恵が迫真の演技で中居の妻役を好演!ドラマの中では描かれなかった夫婦の愛の物語など感動のエピソードが加えらえた。その他、石坂浩二、上川隆也、草なぎ剛、笑福亭鶴瓶ら豪華なキャスティングも話題に。主題歌は、Mr.Chirdrenの「花の匂い」。

【ストーリー】
清水豊松(中居正広)は高知の漁港町で、理髪店を開業していた。家族は女房の房江(仲間由紀恵)と一人息子の健一(加藤翼)。決して豊かではないが、家族三人理髪店でなんとか暮らしていく目鼻がついた矢先に、戦争が激しさを増し豊松にも赤紙=召集令状が届いた。豊松が配属されたのは外地ではなく、本土防衛の為に編成された矢野中将(石坂浩二)率いる中部軍の部隊だったが、そこで彼は思いもよらない過酷な命令を受ける。

そして終戦。豊松はやっとの思いで家族のもとに戻り、やがて二人目の子供を授かったことを知る。

平和な生活が戻ってきたかに思えた。しかしそれもつかの間、突然やってきたMP(ミリタリーポリス)に従軍中の事件の戦犯として逮捕されてしまう。そして待っていたのは、裁判の日々だった…。


一人ではなく集団で引き受けること

2019年02月25日 13時30分23秒 | 社会・文化・政治・経済

不安だらけの社会で

20代や30代には、今の生活に大きな不満がある人も、ない人もいるだろう。
でも、<何となく将来だ見えない>という不安は、ある程度、若者世代に共通する感覚ではないだろうか。
「将来は暗い」が6割超。
これは本年1月に成人式を迎えた新成人500人を対象とするアンケート調査。
就職、収入、結婚、年金、日本の未来。
現代の<不安>である。
地域や家族のつながりが弱まっている。
いずれにせよ、社会の先行きは不透明で、具体的な解決策は不明。
漠然とした焦りは増すばかり・・・。
東日本大震災から8年を迎える。
その体験者である若者たちは、最大の苦難と向き合ってきた。
その姿に、不安社会を生きるためのヒントがあるのではないか。
多くの若者が、不安や孤独を抱えながら生きている。
希望の哲学と信頼の絆が、今ほど求められている時代はないだろう。
人を励ますと、自分も元気に。
「先の見えなさ」に直面していた若者たち。
「一番大きかったのは、悩みや不安を相談できる人たちに会えたことです」と語る若者の声
今の<不安社会>において、互いに承認し合う友人関係が大事である。
自分から行動を起こすことは、簡単なことではない。
現代の<不安>に対しては、一人ではなく集団で引き受けること。
すなわち「I]でなく「We]で向き合うことが重要だ。
「人とつながり、人と共に考える」
「人がいるから自分がいる」という生き方を育んでいく。


個を強くする「場」の重要性

2019年02月25日 12時31分07秒 | 社会・文化・政治・経済

メンタルヘルスの問題や若者の貧困など、新しい「貧・病・争」が大きな壁として立ち現われています。
こうしたことが、現代における不安の大きな要因だと思います。
さまざまな課題にたいして、「エンドステート(最終状態)を考えていくことでしょう。
個人においては「自分はどうなっていきたいのか:、社会に対しては「どのような社会にしていきたいのか」という、ある意味でのゴールを、具体的に描いていくことが大切だと考えます。
「ゴールを定めるなんて当たり前」だと思う人もいるかもしれない。
しかし、実際にやろうとすると、ものすごく知的体力が必要です。
先の見えない課題に対してゴールを設定するには、しっかり考え、多くの人と議論を重ねていく必要があるからです。

[開沼 博]の漂白される社会
 
 
売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…社会に蔑まれながら、多くの人々を魅了してもきた「あってはならぬもの」たち。
彼ら、彼女らは、今、かつての猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつある。私たちの日常から見えなくなった、あるいは、見て見ぬふりをしていた重い現実が突きつけられる。

商品の説明

内容紹介

売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…社会に蔑まれながら、多くの人々を魅了してもきた「あってはならぬもの」たち。彼ら、彼女らは、今、かつての猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつある。私たちの日常から見えなくなった、あるいは、見て見ぬふりをしていた重い現実が突きつけられる。
 

内容(「BOOK」データベースより)

売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…。「自由」で「平和」な現代日本の闇に隠された真実 先入観と偏見で見過ごされた矛盾と現実を描く。
 

著者について

開沼 博 (かいぬま・ひろし)
社会学者、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。
1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポルタージュ・評論・書評などを執筆。読売新聞読書委員(2013年~)。
主な著書に、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。
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Herr HET
現代日本は「自由」で「平和」な社会である、という前提のもと著者の開沼は、その社会が実は、そこに付随する影の部分(性的・貧困の側面)が「あってはならないもの」として周縁化され不可視的なものとして「漂白」されていることを強調する。「浄化」「純化」というポジティブな概念ではなく敢えて「漂白」という言葉に象徴される、「なくなった訳ではなく色彩を喪失して特色をなくしたまま存在を続ける」価値として現代に残滓する様々な負の要因を、自身のルポルタージュとして記した書物である。
ただ学者としての矜持と、体当たりルポライターとしての実践が共存した奇妙な構成の書物のため、「序章・終章」と中身の落差の大きさに読者は戸惑わずにはいられない。
序章と終章は社会学者としての面目のためか抽象的な議論に終始しているが、中身は実話雑誌のような軟派な記事の羅列で、前後の抽象的なテーゼを中身の具体的事例が捕捉する、ことになっていないのが読む際注意が必要である。
序章で語られた、現代社会における「無縁化」とそれに付随する「周縁化された存在」としての社会の底辺に横たわる風俗・貧困・暴力・薬物といった「あってはならぬもの」として不可視化された事態を浮き彫りにしようとして開沼は売春島・ホームレスギャル・シェアハウス・不正生活保護受給・援デリ・ギャンブルやドラッグ・右翼や過激派の残滓・移民の急増に伴う問題(偽装結婚や中国エステなど)を具体例として挙げ、最後に終章としてそれら「周縁的存在」が隔離・固定化、不可視化され「色」を失って漂白される、という事態を分析して見せる。
ただ学術論文的前後に対してスポーツ新聞の三面記事やワンコイン雑誌の風俗レポートみたいな中身とは差異が甚だしく、硬派で抽象的な前後を軟派でくだけた中身が具体例を伴って解説している、という訳ではない。内容も「漂白」の事例を端的に表したものか、は正直信じ難く、サッカー留学を夢見て日本にやって来ながらアルコール依存で破滅していくブラジル人少年の話や、日本で働くのを夢見て大学院で学びながら最後はエステのママになった中国人女性の「転落の構図」など、必ずしも適切な事例として相応しくない、受けを狙った「特殊な事例」だとしか思えない。
「漂白」という概念から社会を分析した書物、を期待した読者には中身の「実話雑誌」みたいな事例に辟易するだろうし、風俗や暴力の卑近な話を期待する向きには前後の、抽象的で難解な論調に閉口して読むのを止めてしまうだろう。
果たしてこういう構成で記述するのが相応しい内容であるのか、疑問に思える構成に仕上がっている。
折角の興味深い主題と分析が、卑俗な具体例のため台無しになっている、のが正直な印象である。
むしろ論文は論文で、ルポルタージュはルポで、切り離して別箇の書物にした方が良かったんじゃないか、思える内容である。論文としては中身が少なく、ルポとしては中身が既知のものが多く得る部分は少ない(開沼が言っているように現代はIT化が進んでおり、文中出てくる「売春島」や「中国エステ」も、ネットで調べればすぐに所在が知れてしまう)。
故に論文としても情報としても中途半端で、消化不良の印象が否めない、内容である。
より読者対象を絞って、突っ込んだ議論を展開するか、或いはルポルタージュに徹して主張は読者の判断に委ねるか、どちらかに徹した方がよかったんじゃないか、という不思議な読後感を残す、書物である。
 

 

 

自分でなければできない、価値を創造

2019年02月25日 12時15分06秒 | 社会・文化・政治・経済

厳しい現実社会にあって、どんな仕事も、苦労や悩みの連続だ。
その一つ一つを乗り越え、負けない心で前進するための原動力はなにか。
一念の強さで決まる。
大切なことは、自らの心を鍛えることだ。
悩み、苦労は自身の生命を輝かせる「宝」だ。
困難に立ち向かう勇気と知恵を湧き出す源泉。
限界の壁を破り、不可能を可能にする。
仕事が忙しいとか、いつか暇になったら、と考えてしまいがちだ。
しかし、どんなに多忙であっても、自分にできることを精一杯やっていく。
人間は、うんと悩みながらも、「生き生き」と生きられる。
苦労の連続であっても、張り切って、今なすべきことに全力で取り組み、自分でなければできない、価値を創造していける。

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「快活さとまっすぐの心があれば、最終的にはうまくゆく」ゲーテ

「とにかく、とりかかれば心が燃え上がるし、続けていれば仕事は完成する」

「人間はみずからが 愛するものごとによって形づくられる」

「その夢を失くして 生きてゆけるかどうかで考えなさい」

「君は本気で生きてるかい?」

ゲーテの言葉
仕事はヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe/1749年8月28日-1832年3月22日)は、ドイツのフランクフルト・アム・マイン出身の詩人、哲学者、劇作家、小説家、政治家、法律家、自然科学者。完成する。



光の人 読書案内

2019年02月25日 11時39分41秒 | 社会・文化・政治・経済

5つ星のうち5.0

人は、誰のために生きるのか。
人生をまっすぐまっしぐらに生きることの大切さ。

レモン
2018年11月8日
形式: 単行本Amazonで購入
日常の生活の中で日々失っていく純な生き方の美しさ。
それをこの作品は思い起こさせてくれます。孤児たちが、それぞれ歩んできた苛酷な人生と、その窮状を目の当たりにし立ち上がった青年との固い絆にどんどん引き込まれていきます。クライマックスには、青年の秘められた過去(傷)と、だからこそ、貫いた青年(幸太郎)の強い生き方、孤児たちとの強い愛が描かれています。
人は人を思う心にこそ、生きることの真の意味があると語りかけてくれます。温かい涙がこぼれてしまいました。読んだばかりなのに、すぐ再読をはじめました。
もっと、この本の登場人物たちと一緒にいたいー。そんな気持ちなりました。今年、読んだ本の中で最も感動した作品です。魂が震えましたー。
この作品に巡り合えたことの縁に、感謝です!
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています

Ultraume Amazon Customer
ベスト1000レビュアー
5つ星のうち5.0
人の姿を見て学ぶ「謙虚さ」と「志を持つ」強い意志、いつも心の中に置いておきたい。
2018年12月11日
形式: 単行本Amazonで購入
 日本が大東亜戦争に負けた終戦後の混乱時に、戦災孤児達を、寝食を忘れて救った人の話である。その数は千人にも及ぶという。その名は門馬幸太郎、自身も満州で父母や姉と生き別れて弟と二人でようやくの思いで日本に帰ってきたという過去を持つ。

 この本は幸太郎が建設した、孤児達の自立を促がす施設・命の家ができるまでの話や、そこで育って社会に出ることができた人たちの思い出話、という形で語られていく。

いずれの語り手も壮絶な青少年時代を経て、一筋縄ではいかない性格を持ちながらも、門馬幸太郎によって救われていくのだった。

 孤児たちが増えすぎて食べるものに困り、仲間割れしそうになったときの幸太郎の皆への言葉は印象的だ。「私は、君たちの姿を見ながら学んでいるんだ。君たちが頑張って働く姿を見て、ああえらいなと、思うんだ。お金がないから、この家は破滅するという人がいる。本当にそうだろうか?志を失うことの方が百倍怖い。私と一緒に何処まで行けるか、運命を生きてくれないだろうか?」自分が助けている人の姿を見て学ぶ、という謙虚さ、そして一人前の人間になろうという志を忘れるな、という激励、いつどんなときにでも心に置くべき言葉だと思った。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

dream4ever
VINEメンバ

間違いなく2019年 自分の読書ベスト5に入ります。今井さんの薬害エイズに関する書籍「赤い追跡者」、NHKの問題を捉えた小説「ガラスの巨塔 」は読んでいましたが、本書は実在の人物をモデルにした小説です。今井さんとの出会いから出版まで7年近く経っているようです。

 戦争の理不尽さ、孤児という差別偏見の戦後を主人公と孤児達を通して人間愛とは何かを綴っています。

東京大空襲を行ったカーチス・ルメイが勲一等旭日大綬章を授賞したことを何気なく(意図的ですね)綴っている。

綾子が吐露する「貧乏なら思いっきり虐められ、成功すれば餌にされる。この国にはいつも人にやさしくない」

そして最終章、主人公の弟に対する想い。

通勤電車等では読まない方が良いです。号泣です。
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鐘ヶ江将光
5つ星のうち5.0帯に偽りなし!
2018年11月20日
形式: 単行本
30年近く前、上京した祖母と上野に行った時に聞いた「この辺りは戦争孤児が多かったんだよねぇ。。」という言葉とそれを聞いた時に思った「戦争孤児はその後どうなったのか? 」という疑問がずっと心に残っていた。

その疑問は消えることはなく、終戦当時とあまり変わってないのではないか?と感じさせる薄暗い上野駅の地下道を歩く度に思い出していたが、最近その答えを与えてくれる一冊と偶然出会った。

「光の人」(文藝春秋社)

著者は「プロジェクトX」のプロデューサーをされていた今井彰氏

「実在の人物をモデルにした感動巨編」という帯に「ちょっと大げさじゃない?」とも思ったが、読み終わって納得、帯に偽りなし。

内容を詳しく書くのは野暮だからやめておくが、戦争のみならずその後の時代、時代で様々な事情で孤児になった少年少女達にとってまさに「光」であり続けたある男の物語。
(ヒーローと言えばヒーローだけどスーパーマンではなくて非暴力なアンパンマンのイメージ)

こんな人物が実在したということがその辺の物語以上に物語であり、長年疑問だったことの答えをくれるだけでなく、心に刺さる言葉が数多く一気に読んでしまった。

そして、読んでしまったら誰かにおススメしたくなった(←今ここ)

読書の秋はもうすぐ終わり、けど、読書の冬にもお勧めの一冊。
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Amazon カスタマー
5つ星のうち5.0
映像が浮かぶ描写力のすごさ

形式: 単行本Amazonで購入
全編、大河ドラマのようだった。孤児たちの過酷な体験が次々と、圧巻の筆致で描写される。その一つ一つが息を飲むような人間ドラマの積み重なりだ。しかも、そこには、弱者に冷たい日本社会の構造的背景も丁寧に描き込まれている。
並みの小説なら、おそらく読者は、これら孤児たちの悲惨な体験を他者の歴史的経験として、距離をおいて観察することになるだろう。しかしこの小説は、そうではない。あらゆるディテールが徹底的に調べ尽くされた上で書かれているためだろう、どんなエピソードも「真実の物語」として迫ってくる。
読者は、まるで自分自身の体験でもあるかのような錯覚にすら陥り、心の中に疼くような痛みを感じるのだ。そして、読み終わった後の脱力感。あぁ、それはすぐれたテレビ番組を見た後の感覚とまったく同じではないか。言葉の選び方と、その配置、文章の並びから全体の構成に至るまで、この小説は、読者の心の中に映像を映し出すことを目的として書かれているように思われる。
映像体験と同様の読書体験を可能にする稀有な小説。それを生み出すために注ぎ込まれた著者の膨大なエネルギーはいかばかりのものだったろう。

ただひとつだけもの足りない点をあえて指摘すれば、「光の人」が抱えてしまった「影」の描き方だ。
光の強さに応じて影が濃く深くなるのだとしたら、主人公の人生には、おそらく並みの想像力を超えた葛藤や矛盾や、ひょっとすると悪すらもが、刻まれていてもおかしくないと、勝手ながら思ってしまった。
そこの部分だけ、話がきれいすぎるのだ。

矛盾は社会の側にも、良き人、「光の人」の側にもあるのではないかという邪な感想だが、そう思ってしまう原因はひょっとすると、実在の人物を描くことの制約の中にあるのかもしれない。

事実は小説よりも奇なり…というが、その事実は、だれかが物語として伝えなければ共有できない。
だからこそ、小説が事実をより深く理解させ、感じさせてくれることもあるのだ、という実例をここにみた気がするのもまた事実なのである。それが大きな喜びとなることもまた。


光の人

2019年02月25日 11時11分55秒 | 医科・歯科・介護
 
今井 彰 (著)

商品の説明

内容紹介

戦後、1000人の孤児の生を支えたひとりの男がいた!

NHK「プロジェクトX」の元プロデューサーが描く、実在の人物をモデルにした感涙の物語。

太平洋戦争当時、東京大空襲などによって、多くの戦災孤児がうまれました。

戦後の混乱のなか国の支援もなく、両親も家も失った孤児たちは、ある者はなすすべもなく命を失い、またある者は生きるために悪の道を受け入れざるをえませんでした。
その孤児たちに手を差し伸べたのが、本作『光の人』の主人公、門馬幸太郎です。

二十代の若き門馬は教師の職を投げ打ち、収入の見通しもないまま、孤児たちとの共同生活を始めます。
実は、この小説には実在のモデルがいます。

NHK「プロジェクトX」のプロデューサーだった著者の今井彰さんは、パーソナリティをつとめるラジオ番組でこの人物に出会いました。その生き方に心を打たれた今井さんは以来、取材を重ね資料を集め、書き下ろし小説として、彼の人生を結実させたのです。
食糧難から親の虐待へ。孤児たちが味わう苦しみの様相は時代とともに変わりますが、門馬は公的な支援がないまま、その一切から逃げることなく、戦後1000人の孤児を育てました。

その背景には、門馬自身の悲惨過ぎる戦争体験がありました。
こんな素晴らしい男が日本にいたのか。

そんな圧倒的な感動と衝撃に言葉を失います。読めば絶対に泣けてしまう、心を揺さぶる感動巨編の誕生です。

内容(「BOOK」データベースより)

六十七年前、東京大空襲で家族全員を失い、日本階級社会の底辺である孤児の群れに転がり落ちた。無残な戦後だった。救い出してくれたのは門馬幸太郎であった。

仙蔵にとって門馬は、至純の愛を体現した奇跡の人であった。NHK「プロジェクトX」を作った名プロデューサーがどうしても書きたかった、実在の人物をモデルにした涙あふれる感動巨編。

着想から六年。この国の歴史には記されなかった切なく雄々しい愛の物語。

 

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

今井/彰
1956年大分県生まれ。NHKで番組制作に携わり、「タイス少佐の証言」が文化庁芸術作品賞、「埋もれたエイズ報告」は日本ジャーナリスト会議本賞を受賞。「プロジェクトX~挑戦者たち」の制作を統括し、菊池寛賞、橋田賞を受賞。エグゼクティブプロデューサーに。退職後、小説『ガラスの巨塔』を上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


変えることのできない資質・条件

2019年02月25日 08時39分22秒 | 社会・文化・政治・経済

人生には、大きく変わる時が必ずある。
ここが正念場という、宿命転換、自身の境涯を高める勝負時がある。

宿命転換:人生の悩みや苦難は、さまざまです。
そのなかには、自分自身の行動や判断が原因になって現れるものもある。
宿業:先天性に決まった運命もしくは運勢、もともとは「行為」を意味する言葉です。
生命を根源から変革して、自身の運命を切り開き、現在と未来にわたって、幸福境涯を確立する宿命転換。
どんな宿命も必ず意味がある。
宿命の「宿」は「宿る」ではなく、「前世からの」という意味で、前世から定まっている運命のこと。
運命の「運」は「運ぶ」ではなく、「巡り合わせ」という意味で、人間の意志に関係なく巡ってくる幸、不幸のことである。
自分の意志にかかわらずめぐってくるものという意味の言葉として「宿命」と「運命」があります。
生まれながらに定められた、変えることのできない資質・条件のことです。
幸福とは、決して苦難から逃げるといえる。


大切な女性を同時に失う

2019年02月25日 08時08分12秒 | 創作欄

意地を張ったり、感情的になったり、嘘をついて人を一次的に喜ばして、失望させたり・・・・
徹は失ってしまった人々のことを思い出すこともある。
彼は彼女の父親と長い付き合いであった。
父親は元地方紙の記者で、若いころは当時の著名な作家たちと同じ文芸誌に小説家を掲載してた。
だが、20代で小説が書けなくなったそうだ。
お父さんが体調不良で彼女が全面的に仕事を任されていた。
「話したの?」姉ご肌の人が聞く。
「まだなの」その人は何時も快活な娘さんであるが、戸惑って言い出せずにいたのだ。
「そうなの。では私から言う。だめなものはダメなの。先方にも予算があるでしょ」
「でも、<幹事に聞いてほしい>と事務局の人が言ってましたよ。会員にしてください」と食い下がる。
「無理ね」
「何故です。幹事が了解すればいいことでは」
「無理ね」
「理由は?」
「予算があって、先方にこれ以上は負担をかけられないでしょ。これだけ言ってもわからないの。分からず屋!」
編集者として崇拝していた知的な美人の女性と、密かに愛していたその人(愛称チャコちゃん)。
徹は大切な女性を同時に失ってしまった。


農民の「偽りのない生き方」は尊い存在

2019年02月25日 07時35分07秒 | 社会・文化・政治・経済

師匠は、誰でしょうか?
「農民の生活が、私にとって、広い意味での先生でした。農民は、土とともに生き、そこから何かを生み出します。その生き方には、少しも嘘がありません」ゴルバショフ元ソ連大統領
人間も自然を構成する一員であり、自然を前にして、人間の存在はあまりに小さい。
自然と共に歩む農民の「偽りのない生き方」は尊い存在である。

ゴルバショフの言葉
ミハイル・セルゲーエヴィチ・ゴルバチョフ
核兵器廃絶は良くて非現実的、最悪の場合は危険を伴う空想だと批判する人もいる。
冷戦による「長い平和」は、核抑止が大戦争を回避してきた証拠だという。
しかし私は核兵器の使用を任されていた者として、この意見には断固反対する。
核抑止とは難しく、もろいものだ


快活な心

2019年02月25日 06時54分52秒 | 社会・文化・政治・経済

自分の人生は自分で決めるものである。
現代は、<遊び>が氾濫し、若い世代は苦労を避ける傾向が強い。
人生は長い。
前進をやめれば、人生は即、敗北である。
「一日一日、進歩するのが青年である」

「快活な心だけが善に対する喜びを感じ取るこおができる。人間を陰惨にするような宗教は誤っている」カント

「悲しみを乗り越えたからこそ、励ませる人がいる」
生命の可能性を諦めない。


取手ひなまつり2日目

2019年02月25日 06時08分54秒 | 日記・断片

昨日に次いでひなまつりイベント会場に来た。

白山ギャラリー(岡部商店)

甘酒をいただく。

人は昨日の方が多かった。

筝の演奏は、取手在住の鈴木美由紀さん、齋藤澄江さん、細川真紀さん。

都踊の後で、みんなで歌おう「うれしいひなまつり 」「363日の紙飛行機 」「花」

花時計」と「さらし風手事」は会合があるので演奏を聞くのはここまで。



 


日本人の起源

2019年02月25日 05時02分15秒 | 医科・歯科・介護
日本人の起源 人類誕生から縄文・弥生へ (講談社学術文庫)
  人類誕生から縄文・弥生へ 

中橋 孝博著

類書が多い。
だが、まず、科学史としての多くの学説とそれらの間の論争を紹介している。
古人類学の土台は骨の化石と石器である。
日本列島は、ある時期までな大陸と地続きだった。
ヒトがこの島に来たのはいつか。
その経路は、彼らのもとの故郷は?
そもそもアフリカで生まれたヒトはいかに世界に拡散したのか。
権威ではなく、今分かっているのはこれまで、という謙虚さを伴っている。
日本は、絶海の孤島ではな、民族が行き交うちょうどよく隔てられつつ繋がった島々。
縄文人と弥生人の交代。
縄文人は本当に弥生人に駆逐されたのか。
実は出生率が違ったのだ。
狩猟採集に頼る縄文人は人口の維持が精一杯だった。
一方、稲作で食糧を確保できた弥生人はどんどん数を増やした。
この結論に至るには多くの前提がある。
酸性土壌で骨が残りにくい日本で弥生人は甕棺墓を作って骨を残してくれた。
遺跡の年代が特定できれば急激な人口増がわかる。
更には彼らの寿命もわかる。

15歳で余命が30年あれば次世代を生んで残せる。
年に1%以上という増加率が実現する。
狩猟採集で利用価値が低かった湿地が水田で活用された。
日本人の起源というテーマにはさまざまな学が参集して問題を解いていく。
そこからまた新しい問題が生じる。
それを追うのがまことに楽しい。
池澤夏樹評(要約)