国際勝共連合(こくさいしょうきょうれんごう、International Federation for Victory over Communism、「共産主義に勝利するための国際連盟」)は反共主義の政治団体。通称は「勝共連合」または「勝共」。
世界基督教統一神霊協会(統一教会)の教祖、文鮮明が1968年1月13日に韓国で、同年4月、日本で創設した。
日本の初代会長は「統一協会」の会長でもあった久保木修己。
名誉会長は笹川良一、顧問団に小川半次、大坪保雄、辻寛一、千葉三郎、玉置和郎、源田実らがいた。
勝共連合は、機関紙として『国際勝共新聞』・『思想新聞』、月刊誌『世界思想』を発行。関連会社の「世界日報社」が日刊新聞、『世界日報』を発行。
発足の1968年4月から1969年9月までの延べ動員数は公称1万6000人。
なお本稿では、日本での母体となった宗教法人世界基督教統一神霊協会を「統一協会」、その母体である韓国の同名組織とその思想全体を指して「統一教会」と分けて書くことにする。
背景[編集]
国際勝共連合は韓国の「勝共運動」の影響を強く受けている。「勝共運動」は、韓国においては、「反共法」まで制定して共産主義に対抗していた朴正煕政権の庇護を受けたと言われる。
活動[編集]
共産党と共産主義の欺瞞と間違いを明らかにすると主張しており、創設直後から共産主義者同盟、共産主義者同盟マルクス・レーニン主義派など共産主義系の組織に対抗した活動をして来た。大学、労働組合、一般人を対象とした反共講演会を開催した。
学生を中心とした遊説隊による街宣活動も行った。台湾・フィリピン・韓国などと交流し、PL教団青年部など宗教団体に働きかけを行った。
その主張から世界各国の反共・保守派要人と交流を持つ。「新しい憲法を作る国民大会」に賛同的であるなど、日本の「憲法改正」や核武装化を主張する。
国家秘密法(スパイ防止法)制定推進に熱心であり、「スパイ防止法制定促進国民会議」を組織した。
2016年には「大学生遊説隊 UNITE(ユナイト)」と称した団体を立ち上げ、若者を前面に出す形での憲法改正や新安保法制の賛成を訴える街頭活動を行っている。
主な運動方針は以下の通り。
- 勝共思想の定着をはかる
- 共産主義の脅威から我が国を守る
- ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止
- (選択的)夫婦別姓に潜む共産主義の策動を阻止
- 子供の人権政策に潜む共産主義の策動を阻止
- 青少年健全育成基本法の制定
- 男女共同参画社会基本法の改廃
- 憲法改正
- 緊急事態基本法の制定
- スパイ防止法の制定
- 日本版NSCの設置
- 集団的自衛権の行使容認
- 非核三原則の改廃
- 武器輸出三原則の改廃
- 防衛産業を成長戦略に盛込む
- 宇宙の軍事利用を促進
政界との協力関係[編集]
特に、保革伯仲時代と言われた、1970年代から1980年代にかけて選挙応援を通じて保守層に喰い込み、勝共連合の動きが目立ったとされる。勝共連合の母体である統一教会が商業新聞『世界日報』を創刊したのも、この時代と重なる。
1990年代から、日本の保守層と関係が薄くなっていたのではとの推測がなされている。有田芳生は「私は以前、安倍(晋三)さんから統一教会と北朝鮮の関係について聞かれたことがある。そのときは「統一教会が接近してきている。会おうと言われているが断っている」と言っていました。安倍さんは北朝鮮に対して強硬な立場で総裁選も近いということから考えると、少なくとも本人の意思では(前述の祝電を)送っていないとは思いますが」とコメントしている。
2000年代後半ごろから、日本の保守層との距離が縮まり、再接近している。2013年(平成25年)7月の第23回参議院議員通常選挙では勝共連合が有田への対抗馬として山谷えり子を当選させるよう、統一協会員に働きかけを行なっていた。
このとき有田は、自身のブログに統一協会の内部文書を載せ、統一協会と安倍晋三および山谷えり子の強い関係性を指摘している。
逆に「世界思想」2013年9月号は「安倍政権の救国ロードマップ」を特集し、街頭演説をする安倍晋三の姿を表紙に使った。
統一教会の正式名称は”世界平和統一家庭連合”で、一般的に統一教会と略して呼ばれています。
バリバリの統一教会系イベントにビデオで登場した安倍前首相は、約5分間にわたってスピーチ。開口一番、にこやかにこう挨拶したのだ。
「ご出席のみなさま、日本国・前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150カ国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに演説する機会をいただいたことを、光栄に思います」
安倍前首相と統一教会は切ってもきれない親密な関係にあり、安倍前首相の祖父・岸信介が統一教会と政界をつなぐ役割を果たした「国際勝共連合」の設立に関与していたことは有名な話。
さらに、安倍前首相自身も官房長官時代の2006年にはUPFの合同結婚を兼ねた集会に祝電を送ったことが発覚。
全国霊感商法対策弁護士連絡会が「統一教会の活動にお墨付きを与える遺憾な行動だ」として安倍氏に公開質問状を出すなど問題となっている。
さらに、安倍前首相自身も官房長官時代の2006年にはUPFの合同結婚を兼ねた集会に祝電を送ったことが発覚。全国霊感商法対策弁護士連絡会が「統一教会の活動にお墨付きを与える遺憾な行動だ」として安倍氏に公開質問状を出すなど問題となっている。
「今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」
ここで名前の挙がった韓鶴子総裁は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)総裁として知られる。UPFは、韓鶴子総裁が2005年にニューヨークで創設したNGOだ。
安倍氏と旧統一教会の関係は祖父・岸信介氏の時代に遡るという。安倍氏は、まだ首相になる前の2006年にも、UPFが合同結婚式を兼ねた集会に祝電を送ったことがある。
「このイベントには、安倍氏と並んでトランプ前大統領のビデオメッセージも紹介されました。2人とも退任後、その影響力を維持しようと躍起になっている共通点がある。このイベントに参加したのも、旧統一教会の協力を仰ぐ意思があるのでしょう」(海外情勢に詳しいジャーナリスト)
安倍事務所に聞くと、「この件はUPFに聞いてください」の一点張り。UPFジャパン広報局は、「依頼は、UPFインターナショナル(米国)ならびに米日刊紙『ワシントン・タイムズ』が行なったもの」と回答した。同紙も旧統一教会系の新聞である。安倍氏の背後には、宗教の力も控えている。
※週刊ポスト2021年10月8日号