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元同級生側に約3700万円の賠償命じる

2019年02月21日 07時07分41秒 | 社会・文化・政治・経済

大津中2いじめ事件、 地裁が判決「いじめが自殺の原因」

2/19(火) 京都新聞

大津市で2011年10月、中学2年の男子生徒=当時(15)=が自殺したのは元同級生によるいじめが原因として、遺族が元同級生3人と保護者に計3800万円の損害賠償を求めた訴訟で、大津地裁(西岡繁靖裁判長)は19日、元同級生2人に約3700万円の賠償を命じる判決を言い渡した。西岡裁判長は「いじめが自殺の原因で、予見可能性はあった」と述べた。もう一人の同級生について判決は、「一体となって関与していたとまではいえない」として、賠償を命じなかった。

判決は「2学期以降、暴行などの積み重ねの中で『いじる側』と『いじられる側』という関係に変容させ、全体として自殺したいとの思い、無価値感、絶望感を抱かせるに十分なものだった」とし、自殺といじめ行為の因果関係を、過去の判例より広く認めた。
 閉廷後、自殺した男子生徒の父親が記者会見し、「これまでのいじめ訴訟を大きく前進させる画期的な判決。いじめで命を断つ子をなくすための闘いで、息子に託された最後のメッセージだった」と、声を詰まらせながら、思いを語った。
 裁判で遺族側は、男子生徒が自殺の前日に「ぼく死にます」との電話を元同級生にかけていた経緯などから、いじめを苦に自死したと主張。一方、元同級生側は男子生徒に馬乗りになるなど一部の行為自体は認めたものの、いじめではなく、「遊びだった」などと反論。いじめと自殺の因果関係が大きな争点になった。
 訴訟は、遺族が12年2月、大津市や元同級生3人、保護者を相手取り、計約7700万円の損害賠償を求めて提訴。当初、市側は争う姿勢を示したが、後に自殺との因果関係や過失責任を認めたため、15年に和解が成立している。
 大津いじめ事件は、いじめの問題を社会に広く投げかけ、学校に常設の対策組織を置くことを明記した「いじめ防止対策推進法」が成立するきっかけとなった。

 

裁判で遺族側は、男子生徒が自殺の前日に「ぼく死にます」との電話を元同級生にかけていた経緯などから、いじめを苦に自死したと主張。一方、元同級生側は男子生徒に馬乗りになるなど一部の行為自体は認めたものの、いじめではなく、「遊びだった」などと反論している。いじめの認識自体に隔たりがある。

 

 昨年9~12月の尋問でも、元同級生たちはいじめとされる行為について、仲間内での「じゃれ合い」や「罰ゲーム」だったと述べ、男子生徒を身体的、精神的に傷つけた認識はなかったと振り返った。一部の保護者は「いじめとは思っていなかった」と答えた。

 

 ただ、大津家裁は14年、元同級生のうち2人について男子生徒への暴行などを認めた上、保護観察処分にした。残る1人は不処分だった。15年に成立した遺族と大津市との和解では、地裁が市の第三者調査委員会の報告書に基づき、複数のいじめ行為を事実認定。市側の不適切な対応と男子生徒の自殺の予見性を認める判断を示した。判決では地裁が報告書を改めてどう評価するのか注目される。

 

 訴訟は12年2月、遺族が市のほか、元同級生3人と保護者に計7700万円の損害賠償を求めて提訴した。当初、市側は争う姿勢を示したが、後に自殺との因果関係や過失責任を認めた。

 

 男子生徒の自殺から7年4カ月。元同級生たちは成人になった。判決を前に、男子生徒の父親は「成人を迎えるまでに自らの行為を顧みてほしかった」と話し、「いじめは人を死に追いやる恐ろしい行為なんだという因果関係を証明したい。学校現場や教師への警鐘となり、いじめ自殺の未然防止に生かせるはずだ」と訴える。


 


大津いじめ自殺

2019年02月21日 07時04分53秒 | 医科・歯科・介護

「暴行、絶望感抱かせた」 裁判長説明に父、涙 

2/19(火) 毎日新聞

大津市立中学2年の男子生徒(当時13歳)の自殺を巡る損害賠償訴訟。大津地裁は19日、元同級生によるいじめが自殺の主な原因と認めた。原告として出廷した生徒の父親(53)は判決を聞きながら時折、ハンカチで目頭を押さえた。提訴から7年。全国でいじめ対策が見直されるきっかけとなった一連の問題は、区切りを迎えた。


 「元同級生2人の暴行は孤立感、無価値感、無力感、絶望感を男子生徒に抱かせた」。西岡繁靖裁判長は、判決の理由を口頭で説明する異例の対応をした。民事訴訟の判決の場合、主文のみが読み上げられ、理由まで語られることはほとんどない。西岡裁判長は主文の後、生徒の父親に語りかけるかのように5分以上、理由を述べ、父親は閉廷後も涙を抑えきれずにいた。

 その後、大津市内で記者会見した父親は「このような判決が取れるとは思っていなかった。だんだん意味が分かってきて、抑えきれないくらい、うれしかった」と声を詰まらせた。2012年に提訴する前には、過去のいじめ訴訟の判例を調べ、多くの被害者が敗訴した事実を知った。「それでも、何とか息子の名誉を回復してやりたい、いじめ自殺を繰り返してはならないとの思いから裁判を起こした」と振り返る。

 今回の訴訟の証人尋問で、父親が元同級生に「息子に謝罪の気持ちを持ったことはあるか」と問いかける場面があった。「今、彼が生きていたら謝りたいことはある。忘れたことは一度もない」と答えたのは1人だけだった。父親は「判決を真摯(しんし)に受け止め、猛省した上で、立派な社会人として今後の人生を歩んでほしい」と語る。

 裁判中にも、国にいじめ対策を要望し、いじめの被害者家族を支援するため全国を駆け回ってきた父親。「当初は息子のことだけを考えていたが、いじめ被害に遭われた方、子供を失った全国の遺族と会う中で、息子だけの裁判ではない、負ける裁判にしてはいけないと強く思うようになった」と明かす。

 「いじめで命を絶つ子供を一人でもなくしてほしい。そのために闘うことは、私に託された息子の最後のメッセージだと思うようになった」。最愛の息子の死から7年。父親の切なる願いだ。【小西雄介、礒野健一、諸隈美紗稀】


急速に増える精神科病院での“身体拘束”

2019年02月21日 06時54分18秒 | 医科・歯科・介護

記事公開日:2018年03月30

  • ここ10年で倍増している精神科病院での“身体拘束”。患者側と医療側の認識のずれによるトラブルも起こっています。いま、病院で何が起きているのでしょうか。“身体拘束”の現状から、患者側の声と医療側の実情が見えてきました。
 

“身体拘束”の実態

いま、精神科病院での“身体拘束”が増えています。

厚生労働省の調査によると、その数は1日1万人以上で、ここ10年では2倍以上に増えています。状況により患者の肩、腰、両手、両足を固定しオムツを着用させる“身体拘束”は「患者が自分や他人を傷つけるおそれがある」などと指定医が判断したときのみに許されるものですが、長期間拘束されるとエコノミークラス症候群などを起こすリスクも指摘されています。

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精神科病院の中で何が起こっているのでしょうか。

「身体拘束」された後に、家族が死亡したと訴える遺族がいます。
2017年5月。ニュージーランド人のケリー・サベジさんが神奈川県内の精神科病院で体をベッドに固定される身体拘束を受け、10日後、心肺停止となりその後亡くなりました。

ケリーさんは2年前に来日し、鹿児島県の小中学校で英語を教えていましたが、2017年4月にそううつ病を発症。兄パットさんの住む神奈川県にある精神科病院に入院しました。

「到着後は落ち着いているように見えましたが、すぐにベッドで全身を拘束されました。『じゃ、拘束しますよ』と。その時点で、『ちょっと、え? 何するの』みたいな感じで。私はその看護師に『そういう必要はないと思いますけど』と言いましたけど、『まぁ、しばらく拘束する』と言われて・・・。」(パットさん)

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家族による面会は許されず、身体拘束によるリスクも伝えられませんでした。それから毎日、パットさんは病院に状況を問い合わせましたが、「ゴールデンウィーク中に主治医がいないから、ずっと拘束する」と言われたと言います。

入院から8日後にやっと面会できたケリーさんは意識がもうろうとし、話すのも辛そうでした。そして2日後に容体が急変し心肺停止となり、7日後に息を引き取りました。

遺族は搬送先の病院から「長期間動かなかったため、血栓ができた可能性がある」と言われ、パットさんと両親は大きなショックを受けました。一方、ケリーさんの死について、病院は「治療は適切で問題はなかった」と遺族に伝えています。

「なぜ息子がそんなふうに扱われなければいけなかったのか、理解できません。日本は縛りつけることをやめて、身体拘束をストップするべきです。」(ケリーさんの母 マーサさん)

なぜ“身体拘束”が行われるのか?

なぜ身体拘束は行われるのでしょうか。

長年、精神科の救急医療に関わってきた平田医師は、「最小限の身体拘束は必要だ」と言います。

「なかなか薬を飲んでくれない人、食事の取ってくれない人に対しては点滴ルートを確保して、そこから水分を補給したり、薬を投与したりします。私たちは治療的な手段、治療法の1つであるというふうに考えていますけども、できるだけ短期に、できるだけ早く身体拘束を解除すること。これは心理的にも身体的にも、リスクを下げるために絶対的に必要なことですね。」(平田医師)

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一方、「精神科医療の身体拘束を考える会」を発足した長谷川利夫教授は「日本では拘束が長期に及ぶ実態がある」と指摘。2015年に長谷川教授が全国11の病院で行った調査では、長い人は3年にもわたって拘束されていることがわかりました。

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そもそも、精神科病院で身体拘束が認められるときとはどんなときなのでしょうか。

精神保健福祉法で身体拘束をするのは次の3つの場合とされています。

① 自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合
② 多動又は不穏が顕著である場合
③ その他、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合

しかし、この条件について筑波大学教授で精神科医の斎藤環さんは、曖昧な基準のため、乱用される危険があると警鐘を鳴らします。
「例えば自殺予防って曖昧な基準で、一言でも死にたいとか言っていればですね、この人はリスクが高いと判断して、『じゃあ拘束』という判断もありうるんですね。基準の置き方が曖昧なので、病院の中の組織のありようによっては、すごくいい加減といいますか、乱用的な運用がなされてしまいやすい。精神病棟では治外法権みたいな感じになって、例えば転倒の危険とか、そういった理由だけで拘束してしまうということがありうるわけです。」(斎藤医師)

また、近年の身体拘束の急増の原因に、急性期病棟の増加や、認知症患者の入院によって空きベッドを埋めるという病院の現状があるのではないかと斎藤医師は指摘します。

身体拘束を経験した患者の声

長谷川教授はケリーさんの死をきっかけに、「精神医療の身体拘束を考える会」を発足。この日も身体拘束を経験した当事者や家族が長谷川教授のもとに集まりました。

「身体拘束っていうのは本当に人の尊厳を奪われる事であり、トラウマに残るし…。トイレすら自由じゃなかったんですね。オムツをはかされて、呼び鈴もないし。立ち合いでもいいから自発的にさせてくれと言ってもそれはダメだって。なんか、なんでこんな目にあわなくちゃなんないんだって、この世の地獄って感覚ですね。」(2年前に身体拘束を経験したAさん)

「行ったら、両肩と手首と足と胴体と拘束されてまして、事後に説明がありまして…。金曜日に主治医らしき医師に、先手を打つように『土日は解除出来ませんから』と言われてたんですよ。だけど子どもを見てると、もう可哀想で、『先生診て下さい』って言って『もう診て(拘束を)とって下さい』って言ったんですけど、結局とってもらえなくって。もう弱ってる感じです。このままいたら殺されてしまうと思ってそれで強く退院を言って。」(2年前に息子が身体拘束を経験したBさん)

長谷川教授は、国が定めた身体拘束の基準が、実際には治療という名の下に無視されるような形で実態が進んでいる現状があると言います。

身体拘束を経験した当事者から「今もトラウマとなっている」という切実な声は、NHKハートネットTVの「カキコミ板」にもたくさん届いています。

「病院に着いたときは落ち着いていて、ただただ疲れ果ててぐったりしていましたが、隔離室で胴と両手を拘束されました。抵抗する力もなく縛られ、液体の薬を口に押し込まれて眠りました。翌朝、目が覚めたときも落ち着いており、看護師とも普通に話せました。しかし、胴と両手の拘束は5日続き、さらに胴のみの拘束はひと月近くに及びました。」(東京都/50代/当事者)

「何回か(閉鎖病棟の)外に出ようとしたら、数人に取り押さえられ、肩に注射され、保護室で身体拘束を受けました。肩、両腕、腰、両足を拘束されました。少しでも緩むと、巡回のときキツク締め直されました。保護室は完全防音で助けを呼んでも無駄でした。便器もむき出しで、自分で流すこともできず、動物園の檻よりひどかったです。」(東京都/30代/当事者)

「あの魔の10年間は決して忘れません。精神疾患の人の訴えというものは、誰もまともに相手にしません。精神障害者に人権などないのです。あの閉鎖病棟の中で看護師や医者も身体拘束されてみたらいい。狂いそうになりますから。」(東京都/50代/当事者)

身体拘束の現状を変えるには?

急増する身体拘束の現状を変えるにはどうしたらよいのでしょうか。

斎藤医師は違ったアプローチとして、自らが実践しているフィンランド発の「オープンダイアローグ」を挙げます。この手法は急性期の患者の話に複数の治療チームで徹底して耳を傾け、患者の安心を確保するというやり方です。

「暴れて怪我をした人がいたから、こういう人はすべて拘束すべきという意見は、極論から一般化しすぎという印象です。暴力を振るわせない接し方がありうるということがもう少し徹底されれば」(斎藤医師)

しかし、一部にどうしても拘束が必要なケースもあり、その場合は身体拘束を短くするための工夫として、斎藤医師は「常時付き添い」「拘束時間の上限設定」「本人の権利擁護の法制化」を提案。さらに「拘束したとしても、コミュニケーションは続けてほしい」と対話の重要性を訴えます。

カキコミにも身体拘束以外のアプローチや、広い視点からの医療が必要という意見が多く寄せられています。

「身体拘束以外の方法を持っていないことが問題なのだと思います。(治療法は他にもあるはずです)。止むを得ず身体拘束したとしても、何時間以内に別の方法に切り替えるというルール作りが必要だと思います。精神障害者の権利擁護についても深く考えることが必要です。」(兵庫県/50代)

「精神疾患を抱えた人(私もです)は、ただでさえ生きてきた背景が複雑なのに、その多数の患者さんたちを限られた医療関係者のみで対応するというスタイル自体が、すでに限界に来ていると思います。精神科医療のみを問題にするのではなく、社会のあり方、経済問題、人権意識、教育等もっと広い視点から物事を考えてもらいたいと思います」(長野県/30代/当事者)

ケリー・サベジさんの死によって、目を向けられた身体拘束。今、精神医療のあり方が問われています。

※この記事はハートネットTV 2017年9月7日(木)放送「WEB連動企画“チエノバ”精神科病院の“身体拘束”を考える」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

精神科身体拘束1.2万人

 ニュージーランド人の男性が昨年、神奈川県の精神科病院で身体拘束を受けた後に容体が急変し亡くなった問題で、「精神科医療の身体拘束を考える会」代表の長谷川利夫・杏林大教授が14日、江戸川区での学会で講演した。長谷川教授は患者の行動制限について「日本でもデータを収集して議論を深め、変化を起こさなければいけない」と訴えた。

 男性は日本で英語講師をしていたケリー・サベジさん(当時27歳)。昨年春、そううつ病で神奈川県内の精神科病院に入院していた。

毎日新聞2018年12月19日

 

日本の精神科病院は、世界的にみても入院者数がきわめて多いといえます。 
半数近くが強制入院(医療保護入院や措置入院)であり、任意入院者も多くが閉鎖処遇を受け、長期入院を強いられています。身体拘束・隔離などの行動制限も近年大幅に増加しています。障害者権利条約が批准され、障害者差別解消法が施行されても、この現状は変わっていません。

理由

  • 法律で定められた強制入院や行動制限の要件が曖昧で、
    現場では緩やかに解釈されています。
  • 医療保護入院や身体拘束・隔離は、
    たった1名の精神保健指定医が判断しています。
  • 精神医療審査会によるチェックがほとんど機能していません。
    ※入院届や定期病状報告で入院継続不要と判断された割合はほぼ0%です
  • 医療保護入院制度の廃止を含む強制入院制度の抜本的見直しを行う。
  • 精神科病院から独立した第三者(権利擁護者)が入院者の立場に立ち、入院者の有している権利を伝え、その権利行使を支援するための権利擁護システムを構築する。
  • 医療保護入院制度の廃止を含む強制入院制度の抜本的見直しを行う。
  • 精神科病院から独立した第三者(権利擁護者)が入院者の立場に立ち、入院者の有している権利を伝え、その権利行使を支援するための権利擁護システムを構築する。

変わるためには

  • 医療保護入院制度の廃止を含む強制入院制度の抜本的見直しを行う。
  • 精神科病院から独立した第三者(権利擁護者)が入院者の立場に立ち、入院者の有している権利を伝え、その権利行使を支援するための権利擁護システムを構築する。


 

 

 


精神科の異常な長期入院

2019年02月21日 06時40分41秒 | 医科・歯科・介護

先進諸国の平均在院日数は18日前後ですが、異常な長期入院・高齢化の日本では284.7日(2013年)。

そのうち 20万人が1年以上の長期入院、11万人は5年以上、約7万 人は10年以上、3.5万人は20年以上の超長期入院となって います。  厚労省は2004年9月、「入院中心から地域生活中心へ」 と、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を公表しましたが、 その後10年間における精神保健医療福祉の改革は、予定 通りにはすすんでいません。障害者権利条約批准の為の国 内法整備、障害者福祉施策の見直し、障害者自立支援法を 障害者総合支援法へと改正、医療計画に精神疾患が加わる、障害者権利条約を批准、精神保健福祉法の改正など、一定の取 り組みはすすめられたものの、現在も1年以上の長期入院者が64.5%を占め、精神病床は334,975床となっています。

 

全体の半数以上(186,675名)が1年以上の長期入院です。

 



精神科で身体拘束1万人

2019年02月21日 06時30分14秒 | 医科・歯科・介護

 13年度厚労省調査、10年で2倍に社会モデルとして精神障害を捉えず、社会防衛的な誤った視点からの隔離・排除政策の名残をとどめる日本の精神科医療 政策により、人権侵害が今でも繰り返されています。欧米諸国から50年も遅れている日本の精神科医療政策は、精神疾患患 者への対応がいまだに何も変わっていません。  日本の精神科病院の8割、精神病床の9割は民間病院です。

国立・県立病院中心の先進諸国と正反対です。 戦火による消失や経営難による閉鎖で、終戦時には約4千床まで減少した精神病床は、1954年の全国精神障害者実態調査 で、入院を必要とする患者は全国で35万人と推定されました。

急速に精神病床を増加させるために政府は、「精神科特例」で医 師や看護師等の配置を少なくて良いと定め、精神科病院に国庫補助規定を設けるなどで民間経営の病院建設を推進しました。  民間経営であれば、いかに経営を安定させるために医業収益を上げるかを追求し、低医療費の中では、入院ベッドの利用率 を高めることが主眼となり、必然的に長期入院患者が増える土壌が広がることになります。 ❶2016/5/10 12:38
 精神科病院で手足をベッドにくくりつけるなどの身体拘束を受けた患者が2013年度、全国で1万229人に上り、10年前の2倍に増えたことが厚生労働省の調査で分かった。内側から開けることができない「保護室」に隔離された患者も約3割増の9883人だった。

精神科病院での身体拘束などは精神保健福祉法上、本人や他人を傷つける恐れがあるなどと精神保健指定医が判断した場合に限定的に認められている。

厚労省は調査結果について「明確な因果関係までは特定できない」とした上で「アルツハイマー型認知症患者の割合が増えている背景はある」と説明。識者からは安易な身体拘束を指摘する声もあり、人としての尊厳や権利の制限につながるとの懸念から「適切性を第三者機関が判断する仕組みが必要」との意見も出ている。

精神科に関する全国調査は厚労省が毎年度実施し、入院患者数や医療従事者数、病床数などを集計。データがまとまった13年度の対象は1616施設だった。

その結果、身体拘束を受けた患者は1万229人に上ることが判明。最多は北海道の1076人で、東京の992人、埼玉の878人が続いた。また「保護室」への隔離は9883人で、最多は大阪の612人だった。

身体拘束に関する調査項目は03年度に加えられ、同年度は5109人(対象は1662施設)。その後、増加の一途をたどっているという。03年度に保護室に隔離された患者は7741人だった。

一方、精神科病院への入院患者数は減少傾向にあり、03年度に約32万9千人だったのが、13年度は約3万2千人減の約29万7千人となった。〔共同〕