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紀藤弁護士 旧統一教会に超党派での対応要望 同時刻に蓮舫氏は「自民党」ツイート

2022年07月27日 21時29分11秒 | 事件・事故

7/27(水) 17:11配信 デイリースポーツ
 

紀藤正樹弁護士

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の霊感商法の訴訟を担当してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士が27日、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」に出演し、国会議員に向けてあらためて旧統一教会と決別することを求めた。

 紀藤氏は2019年に国会議員に向けて、旧統一教会の関連団体などに「賛同メッセージを送らないこと」「選挙で信者の支援をうけないこと」を要望していた。昨年9月には安倍晋三元首相が旧統一教会関連団体のUPFに動画メッセージを送ったことに対して抗議文も送っていた。安倍氏を銃撃した山上徹也容疑者はこの動画を見て、安倍氏をターゲットにするようになったとされている。

 紀藤氏は「何度も警鐘を鳴らしてきた」とし、立憲民主党、共産党の会合にも出席したと伝えた。自民党は人事の関係で現時点では「動きにくい」状況であるとしたが「できたら超党派でやっていただきたい」と国会全体で問題に対応してもらいたいという意向を示した。

 旧統一教会については「反社会的な活動を長年継続している団体」と説明。「一般論で検討すると間違う」と「政教分離」の問題ではなく、霊感商法を行っている団体と政治家の関わりの問題として扱うべきとした。

 MCの宮根誠司は「政争の具ではなく、まさに超党派で国会でしっかり話さないと政治不信になりますよ」と紀藤氏に同意した。番組で「超党派」について語っていたのとほぼ同じ時刻に、立憲民主党の蓮舫参院議員は自身のツイッターで「そろいもそろって、支援を受ける宗教団体の一つとか、選挙応援を受けただけと口にする自民党議員。」とつぶやいていた。

 

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旧統一教会の名称変更めぐる「黒塗り開示」に批判 文化庁に理由を聞いた

2022年07月27日 21時20分49秒 | 事件・事故

7/27(水) 20:44配信 J-CASTニュース

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が長年希望していた名称変更が突然、文化庁に認められたことについて、2015年8月の決裁文書の開示を受けたところ、変更理由が黒塗りになっていたと、共産党の宮本徹衆院議員がツイッターで明らかにした。

【画像】共産党の宮本徹氏が黒塗り開示を投稿

 宮本氏は、宗教法人は税制上の特例を受けており、国民への説明責任があるとして、黒塗り部分は開示すべきだと批判している。なぜ開示しなかったのか文化庁の話を聞いた。

■共産党の宮本徹氏が、決裁文書の開示を受けてツイート

 名称変更するときは、宗教法人法に基づく規則を変更して文化庁から認証を受ける必要があるが、開示文書では、その「規則変更理由」の部分2、3行すべてが黒塗りになっていた。

 この開示文書の写真は、宮本氏が22年7月26日にツイッターで投稿した。

 宮本氏は、黒塗り開示を批判し、「隠さなければならない事情が書かれているのでしょうか。開示を求めます」と訴えた。旧統一教会からは、15年6月2日に申請があり、決済手続きが8月18日に始まって、同26日の決裁と同時に認証されていた。

 旧統一教会は、現在の「世界平和統一家庭連合」に名称変更できないか、1997年に初めて文化庁に相談している。しかし、霊感商法などが社会問題化していたことから、当時文化庁宗務課長だった前川喜平氏は、「実体が変わらないのに、名称を変えることはできない」と断ったと、20年12月1日にツイッターで明らかにしていた。

 その後も長い間、名称変更が実現していなかったが、自民党の下村博文衆院議員が文科相だった15年に、旧統一教会から申請が初めて行われて変更が実現している。

 下村氏はそれまで、旧統一教会系の日刊紙「世界日報」にインタビュー記事などが複数回載るなどして、教会との関係が指摘されていた。安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、週刊誌がこのことを取り上げようとすると、下村氏は22年7月13日、当時の文化部長が決裁しており、自分に伺いを立てることはしていないと文化庁に確認したとツイッターに投稿した。

「情報公開法に基づき、すべての法人に開示していない」
 下村氏は、7月21日の囲み取材でも、文化庁の担当者から当時、報告を受けたものの、文化部長の判断で変更を了承したとして、自身の関与を否定している。

 とはいえ、旧統一教会については、自民党など政治家との関係がメディアなどで取り沙汰されている。それだけに、決裁文書の開示を受けた宮本徹氏は、「申請前、あるいは申請から決裁までの間に政治家からどういう働きかけ、リアクションがあったのか」とツイッターで問題提起した。

 文化庁の宗務課は27日、宮本氏から国会議員として資料請求があったため、前日の26日に宮本氏に決裁文書を提出したとしたうえで、名称変更の理由を開示しなかったことについて、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

「誤解がないように話しますが、今回に限ってのことではなく、すべての法人に対して同様に開示していません」

 開示しない理由については、情報公開法第5条2号のイに基づくと説明した。そこでは、行政文書開示について、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」の情報を除くとされている。

「今回だけ特別な取り扱いをしたわけではなく、隠したということもありません。名称変更は、要件がそろっていればよく、申請が出ましたので受理しました。政治的な理由はありません。なぜこれまで申請がなかったのかは、法人側の事情もあると思いますが、こちらでは承知していません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

 

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“統一教会”と国会議員 教団の「名称変更」情報開示で“黒塗り” 

2022年07月27日 21時12分24秒 | 事件・事故

関連団体の月刊誌に大臣室での写真も

7/27(水) 20:54配信 日テレNEWS

霊感商法などが社会問題となっている「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”と国会議員との関わりが、27日もまた明らかになっています。安倍派幹部の下村元文部科学大臣もそのひとりで、野党が追及する考えです。

    ◇

“統一教会”の関連団体が主催する「ピースロード」というサイクリングイベント。その様子を撮影した動画では、懸命にペダルをこぐ人たちが映っていました。

動画の音声
「コロナ禍の中でも世界平和のために汗を流す青年たちの姿が、各地で注目を集めています」

動画で映されている横断幕には「ピースロード・イン・ジャパン」の文字。日本でも夏になると、全国各地で開催されています。

このイベントを巡り、教団との関与が浮上したのが、平井卓也前デジタル大臣です。2016年、香川県で行われた「ピースロード」の実行委員長として名前が記載されていて、去年は「世界平和」と書かれたたすきをかけ、香川県実行委員長として会合に参加していました。

さらに、地元市議のFacebookに掲載された写真で平井氏の2つ隣に座っているのは、現在の内閣官房副長官を務める磯崎仁彦氏です。2人に浮上した教団との関係。それぞれ、事務所に問い合わせてみると…

平井氏の事務所
「去年、実行委員長を務めた」

磯崎氏の事務所
「ピースロード香川の会合には出席した」

    ◇

教団と政治家を結ぶ、いくつもの接点。

野党が追及しているのは、自民党・安倍派の幹部である下村博文議員です。

共産党 宮本徹議員
「この(教団の)名称変更は、新たな被害の拡大につながった可能性があるわけですよね」

下村議員が文部科学大臣を務めていた2015年、教団の名称変更が行われましたが、自身の関与を否定しています。この経緯について、文化庁に情報開示を請求したところ…

共産党 宮本徹議員
「『規則変更理由』という所が真っ黒で出てきたんですけども」

名称変更を認めた理由の欄が、真っ黒に塗りつぶされていました。また、教団が提出した文書に至っては、内容がまるごと黒塗りにされていました。共産党の宮本徹議員は、全てを閲覧できるよう交渉中だといいます。

共産党 宮本徹議員
「被害を広げないために、名称変更は認めないということでやってきたわけですから、政治の圧力でゆがめられていたとしたら、本当に極めて重大な問題だと思います」

一方、教団側は「“世間の批判をかわすため”に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな憶測、決めつけにすぎません」「正体隠しではなく、かねてから名称変更を望んでいた」などと反論しています。

また下村議員は、名称が変更された翌年に教団の関連団体から6万円の献金を受けていたことが明らかになっていますが、それ以前にも関わりがありました。実は、関連団体が発行する月刊誌で少なくとも3回、表紙を飾っていたのです。

月刊Viewpoint 2014年2月号より
「世界日報主筆が文部科学省の大臣室で論じ合った」

いずれも、下村氏の大臣室でインタビューを行った写真が掲載されています。そのインタビュー記事では…

下村氏(月刊Viewpoint 2014年2月号より)
「ダボス会議に安倍総理と私が行って」
「日本から世界を変えていく貢献をしたいという精神的なことを発信していきます」

団体のインタビュアー(月刊Viewpoint 2014年2月号より)
「それは素晴らしい」

続々と浮上する政治家と教団との関わり。野党は、さらに調査を進める方針です。

事】


創作欄 父の死、夫の死の7月

2022年07月27日 18時34分14秒 | 創作欄

競馬好きで、阪神タイガースファンの祖父が亡くなったのは、平成9年、1997年だった。
「21世紀まで、生きたいな」と娘や孫たちに言っていたそうだ。
でも願も惜しくも、<あと3年>で逝ったのだ。
娘の敏子が午前2時に目覚め、トイレの行った時、風呂場の電気が灯っていた。
几帳面な父親が、「風呂場の電灯を消し忘れたのか?」といぶかり、風呂場のドアを開けると父親の信一が湯舟に沈んでいたので、驚愕して父親を助け起こした。
娘の夫の銀治が慌てふためき救急車を呼んだ。
不審な死とも考えられたことから警察官もやってきた。
そして、家族全員が刑事たちから事情聴取を受ける事態となる。
テレビ好きの父親は、家族の誰よりも遅く午後11時過ぎに風呂に入るのが習慣となっていた。
夕食後は、日本酒の熱燗を2合飲みながら、テレビでナイター野球を観戦していた。
結局、検視の結果<死因は心筋梗塞>であった。

皮肉なことに15年後、敏子の夫も心筋梗塞拘束で亡くなった。
酒好きの夫は高校の同窓会の日、懇親会後に熱海のホテルの湯舟で急死する。

友人たちが止めたのに、3度も一人で温泉風呂へ向かったそうだ。
47歳の若さだった。
父の死、夫の死、いずれも敏子の誕生月の7月であった。


利根輪太郎の競輪人気番 今度こそ!

2022年07月27日 12時04分54秒 | 新聞を読もう

GⅢ 佐世保競輪 九十九島賞争奪戦

人気を背負った新田 祐大選手は2日間、競輪ファンたちの期待を裏切ったのだ。
最終日、<今度こそ>と期待するのは必然。
競輪ファンは、新田の選手絡みの車券に投票して負けて、このまま引き下がれない心境となる。
初日の特選はメンバーから車券に絡まなくても<仕方ない>と諦められた。

だが、2日目は勝てるだろうと期待した。

レース評
新田は完調ではないが、このクラスなら能力一番。
武藤がマークだが、門田を利す渡部の連対も。
佐藤と瀬戸にはシビアな攻め
1番人気は3番新田 祐大選手と1番武藤 龍生選手の3-1(1.8倍)
だが、新田選手は期待を裏切り5着となり、配当は2車単8-2が2万820円(25番人気)、3連単8-2-1 15万1,840円(152番人気)の大穴となる。

では、3日目は?8番の山口 敦也選手に競りこまれた。
なめれたものだ。
そでも、何とか1着に。

7月26日 最終日7月26日

新田断然 11レースS級特秀

並び 1(97競り)6 5-2 8-3 4(単騎)

レース評
新田はワンランク上だ。
格違いの走りで他を圧倒。
番手は大森と岡田で競りだし、俊敏な渡部が相手。
不破−村田との絡みも。

1番人気1-3(3.9倍

結果

3-5 4,110円(13番人気)

3-5-1 1万4,160円(41番人気)




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
× 1 3 村田 雅一   11.2    
2 5 渡部 哲男 1/2車輪 11.3    
3 1 新田 祐大 3/4車身 10.9   S  
  4 4 山口 貴弘 1車身1/2 11.3      
5 9 大森 慶一 3/4車身 11.0      
  6 2 原 誠宏 1車輪 11.5      
  7 6 竹山 陵太 1/8車輪 10.9      
8 8 不破 将登 2車身 11.8   B  
9 7 岡田 泰地 3車身 11.4

戦い終わって

戦い終わって写真

 圧倒的人気の新田祐大は届かずまさかの3着。

中団から捲った渡部哲男に切換えた村田雅一が交して1着。

「不破将登君が主導権を取ってくれて新田君が構えてくれた。あれなら飛んで来ても1人かなと。不破君が落ち着いて駆けてくれた。渡部さんが中団から早めに来て何とか止めたかったけど。その後ろを捌いたのは最低限。新田君も来ると思ってシビアに行かせてもらった。準決は伊藤信さんが強かったから。オールスターに向けて課題は見つかった」。
 捲った渡部が2着に粘り「不破君はまだ伸びて行く感じがあったから、もっと待って仕掛けたかったけど。新田君に被るよりは無理やり。その結果、新田君が行きやすくなっても仕方ないから。今回の自力はたまたま出ただけ。でも何かがかみ合って来て、もがいた時の感じが違う。要因はひとつではなく色々。なんとなく理想の走りができるように」。


善の生命を開花していく 推進力は「学ぶ」こと

2022年07月27日 11時57分29秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽人間が人間として、真に人間らしく、善の生命を開花していく。
自身の尊い生命と同じく他者の生命を尊重する。

使命を果たしていく推進力は「学ぶ」ことである。

▽苦しい時ほど、前を向き、不屈の負けじ魂をも燃え上がらせて、学び抜くことだ。

▽人類は、真の正義が勝ち栄えるための生命力と英知と情熱を待ち望んでいる。

▽どの分野であれ、偉業は「まず、人ありき」である。
先頭に立つ人の<信念に生きる姿勢>。
また目標を達成するための努力と真剣な行動。
そこから信頼、団結、勝利の力は育まれていくに違いない。

▽中心軸がぶれてしまえば、力強い回転は生まれない。

▽真実の言葉は不滅で最上。

▽志を守り譲らない者が世を創るのだ―ゲーテ


自由からの逃走

2022年07月27日 09時45分06秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
現代の「自由」の問題は、機械主義社会や全体主義の圧力によって、個人の自由がおびやかされるというばかりでなく、人々がそこから逃れたくなる呪縛となりうる点にあるという斬新な観点で自由を解明した、必読の名著。
 

商品説明

 『自由からの逃走』はドイツ生まれの社会心理学者エーリッヒ・フロムによって1941年に発表された。
フロムはヒトラーの全体主義に世界が震撼するその最中に、この作品を世に送り出した。このことは本書が単なる研究者向けの論文ではなく、ナチに追われてアメリカに帰化した著者自身の「時代の狂気に対する叫び」でもあったことを物語っている。

   本書はナチズムに傾いていくドイツ国民とそれを先導した独裁者の心理状態を詳細に説明し、人々に「なぜ」を明らかにしている点で非常に興味深い。あの狂気を生んだ悲劇の根源は、「自由」という人類に与えられた恩恵であった。

その分析に触れるとき、読者は、本書が今もなお警鐘を鳴らし続けていることに気づくだろう。

   自由であることの痛烈な孤独と責任の重さを受け止め、真に人間性の実現といえる自由を希求することなくしては、人類にとって望ましい社会は生まれない。フロムは問う。

幸福を追求するために選んだ自由が果たして「本当の自由」といえるだろうか。「選ばされた自由」にごまかされてはいないか。

気づかぬうちに他者に対する加害者となっている自分を許してはいないか。

   フロムは、個人が生きるその社会の姿を理解することなしに、自由に生きることなどありえないと語る。本書は、国家のあり方という問題に対してだけではなく、現代に生きる個人がその人生を充足させるためにはどう生きるべきかという問題に対する重要なヒントとなっている。(齋藤佐奈美)

 
エーリヒ・ゼーリヒマン・フロム(Erich Seligmann Fromm、1900年3月23日 - 1980年3月18日)は、ドイツ社会心理学精神分析哲学の研究者である。
ユダヤ系マルクス主義ジークムント・フロイトの精神分析を社会的性格論で結び付けた。新フロイト派フロイト左派とされる。
 
フロムの思想の特徴は、フロイト以降の精神分析の知見を社会情勢全般に適応したところにある。
フロムの代表作とも言える『自由からの逃走』ではファシズムの心理学的起源を明らかにし、デモクラシー社会が取るべき処方箋が明らかにされている。
フロムによれば人は自分の有機体としての成長と自己実現が阻まれるとき、一種の危機に陥る。
この危機は人に対する攻撃性やサディズムマゾヒズム、および権威への従属と自己の自由を否定する権威主義に向かうことになる。
自分自身の有機体としての生産性を実現する生活こそが、それらの危険な自由からの逃避を免れる手段だと説いた。
フロムは、バールーフ・デ・スピノザと同じく「幸福は徳の証である」と考えていた。
つまり生産的な生活と人間の幸福と成長を願う人道主義的倫理を信奉するとき、人は幸福になれるとした。
 
 
 
高1男子です。親からの冬休みの宿題として、書評をします。

フロムが一貫して主張することは、「~からの自由」(消極的自由)は個人を孤独にさせ、その孤独は無力感を生み、人々は無力感による不安や絶望から逃れるために何かに服従しようとし、結果、自由から逃走してしまうということです。
自由から逃走した人々は社会の歯車や自動人形と化してしまうことにフロムは大きな危機感を覚えています。自由になるためには、「~への自由」(積極的自由)を自発的に求めて外界とのつながりを持ち孤独感を解消する必要があるといいます。

本文では無力感に打ちひしがれている人々が、彼らにとって魅力的な隷属への欲望をはねのけ、積極的自由の原動力である自発性を獲得できるかどうかという事には触れておらず、自由からの逃走に対した自由への前進といった内容が豊富でなかったことが残念な点でした。
しかし、自由からの逃走をサディズムとマゾヒズムの共棲関係と関連させて説明したところや、それぞれの社会階級ごとに分けてその性格を述べた内容はとても分かり易く、納得することが出来ました。

フロムの主張に関して身近な例を考えてみると、学校の部活動が思い当たります。部活という時間的束縛から逃れたいと思っていたとしても、もっともらしい理由(例えば帰ったとしてもやることが無いから等)を付けて合理化して、部を抜けた時の孤独感を回避しようとし、他の部員との関係を保つためだけに、もしくは部活という肩書を得て安心するためだけに、結局束縛を甘んじて受けることはフロムの消極的自由の回避のメカニズムを象徴しているように思います。

この例からも、私たちのごく身近にも服従の心理が働いていることが分かります。この本は、日々の生活を省みて「自由から逃走してはいないか」と自分自身に問いかけるきっかけになると思います。
 
 
 
 
『自由からの逃走』は、共同体の絆から自由になった近代人は孤独感や無力感にさいなまれており、自由から逃れようとする傾向にある…ということを指摘した本です。けっこう読みづらい本だったので、これから学ばれる方のために本文を要約してみました。

フロムは「序文」で、近代人は前個人的社会の絆から自由になったと述べます。近代人は自由の重荷からのがれて新しい依存と従属を求めるか、あるいは人間の独自性と個性にもとづいた積極的な自由の完全な実現に進むかの二者択一に迫られるそうです。
第一章は「自由ー心理学的問題か?」です。ファシズムが国民を魅惑した方法を理解するためには、われわれは心理的要素の役割を認めざるをえないとフロムは考えます。
第二章は「個人の解放と自由の多義性」です。個性化の過程において、個人が完全に解放される以前に存在する一連の絆を「第一次的絆」とフロムは呼びます。
子どもが成長し、第一次的絆が次第にたちきられるにつれて、自由を欲し独立を求める気持が生まれてきます。子どもは個性化が進むにつれて強くなっていく一方、孤独が増大していきます。孤独な子どもは、権威への服従か自発的行動かの二者択一を迫られます。
第三章は「宗教改革時代の自由」です。中世社会の人間はまだ第一次的絆によって世界と結ばれていましたが、ルネッサンスの時代になると貴族とブルジョアは自由と孤独を得ます。ルッター主義とカルヴィニズムは、都市の中産階級や貧困階級、また農民にいきわたっていた無力と不安の感情とともに、自由と独立の新しい感情をも表現していました。
第四章は「近代人における自由の二面性」です。近代社会の機構は、同時に二つの仕方で人間に影響をあたえています。その二つの仕方というのは、人間はよりいっそう独立的・自律的・批判的になったことと、よりいっそう孤立した・孤独な・恐怖にみちたものになったことです。資本主義社会がもたらした孤独と無力の感情は、気晴らしをする一般の普通人にはおおいかくされています。
第五章は「逃避のメカニズム」です。マゾヒズム的な人間は劣等感・無力感・個人の無意味さの感情にとりつかれており、外側の権力によりかかろうとします。サディズム的人間は孤独感と無力感から逃れるために、他者を支配しようとします。サド・マゾヒズム的性格のうち、ことに神経症的ではなくて正常な人間をさすばあい、フロムは「権威主義的性格」と呼びます。
権威主義的性格の人間は権威をたたえ服従しようとする一方、みずから権威となって他のものを服従させたいと願います。サディズムとマゾヒズムの根底には対象との共棲がみられますが、破壊性は対象を除去しようとします。破壊性もまた、たえがたい個人の無力感や孤独感にもとづいています。
孤独や無力を克服するために個人が自分自身であることをやめることを、フロムは「機械的画一性」と呼びます。
近代社会において自動機械となった人々は、安定をもたらしてくれるような権威に、たやすく従属しようとします。
第六章は「ナチズムの心理」です。
労働者階級や自由主義的およびカトリック的なブルジョアジーの消極的なあきらめの態度と対照的に、ナチのイデオロギーは下層中産階級によって熱烈に歓迎されました。ヒットラーのパースナリティ、かれの教説およびナチの組織は権威主義的な性格構造の極端な形態を表現しており、ヒットラーと同じような性格構造を持った民衆に強く訴えました。
ヒットラーは大衆をサディズム的方法で軽蔑し愛し、神・運命・必然・歴史・自然にマゾヒズム的に服従しました。
第七章は「自由とデモクラシー」です。われわれの社会では、感情や思考、意志的行為における独創性が欠如しているとフロムは考えます。自発的な活動は、人間が自我の統一を犠牲にすることなしに、孤独の恐怖を克服する一つの道です。
人間が社会を支配し、経済機構を人間の幸福の目的に従属させるときにのみ、また人間が積極的に社会過程に参加するときにのみ、人間は現在かれを絶望ー孤独と無力感ーにかりたてているものを克服することができると、フロムは結論づけています。
 
 
 
社会心理学者のフロム氏による代表作です。本書は80年ほど昔の本になりますが、2019年現在で読んでもまったく色褪せない内容を含んでいると思いますし、おそらく80年後にもまだ読まれているでしょう
。歴史を作り上げていくのは「社会的経済的条件」「イデオロギー」についで「社会的性格」が重要な役割を果たす、というのが本書の主張になります。具体的には自由からの逃走を引き起こすような「社会的性格」の存在に本書は警鐘を鳴らしているわけです。

人間は束縛からの自由を得るとき(フロム流に言えば消極的な自由を得た時(〜からの自由))、気持ちの高揚感を得ると同時に、孤独感や自分の無意味感、無力感を同時に感じてしまいます。
その際に人間が取りうる行動としては大きく2つある。
1つは「積極的な自由」つまり、「〜への自由」ということで積極的・自発的に活動を行うこと。
もう1つはより大きな権威などに寄り添って自分の自由を放棄してしまう、つまり自我を失うけれども心の拠り所を得る行為にでるわけです。
後者の例として本書ではプロテスタンティズムやナチズム、またサディスティック/マゾヒスティックを例として挙げています。
おそらくこの現象は社会の激変期に起こりやすいのだと思うのですが、AIやロボットが人々の仕事を置き換えていくような時代が本格的に到来すると、フロムが警鐘を鳴らしているような「社会的性格」が広く出現するかもしれない、と思いました。
 
 
 
昔の本なので、古典としての知識拡充で読もうと思い手に取りましたが、正に今の日本人が読むべき本だと感じました。
今の日本の幾らお金があって時間があって自由でも、自由である事が逆に安定せず、生き甲斐を失い、結果自らを全体の方向性に偏らせ自由を捨ててしまうこの状況は、正にこの本で語られている内容です。
 
 
 
人間の摂理について論文調で論旨が展開される.主題ははっきりしていて,自由を2種に区分したうえで人々の行動を論じている.論文調なので読みにくいと感じる人がいるかもしれないが,慎重な書きぶりには安心感がある.
後半のフロイト云々の部分はいまひとつ論旨との関係がしっくりこなかった.その時代の流行なのかも.
 
 
 
 
 

マインド・コントロールとは何か

2022年07月27日 09時37分01秒 | 社会・文化・政治・経済

西田 公昭  (著)

内容(「BOOK」データベースより)

破壊的カルトの誘いのテクニックから、組織内での心理操作、脱マインド・コントロールまで、豊富な実例と心理的実験をあげながら、その原理を明快に解き明かす。防衛と抵抗のために、すべての人がいま実学として知るべきマインド・コントロールのすべて。

内容(「MARC」データベースより)

多くの人が一生のうち何回か破壊的カルトからマインドコントロールの攻撃を受けるだろう。その時人はどう対処するだろう。それに抵抗したり防衛したりは出来る。正しい知識を持つことがその最大の防御になるのだ。
 
 
 
本書は「洗脳」を個人を強制的に拘禁し、精神構造を強制的に生理的に変化させる
昔からある方法とし、
「マインド・コントロール」は、より洗練された手法で必ずしも身体的拘束を伴わず、
「破壊的カルト」が対象に意識させず秘密裏に行う心理操作、と定義しています。
心理学上「マインド・コントロール」という言葉は(少なくとも本書出版当時は)定義されて
おらず、似たような概念の「セルフ・コントロール」「自律訓練法」「心理療法」とは異なり
良い意味で使われるものではないとしています。

なお破壊的カルトとは「警戒すべき幾つかの特徴を持つ、組織された反社会的な集団」
とのことです。意識操作の手法として国家が研究してきた「洗脳」の歴史やメカニズム、
それをさらに高度に発展させた「マインドコントロール」について、心理学的な研究、実験
などを基に大変細かく科学的に整理された本です。破壊的カルトによるマインドコントロール
の利用手法なども紹介されます。

著者は科学者としてマインドコントロールの是非を問うような定義づけが、既に抵抗を
感じるとしながら研究方法としては主観を排して客観的に追求したいとしており、
私個人の感想としても特に主観を強く感じるようなものはないかな、と感じました。

人間は生き物としてパターン、習性をもっていてそれを薬物など外的要因で目に見える形で
もって変化させる洗脳とは違って、対象に操作を意識させず、あるいは自らに判断させている
と誤認させるといった手法のマインドコントロールのテクニックのひとつひとつは、
その程度こそ異なれど私たちの生活に身近なものです。セールス、勧誘、コマーシャル、
世の中には他人の無意識を誘導しようとする目的のものは溢れています。そうしたものが
どういう理屈でなされているか科学的に解説されます。

「マインドコントロール」という言葉からはやはりカルトなどを連想してしまいどこか怪しい、
神秘的なものにも捉えてしまうのですが、実は人間の思考と意思決定のプロセスを科学的に研究
し尽くした末に成立しているものだということがわかります。
人間が外からの刺激に基づいて意識(ビリーフ)を形成していく以上、悪意を持ってその刺激を
操作されてしまっては程度は異なれどどんな人間でも逃れようがない、ということもわかります。
人間の思考/意思決定プロセスに興味のある方にもおススメです。
 
 
 
洗脳とマインドコントロールの違いの説明や、
実際の事件・臨床実験などのデータを多数交えながらの解説がとても分かりやすく説得力があります。
この本を読んで、マインドコントロールに対する恐怖心や考え方がガラッと変わりました。
マインドコントロールはとても科学的なもので、だれにでも被害にあう可能性があるのだと思い知らされました。

カルト集団の例を中心に順を追って解説されていますが、
この本を読むことでマインドコントロールの仕組みが理解できます。
抽象的な言葉などでごまかしたり恐怖心をあおったりしているだけの中身のない本ではなく、
社会臨床学や心理学などの実験や社会的事件などをきちんと示して、
人の思考や心の原理について分かりやすい言葉や例で説明してあるので納得できます。

高校教師がナチス支配下の全体主義を教えるために授業で始めたゲームが、
全校生徒を巻き込んでマインドコントロールされた集団へと変貌してしまう「ザ・ウェーブ」の事件の話がとても印象的でした。

またマインドコントロールからの脱却方法についての説明や、
カルト集団から離脱した人たちやその家族のリアルな証言が何とも言えない気持ちにさせられました。
 
 
 
 巷間に溢れている「思い通りにする〜」や「〜の心が手に取るようにわかる」本はすべて、
この本を焼きなおしているのか?と思わせるような網羅性です。
 もちろん、マインドコントロールに焦点を当ててますが洗脳との違いも詳しく書かれています(NLPのような擬似的な心理学は対象外です)。
 平易な書きぶりですが学術書としても読めます(軽い読み物だと思うとしんどいかも)。

 私たちの行う判断の脆さを痛感させられる本です。
 有名なミルグラムの実験も記載されています。
ヒトラーひとりを憎悪して「ありえない」「許すべきでない」「二度と起こさせない」と感情的に思う人たちが、
また同じように名前の違うヒトラーを易々と生み出す可能性が書かれていると思います。
(つまり東条英機やオウムを個人的に非難しても意味がない)
状況といったものがもつ重要さ・・・一度作られた状況に対して人間は逃げるのではなく同化して状況の強化に手助けしてしまう。
人間関係や情報の分断や偏向性がもつ恐ろしさ・・・人間関係が分断されて一定の情報を多量に浴びると、間違った判断に誘導されていても自分で判断したものだと思うようになる。色付けされた概念を前もって利用させておくと、個々人の信念体系に影響をあたえ、間違いに気づきにくくなるどころか、自己に都合のいいように解釈しだす(2ch等は負のイメージ概念で構成されているので、そこにどっぷり浸かっていれば、自ら負のイメージ世界を構成しだすというように読めます。もしかすると表現の自由で守られていますが暴力や性についても同様かも)。

 「自分の意志しだいでどうにでも自由になると思い込んでいることが多い」だから「やってみなきゃあ、わからない。とりあえず経験してみてからでも遅くはない」という軽い気持ちで動くが、それは非常に要注意なのだ。ふたたび抜けようと思っても、動き出したものは個人レベルでも社会レベルでもなかなか止めることができない。→ちょっと意訳しましたが、それってまるで民主党政権を選んだことのようにも・・・・

 最後にエイリッヒフロムを引用されています。
 人間は不安を抱くものであり、現代人はそれから逃げようとして自由を放棄し、強力なものに支配してもらいたいと願う傾向がある。
 だから単純で断定的、権威的な話を、よいと判断してしまう。
 根っこにあるのは、なかなか見直すことができない個人の思考のrigidity(固さ)であり、曖昧なものに対する嫌悪感であり、これが他者からの影響を易々と受けさせる原因である。つまりそれが人の心理の弱さの正体である。
 としています。
 ひょっとしたらそれが社会の問題の正体なのかもしれません。

 単なるオウム事件等のような特殊な事件だけでなく、社会のあり方、個々人のあり方を根本的に問い直す契機にもなりうる本ではないかと思います。
 
 ちょっと社会へ敷衍してレビューしましたが、この本が書かれた17年前より人々の心理的状況は悪くなっているように思います。それだけ不安が増しているのでしょう。危険です・・・

 ☆5つでもいいですが、できれば最新の知見を含んだものも読みたかった、この17年間を俯瞰してほしいという個人的欲求から☆一つ減らしました。

巧妙化する「カルト宗教」の勧誘手法 SDGs、就活、ボランティア…富裕層女性は「心」で落とす〈dot.〉

2022年07月27日 09時30分02秒 | 事件・事故

7/26(火) 7:00配信 AERA dot.

ある国立大学に設置されたカルト宗教勧誘に注意をうながす看板。画像の一部を加工しています(2014年)

安倍元首相の銃撃死亡事件で、山上徹也容疑者(41)の母親が入信している「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に注目が集まっている。信者の家庭を崩壊させるほど献金をさせる実態が取り沙汰されているが、そもそもこうした「カルト」とも呼ばれる宗教団体は今、いかにして一般人を勧誘しているのか。専門家に取材した。

【写真】「偽装勧誘はしてない」と答えた教団の教祖はこちら

*  *  *
「このイベント、怪しくないでしょうか」

 旧統一教会や、2006年に教祖による女性信者への性的暴行疑惑などが社会問題化した「摂理」(キリスト教福音宣教会)などの宗教団体と対峙してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士のもとに、最近、ある大学の関係者から情報が寄せられた。

 イベントのテーマは「SDGs(持続可能な開発目標)」。テーマ自体は気候変動や環境保全と絡む大事な問題だが、大学側が怪しいと直感したのは、主催者の名称がイベント名を冠した「~実行委員会」とだけ書かれていた点だ。実在の団体名などは記されておらず、実行委員会のことを調べても、主催者の実態や事務所などの拠点があるのかがはっきりしなかった。

 渡辺弁護士が調べた結果、旧統一教会が絡んだイベントだと分かった。

 近年、旧統一教会や摂理が、こうしたSDGsに関する講演などのイベントを、正体を隠して開催するケースが目立っているという。

 スポーツ活動やゴスペルサークルなどに偽装した勧誘は昔から続く手口だが、時代の流れに合わせ「表の顔」を変えているようだ。

 渡辺弁護士が解説する。

「全国の大学がこうしたカルト宗教によるSDGs関連のイベントに頭を悩ませています。主催者について、『~実行委員会』などと正体を隠していること。また、信者の大学生が、その分野が専門の教授に『ぜひ先生のお話を』などと取り入って実際に登壇してもらうため、おかしなイベントだとは分からない。その先生は何も知らずに登壇してしまうので、むしろちゃんとした講演会だというお墨付きを与えてしまうのです。参加者の名簿をもとに勧誘につなげるのだと思います」

渡辺弁護士によると、大学生などの若者には、SNSを通じて接触してくるケースも多いという。

 ツイッターで「#春から〇〇大」など新入生だとわかるハッシュタグや、就活を控えた学生に、学生生活や就活のアドバイスと称して、現役学生や卒業生の信者が近づいてくるという。

 摂理は、主に大学生らの若者を勧誘のターゲットにしている。SDGs以外にも、環境問題やボランティアなどに関心のある「意識の高い学生」を狙い、有名企業で活躍する信者らが登場するイベントに誘ったりする。その道に興味がある学生にとって、勧誘の入り口を魅力的に仕上げているのだ。そうした徹底的な正体隠しによって、警戒心を抱かせずに関係をつくった後、「聖書を学ぼう」などと徐々に宗教色を出し始め取り込んでいく。

 一方で、統一教会のメーンターゲットは中高年の裕福な女性である。

 特に狙われやすいのが、山上容疑者の母親のように、配偶者と死別するなどし、深い悲しみや孤独を抱えている人だという。

 2人1組で家を訪問し、「手相を見る」などと話しかけるのが常套の手口。普通はここで断りそうなものだが、悲しみの底にいる人は誰かに話を聞いてほしかったり孤独を抱えたりしているため、会話に応じてしまうのだという。

「彼らは本当によく話を聞きます。長い時間をかけて、その人が抱えているつらさや思いにじっくり耳を傾けます。苦しい時に話を聞いてくれるので、信頼が生まれてしまうのです」(渡辺弁護士)

 次のステップは、集会への勧誘だ。名目は「供養を学ぶ会」であったり、「大病を克服して生きている人の話を聞く会」だったりするのだが、2人1組の信者には役割分担がある。一人が熱心に誘う役目で、もう一人は「私も誘われて参加してみたら、とても勉強になったんですよ」などと相づちを打ち、不安を取り除くのだ。

「人間関係が出来上がった後になって『因縁や祟り』などの話を持ち出します。『先祖が地獄で苦しんでいますから、今できることを精いっぱいやりましょう』などと、一気に数千万円の献金をさせる。世界平和統一家庭連合の名前を出し正体を明かす前に、献金させてしまうこともあります」(渡辺弁護士)

 渡辺弁護士によると、過去には、若くして税理士の夫を亡くし、悲しみにくれていた40代の女性が、こうした手口で取り込まれた。

 子どもの将来のために使うはずだった夫の生命保険金を全額献金し、実家の両親にも高額の壺を買わせた。教団からはさらに高麗ニンジンを使った商品の販売ノルマを課せられており、両親に数百万円で買い取るよう要求したところ、拒否された。

 ノルマが苦になったのか、女性はその後、実家近くの川で自殺したという。

 大学などで若者をターゲットにする際は、一人でいる人を狙うケースが圧倒的に多いと渡辺弁護士は言う。

 全国の多くの大学が「カルト宗教による勧誘が続いている」としてホームページ(HP)や入学時のオリエンテーションなどで学生たちに注意を促している。大阪大学は「ボランティアやスポーツサークルを隠れみのにしたカルト団体に要注意」として、勧誘のパターンを動画にまとめて公開した。青山学院大は旧統一教会と摂理を「危険な宗教団体」と名指しして、HPで勧誘活動への注意を呼び掛けている。スポーツ活動やコンサート、ボランティアなど声かけの手口はさまざまだが、首都圏のある私大の担当者は「ラウンジや共有スペースに一人でいるときに声を掛けられることが多い」と説明する。

 学内や学校の近くで一人でいるときに話しかけられたら、一度注意をした方がいい。イベントが魅力的でもまずは主催者を確認し、何者かが分からなければ学生課に相談するのも手だ。

「入信してからの対応は難しいので、声をかけられた時点ですぐに相談にきてほしい」(前出の担当者)

 こうした宗教団体は勧誘していることを誰かに話されるのを嫌がるため、渡辺弁護士もすぐ誰かに話すことを推奨する。

「勧誘された時、『友達に相談しますね』などと言ってみること。また、友人でも親でもいいので、誰かと会ったり、誘われたことを話すことが大切です。自分はいい人だと思っていても、第三者は冷静ですから、何かおかしいと気づいてくれることがよくあります」

 渡辺弁護士らは、旧統一教会の反社会的行為は明らかだとして安倍元首相を含め多くの政治家たちに、旧統一教会と関係を持たないよう要請する文書を送り続けてきた。ただ、「選挙の手伝いなど、政治家が助けてほしいと思っている場面に巧妙に登場するのが旧統一教会」(渡辺弁護士)といい、ずるずると関係が続いている現状がある。ただ、政治家とのつながりを示すことで教団の活動を正当化し、さらには捜査当局の忖度までも生んでいるというのが団体と対峙してきた専門家らの見解だ。

 渡辺弁護士がかつて会った統一教会の信者は、「狙った人は全員落とす自信がある。ただ、落とすまでに手間がかかる人は避け、手間のかからない人を狙う」と話したという。

 政治には頼れず、捜査当局も動かないなら自分で身を守るしかない。どんなに魅力的な誘いに映ったとしても、信じる前に何か一つでも行動する。そして、相手に「面倒くさそうだ」と感じさせることが必要なのかもしれない。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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旧統一教会系「勝共連合」が誇る“20代女性軍団”の正体 議員事務所を回って「お手伝いします」と潜入〈dot.〉

2022年07月27日 09時26分51秒 | 事件・事故

7/27(水) 7:00配信 AERA dot.

勝共連合は20代の容姿端麗な女性を国会議員の事務所に送り込んでいたという。

 安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親が多額の献金をしていたことで注目されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。その過程で、政治家と旧統一教会との関係にも耳目が集まっている。

【写真】父親が勝共連合で活動していたという「統一教会2世」の女性はこちら

 旧統一教会の創始者・文鮮明は1968年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合(通称、勝共連合)」を設立した。その時は日本が共産主義陣営と激しく対立した冷戦時代だったこともあり、勝共連合と自民党は協力関係を築いた。これを足がかりに、勝共連合は旧統一教会の“別動隊”として政界への関わりを深めていく。

 元自民党本部情報局国際部主事で、福田赳夫元首相秘書だった中原義正氏はこう話す。

「私が自民党の中野四郎元国土庁長官の事務所で秘書を務めていた1970年代初期、20代の若い女性が突然、『何か、お手伝いすることはありませんか』と言って、議員会館の事務所にやって来ました。目がくりっとした愛くるしい容姿の女性でしたね。女性は『勝共連合の者です。岸信介先生にご指導いただいています』と言っていた。しばらく、事務所でコピーをしたり、お茶を入れたりする仕事をしていたけど、給料も出さず、タダで働いていました」

 同事務所だけではなく、他の自民党議員の事務所にも、同様に20代と思しき勝共連合の女性が出入りしていたという。

「当時、安倍晋三氏の祖父・岸信介元首相の渋谷の自宅の隣に旧統一教会の本部がありました。統一教会にとっては、そこが日本の政界進出の足掛かりでした。岸元首相の系譜を受け継いだ清和会の国会議員の事務所を中心に、勝共連合の女性たちが入り込んでいきました。当時、私は清和会所属の国会議員秘書たちのまとめ役をしていたから、他の議員事務所からも、『うちの事務所にも来た』という話をよく聞きましたよ」

 国会議員の事務所に押しかけて無償で雑事を請け負う20代の容姿端麗な女性たち――この“20代女性軍団”の狙いは何だったのか。

「事務所で気に入られて、議員の弱みを握り、情報を教団に上げる目的もあったのではないか。しかし、私の知る限りでは、色恋沙汰でおかしくなった国会議員がいるとは聞いたことがない。うちの事務所の女性は2日に1回のペースで来ていたけど、押しかけて来た人を正規に秘書として雇ったりはしないから、女性は自然と来なくなった」

 政界ばかりではない。大学も“美女軍団”の標的になっているという。ジャーナリストの鈴木エイト氏はこう語る。

「東大の学生を旧統一教会に引き込むためにキャンパスに“美女”を送って、仕込んだという話は元信者から実際に聞きました。東大の旧統一教会系の学習サークルに容姿がきれいな女性信者を使って誘い、頭がよくて優秀な学生をスカウトする。そうやって優秀な人材を弁護士に育てたりして、教団の“頭脳”として囲い込む事例もありました」

 大臣経験のある自民党衆院議員(中曽根派)の元秘書はこう話す。

「うちの事務所には、いつの間にか『世界日報』が毎日届けられていました。事務所で購読していたわけではないのに、ずっと入っていた。ほかの議員の事務所にも『世界日報』が入っていましたよ。そして、選挙になると、頼んでもいないのに旧統一教会系の団体の見たこともない人たちが応援に来ていました。黙々と選挙の支援をしてくれていたが、誰に聞いても、どこから来たのかよくわからなかったんですよね」

 元東京タイムズ政治部長で、政治評論家の本澤二郎氏もこんなことがあったと明かす。

「岸信介元首相と親しい元大臣のところに知り合いの女性秘書がいたんですが、ある日、『今度、うちの事務所に入った運転手は勝共連合なのよ』と私にそっと耳打ちしてきたんです。その運転手は男性でした。統一教会は70年代にまず岸氏の周辺にいる議員から入り込もうとしていたのではないか。それから清和会に浸透し、じわじわと自民党全体に広がっていったのだと思います」

 勝共連合のスタッフが国会議員事務所にやすやすと入り込めた背景について、元自民党政調会調査役で政治評論家の田村重信氏はこう指摘する。

「政治家は、誰であろうが選挙で応援してくれる人はありがたいのです。昔は、ヤクザだって断らない議員もいたくらい。支援者が1人減って、その1票が相手陣営に入ったら、2票マイナスです。応援を断ったら敵を利するだけですし、組織票は必要だからみんな必死ですよ。それゆえ、どこの宗教団体だって全部ウエルカムになってしまう。票をもらわないと当選できない政治家の切迫感は想像以上なのです」

 前出の鈴木エイト氏によると、旧統一教会側もそうした政治家の心理をよくわかって行動しているという。

「旧統一教会系の団体は、政治家が地方議員の時から後援会組織に運動員を派遣しています。選挙のスタッフを数多く派遣して、マンパワーで議員を支えるんです。そうやって事務所に入り込み、議員の弱みまで握って、最終的には自分が選挙に出るというところまで構想を持っているのが旧統一教会なのです」

 80年代後半から90年代前半にかけては、霊感商法などが社会問題化した旧統一教会。だが、教団の名称変更やマスコミ報道が下火になったこともあり、世間からネガティブなイメージは次第に薄れていった。

「2006年に安倍晋三氏が旧統一教会の友好団体である天宙平和連合(UPF)の大会に祝電を打った時以降、政治家が旧統一教会の関連団体主催の集会に出席したり、祝電やメッセージを送ったりしても、メディアは報じなくなりました。それゆえ、政治家と教団の関係性はなかなか表面化せず、問題にもされなくなった。議員たちも問題化しないから、何回もくり返すようになりました」

 鈴木エイト氏は「旧統一教会と関わりを持った現職国会議員」と題した100人を超えるリストを作成し、メディアに提供した。国会議員が旧統一教会系の団体のイベントに参加したり、祝電やメッセージを送ったりした事例、旧統一教会系の新聞「世界日報」のインタビューを受けた政治家や献金を受けた国会議員をリストアップした(7月18日時点)。

 このうち9割は自民党議員だったが、野党議員も含まれていたことは世間に波紋を広げた。

 昨年9月、安倍氏は旧統一教会のイベント「神統―韓国のためのTHINK TANK2022 希望前進大会」にビデオメッセージを送り、「(文鮮明の後継である)韓鶴子総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します」と述べた。

「安倍氏はあの日に限って統一教会との関係を隠しませんでした。翌日以降はビデオは公開しないとの条件でしたが、あの映像が拡散しても自民党にも、自身の政治生命にも、何の影響もないと思っていたのでしょう。逆に旧統一教会や関連団体は、安倍氏に近い議員たちから堂々と祝電をもらったり、祝辞を受けたりすることで、問題のない団体であるというお墨付きを得た。メディアも政治家と旧統一教会の関係を問題視して報じる姿勢は一切ありませんでした。それが今回の銃撃事件を生んだとしたら、政治家もメディアも検証されなければいけないと思います」(同)

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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“旧統一教会と関わりがあった現職国会議員”は101人!総力取材で見えた「9割が自民党」の密すぎる関係

2022年07月27日 09時23分50秒 | 事件・事故

7/26(火) 6:01配信 SmartFLASH

「14年間信者で、これまで1800万円を献金してきたが、教団と縁を切りたい。返金交渉は可能でしょうか」

【画像あり】「旧統一教会」関係議員101人、全リスト

 安倍晋三元首相(享年67)が凶弾に倒れて以降、霊感商法対策弁護士連絡会には、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の信者から、冒頭のような相談が次々に寄せられているという。

「事件が起きてから、以前の10倍以上に相談が増え、電話はパンク状態です。『自分も母親が信者で家庭崩壊した』『2世信者が助け合えるような集まりを作ってほしい』という相談も多く寄せられています」(同連絡会・渡辺博弁護士)

 1980年代以降、霊感商法が社会問題になった統一教会。いまだ多くの信者を抱え活動できているのは、政治家との深いつながりがあるからではないかーー。

 ジャーナリストで「やや日刊カルト新聞社」主筆の鈴木エイト氏は、「旧統一教会と関わりを持った現職国会議員」リストを作成した。名前が挙がった国会議員は、延べ101人。リストをもとに本誌が各議員に事実関係を質問し4た。浮かび上がったのは、国会議員と旧統一教会との、“密すぎる関係”だった。

「旧統一教会系新聞社発行の新聞にうっかり名前を出しただけという議員はそれほど問題視していませんが、旧統一教会の関連団体とわかって講演したり、献金を受けている議員もなかにはいます。安倍氏がトップだった清和会の議員が特に多い」(前出・鈴木氏)

 旧統一教会と関係が深くなった議員のもとには、選挙時に運動員として働く信者や、事務所スタッフや秘書になる信者も送り込まれるという。

「報酬を受け取らないし、すごく真面目に働いてくれるので議員としては助かります。同様の人材供与はほかの宗教団体でもあるようですが、旧統一教会信者がいちばん熱心に手伝うといいます」(同前)

 なかでも自民党議員とのつながりは深い。今回のリストでも、じつに9割を自民党議員の名前が占めている。カルト問題を長く取材してきたジャーナリスト・藤倉善郎氏がこの関係の深さを解説する。

「旧統一教会は、伝統的な家族関係を重視し、LGBTの権利拡大などには反対する極右思想に立っています。関連団体の『勝共連合』がその実働部隊で、もともと反共思想という点で自民党と旧統一教会は関係が深い。旧統一教会は、自民党タカ派の運動の一角を担おうとしているのです。しかし、彼らが自民党に食い込む理由は、思想が近しいというだけではありません。

 教団は信者らに、『政治家を抱き込んで弱みを握れ』と指示しています。さらに信者を国会議員にして、結果的に日本を支配しようという“野望”を、旧統一教会は抱いているというのです。忘れてはいけないのは、旧統一教会はカルト教団だということ。ほかの宗教団体とは別格なんです」

 一方、自民党議員の側にも旧統一教会と関係を持ちたい理由があるという。宗教学者の島田裕巳氏は旧統一教会に絡む利権を指摘する。

「旧統一教会は、冷戦構造が崩れた後に北朝鮮とのパイプを持っており、国会議員にとっては非常に魅力的です。さらに、日本とは日韓トンネル事業を進めようとしており、すでに超党派の議員団も作っています。まさに新たな利権が生じていて、そこに自民の議員らは絡もうとしています。そもそも信者の数がそんなに多いわけではないので、議員にとって票田としての意味はあまりないのです」

 その一方で、国会議員との関係を断とうとする宗教団体は多いという。「各団体とも高齢化が進行し信者数が激減している」と語るのは雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏。

「創価学会が支援する公明党や、幸福の科学の幸福実現党は、今回の参院選で大幅に票数を減らしました。そこに今回の安倍元首相暗殺事件です。政治にかかわるメリットはもうないのではないかと考える宗教団体が増えています。統一教会も例外ではありません。これまでは積極的に政治に関わってきましたがいまや組織的退潮も著しい」

 前出の鈴木氏は今後、“宗教団体苦難の時代”になっても「旧統一教会に関与する議員は減らないだろう」とみる。

「リストに漏れた“疑惑の議員”も含めれば、前回調査の2017年当時より、“関係議員”の数は増える一方です。議員にとっての『メリット』を考えれば、旧統一教会との関係を断つのは難しいでしょう」

 かつては霊感商法、現在は2世3世問題と、問題山積の旧統一教会。政治と宗教のいびつな関係はかくも深い。

週刊FLASH 2022年8月9日号

 

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旧統一教会と関係ある「安倍派議員35人」のリストがコレだ! 自民党内でも圧倒的な人数

2022年07月27日 09時20分48秒 | 事件・事故

7/23(土) 18:02配信 日刊ゲンダイDIGITAL

統一教会と関わりある安倍派所属議員35人

 安倍元首相銃撃事件で再燃した「政治と宗教」への関心は高まる一方だ。〈#自民党って統一教会だったんだな〉がツイッターでトレンド入り。まさにその通りで、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の政界への浸透はすさまじい。とりわけ群を抜いているのが安倍派(清和会)だ。

【写真】安倍首相が他国の国葬で“居眠り”疑惑…画像拡散で世界の笑いものに(2015年)

 日刊ゲンダイがジャーナリスト・鈴木エイト氏から入手した旧統一教会と関係のある国会議員100人超のリストを基に、安倍派所属の議員をピックアップ。その数は35人に上った。もっとも、あくまで判明分のみだ。

 党内最大派閥の安倍派は21日に総会を開催。総力支援を受けて参院選で初当選した生稲晃子議員ら新人・元職らの加入などで4人増え、21日時点の会員数を「97人」と発表した。となると、旧統一教会と関係のある議員はおよそ4割。ア然とするほかない人数だ。

 ほかにも慣例により、党や安倍派から離れている細田博之衆院議長(当選11回)も関連イベントに出席、講演を行った過去もある。安倍側近でありながら、出戻りが難航している高市早苗政調会長(当選9回)は、フロント団体「天宙平和連合」の行事に祝電を送っていた。安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送り、銃撃の要因のひとつとなったのも、この団体のイベントだった。

福田赳夫元首相も「偉大なる指導者、文鮮明」と絶賛
2021年の安倍派会合で熱心に話し込む山谷元国家公安委員長(左)/(C)日刊ゲンダイ

 なぜ、こうも問題教団と親密なのか。清和会の成り立ちもまた大きく影響している。

 安倍元首相が敬愛してやまなかった祖父の岸信介元首相は、旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の創設を支援。脱税で米国で実刑を食らっていた教祖・文鮮明の早期釈放を求め、当時のレーガン大統領に「元首相」の立場で嘆願書を送るほど入れ込んでいた。強い結び付きは娘婿の安倍晋太郎元外相にも引き継がれ、信者を議員秘書として斡旋し、議員を教団セミナーに送り込んでいたという。

 一方、清和会のもうひとつの源流である福田赳夫元首相も熱が入っていた。教団が「希望の日」と称し、1974年に帝国ホテルで大々的に開催した晩餐会には岸氏、福田氏、安倍氏(父)など40人の自民党議員が出席。蔵相だった福田氏は登壇し、「偉大なる指導者現る。その名は文鮮明」「文先生の高邁なご教示にあずかりまして、本当に今日はいい日だな、いい晩だな」などとスピーチ。会場は何かと万雷の拍手に包まれ、福田氏は文鮮明と熱い抱擁を交わしていた。

「統一教会とつながりを持つ議員は自民党の中でも清和会が圧倒的です。岸元首相以来の流れが今なお引き継がれ、安倍元首相の再登板で強まったといえます」(鈴木エイト氏)

 自民党「文教族」の中核を成してきた清和会は、「カルト族」が実態か。

 

 

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相模原 障害者施設19人殺害事件6年 「誰もが生きやすい社会に」

2022年07月27日 09時09分38秒 | 事件・事故

2022年7月26日 NHK

相模原市の知的障害者施設で19人が殺害された事件から6年となる26日、現場に再建された施設で追悼式が行われました。
事件から6年となる中、19歳で犠牲となった美帆さんの母親は、亡くなった19人のため誰もが生きやすい社会に向け少しずつ発信を始めています。

事件の経緯は

2016年7月26日相模原市にある県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が殺害された事件。

6年前の7月26日未明、入所していた人たちが次々と刃物で刺されて19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負いました。

事件の直後、施設の元職員の植松聖死刑囚(32)が近くの警察署に出頭して逮捕され、その後、起訴されました。

植松死刑囚は逮捕直後から、「障害者は不幸しか作らない」とか「意思疎通できない障害者は殺そうと思った」などと差別的な主張を繰り返しました。

2020年3月の判決で、横浜地方裁判所は、「施設での勤務経験から重度障害者は不幸であり、その家族や周囲も不幸にする不要な存在であると考えるようになった」と指摘しました。そのうえで、「19人もの命を奪った結果はほかの事例と比較できないほどはなはだしく重大だ」として死刑を言い渡しました。

弁護士が控訴しましたが本人が取り下げ、死刑が確定しましたが、ことし4月、本人が横浜地方裁判所に再審=裁判のやり直しを請求しています。

事件から6年 現場で追悼式

事件から6年となる26日、現場に再建された施設では追悼式が行われ、遺族など62人が参列しました。

神奈川県
黒岩知事

犯人が口にした「意思疎通が図れない人間は生きる意味がない」という考え方がいかに独善的で、間違ったものであるか証明するためにも、誰もがその人らしく暮らすことができる地域社会を、なんとしても実現しなくてはなりません。


「同性愛は精神障害」冊子にドン引き、人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪

2022年07月27日 09時03分05秒 | 社会・文化・政治・経済


窪田順生:ノンフィクションライター 2022.7.7 4:20

自民党の同性愛差別にドン引き

成長しない日本の象徴

自民党内で議員に向けて配布された冊子が炎上している。

「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合で配布された冊子「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT ー家族と社会に関わる諸問題ー」の中にあった記述に対して、「吐き気がする」「差別意識が強い」などと批判が寄せられているのだ。その記述とはこうだ。

「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」
「同性愛の原因について、家庭環境、特に親子関係に問題がある」
「同性愛を擁護する教育をすれば同性愛者は増える」
「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」


 同性愛者を迫害して、強制収容所送りにしたナチス・ドイツを彷彿とさせる過激な主張の数々に、さすがにドン引きしたという自民党支持者も多いだろう。しかし筆者は驚きよりも「既視感」の方が強かった。

 実は今回、自民党議員たちが学んだ「同性愛」についての認識というのは、今から100年以上前の日本人が主張していたこととほぼ同じなのだ。

 あまり知られていないが、明治から大正にかけての日本はLGBTの人々が相次いで自殺や心中をして大きな社会問題になっていた。これを受けて、「読売新聞」(1915年8月12日)にある医学博士が「病的な愛」という記事を寄稿している。その一部を抜粋しよう。

<近頃の新聞記事を見るとまたしても「男同志の情死」とか「女同志の情死」とかと、同性間の恋愛問題が伝えられます。人は誰しも愛の感情を持つていますが、それが同性間に於て行はれるは確かにその人が病的な精神状態にある事は争はれません>
 先ほどの冊子の「同性愛は精神障害」という主張と丸かぶりである。裏を返せば、この国の「保守」と呼ばれる人々のLGBTへの認識というものは100年前から1ミリも変わっていない、という厳しい現実があるということだ。

2022年の「保守」と1915年の
日本人の主張は瓜二つ
 事実、共通点は他にもある。

 自民党内で配布された冊子では、同性愛は後天的な病であって、家庭環境が原因だと主張しており、次のように具体的な「同性愛者のつくられ方」を示している。

「同性愛者の母は、子供と密接な関わりを持つ親密な母や子供に対して過度に統制的で抑圧的な母が多く、同性愛者の父は子供との距離感があったり、敵対的、或いは子供に対して否定的な父が多い」

「これはさすがに偏見では」とあきれる人も多いだろうが、実はこれも100年前の日本では「常識」として語られていた。先ほどの医学博士も、幼い時に父親を亡くした女児は、母親との結びつきが強くなって同性愛へ走る傾向があるとして、こんな解説もしている。


<異性の居ない處(ところ)に里子にやられるとか三、四歳から同性者と共に寄宿せしめるような場合に其人は同性の愛の傾向を有するに至ります。又両親が欠けるか不幸な教育を受けた人々はヒステリーや神経質に陥る事は事実で、また是等ヒステリーや神経質のものには同性の愛情を有つている者も多いのです>
 さて、そこで気になるのは、なぜ2022年の「保守」と1915年の日本人の主張がこうも瓜二つになるのかということだろう。

 今回の炎上騒動で、さまざまな専門家が指摘しているように、「同性愛は精神障害」というのは現在、科学的に否定されている。WHO(世界保健機関)や米国精神医学会、日本精神神経学会なども同性愛を「治療」の対象から除外しているのだ。

 にもかかわらず、自民党議員の中には、そんな「科学の進歩」から頑なに目を背ける人たちがいる。

 なぜ100年前の日本人が主張していた「同性愛は精神障害」という古い話を延々と引っ張り続けているのかというと、それが「保守政党」というものだからだ。

日本の「保守」とは
明治期にできた価値観・ルールを守ること
 日本人の多くは「保守」と聞くと、日本古来の伝統を守ることだと思っているが、それは大きな誤解だ。この同性愛のケースを見てもわかるように、実際は「明治期にできた価値観やルール」を引っ張り続けることだ。

 よく言われることだが、明治以前の日本は、同性愛を病気扱いなどせず、社会の中で当たり前のように存在が認められていた。例えば、江戸時代には武士の間では「衆道」という男色行為が流行していて、井原西鶴も浮世絵草紙「男色大鏡」の中で、「男色ほど美なるもてあそびはなき」と言った。

 先ほどの冊子が正しいということことになれば、江戸時代の人々は精神障害だらけで、親子関係に問題を抱えていた人ばかりということになってしまう。


 このような形で、明治以前にあった文化を「無視」していることからもわかるように、「保守」と呼ばれる人たちがよく言う「日本古来」というのは、すべて明治時代がスタートになる。

 わかりやすいのは「夫婦同姓」だ。保守の人たちは夫婦が別の姓になってしまったら、日本の伝統的な家族が崩壊するというが、一般庶民が「姓」(苗字)を名乗るようになったのは、1875年に明治政府がルールをつくったからだ。さらに、結婚した夫婦が同姓になるという制度がつくられたのはもっと遅くて1898年で、たかだが120年ぽっちの新しい習慣なのだ。

 このことからもわかるように、実は「保守」と呼ばれる人々というのは、「日本古来の伝統を守っている」わけではなく、「明治にできた価値観・ルールを守っている」というのが現実なのだ。

 という話をすると、「近代化の礎を築いた偉大な先人たちの叡智を守って何が悪い!」と不愉快になられる「保守」の方たちも多いだろう。ただ、明治時代にできた価値観・ルールに執着し続けることは日本にとってかなり良くない。控え目に言って、「最悪」である。

 今、日本で起きているパワハラ、外国人労働者への差別的な待遇、児童虐待などの人権問題にとどまらず、いつまでも経っても賃金が上がらない「安いニッポン」という経済の問題もつきつめていけば、我々が100年前の価値観・ルールに執着し続けていることが大きいからだ。

多様性を訴えておきながら偏見まみれ
「死」に追い込んできた日本社会
 そのあたりの構造でわかりやすいのが、LGBTの自殺率の高さだ。

 先ほど明治から大正にかけての日本ではLGBTの自殺や心中が続発していたことを紹介したが、なぜ当時LGBTの人々は自ら命を絶ったのかというと、肩身が狭かったからだ。

 当時、西洋医学の知識が続々と入ってきたことで「性欲」について語られることが多くなり、「変態性欲」なんて言葉も生まれていた。そこで女学生同士が心中をするというような事件が続発したことで、世の中には「変態性欲に惑わされた若者たちをしっかりと矯正しなくてはいけない」というムードが高まった。前述の医学博士の記事もその一環だ。


 社会の中で、同性愛の男性たちは「異常性欲者」と吊し上げられた。例えば、1923年には旭川第七師団の軍曹が、部下たちに「鶏姦し情欲を遂げていた」(読売新聞1923年8月16日)として軍法会議にかけられている。また、同性愛の女性たちも家族から「真人間になりなさい」と続々と矯正された。強引に縁談を決められて、男性のもとに嫁がされたのである。

 こういう時代背景を考えれば、LGBTの人々の心中や自殺が増えていたのも納得だろう。

 実際、アメリカでは宗教的な理由から、同性愛を矯正する「コンバージョン・セラピー」(転向療法)というものが存在するが、これを受けることによって、受けていない人の2倍の率でうつになり、3倍の率で自殺するという説もある。

 明治から大正にかけての日本は、社会全体で「コンバージョン・セラピー」をおこなっていたようなものだ。だから、この時代のLGBTは心中や自殺をした。ある意味、「死ぬように追い込まれた」と言えなくもない。

 そして、この傾向は今も変わっていない。「これからは多様性が大事」「ひとり1人が自分らしく生きられる社会へ」なんてきれい事を言っている政権与党が裏では「同性愛者は精神障害」なんて冊子を配っている。このことからもわかるように、日本ではいまだに口に出さずとも、心の中でLGBTを「心を病んだ人」と捉えたり、「まったく理解できない人々」と蔑んでいる人が山ほどいるのだ。LGBTの人たちは日常的にそういう悪意にさらされる。だから当然、うつ病や自殺者も多い。 

 明治時代の価値観・ルールに執着し続ける社会によって、100年前と変わることなく未だに多くのLGBTの人々が、「死ぬように追い込まれている」という厳しい現実があるのだ。

古いルールが現代日本を苦しめる
遠い日本復活
 このほかにも日本を低迷させているさまざま問題の多くはルーツをたどっていくと、明治や大正にできあがった人権意識、慣習、社会制度につきあたる。

 例えば今、日本人を悩ませている「安いニッポン」もそうだ。ご存じのように、日本人の賃金は、先進国の中でもダントツに低く、平均給与ではついにお隣の韓国にも抜かれている。

 しかし、自民党は世界では常識となっている「最低賃金の引き上げ」にも腰が引けており、今回の参議院選挙でも「公約」から外した。『「年収200万円暮らし」炎上の裏で、最低賃金1000円の公約もみ消す自民党の二枚舌』の中で解説したが、これは中小企業経営者の業界団体からの選挙支援と引き換えに引っ込めたということと、この国がいまだに明治時代の「賃金」感覚を引きずっていることだ。


 2012年12月、公益財団法人「連合総合生活開発研究所」が、「日本の賃金ー歴史と展望」という調査報告書を公表した。その中では明治期に確立された日本人の「賃金」について、こんな特徴があると指摘している。

<職種や技量を社会的に評価する基準を持たず企業内での賃金決定を行ってきた。労働者の意識も「就職」というより「就社」であった>

 <賃金と仕事の能率・仕事の強度との関係が明確でなかった。つまり労働時間に対する標準作業量を明らかにして働くこと、1日、1週、1カ月の労働時間管理が、工場労働者に対してすらきちんとは行われず、戦前から長時間労働が常態化していた。その上、労働のあり方がホワイトカラー化したことによって、労働時間と仕事との関係がますます明確でなくなったために、正社員の長時間労働や過労死すら生まれている>
 世界では「賃金」の基準は明確だ。どれだけ働いたのかという対価であり、社会の中でも最低賃金という基準が決まっている。だから、物価上昇すると、経済を循環させるために、アメリカでもEUでも東南アジアでも韓国でも、政府が最低賃金を大幅に引き上げる。「賃金を上げたら倒産が増える」なんて根拠のない話で賃上げを見送らないのだ。

 しかし、日本では明治期に「賃金というものは企業内で決める」というルールが出来上がって今もそれを引きずっている。だから、年収200万に満たないワーキングプアが社会にあふれかえって、庶民がどんどん貧しくなっても、政府は「賃金は企業におまかせ」と無視してきた。明治時代につくられた価値観・ルールが「呪い」のように、2022年の日本人を苦しめているのだ。

 7月10日の参議院選挙で、自民党は圧勝すると言われている。そうなると、「同性愛は精神障害」と主張して、同性婚を反対する神道政治連盟と、「中小企業が潰れるから賃金はなるべく低く」と働きかける日本商工会議所は「功労者」としてさらに発言権が増す。

 ということは、これからも明治の価値観・ルールは健在ということだ。「日本復活」の道筋はまだ当分見えそうもない。

(ノンフィクションライター 窪田順生)