グリーフケアの時代―「喪失の悲しみ」に寄り添う

2022年07月16日 14時28分56秒 | 社会・文化・政治・経済
 
島薗 進 (著), 鎌田 東二 (著), 佐久間 庸和  (著)
 
大切な人を失った人たちと、その悲しみを癒やしたいと願う人たちに捧げる、
鎮魂のためのテキストブック


上智大学グリーフケア研究所は、グリーフ(死別による悲嘆)を抱える方のケアについての研究と、グリーフケア、スピリチュアルケアに携わる人材の養成を目的として設立されました。「臨床傾聴士」「スピリチュアルケア師」等の資格取得のための専門課程の他、一般向けの公開講座にも力を入れています。
本書は学問としてのグリーフケアの要点をまとめた入門書として、大切な人を亡くしたご本人はもちろん、宗教家や支援職の方々にも資する内容となっています。

【目次】
第1章 日本人の死生観とグリーフケアの時代(島薗 進)
ふるさとが蘇る「?/喪の仕事」と宗教文化/ともに唱歌・童謡を歌う国民だった頃/悲嘆を分かち合うことが困難になる/寄り集い悲嘆を分かち合う/グリーフケアと日本人の死生観の更新

第2章 人は何によって生きるのか(鎌田東二)
予期せぬ痛みと「ヨブ記」の問い/心の不可思議~仏教の心観/心の清明~神道の心観/二種類の死生観~本居宣長と平田篤胤の安心論/現代人の死生観探究

第3章 グリーフケア・サポートの実践(佐久間庸和)
ケアとしての葬儀の取り組み/ケアとしての遺族会の役割/ケアとしての「笑い」/ケアとしての読書/ケアとしての映画
 

内容(「BOOK」データベースより)

大切な人を失った人たちとその悲しみを癒やしたいと願う人たちに捧げる日本で最初のグリーフケア研究所による鎮魂のためのテキストブック。

著者について

島薗 進(シマゾノ ススム)
1948年生まれ。上智大学グリーフケア研究所所長、上智大学大学院実践宗教学研究科委員長、東京大学大学院人文社会系研究科名誉教授。(2019年7月現在)

鎌田 東二(カマタ トウジ)
1951年生まれ。上智大学グリーフケア研究所特任教授、京都大学名誉教授、放送大学客員教授。(2019年7月現在)

佐久間 庸和(サクマ ツネカズ)
(ペンネーム 一条真也)1963年生まれ。上智大学グリーフケア研究所客員教授、(株)サンレー代表取締役社長。(2019年7月現在)
 
身近な人と死別して悲嘆に暮れる人を支える「グリーフケア」
「死んだ人は、残された人にとっては、ある意味ではたいへんリアルに存在している」
 
死と生は断絶したものではなく、永遠に生と死をくりかえしていいく―と仏法では解いている。
 
 
 
家族や近しい人が亡くなった苦しみ、悲しみはグリーフと呼ばれ
現代社会でも特に関心が集められています。
そういった人々の心を癒すのがグリーフケアです。
本書ではその道に精通している3人の先生が各々の視点から
グリーフケアを語っています。

人の心とは様々なものでグリーフケアに正解があるとは思えません。
しかし、本書では伝統的な日本文化、宗教、歴史的人物の思考、
葬儀などの儀式でグリーフとの付き合い方を示し、
さらにはそのケアとして悲しみを癒すために笑いや読書、
映画までもが有効であると言及しているのがおもしろいと思います。

最近では芸人のロンドンブーツがitakotoというサービスで
死生観を語ったりするなど様々な人が死を意識するのを見るような気がします。
人間、避けては通れない大切な人との別れに際し
本書は心の在り方のヒントを見出せるのではないでしょうか。
 
 
 

著者は日本のグリーフケアを考える上でその中心地とも言える上智大学グリーフケア研究所に関わる島薗進氏(同研究所所長)、鎌田東二氏(同研究所特任教授)、佐久間庸和氏(同研究所客員教授)となります。
本書では現代においてのグリーフケアの形を3人の著者がそれぞれの立場から解説しており、島薗氏は分かち合う文化をなくしていった現代への過程、つまりグリーフケアが必要性を増してくる現代への過程をさまざまなモチーフを用いてわかりやすく説明し、鎌田氏は宗教という側面から人の心の不安定さをみつめ、佐久間氏は悲嘆にくれる心を安定させるための実践を葬儀という儀礼を通して解説しています。
現代まで人は心の不安定さをさまざまな方法でどの様にかして安定させていきたいという切実な活動をおこなってきました。
不安定さの最たるものである親しいものを亡くすという喪失感や不安・恐怖に対処するために儀式や儀礼などのかたちを生み出し、それは必要不可欠なものとして連綿と継続されてきたのではないかと思います。
儀式や儀礼の重要性は本書のそれぞれに共通して感じたことでもありますが、現代ではそれらへの関わりが薄れてきたとも感じています。
人の心を安定させる方法としてグリーフケアという言葉を目にする事が増えてきてまた重要度も増していきましたが、そのグリーフケアにおいても受け継がれてきた儀式や儀礼という心を安定させる方法が大切であるということに関して興味深く感じました。
グリーフケアという大きなタイトルに難しさを感じていましたが、思った以上に本書は読みやすくいろいろな発見があったと感じています。
 
 
 

上智大学グリーフケア研究所は、日本のグリーフケア研究の中心の一つである。
 本書は、その中でも特に精力的な活動を展開する三人の研究者による、「グリーフケア」の理論と実践についての基本文献である。

 内容は非常に高度であるがとても平易に書かれており、グリーフケアの専門家や職業従事者はもちろん、広く一般読者に推奨できる。
 特に、今正に悲嘆(グリーフ)の渦中にありそれを乗り越えたいと思っている人や、その人を支えたいと願っている周囲の人達にぜひ一読をお勧めしたい。

 筆者なりに本書の要点をまとめるならば、グリーフケアの根本問題は、個人の心の問題である悲嘆を個人自身がいかに受容し昇華できるかであり、さらにそうした悲嘆の受容と昇華を個人の集まりである集団が相互にいかに助け合えるかである。
 この問題について、まず島薗進氏は、この分野の心理学における最も重要なフロイトの「(愛着)対象喪失」と「喪の仕事」の理論などを中心にして、グリーフケアには個人の課題とそれを支える集団の課題があることを歴史的・社会的・文化的に広く分析している。

 それを受けて、鎌田東二氏は、主に個人の課題において不可欠に関わる「宗教」の問題を集中的に取り上げ、ユダヤ=キリスト教・仏教・神道などの様々な宗教がどのように個人の心にグリーフケアを提供しているかを詳細に説明している。
 そして、佐久間庸和氏は、特に集団の課題として「葬儀」の問題を取り上げ、それが個人の課題としての心の問題とどのように関わるのか、また人々の悲嘆を癒す心のこもった葬儀とはどのようなものかを多角的に解説している。

 表題の「グリーフケアの時代」とは、世俗化が進み、個人の信仰心や地域共同体の絆が弱まった現代社会では、各自が改めて意識的に「グリーフケア」の個人的課題や集団的課題に向き合わなければならない現状を指している。
 こうした状況下では、グリーフケアは、彼岸的な宗教的手法のみならず、此岸的な芸術的手法(音楽・文学・映画など)も含めて、あらゆる智慧や技能をフル動員して取り組まれるべき問題であることを主張している点も本書の特色の一つとして挙げられる。
 
 

現代社会では、身近な人や大切な人を亡くしたときに生じる悲嘆=グリーフと、それがもたらす心身への影響にどう対処していくかが、現代社会にとって重要な課題になっている。

 本書に寄稿した3名はいずれも上智大学グリーフケア研究所の教授であり、日本においてグリーフケアの論理を検討する最前線に立つ人物たちであるといえるだろう。
この書籍は彼らが学問としてのグリーフケアの要点と実践例をまとめた概説書であり入門書である。

 大切な方を亡くしたご本人はもちろん、宗教家や支援職にも資する内容を目指して制作したものと言われるだけあり、私が見た限りでは、これまでの研究成果と実践事例を総括したものとして、何らかのかたちで葬儀に携わる人間にとってはもちろん、いつかはグリーフの当事者となることを考えると見逃せない内容となっている。

 人間が避けては通れないグリーフの位置付けを知り、それをどのように癒していくのか。その最前線に立たれる方はもちろん、そうでない方にとってもグリーフの正体を知るために有用な一冊となっている。

 

 
 
 
 

 

 


仏教学者 中村元 求道のことばと思想

2022年07月16日 14時28分56秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 植木 雅俊  (著)
 
〈目次〉
はじめに
第一章 生い立ちと学問への目覚め
第二章 東京帝大入学から博士論文の完成まで
第三章 『東洋字の思惟方法』で世界へ
第四章 念願のインドの大地へ
第五章 原始仏教の研究に見る中村の独創性
第六章 『佛教語大辞典』と「中村元選集」の刊行
第七章 「比較思想」の提唱
第八章 東方研究会・東方学院にかける理想
第九章 中村元と足利学校
第十章 研究の集大成
第十一章 中村元の遺志の継承
第十二章 この夫人ありて、中村元あり
あとがき
読書案内──中村元の主な著訳書
参考文献
中村元 略年譜
 

内容(「BOOK」データベースより)

洋の東西を超える人類共通の智慧を求めた仏教学者、中村元。
碩学がたどりついた仏教の核心とは?ヴェーダーンタ哲学の歴史を解明する6000枚の博士論文。
『東洋人の思惟方法』の刊行と毀誉褒貶の嵐。念願の地・インドへの旅と原始仏教の独創的研究―。
アカデミズムを超えて「人間ブッダ」の魅力を説き、多くの人に慕われた人柄と円熟期の思想、そして弛まざる学究の生涯をつらぬく“普遍思想史への夢”を鮮やかに描く。

著者について

1951年生まれ。仏教研究家。NHK文化センター講師。九州大学大学院理学研究科修士課程修了。
東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。1991年から中村元氏のもとでインド思想・仏教思想、サンスクリット語を学ぶ。2002年、お茶の水女子大学で人文科学博士号取得。『梵漢和対照・現代語訳 法華経』(岩波書店。毎日出版文化賞)、『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(同。パピルス賞)、『仏教、本当の教え』(中公新書)など著書多数。
 
 
「法華経」が特殊の哲学を述べていない点に、かえってこの経典の重要な哲学的立場を読み取ることができる。
 
法華経(仏法)は、人間を離れ、実生活を離れた理論ではない。
現実に生きる「一人」に寄り添い、「一人」の幸福への道程を解いている。
 
 
 
東方学院で中村元の薫陶を受けた生徒たちを代表して、植木雅俊が思い出話を織り交ぜながら中村のひととなりや仕事を語る。中村の偉大な業績だけでなく、その謙虚で誠実な人格までありありと浮かび上がらせている。

植木は元々物理学を専攻していたが、不惑を迎えて、東方学院で中村の講義を受けサンスクリット語を学ぶに至った。
その後、「正統な」アカデミズムから外れた場で、在野の研究家として数々の偉大な業績を残し続けている。
東方学院とは偏狭なアカデミズムを嫌った中村が「現代の寺小屋」として作り上げた場であり、彼が東方学院に寄せた思いを考えるならば、(本書中では否定しているが)植木のような者こそが中村の真の弟子だと言うべきであろう。
例えるなら、釈迦にとってのアーナンダのような存在である。
師匠を慕い尊敬する弟子の熱い想いは本書の隅々にまで満ち溢れていて、読んでいて大変心が温まる。

中村元はまさに「知の巨人」そのものであって、その天才性は圧巻である。その数々の業績の片鱗にでも触れたいと望む者にとって、本書は良い手引きとなってくれる。巻末の「読書案内」も親切かつコンパクトにまとめられており、とても便利である。

ひとつ惜しいのは、Kindle版だと本来の書籍版の表紙を飾っていた「初転法輪坐像」の写真がない事だ。本書を読めばわかるが、この写真にはちゃんと意味がある。せめて割愛せずにそのまま載せて欲しかったなぁ。
 
 
 
植木先生のことは100de名著、法華経で知った。
常不軽菩薩は宮沢賢治である。とても感動した。
また、直木賞受賞の「等伯」の作者、安部龍太郎先生の回もよかった。
「等覚一転名字妙覚」なくして松林図屏風は完成しなかったのかもしれない(「東博」で購入した2枚組絵葉書は今も手元にある)。
さて、その植木先生が大尊敬する中村元先生である。次の3つのお話が心に残った。
①無我ではなく非我である。自分でないものを自分と思い、自分に属しないものを自分に属すると勘違いする。これこそが煩悩の原点ではないだろうか。
②逆縁は順縁となり、順縁も逆縁となる。だから悲嘆してはいけない、そして増長もしてはいけない。
③西洋の自由は闘争から得たものであり、東洋の自由とは初めから自分のなかにあるもので、智慧と人格の完成により目覚めるものである。
良書から良書へのつながりがとてもありがたかった。もちろん、等伯も面白かったです。
 
 
 
 中村元氏の本を2~3冊読んだことが有り、インド哲学者・仏教学者として、その名を知っていましたが、今回植木雅俊著『仏教学者 中村元』を読んで、これほどの人だったのかと吃驚しました。
洋の東西、古今の歴史に通じていて、膨大な研究成果を上げられていました。
 中村元氏に関して多くのエピソードが紹介されていて、大学者の考えや熱意に感動しました。その中で特に私の心を打った考えを以下に記します。
①「人類一般の平和と幸福という目的を達成するためには、世界諸民族の間の相互の理解を促進しなければならぬ」として、東西の思想の比較研究をされたことです。平和と幸福のために学問が役立つことをガツンと教えてくれました。
②シュバイツァーやモンテスキューに見られる黒人等への差別意識の提示があり、西洋の「権利の平等」「利己主義にもとづく平等」と、仏教の「精神的・宗教的な意味での平等」の違いについて述べられているのには、考えさせられました。
③中村元氏の著書『慈悲』で紹介されているビルマのティッティラ教授の言葉、「重要なことは、宗教における単なる信仰・儀礼・儀式ではなくて、宗教の道徳的・精神的諸原理にもとづく同情と愛情と理性と正義の生活である」
④「本の形にしておけば、さらにそれを踏まえて発展させることができます」
 また、執筆者の植木雅俊氏が中村元氏を慕い尊敬していることが、本のどのページからも伝わってきて、とても素晴らしい師弟関係だなと思いました。おそらく中村元氏は、植木雅俊氏だけでなく東方学院のすべての受講者に対して、思いやりのある人だったのでしょう。
 
 
 
 
中村元の著作を読み進めていく中で、一度立ち止まって、この本を読んだらいい。
氏にとっての学問とは、学問のための学問ではなく、「人間」として生きること、そして、「世界平和を実現する手がかりを提供すること」だったのだろう。
氏は、「知の巨人」と称されることがよくあるが、むしろ副題のごとく「弛まざる求道者」と称したほうがいいのではないか。
そのことは、亡くなる前のエピソードにもうかがえる。昏睡状態の中でも、淡々とした口調で45分の授業をし、「時間がまいりましたので、これで終わります。
具合が悪いのでこのままで失礼しますが、何か質問はございますか」と締めくくられた。
その“最終講義”の席にいたのは訪問看護の看護師一人だった、と。
本書から、中村元はもちろん、同氏を師と仰ぐ、著者のあたたかさが伝わってくる。
 
 
 

心理学徒でありながら中村元博士に私淑しております。
「学問の開拓」と並び、本書は貴重な1冊です。
世界的学者、優れた人間としての中村元博士に書籍を通じて出会えたことには感謝しつくせません
著者の植木雅俊先生に深謝いたします。
 
 
 
 
原始仏教や東洋思想の解明を中心に前人未到の超膨大な研究業績を遺した仏教学者、中村元。
その特に晩年に師事した著者が、師の生涯と思想について心をこめて論述した本である。
40歳になってから難解なサンスクリット語の学習を始めた著者に対して、「人生において遅いとか早いとかいうことはございません。思いついた時、気がついた時、その時が常にスタートですよ」と語った中村。
そうした師の言葉を励みとしながら、やがて現代を代表する仏教研究者のひとりとなった著者が、中村の言動を丁寧に記述しながら、師の描いた「普遍思想史」の概要を提示する。
「思想や古典の内容を紹介することは、紹介する人自身の苦悩や、葛藤を経て理解されたものでなければ、その息吹も血の温もりも伝わってきません」
中村の研究業績は、確固とした専門性をもちながら、しかし一般の人にも非常によくわかりやすい内容のものが多い。
それは、彼が等身大の自己として研究対象に向き合い、自分にとってちゃんと身に染みるレベルの理解にまで到達した上でなければ、それについて書くことがなかったからだろう。
そしてその研究対象の中心には、「覚り」という、人類にとって普遍的でありかつそれぞれの自分にとって固有のものがあった。
「覚りは、苦行をやって得るような特別なことではございません。それぞれが納得いくこと、それが覚りなんです。それぞれの在り方があっていいのです」
中村元という稀代の仏教学者・思想家については、今後も少なからぬ評論や研究が行われることだろう。
だが彼の人間性に多大な共感と敬意を抱きながら、その生涯と思想を明らかにした著作として、本書を上回る魅力をもった作品はなかなか出てこないだろうと思われる。
 
 
 
中村さんが、いなくても、私は「岩波文庫のスッタニパータやダンマパダを読むことができたのか」
度が過ぎた「勉強が好き」だった中村さん、20世紀の天才のベスト5に入れたい人物ですね。

ドイツに原爆が落ちずに、広島に落ちた理由。ちょっとショックです。
だれしも、平和を望まない人はいないでしょう、しかし、理想論だけで良いのか?というのもある。
爆弾を落とした国も平和を求めて落としたんでしょうから。
養老孟司さんと中村元さんの対談は成立しないのではないか?二人の壁は誰が取り払ってくれるのか?
など、いろいろ、私の中でのモヤモヤはあります。
まだまだ、私の求道の道は続きそうです。

 

 
 
 

失敗することは、素晴らしいことだ

2022年07月16日 13時53分33秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽一切の挑戦を成長の糧として、人生を開く鍵とする。
最後まで信念を貫くことだ。

▽失敗することは、挑戦の証であり、素晴らしいことだ。

▽諦めずに行動していけば、<点と点が線でつながっていく>ように、これまでの努力が全て生かされいくものだ。

▽自らも苦しみながら、悩みを抱えている人たちを励まさし、希望を送る生き方を貫く。

▽今がどんなに大変でも、また、これからいかなる試練があろうとも、「負けじ魂」で朗らかに進むことだ。

▽「新しい挑戦」を起こせば、「新しい可能性」が広がるだろう。


「心」さえ負けなければ、困難を克服する道がある。

2022年07月16日 13時31分11秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽<よし、負けないぞ!必ず勝利して見せる>との強い心で、希望に燃えて前進している人にとって、苦難もまた歓喜となる。
そのような強い心を培い、挑戦と歓喜の生命を湧現させていくことだ。

▽混迷が深まる危機の時代にあって、「負けない心」を磨き、地域や社会で希望の存在として輝く。

▽現実逃避や諦め―人間を不幸に陥れる弱さの根源が、あやまった思想・理念である。
恐れや諦めに抗する―どんな環境であろうと「心」さえ負けなければ、困難を克服する道がある。

▽感染症、戦禍など、今、人類は大きな危機に直面し、不安な暗雲に覆われている。
それゆえに、人間の根源的な強い生命力が問われている。


鶴岡 一人 元プロ野球選手(内野手)・監督、野球解説者

2022年07月16日 12時56分08秒 | 野球

鶴岡 一人(つるおか かずと(かずんど)、1916年7月27日 - 2000年3月7日)は、広島県呉市東二河通(現:西中央)出身 の元プロ野球選手(内野手)・監督、野球解説者。位階は従五位。1946年から1958年までは「山本 一人(やまもと かずと)」。

愛称は鶴岡親分・ツルさん。初代「ミスターホークス」「ドン鶴岡」とも呼ばれた。南海ホークスの黄金時代を築いた名監督で、日本プロ野球史を代表する指導者の一人。

一軍監督として通算1773勝を挙げた実績から、プロ野球史上最多勝監督[4]としても知られる。

また、勝率.609は通算500勝以上を挙げている歴代監督の中でも唯一の6割超えである。


野村解任をめぐる騒動

1977年9月28日、南海の選手兼任監督に就任していた野村克也が不倫相手である伊東沙知代の現場介入(公私混同)を理由として、2試合を残してシーズン途中に解任された。

沙知代は采配にまで直接介入し選手を罵倒するなどの振舞いを繰り返していたため、球団内ではかねてよりその存在が問題になっており、これより以前の1975年オフにも、西岡三四郎、江本孟紀、藤原満の3選手がチームを代表して大阪市内のホテルで野村に「公私混同を止めて下さい」と直訴する事件が発生し、球団も野村のトレードで読売ジャイアンツのフロントと合意に達し、新山滋球団社長がOBの大沢啓二へ非公式に後継監督への就任を打診していたが、最終的に野村のトレードが流れたため川勝傳オーナーは野村を続投させ、逆に反沙知代派の西岡・江本が粛清されトレードで放出されるという事態が起こっていた。

10月5日に記者会見を開いた野村は、その場で「鶴岡元老にぶっ飛ばされた。野球の世界に政治があるとは知らなかった」と発言し、自分が解任されたのは鶴岡の陰謀であると主張した。

この野村発言は、会見場で取材にあたっていたNHKの毛利泰子から呉に帰省していた鶴岡に伝えられた。退団後は「新しいカラーを打ち出そうとしている球団の邪魔をしてはいけない」という思いで南海にだけは関与を意図的に避けていた鶴岡にとっては全く寝耳に水の話であり、翌日の新聞を読んで唖然とし、毛利への折り返し電話でも「ばかたれ。おれがそんなことをするわけはないやろ」と言い、「NHKに迷惑が掛かるから解説者を辞めさせてもらう」とまで言い出したという。

そこで毛利は鶴岡を慰留するとともに「(親会社の)電鉄に打ち消してもらったらどうですか」と提案して鶴岡をNHK大阪放送局に招き、南海電鉄本社に抗議に赴く鶴岡にNHK幹部が同行した。

鶴岡の抗議をうけて、川勝オーナーが鶴岡に謝罪し、森本昌孝球団代表が野村の解任に鶴岡は全く無関係であると声明した。

また川勝から謝罪を促された野村も発言に行き過ぎがあったと釈明し、鶴岡も「だれかに入れ知恵されたのだろう」とそれ以上は追及せず、事態は沈静化するかに見えた。

ところが野村は、10月13日付の『週刊文春』に「独占手記」と題する文章を発表し、その中で自分が解任に追い込まれた原因は、球団改革によって権勢を殺がれることを嫌った鶴岡が自分に忠実な広瀬叔功を監督にする為に企てた陰謀によるものであると改めて主張し、沙知代が現場介入をしたなどという話は全くの事実無根であり、鶴岡が自分と沙知代を陥れるために流させたデマであると主張した。

さらに1965年11月に監督就任直後に急死した一件も、鶴岡が自らの権勢を維持する為に手下に命じて蔭山に圧力をかけ、自殺に追い込んだものであったと主張した。

また蔭山の急死後に野村が杉山光平と共に鶴岡邸に監督復帰を要請しに行った際に、鶴岡から「三冠王?……ちゃんちゃらおかしいよ」「ホームラン王?……ちゃんちゃらおかしいよ」「ほんとに南海に貢献したのは杉浦だけじゃ」と言われたとも主張するなど、鶴岡と広瀬叔功夫妻、杉浦忠、小池兼司や本妻を激しく批判した[64]。この「独占手記」の発表によって鶴岡らと野村の対立は取り返しのつかないものとなり、関係修復は絶望的になった。

その後、野村派の江夏豊と柏原純一が球団に抗議して移籍を要求し、江夏は広島、柏原は日本ハムへとトレードで移籍した。

野村の解任にともない、四番捕手、抑えの切り札、若手成長株の三人を満足な代替選手を得られぬまま同時に失った南海ホークスは急速に弱体化し、以後の親会社の消極的な球団運営も祟って翌1978年から20年連続Bクラス(ダイエー時代まで連続)と深刻な低迷を続け、川勝が死去した1988年のオフに球団はダイエーへと売却された。

晩年

1991年にはプロ野球選手初の叙勲(勲四等旭日小綬章)を授与された(野球殿堂には監督在任中の1965年に入っている)。従五位に叙された。

1999年のダイエーホークスの日本一を見届けた翌2000年3月7日、動脈血栓症による心不全のため死去。3月8・9日、大阪の本願寺津村別院(北御堂)で行われた鶴岡の通夜・告別式には各界から3000人以上が参列した[67]。9日の告別式では大勢の南海電気鉄道社員が御堂筋の南海本社から大阪スタヂアム跡にずらりと整列し、鶴岡の棺を乗せた車を黙礼で送った。告別式の弔辞では、杉浦忠が「親分、ここから御堂筋が見えますか」と、鶴岡への追悼の言葉を述べた。

鶴岡の出身地に近い呉市スポーツ会館(呉市二河野球場に隣接)には「鶴岡一人記念展示室」が設けられており、ゆかりの品が納められている。
さらに、2019年5月からは生前社外取締役を務めた大之木建設が呉市二河野球場の命名権を取得し、「鶴岡一人記念球場」の名称がつけられた。

 


多様な人との関係性が人生を強く豊かにする

2022年07月16日 12時19分05秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽他者の幸福に尽くした分、自身の境涯も広がっていく。

▽大きな夢を描き、努力を重ね、人生の価値を高める。

▽多様な人との関係性が人生を強く豊かにする。

▽豊かな人間関係を築く。
自分とは縁遠い人であればあるほど、斬新なアイデアが得られたり、想定外の支援がえられなかったりする。

▽「弱い紐帯」
紐帯:血縁・地縁・利害関係など、社会を形づくる結びつき
「柔らかなつながり」を、あまり重くない、気軽なかたちで、普段から保ち続けていくことが大切だ。

▽人にはそれぞれ、谷間もあれば晴れの日もある。
そういう変動を織り込んで暮らしていく。

▽他者の必要性やリスクを敏感に察知する生き方。

▽多様な人間関係の中で、リスクすら負いながら、他者の存在に身を委ねてみる。
おおらかで、大胆な生き方に、豊かさや楽しみもある。

 


田崎史郎氏「危ない集団とは理解できた。ただ…」 旧統一教会と安倍氏の接点「安易に結びつけない方が」

2022年07月16日 12時15分50秒 | 事件・事故

7/12(火) 19:20配信 スポニチアネックス

政治ジャーナリストの田崎史郎氏が12日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8・00)に出演。安倍晋三元首相が選挙活動中に銃撃されて死去した事件を受け、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が11日に行った記者会見についてコメントした。

 捜査関係者によると、事件で逮捕された山上徹也容疑者は、母親が教団に多額の寄付をしたことから破産したことで「安倍氏が教団とつながりがあり、国内で広めたと思い込んで恨んでいた」という趣旨の供述をしている。世界平和統一家庭連合の田中富広会長は会見で、安倍元首相の政治活動への協力は「なかった」とし、「安倍氏が教団の会員として登録されたことも、顧問になったこともない」と強調。安倍元首相が2021年に教団の友好団体「UPF」(天宙平和連合)のイベントにビデオメッセージを寄せたことについては「平和運動に賛意を表明してくださっていた」と説明した。

 番組には、全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属する弁護士の紀藤正樹氏が出演。田中会長の会見について「一言で言うと誠実さを欠く」とし、「大事なことについてきちんと説明しない。大事なことについて主観でものを話す。客観的な調査や具体的な事実に基づいて話をしていない」と批判。また、「UPF」について「我々から見たら、統一教会とUPFは一体の組織。法人格が違うだけであって実態は一緒」と述べた。

 紀藤弁護士による教団の問題点についての解説を受けて、MCの羽鳥慎一が「そこからなぜ安倍元総理の襲撃につながったのかということを解明していかないと」と話すと、「今までの話で統一教会の問題点はよく分かって、危ない集団だっていうのは理解できたんです」と田崎氏。そのうえで、「ただ、それと安倍さんとどうして結びつくんだと。山上容疑者はそれを結びつけてしまって、あの犯罪に及んだわけですよね。だから安易に結びつけないほうがいいんだと思いますよ。関係が今のところないわけだから、それを安易に結びつけると山上容疑者と同じ発想になるんです」と話した。

 紀藤弁護士は「一般論でいうと、統一教会の中ではシンパとしてくる政治家や芸能人は“隠れ信者”という言い方するんです。“あの人は本当は信者なんだけど理由があって隠している”と。山上容疑者の頭の中ではシンパ=信者って思わされていた、あるいはそういう説明を受けていた可能性は否定できない」と推測。そのうえで「今回の事件は重大かつ深刻な事件なので、捜査はあいまいにせずきっちりやってもらいたいし、統一教会側にも第三者委員会を入れてもいいぐらいの事件なわけですから、そこまできっちり調べてもう一度会見してほしい」と要望した。


旧統一教会にとって政治家や芸能人は“広告塔”…「隠れ信者」という言い方で会員扱いに

2022年07月16日 12時12分38秒 | 事件・事故

7/16(土) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL

握手を交わす岸信介元首相(右)と文鮮明・旧統一教会創立者(「統一教会四十年史」より複写)

【安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態】#3

「動画を見て安倍元首相と団体(旧統一教会)につながりがあると思い、絶対に殺さなければいけないと確信した」

【写真】安倍新内閣はまるで“カルト内閣”…統一教会がらみ12人、日本会議系も12人(2019年)

 安倍晋三元首相を銃撃し、逮捕された山上徹也容疑者(41)は、インターネットに投稿された動画を見て犯行を決断した。昨年9月、安倍氏が統一教会の創始者・文鮮明と妻の韓鶴子現総裁が設立した団体「天宙平和連合」(UPF)のオンライン集会に寄せたビデオメッセージだった。安倍氏は「総裁はじめ、皆さまに敬意を表します」と持ち上げ、このオンライン集会には米国のトランプ前大統領もメッセージを送っていた。

「全国霊感商法対策弁護士連絡会」代表の山口広弁護士は、12日の記者会見で「統一教会の社会悪を考えれば、反社会的団体にエールを送るような行為をやめていただきたいと、安倍元首相や他の政治家に何回もお願いした。どんなに被害者が苦しむのか、絶望するのか、それによって新たな被害者が生まれかねない」と訴えた。

 旧統一教会にとって、著名人は信者勧誘のための重要な役割を担っていた。旧統一教会の集会や式典に政治家が出席したり、祝電を打ってくれれば、「問題のない団体」とお墨付きをもらえることになる。安倍氏は内閣官房長官だった2006年にも、UPFの行事に祝電を打っている。

 同日の記者会見では40代の元女性信者が自らの経験談をこう話した。

「組織を守るために政治家を利用しているところはあると思います。私の場合、ゴルバチョフ(元ソ連書記長)、金日成(元北朝鮮国家主席)、岸信介(元首相)らと文鮮明が一緒に写った写真を見せられました。大物政治家と通じているんだ。この人(文鮮明)はすごいんだ。メジャーなんだという一つの動機付けになります。やっぱりメシア(救い主)なんだという思いにさせられてしまいます」

■理由があって名前を出せない「隠れ信者」の存在

 政治家や芸能人を「広告塔」として利用するため、実際は会員ではないのに、教会内で「会員扱い」されているケースもあるという。

 紀藤正樹弁護士がこう指摘する。

「統一教会のシンパとして来る政治家や芸能人は、『隠れ信者』という言い方をするんです。『本当は信者なんだけど、理由があって名前を出せないんだよ』ということが多い。山上容疑者もシンパ、イコール信者と思わされていたか、そう説明されていた可能性もあります」

 山上容疑者が、安倍氏と旧統一教会の間に強いつながりがあると思い込んでもおかしくない。


旧統一教会の“分岐点”に…霊感商法初の犯罪認定「新生」事件とは? 渡辺博弁護士が振り返る

2022年07月16日 12時07分44秒 | 事件・事故

7/16(土) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL


【2009年 霊感商法初の犯罪認定「新世」事件】渡辺博弁護士

全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士(C)日刊ゲンダイ

 安倍晋三元首相の殺害事件で、にわかにクローズアップされているのが旧統一教会(世界平和統一家庭連合)だ。教会側は11日の会見で、「2009年以降はコンプライアンスを徹底している」「トラブルはない」と強調。そのきっかけとなったのが、同年に霊感商法初の犯罪認定された「新世」事件だった。

山谷えり子国家公安委員長 今度は「統一教会」との親密関係が問題視(2014年)

  ◇  ◇  ◇

 安倍元首相殺害容疑で逮捕された山上徹也容疑者(41)の母親は旧統一教会の熱心な信者だった。1998年に入信し、2002年に自己破産したことで一家は離散。山上容疑者は「多額の寄付で家庭がめちゃくちゃになった」などと供述しているという。

 教会側は11日の記者会見で、「献金は本人の信条に基づく」とし、「(山上容疑者の母親の)破綻の原因は把握していない」と答えた。だが長年、旧統一教会と対峙してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士は、「神様にすべて捧げなさいという教え。財産がなくなった後は借金をさせる」と指摘する。

 そんな教会が摘発されたのは2009年2月10日。霊感商法の会社「新世」(東京・渋谷区)の事務所や同社代表取締役の男の自宅などに強制捜査が入った。さらに6月2日には旧統一教会渋谷教会など、同11日には豪徳寺教会などに強制捜査が入り、「新世」の社長や営業部長のほか、実行犯の5人が逮捕されている。実行犯5人は各100万円の罰金刑だったが、社長と営業部長の両名と法人としての「新世」は正式に起訴された。起訴内容は、「ことさら不安をあおって印鑑などを売りつけた特定商取引法違反」である。

 判決公判は同年11月10日、東京地裁で行われた。「新世」には罰金800万円、同社社長には懲役2年(執行猶予4年)で罰金300万円、営業部長には懲役1年6月(執行猶予4年)で罰金200万円が下された。判決では、被告らの物品販売と旧統一協会の関係を認定。霊感商法で懲役刑を受けた初めての事件として注目された。

「旧統一教会の責任者は、違法行為について反省していない」
山上容疑者(C)日刊ゲンダイ

「『新世』事件の有罪判決は旧統一教会にとっても、分岐点となるものでした。事件前の08年に警察関係者が『治安フォーラム』(立花書房)で、旧統一教会について『反社会的活動を続ける統一教会の実像』と題する連載をしていましたから、取り締まり強化していたとみられます。ただし、旧統一教会の責任者は、違法行為について反省していません。彼らの機関誌の中でも、『政治家とのつながりが弱かったから警察の摘発を受けた』という趣旨の“反省”を述べていました」

 この判決がきっかけになったのか、12年の第2次安倍政権以降、若手の国会議員は、旧統一教会のさまざまなイベントに公然と参加するようになった。

■現在は1人120万円を集めるために奔走

 そして霊感商法による被害は、2017年から21年の5年間で約55億円に上るという。渡辺弁護士によると、世界の旧統一教会の信者からの献金のほとんどが日本人によるものだそうだ。

「今は23年5月に韓国で完成予定の『天苑宮』の建築資金として、1人あたり120万円の献金を集めるため、大勢の信者が奔走しています。現在も私たちが国会議員に対して、『旧統一教会にエールを送らないように』と呼び掛けている理由はそこにあります。政治家が関係を断ち切れなければ警察は動かないですから……」

 政治家にとって、宗教団体のカネとマンパワーは魅力的に映るだろう。選挙の際は票を積み上げられるし、ボランティアとして働いてもくれる。だが、両者が密接な関係を築くことの代償は小さくない。

 山上容疑者の蛮行は許されるものではないが、宗教と政治のあり方を見直す時期にきている。

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他の騒動力士より休場期間が倍…キャバ通い朝乃山「重罰の理由」

2022年07月16日 11時30分47秒 | 社会・文化・政治・経済

7/16(土) 11:00配信 FRIDAY

昨年6月、新型コロナ対策でワクチンを接種した朝乃山(画像:共同通信社)

相手に何もさせない完勝だった。

7月12日、元大関で西三段目22枚目の朝乃山(28)は、錦国を右よつで一気に土俵際まで追い込むと上手出し投げ。1年2ヵ月ぶりとなった本場所を、連勝でスタートさせた。

【画像】キャバ通い朝乃山 トランプ大統領との2ショット&418日ぶり「復帰」写真

「400日以上のブランクがあったとはいえ、元大関ですからね。幕下以下の力士では、太刀打ちできませんよ。ケガさえなければ、十両まで一気にかけ上がると思います」(相撲協会関係者)

朝乃山が出場停止処分を受けるスキャンダルが発覚したのは、21年5月だ。『週刊文春』が連日のキャバクラ通いを報道。新型コロナウイルスが感染拡大し、相撲協会が外食を禁じていた中でのコンプライアンス違反だった。

「相撲協会が下した処分は、6場所の出場停止と6ヵ月の報酬減額50%です。朝乃山は治療など特別な場合を除き、外出を禁じられ謹慎生活を強いられます。番付は三段目まで落ち、大関時代は月に250万円あった給与はゼロに。

扱いは関取でなく、力士養成員です。当然、付け人はつかず身の回りのことは1人でしなければなりません。若手に交じり稽古場をほうきで掃除し、トイレや風呂場を洗浄。食事の際は配膳もするそうです」(同前)

◆他の力士は3場所休場なのに……

大関にまで昇進した身としては、プライドをキズつけられるツラい日々だろう。最近トラブルを起こした力士と比べても、重い罰が下されたといえる。

「20年7月、朝乃山と同じくコロナ感染拡大中に複数回のキャバクラ通いが発覚した阿炎(現・西小結)は、3場所出場停止処分で幕下に降格。21年5月に『週刊新潮』が不倫相手の妊娠トラブルを報じた竜電(現・東十両筆頭)も、3場所停止で幕下に落ちています。

一方の朝乃山は、2人より倍も多い6場所の出場停止。幕下よりさらに下の、三段目まで降格したんです。かなり厳しい処分と言えるでしょう」(スポーツ紙担当記者)

なぜ朝乃山は、他の問題力士より重い罰を受けたのだろうか。

「協会に対する朝乃山の反応です。相撲協会は、キャバクラ通いを報じた『週刊文春』の発売前に朝乃山を事情聴取したそうです。芝田山・広報部長や尾車・コンプライアンス部長らが、『こういう記事が出るけど大丈夫か?』と問いただしたんです。朝乃山は『事実無根です』と頑なに否定。親方衆が『後で事実だとわかったら大変なことになるぞ』と言っても、態度は変わりませんでした。相撲協会の幹部たちは朝乃山の言葉を信じ、『週刊文春』と争う姿勢に傾きかけたとか。

しかし朝乃山の話に辻褄が合わない部分が多かったため、顧問弁護士が同席し再度聴取。弁護士は『そこまで否定するならスマートフォンを見せて』と催促したそうです。スマホを調べると、端末に位置情報が残っていて『週刊文春』が指摘した日にキャバクラにいたことが判明します。『どういうこと?』と問い詰められた朝乃山は、ようやく『すいません』と事実を認めました」(同前)

偽りの言葉で幹部の親心を裏切り、重い処分を下された朝乃山。418日ぶりの土俵となった7月11日の取組後には、神妙な表情で報道陣にこう話している。

「一番ツラかったのは、不祥事を起こした時に相撲協会にウソをついたことです。もう相撲協会、部屋の仲間、ファンの皆さんに応援してもらえないと思っていた。まだ許されたわけではないですが、土俵の上で戦う姿を見てもらい信頼を取り戻したいです」

本当に信頼を取り戻せるかは、朝乃山の今後の取組にかかっている。


インド哲学・哲学早わかり

2022年07月16日 11時27分42秒 | 新聞を読もう

哲学早わかり

インド哲学・哲学早わかり

インド哲学は、古代インドに起源をもつ哲学の総称です。

様々な学派があり、その中でも特に、バラモン教の聖典ヴェーダに収録されているウパニシャッドを受け継いで発展した6つの学派が知られています。

  • サーンキヤ学派
  • ヨーガ学派
  • ヴェーダーンタ学派
  • ミーマンサー学派
  • ニヤーヤ学派
  • ヴァイシェーシカ学派

これらは一般的に、まとめて六派哲学と呼ばれています。

「梵我一如」をめぐって

ウパニシャッドとは、サンスクリット語で「奥義」や「秘伝書」を意味する一連の書物のことを指しています(なので『ウパニシャッド』という名前の著作があるわけではありません)。全部で200以上の著作がウパニシャッドのなかに含まれています。

テーマは多岐にわたりますが、中心の概念はブラフマン(梵)アートマン(我)の2つです。自分のうちに潜むアートマンを知ることによって宇宙の最高原理であるブラフマンと合一できるという、いわゆる「梵我一如」の思想がウパニシャッドの根本にあります。六派哲学も基本的にはこの「梵我一如」をめぐって議論を繰り広げています。

生は苦しみである → そこからどう解脱するか?

それぞれ論じ方は異なりますが、基本的にどの学派も、生=苦であり、その苦を解消するために解脱が必要だという出発点から、「いかにして解脱は可能か?」という問題に取り組んでいます。

たとえばサーンキヤ学派は、意識が世界のありようを完全に見て取れば、それで解脱が起こると主張します。その一方で、ヴェーダーンタ学派のシャンカラは、梵我一如が初めから達成されている(私たちはそもそもブラフマンと合一している)ということを認識することが、解脱のための条件であると指摘しています。また、ヴェーダーンタ学派のラーマーヌジャは、そもそも認識ではなく最高神への帰依こそが解脱に必要なのだと主張しています。

このように対照的な世界観が立ち並んではいますが、ともに業と輪廻から解脱することを目がけている点で、それらは同じ土俵の上にあると言うことができます。

また、仏教はインド哲学と密接な関係にあるバラモン教から生まれてきましたが、それはバラモン教が梵我一如を中心に据えるかぎり必然的に辿らざるをえない運命だったといえます。アートマンを人間の本質とみなすバラモン教が、その内部で世俗における階級の区別を維持しなければならない理由は存在しないからです。

「真」をめぐる様々な思想

興味深いのは、ミーマンサー学派のように、儀礼・祭式によって現世や来世の幸福が得られると考え、解脱をほとんど重視しなかった学派もあったことです。形式主義ゆえに最速で没落したようですが、そうした考え方も許容されるほどに「真」を求める思想の自由が当時のインドの社会に存在していたことを物語っているように思います。

とはいえ、どうしてもウパニシャッドに比べると、六派哲学では議論の比重が「苦」をどう処するかについて純粋に考える態度から、他説に対して自説の正しさを証明することへと移ってしまっている感は否めません。

ほかにも、興味深いことに、インド哲学のうちで生=苦という前提が覆されることはありませんでした。ブッダと同時代のチャールヴァーカのように、唯物論・快楽至上主義の思想が散発的に現れることもありましたが、それがメインストリームになることはありませんでした。

生は苦と喜びの両方を与える

私たちが苦しみを感じる条件は何だろうか?

素朴に考えても、世界と宥和的で、家族や社会のうちでそれなりに自分のありようを納得している人が哲学に向かう動機を持つことはなかなか無いので、生を苦と見なすことが単なる思いつきでないことは明らかです。

しかし生それ自体が苦であるという命題は、肯定するひともいれば否定するひともいるような性質のものです。生は私たちに苦を与えることもあれば、喜びを与えることもあります。このことはおそらく誰でも納得できるはずです。

なので哲学的には、「どのような条件のもとで私たちは苦しみを確信し、それに対処しようとするのだろうか?」という方向へと展開すると、インド哲学の問いをより掘り下げ、かつ現代に生かしなおすことができると思います。おそらく人生のうちで苦しみをまったく感じないようなひとはいないでしょうし、そうした問いであれば、業と輪廻の観念が一般性をもたないような文化や時代においても共有できるはずだからです。

主な著書

ごく一例に過ぎませんが、代表的な著作としては以下のものがあります。

  • サーンキヤ学派 — イーシュヴァラクリシュナ『古典サーンキヤ体系概説』
  • ヨーガ学派 — パタンジャリ『ヨーガ根本聖典』
  • ヴェーダーンタ学派 — シャンカラ『不二一元論』、ラーマーヌジャ『最高神とその様態』
  • ニヤーヤ学派 — ヴァーツャーヤナ『論証学綱要書の注解』(『論証学入門』と訳されることもある)
  • ヴァイシェーシカ学派 — カナーダ『ヴァイシェーシカ・スートラ』

インド哲学

2022年07月16日 11時12分40秒 | 社会・文化・政治・経済

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:07 UTC 版)

紀元前8世紀のインドの哲学者ウッダーラカ・アールニは「有(う)の哲学」を主張した。

アールニは、ヤージュニャヴァルキヤとならぶ、古代インドの二大哲学者の一人である。

彼の哲学はウパニシャッドのひとつ『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』の第6章に収録されている。

アールニの哲学はシュヴェータケートゥ・アールネーヤ(24歳にして全てのヴェーダ聖典を学んで鼻高々となっていたアールニの息子)に対する対話の形で記されている。

この中では、ギリシャ哲学においてパルメニデスが「無から有は生じない」ということを主張したのとほぼ同じ内容のことが議論されている。

かれ(息子)は十二歳にして〔師のもとに〕赴き、二十四歳にしてすべてのヴェーダ聖典を学習し、大いに自惚れ、学識を誇り、鼻高々となって帰ってきた。

かれに父が言った。「愛児シュヴェータケートゥよ、いまやなんじが大いに自惚れ、学識を誇り、鼻高々であるところからすると、なんじは、いまだ聞かれなかったものが聞かれたものとなり、いまだ考えられなかったものが考えられたものになり、いまだ知られなかったものが知られたものとなる秘法を訊いたのか」 (子)「〔父上なる〕尊者よ、その秘法とはいかなるものなのですか」 …(中略)…

(子)「まこと〔わたくしの師であった〕かの尊者たちは、このことを知らなかったにちがいありません。知っていたならば、どうしてわたくしに語らないことがありましたでしょうか。

まさにしからば、〔父上なる〕尊者よ、それをわたくしに語ってください」 (父)「承知した。愛児よ」と〔父は〕いった。 (父)「愛児よ、太初、この〔世界〕は有のみであった。

唯一で第二のものはなかった。ところが、ある人びとは、『太初、この〔世界〕は無のみであった。唯一で第二のものはなかった。その無から有が生じた』という。

しかしまこと愛児よ、どうしてそのようなことがありえようか」と〔父は〕いった。 (父)「どうやって無から有が生じえようか。まったくそうではなく、愛児よ、太初、この〔世界〕は有のみであった。

唯一で第二のものはなかった」 — 『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』(紀元前8世紀)第6章 宮元啓一訳 そしてアールニはこの有からこの宇宙のすべてが流出したという説を説く。こうした考え方は流出説(Emanationism)とも呼ばれる。

※この「インド哲学」の解説は、「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」の解説の一部です。» 「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」の概要を見る

インド哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 04:33 UTC 版)

高楠順次郎 - 文学博士。東京帝国大学文科大学、教授。(第壹册、第貳册、第参册、第四册、第五册、第六册、第七册)。 松本文三郎 - 文学博士。京都帝国大学文科大学、学長。(第壹册、第貳册、第参册、第四册、第五册、第六册、第七册)。 堀謙德 - 文学士。豊山大学、講師。(第壹册、第貳册、第参册、第四册、第五册、第六册、第七册)。

※この「インド哲学」の解説は、「哲學大辭書」の解説の一部です。» 「哲學大辭書」の概要を見る

インド哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:53 UTC 版)

詳細は「インド哲学」を参照 哲学の中でもインドを中心に発達した哲学で、特に古代インドを起源にするものをいう。インドでは宗教と哲学の境目がほとんどなく、インド哲学の元になる書物は宗教聖典でもある。インドの宗教にも哲学的でない範囲も広くあるので、インドの宗教が全てインド哲学であるわけではない。

※この「インド哲学」の解説は、「哲学」の解説の一部です。» 「哲学」の概要を見る

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「インド哲学」の例文・使い方・用例・文例
インドの哲学者、政治家で、インド哲学を西欧へ紹介した(1888年−1975年)


孤独・孤立対策の重点計画

2022年07月16日 11時07分04秒 | 新聞を読もう

令 和 3 年 1 2 月 2 8 日
孤独・孤立対策推進会議決定
Ⅰ 孤独・孤立対策の基本的考え方等

1.孤独・孤立対策の現状

(1)我が国における孤独・孤立に関する状況

①新型コロナウイルス感染拡大前の状況
○ 我が国においては、平成 12(2000)年以降、グローバリゼーションが進む中で、それま
で定着していた終身雇用、年功賃金や新卒一括採用等に基づく日本型雇用慣行が変化
し、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者といった非正規雇用労働者が増
加するなど、雇用環境が大きく変化してきた。
また、インターネットの普及等に伴う情報通信社会の急速な進展等により、国民の生
活環境やライフスタイルは急速に変化してきた。
さらに、人口減少、少子高齢化、核家族化、未婚化・晩婚化、これらを背景とした単身
世帯や単身高齢者の増加といった社会環境の劇的な変化が進み、地域社会を支える地
縁・血縁といった人と人との関係性や「つながり」は希薄化の一途をたどってきた。
○ このような雇用環境・生活環境や家族及び地域社会の変化は、雇用形態の多様化や
所得格差の拡大等を背景として、職場内・家庭内・地域内において人々が関わり合いを
持つことによって問題を共有しつつ相互に支え合う機会の減少をもたらし、人々が「生き
づらさ」や孤独・孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化してきたと考えられる。
こうした状況は、例えば、OECD の平成 17(2005)年の調査によれば「家族以外の人」
との交流がない人の割合が我が国は米国の5倍、英国の3倍高いとされていること等、
孤独・孤立に伴う様々な社会問題がこれまで発生してきたことにも表れている。
②新型コロナウイルス感染拡大後の状況
○ 令和2(2020)年1月に国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認され、緊急事態
宣言の発出による飲食店等に対する休業要請や感染拡大防止対策、外出自粛要請が
行われて以降、我が国における人々の生活は一変した。
○ 例えば、緊急事態宣言の発出に伴う経済活動の停滞の影響により、休業者の増加だけ
でなく、それまで増加傾向であった就業者数は女性の非正規雇用労働者を中心に大幅

に減少し、就業者の給与水準は減少傾向となった。それらの結果として、生活の困窮を
はじめとした生活に関する様々な不安や悩みを抱える人が増え、相談支援機関への相
談件数の増加等が生じることとなった。
○ また、感染拡大防止措置の影響により、それまで行政機関や NPO 及び社会福祉法人
等(以下「NPO 等」)が各地域で提供してきた、地域の子どもや高齢者等の交流・見守り
や支え合いの場、あるいは相談支援を受ける機会等が失われたほか、それらの提供主
体の側においても、直接や対面でのコミュニケーションを行いながら支援等が必要な人
に対して支援等を行う従前の取組・活動について、休止や手法の変更等を余儀なくされ
ることとなった。
○ さらに、外出自粛の影響により、人々が自宅で家族とともに過ごす時間が増加したこと
は、家族の親密化をもたらす一方で、元々折り合いの良くなかった家族にとっては家族
関係の悪化が生じ、閉塞感を感じる人が少なからず存在したことが見込まれる。
このことは、自殺者数は令和2年に総数で前年比 912 人増の 21,081 人(うち、女性は
7,026 人で前年比 935 人増、児童生徒は 499 人で前年比 100 人増で過去最多)となり 11
年ぶりに対前年比で増加したこと、DV 相談件数は令和2年度で 19 万 0,030 件(前年度
比 7 万 0,754 件増)となったこと、児童相談所における児童虐待相談対応件数は令和2
年度で 20 万 5,044 件(前年比1万 1,264 件増)となったこと、小・中学校における長期欠
席者のうち不登校児童生徒は令和2年度で 19 万 6,127 人(前年度 18 万 1,272 人、前年
度比 14,855 人増)となったこと等の要因の一つとも考えられる。
○ 我が国の社会生活を一変させた新型コロナウイルス感染拡大は、それまでの社会環境
の変化等により孤独・孤立を感じやすくなっていた社会において内在していた孤独・孤立
の問題を顕在化させ、あるいは一層深刻化させる契機になったと考えられる。
(2)これまでの政府の取組
○ 新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化することにより、孤独・孤立の問題がより
一層深刻な社会問題となっていることを受けて、政府においては、令和3年2月に孤独・
孤立対策担当大臣を指名して同大臣が司令塔となり、内閣官房に孤独・孤立対策担当
室を立ち上げ、政府一丸となって孤独・孤立対策に取り組むこととした。
○ 政府においては、令和3月3月以降、孤独・孤立対策担当大臣を議長とし、全省庁の副
大臣で構成する「孤独・孤立対策に関する連絡調整会議」1
を定期的に開催し、3つのタス

1 令和3年 12 月に「孤独・孤立対策に関する連絡調整会議」の名称を「孤独・孤立対策推進会議」へ変更した。

クフォース(ソーシャルメディアの活用、実態把握、孤独・孤立関係団体の連携支援)の立
ち上げ、様々なライフステージに応じた孤独・孤立対策の整理及び施策のさらなる充実・
強化の検討など、政府全体として総合的かつ効果的な孤独・孤立対策を検討・推進して
いる。
○ 令和3年2月には、様々な支援の存在を周知するとともに、感染防止に配慮した形でつ
ながりの活動を展開することが大切であることや、悩んでいる方に向けて、様々な支援
策があり、悩みを相談してほしいことなどをメッセージとして発出することを目的として、
「孤独・孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラム」を開催し、「つな
がりを切らないために、感染防止に配慮した形でつながりの活動を展開していくことが大
切である」、「躊躇せずに、悩みを相談してほしい」等のメッセージを発出した。
その後、同年6月以降、実際に支援活動に取り組んでいる NPO 等の方々などから直接
現場の声を聞き、今後の孤独・孤立対策の立案に活かす目的で、「孤独・孤立に関する
フォーラム」を計 10 回開催した。
○ 令和3年3月には、「新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対
策関係閣僚会議」を開催し、生活支援等・自殺防止対策など、孤独・孤立対策に取り組む
NPO 等に対する約 60 億円の緊急支援を行うこととした。
また、同年3月には、女性の相談支援、子供の居場所づくり事業を活用した「生理の貧
困」への対応を公表したほか、同年4月には、緊急支援策のパンフレット「孤独・孤立対
策に取り組む NPO 等の皆様へ」、「検索サービスにおける子どもを主な対象とした検索
連動窓口案内の強化について」及び国の災害用備蓄食品の有効活用についての公表を
行った。
○ 令和3年5月には、孤独や孤立で悩んでいる方への担当大臣メッセージを公表した。ま
た、同年6月には、日英の孤独担当大臣会合を実施し、「日英二国間会合の定期開催」
「実態把握と政策に関する知見の共有」「日英両国及び世界への取組の発信」を内容と
する共同メッセージを公表した。
○ 令和3年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2021」(令和3年6月
18日閣議決定)においては、孤独・孤立対策の基本的な方向性が盛り込まれるとともに、
関連する分野・施策との連携に留意しつつ、孤独・孤立対策の重点計画を年内に取りま
とめることとした。
○ 令和3年7月には、孤独・孤立対策担当大臣と欧州委員会副委員長との会談を実施し、
「孤独・孤立対策においては人と人との絆が重要であること、このための地域づくりや社
会全体の連帯の醸成が必要であることについて、知見や政策を共有する」こと及び「孤

独・孤立の実態把握に関する知見を共有し、データに基づく政策を展開する」ことを内容
とした、孤独・孤立に関する日・EU 共同発表を行った。
○ 令和3年8月の令和4年度概算要求においては、①孤独・孤立に陥っても支援を求める
声を上げやすい社会とすること、②状況に合わせた切れ目のない相談支援につなげるこ
と、③見守り・交流の場や居場所づくりを確保し、人と人との「つながり」を実感できる地
域づくりを推進すること、④孤独・孤立対策に取り組む NPO 等の活動をきめ細かく支援
し、官・民・NPO 等の連携を強化することを柱として、孤独・孤立対策の各種施策を展開
することとした。
○ 孤独・孤立に関する各種支援制度や相談先を一元化して情報発信するホームページを
作成し、18 歳以下向けのホームページを令和3年8月に先行公開した後、一般向けのホ
ームページを同年11月に公開した。
○ 令和3年9月には、全国的に NPO 等支援を行う中間支援団体、分野ごとの全国団体等
が有志で集まり、補助金活用等の情報共有や専門職としての人材育成、現場の視点に
立った政策提言等を連携して実施する場を持つため、孤独・孤立対策連携プラットフォー
ム(仮称)準備会合を開催した。準備会合では、年度内の設立を目指し、参加団体と議論
を深め、プラットフォームの役割・あり方を検討することとしている。
2.孤独・孤立対策の基本理念

(1)孤独・孤立双方への社会全体での対応
○ 孤独・孤立は、人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、支援を求
める声を上げることや人に頼ることは自分自身を守るために必要であって批判されるべ
きものではない。
また、孤独・孤立は、当事者 2
個人の問題ではなく、社会環境の変化により当事者が孤
独・孤立を感じざるを得ない状況に至ったものである。孤独・孤立は当事者の自助努力に
委ねられるべき問題ではなく、現に当事者が悩みを家族や知人に相談できない場合が
あることも踏まえると、孤独・孤立は社会全体で対応しなければならない問題である。

2 孤独・孤立の問題を抱えている、あるいは孤独・孤立に至りやすいと現在一定程度認識されている当事者として、例えば、生活困窮状態の人、
ひきこもりの状態にある人、メンタルヘルスの問題を抱える人、妊娠・出産期の女性、子育て期の親、ひとり親、新型コロナウイルス感染拡大に
起因する不本意な退職や収入減など様々な困難や不安を抱える女性、DV 等の被害者、子ども・若者、学生、不登校の児童生徒、中卒者や高
校中退者で就労等をしていない人、独居高齢者、求職者、中高年者、社会的養護出身の人、非行・刑余者、薬物依存等を有する人、犯罪被害
者、被災者、心身の障害あるいは発達障害等の障害のある人や難聴等の人、難病等の患者、外国人、在外邦人、ケアラー、LGBTQ の方等が
考えられる。ただし、孤独・孤立は誰にでも起こり得ることから、孤独・孤立対策はすべての国民が対象となる。

○ 「人間関係の貧困」とも言える孤独・孤立の状態は、「痛み」や「辛さ」を伴うものであり、
心身の健康面への深刻な影響 3
や経済的な困窮等の影響も懸念されており、孤独・孤立
は命に関わる問題であるとの認識が必要である。
○ 一般に、「孤独」は主観的概念であり、ひとりぼっちと感じる精神的な状態を指し、寂し
いことという感情を含めて用いられることがある 4
。他方、「孤立」は客観的概念であり、社
会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指す。
概念は異なるが相互に関連する「孤独」と「孤立」の問題としては、
・ 社会とのつながりが少なく「孤立」しており、不安や悩み、寂しさを抱えて「孤独」である
場合がある
・ 社会とのつながりが一定程度あり「孤立」していないが、不安や悩み、寂しさを抱えて
「孤独」である場合がある
・ 社会とのつながりが少なく「孤立」しているが、不安や悩み、寂しさを抱えていないため
「孤独」でない場合もある(ただしその場合でも、家族など周りの方が困難を抱えている
場合も想定される)
が考えられるが、孤独・孤立に関して当事者や家族等 5
が置かれる具体的な状況は多岐
にわたり、孤独・孤立の感じ方・捉え方も人によって多様である。
○ 多様な形がある孤独・孤立の問題については、孤独・孤立の一律の定義の下で所与の
枠内で取り組むのではなく、孤独・孤立双方を一体として捉え、当事者や家族等の状況
等に応じて多様なアプローチや手法により対応することが求められる。
また、社会からの孤立がセルフネグレクトや社会的排除を生むという「負の連鎖」を断ち
切る観点からも取組を進めることが求められる。
一方、主観や感情に関わる「孤独」の問題への対応については、個人の内心に関わる
点に留意しつつ、問題の状況に応じて必要な対応は当然行うことが求められる。
○ 政府の孤独・孤立対策においては、以上に留意し、当事者や家族等が「望まない孤独」6
及び「孤立」を対象として、その実態や当事者・家族等のニーズに応じた施策を有機的に
連関させて取組を進める。
○ 孤独・孤立対策においては、孤独・孤立の問題やそれらから生じ得るさらなる問題に至
らないようにする「予防」の観点が重要であるとともに、孤独・孤立に悩む状態に至っても

3 英国では、孤独は肥満や認知症、高血圧のリスクを高める等の健康被害をもたらす、社会的なつながりが弱いと1日15 本の喫煙と同程度の健
康への悪影響がある、社会的孤立は健康格差に影響を与えるとの研究がある。
4 英国における「孤独」の定義は「交友関係の欠如や喪失という主観的で好ましくない感情。現在有する社会的関係の量や質と望んでいる社会的
関係の量や質との間にミスマッチがある時に生じる。」とされている。
5 「家族等」には、例えば当事者の友人・知人が含まれる。 6 以下、本重点計画で「孤独」と表記する場合は、「望まない孤独」のことを言う。なお、「望まない孤独」であるか否かの判断には慎重さが求めら
れることに留意が必要である。

可能な限り速やかに当事者の望む状態に戻れるように取り組むことが重要である。また、
「予防」の観点からも当事者や家族等が支援を求める声を上げやすい社会にするために
は、社会福祉や公的扶助に対する社会の理解が必要となる。
政府の孤独・孤立対策においては、以上に留意し、「孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取
り残さない社会」、さらには「誰もが自己存在感・自己有用感を実感できるような社会」「相
互に支え合い、人と人との「つながり」が生まれる社会」 を目指して取り組むとともに、
「予防」の観点からの具体的な施策の在り方を検討する。
○ 政府において孤独・孤立に関する実態の把握を今後行う中で本重点計画を策定するが、
実態把握の調査結果を踏まえて、また、孤独・孤立に関連するデータや学術研究の利活
用も進めて、本重点計画を含む施策の点検や評価を行い、施策を一層推進する。
(2)当事者や家族等の立場に立った施策の推進
○ 人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得る孤独・孤立の問題は、人生のどの場
面で発生したかや当事者の属性・生活環境等によって多様である。
また、孤独・孤立の問題を抱える当事者のニーズや生活の基盤をおく地域の実情等も
多様であるとともに、当事者の中には支援に当たって配慮すべき事情を抱える方も存在
する。また、当事者の家族等が困難を抱えている場合も存在する。
○ 政府の孤独・孤立対策においては、以上に留意し、まずは当事者の目線や立場に立っ
て、孤独・孤立を生む要素が複合的に絡み合った困難な課題を含め、当事者一人ひとり
のライフステージや属性・生活環境、多様なニーズや配慮すべき事情等を理解した上で、
施策を推進する。また、その時々の当事者の目線や立場に立って、切れ目がなく息の長
い、きめ細かな施策を推進する。
加えて、孤独・孤立の問題を抱える当事者の家族等も含めて支援する観点からの施策
を推進する。
(3)人と人との「つながり」を実感できるための施策の推進
○ 人々に行動制限をもたらした新型コロナウイルス感染拡大のみならず、1995年の阪神・
淡路大震災や 2011 年の東日本大震災をはじめとして全国各地で発生した自然災害は、
人と人との「つながり」の重要性を再認識させる契機となった。また、地域で失われた人と
人との「つながり」を再構築するためには、関係行政機関(特に地方自治体)のみならず、
NPO 等の民間法人の現場レベルでの取組や活動も必要かつ重要であることを再認識し
た。

○ 現行の社会保障制度が現金給付や現物給付を中心とする中で、孤独・孤立の問題を抱
える当事者や家族等の精神的な支援の充実も重要である。
政府の孤独・孤立対策においては、孤独・孤立の問題を抱える当事者や家族等を支援
の場や疎外感が強い関係に形式的につなぐことでは十分でなく、当事者や家族等が相
談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人との「つながり」
を実感できることが重要であり、このことは孤独・孤立の問題の解消にとどまらずウェル
ビーイング(Well-being、人の幸福感)の向上にも資するという考え方の下で、施策を推進
する。
○ 孤独・孤立の問題が顕在化する前の「予防」的な対応、関連する分野や因果関係が多
岐にわたる問題への対応、行政の施策や取組に積極的にアクセスしない者への対応は、
行政による政策的な対処のみでは困難又はなじみづらい場合がある。このため、孤独・
孤立対策は、行政と民間が連携して取り組むことが必要不可欠である。また、孤独・孤立
の問題の「予防」の観点からは、社会福祉や公的扶助をはじめとする施策にアクセスし
やすくすることも必要である。
地域によって社会資源の違いがある中で、孤独・孤立の問題を抱える当事者や家族等
を支援するため、行政・民間の各種施策・取組(公的支援施策や関連する行政計画等、
行政を補う民間の取組等)について、有機的な連携及び充実を図る。
支援者である関係行政機関(特に基礎自治体)において、既存の取組も活かして、縦割
りの制度に横串を刺して分野横断的な対応が可能となる孤独・孤立対策の推進体制を
整備した上で、すべての都道府県及び市区町村に設置されている社会福祉協議会や、
地域運営組織等の住民組織とも協力しつつ、NPO 等の民間法人との間で相互に密接な
連携を図ることにより、安定的・継続的に施策を展開する。
3.孤独・孤立対策の基本方針

(1)孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい社会とする
①孤独・孤立の実態把握
孤独・孤立対策における各種施策の効果的な実施、施策の実施状況の評価・検証、
施策の在り方の検討、これらの実施に当たって必要となる関係者との情報共有に資する
よう、孤独・孤立に関する実態の把握を推進する。併せて、孤独・孤立に関連するデータ
や学術研究の蓄積・整備を推進する。
また、実態把握の調査結果を踏まえ、孤独・孤立に至る要因を分析し、孤独・孤立の
問題やそれらから生じ得るさらなる問題に至らないようにする「予防」の観点からの施策
の在り方について検討する。

②支援情報が網羅されたポータルサイトの構築、タイムリーな情報発信
孤独・孤立の問題を抱える当事者や家族等へ孤独・孤立に関する支援の情報を網羅
的かつタイムリーに届けられるよう、ポータルサイト・SNSによる継続的・一元的な情報発
信、24 時間対応の相談体制の整備、各種支援施策につなぐワンストップの相談窓口(電
話、SNS 等)の整備、プッシュ型の情報発信等により、孤独・孤立に関する情報へのアク
セスの向上を推進する。
③声を上げやすい環境整備
孤独・孤立は、人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものである。しかし実
際には、孤独・孤立に至っていても「他人や制度に頼りたくない、迷惑をかけたくない」あ
るいは「他人に知られたくない」等の「ためらい」や「恥じらい」の感情により支援を受けて
いない方がいる。また、基本的に「申請主義」である制度の下で「支援制度を知らない。
自分が支援対象に該当するとは思わなかった。」等の理由により支援を受けていない方
もいる。さらに、孤独・孤立に至っている当事者の家族等が困難を抱えている場合も存在
する。
このため、孤独・孤立の問題を抱える当事者が支援を求める声を上げやすい、あるい
は周りの方が気づきや対処をできる(声を聞ける・拾える、声をかけやすい)ような環境を
整えることが求められる。
支援を求める声を上げること、人に頼ること、誰かに早く相談することは、良いことであ
り、自分自身を守るためにも社会や地域のためにも必要であり、この時代には当然であ
る。こうしたことを含め、孤独・孤立や「共に生きる」について国民一人ひとりの理解・意識
や機運を社会全体で醸成して高めていけるよう、また、当事者や周りの方が支援を求め
る声を上げやすくなるとともに広く支援制度を知ることができるよう、情報発信・広報及び
普及啓発、制度の検証、幼少期から「共に生きる力」を育む教育 7
を推進する。さらに、ア
ウトリーチ型支援を含めた当事者への働きかけや「伴走型」の支援を推進する。
(2)状況に合わせた切れ目のない相談支援につなげる

①相談支援体制の整備(電話・SNS 相談の24時間対応の推進等)
孤独・孤立の問題を抱える当事者や家族等が、一人ひとりの多様な事情やニーズ等
の状況に合わせて、切れ目がなく、息の長い、きめ細かな相談支援を受けられるよう、全
国において、各種相談支援制度の有機的な連携や各相談支援機関の対等な連携によ
る包括的な相談支援体制の整備をさらに推進するとともに、電話・SNS のそれぞれの特
性を踏まえた 24 時間対応の相談など多元的な相談支援体制の整備を推進する。

7 多様な人や地域と関わって多様な生き方を認め合うことを理解する体験、自他尊重のコミュニケーションスキルを育む機会、社会保障について
その活用方法を含めて知る機会、地域福祉を学ぶ機会を学校教育の場で設けることを言う。

また、当事者や家族等を取り巻く多様な人が関わりつつ専門職も強みを発揮する発展
的な相談支援の体制整備を推進する。
さらに、ワンストップの相談窓口等の一元的な相談支援体制及び相談と支援をつなぐ
体制の整備を検討する。
②人材育成等の支援
孤独・孤立の問題を抱える当事者や家族等に対して、一人ひとりの相談時の心理的
負担に留意しつつ多様な状況に即した充実した相談支援を行えるよう、関係機関におい
て孤独・孤立に係る相談支援に当たる人材の確保(就労環境の改善を含む)、育成及び
資質の向上を推進する。その際、福祉・保健・教育等の複数の分野にわたる専門的知識
を習得できるような工夫 (複数分野の資格の取得を含む)も求められる。
また、相談支援に当たる人材の心理的負担の軽減に資するよう、相談支援に当たる
人材への支援を推進する。

(3)見守り・交流の場や居場所づくりを確保し、人と人との「つながり」を実感できる地域づくり
を行う

①居場所の確保
人と人との交流を目的として多様な「つながり」の場となる居場所の確保は、人生のラ
イフステージの段階や属性に応じて孤独・孤立の問題を抱える当事者にとっては、身近
な地域における人との「つながり」や自身の役割を持つ場となり、相談等の場にもなると
ともに、地域コミュニティの形成・維持にも資するものである。このような多様な各種の
「居場所」づくりや担い手の増大を図る取組を推進する。併せて、NPO 等が利用しやすい
支援の在り方を検討する。
また、孤独・孤立対策においては、こうした各種の「つながり」の場づくりそのものを施
策として評価するとともに、その効果的な運用を推進するものとする。
②アウトリーチ型支援体制の構築
孤独・孤立の問題を抱えているが支援を求める声を上げることができない当事者や家
族等を支援につなげることができるよう、その意向や事情にも配慮したアウトリーチ型の
支援を推進する。併せて、NPO 等が利用しやすい支援の在り方を検討する。
③保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくりの推進等
かかりつけ医等と医療保険者が協働し、医療保険の加入者の健康面や社会生活面の
課題について情報共有しながら、加入者の重症化予防に必要な栄養指導等の保健指導
の実施や地域社会で行っている相談援助等の活用を進めることで、加入者の健康面及

び社会生活面の課題を解決するための取組(いわゆる「社会的処方」の活用)を推進す
る。
併せて、社会生活面の課題解決の観点や社会的・地域的課題への対応等の観点から
公的施設等を活用する取組や情報発信を推進する。
④地域における包括的支援体制の推進
孤独・孤立の問題を抱えている、あるいは孤独・孤立に至りやすい当事者や家族等に
対して、地域の専門職等による継続的支援及び必要時の緊急的支援、当事者自らが選
択して自らの役割を見出せる場となる地域コミュニティへつなぐ支援(総合相談、ケース
会議、就労支援、出所者支援等)やコミュニティ(職場・世帯)間移動の支援(転職支援、
職業訓練、DV被害者支援、若年女性支援等)等を行う各種制度での対応(前述の相談
支援体制、居場所づくり、アウトリーチ型支援等を含む)を推進する。
また、地域の関係者 8
が連携・協力しつつ、福祉と教育の連携(例えば、子どもが通う
学校を起点・拠点として問題を早期に把握して地域での支援へつなぐ仕組み)、福祉と保
健医療、雇用・就労、住まいとの連携など各分野の取組を有機的に連携させて分野横断
的に、当事者を中心に置いた包括的支援体制を推進する。併せて、そのような連携のも
と、住まいのセーフティネットについて、その強化を含め在り方を検討する。
さらに、地域において当事者を包括的に支える支援体制を構築するため、重層的支援
体制整備事業の活用をはじめ、小学校区や自治会等の地域の実情に応じた単位で人と
人との「つながり」を実感できる地域づくりを推進する。併せて、社会教育を通じて人と人
との「つながり」を実感できる地域づくりも推進する。
(4)孤独・孤立対策に取り組む NPO 等の活動をきめ細かく支援し、官・民・NPO 等の連携を
強化する
①孤独・孤立対策に取り組む NPO 等の活動へのきめ細かな支援
孤独・孤立対策の推進に当たって、孤独・孤立の問題を抱える当事者への支援を行う
NPO 等は重要かつ必要不可欠であることから、孤独・孤立対策に取り組む NPO 等の活
動(人材育成を含む)に対して安定的・継続的にきめ細かな支援を行う。
②NPO 等との対話の推進
孤独・孤立対策が当事者や家族等のニーズ等に即してより効果的なものとなるよう、
NPO 等との対話(現場の実態等に関する情報の共有、提言等の施策への反映)により、
官・民一体で孤独・孤立対策の取組を推進する。

8 保健・医療・福祉等の専門機関、社会福祉法人、社会福祉協議会、NPO、住民組織、民生委員・児童委員、保護司、ゲートキーパー(自殺の危
険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人)、
ボランティア等を言う。

また、NPO 等が当事者や家族等への支援を進めるに当たって必要な場合には、その
意向にも配慮しつつ、個人情報の取扱い(NPO 等の支援先となる者の個人情報をその
同意の下で行政と NPO 等が共有すること等)に関する先行事例等の情報について、
NPO 等や地方自治体への提供・共有を行う。
③連携の基盤となるプラットフォームの形成支援
孤独・孤立の問題に対して NPO 等の支援機関単独では対応が困難な実態があること
を踏まえ、民・民及び官・民・NPO 等の取組の連携強化の観点から、まずは各種相談支
援機関や NPO 等の連携の基盤となる全国的なプラットフォームの形成を支援することに
より、人と人との「つながり」を実感できる地域づくりや社会全体の機運の醸成を図りつつ、
官・民一体で孤独・孤立対策の取組を推進する。
④行政における孤独・孤立対策の推進体制の整備
孤独・孤立の問題への対応や官・民・NPO 等の連携を円滑に進める観点から、地方自
治体(特に基礎自治体)における既存の取組も活かした孤独・孤立対策の推進体制(縦
割りの制度に横串を刺して分野横断的な対応が可能となる体制)の整備を促進する。
また、地方自治体における体制整備や、地域の実情に応じた施策の展開・底上げを支
援するため、地方自治体に対し、政府の孤独・孤立対策に関する施策や先行事例・好事
例等の情報の提供・共有を行う。
4.孤独・孤立対策の施策の推進
○ 本重点計画は、政府において、社会環境の変化に応じて長期的視点に立って孤独・孤
立の問題に対処することとしつつ、今後重点的に取り組む孤独・孤立対策の具体的施策
をとりまとめたものである。
関係府省は、本重点計画の各施策それぞれの目標の達成に向けて、着実に取組を進
めることとする。
○ 政府の孤独・孤立対策は、本重点計画の基本理念及び基本方針に基づき、関係府省
及び NPO 等が連携して幅広い具体的な取組を総合的に実施することとする。
また、孤独・孤立に関する実態把握の調査結果、新たな知見及び関係者の意見等も踏
まえて、関係府省において事業の使いやすさの改善に努めるとともに、事業展開にさら
なる検討を加えていくこととする。
特に、孤独・孤立対策に取り組む NPO 等の活動への支援については、当面、令和 3 年
3 月の緊急支援策で実施した規模・内容について、強化・拡充等を検討しつつ、各年度継
続的に支援を行っていくこととする。

○ 令和3年2月より政府として取り組んでいる孤独・孤立の問題については、今後、実態
の把握や NPO 等の関係者との意見交換に加え、孤独・孤立に関連する学術研究も進展
することが期待される。こうした状況を踏まえて、本重点計画についても不断に検討を行
っていく必要がある。
こうした観点から、政府においては、実態把握の調査結果を踏まえて、また、現場のデ
ータを収集して利活用するための体制整備を検討しつつ孤独・孤立に関連するデータや
学術研究も利活用して、毎年度、本重点計画の各施策の実施状況の評価・検証を行う。
併せて、毎年度を基本としつつ必要に応じて、本重点計画全般の見直しの検討を行う。
また、これらを行う際には、「孤独・孤立対策推進会議」及び「孤独・孤立対策の重点計画
に関する有識者会議」における審議等を行うこととする。

 


孤独・孤立対策の重点計画

2022年07月16日 11時05分36秒 | 新聞を読もう
「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)に基づき、孤独・孤立対策の重点計画を策定いたしました。(令和3年12月28日孤独・孤立対策推進会議決定)

孤独・孤立対策の重点計画

パブリックコメント

孤独・孤立対策の重点計画に関する有識者会議

関連リンク


【連絡先】
内閣官房  孤独・孤立対策担当室
〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1
TEL.03-5253-2111(代表)

人生ボックス

2022年07月16日 10時32分14秒 | 社会・文化・政治・経済

人生は組み合わせでできている

心を揺るがす話☆日本講演新聞
 

 ~「感動」と「学び」を世界中に~、日本講演新聞がお届けします。

 洋菓子業界にとって2月と3月は繁盛期である。聖バレンタインという聖職者が殉教したといわれている2月14日と、「愛の告白」と、チョコレート、何の関係もないこの三つがひょんなことで結びついて記念日になった。

 さらに、それにあやかろうと、その延長でホワイトデーが生まれた。

 新しい文化の創造とか画期的な発明というものは、こうした突拍子もない組み合わせで生まれることが多い。

 ソフトバンクの社長、孫正義さんが世界初となる画期的な機械を考案したのはアメリカの大学に留学した最初の年だった。

 孫さんは、20代で事業を興して、30代で1000億円の資産をつくり、それを元手に40代でさらに大きな事業を立ち上げ、50代でそれを成功させるという人生設計を19歳のときに描いていた。

 福岡の高校を1年で中退し渡米。約2年間の語学学校を経て、大学に入学した。

 語学学校時代に出会った日本人女性と学生結婚した孫さんは、それまでの月20万円もあった親からの仕送りを断り、経済的自立をすると新妻に宣言した。

 ただ、自分が描いた人生設計通りに生きようとしたら、皿洗いなどのアルバイトで生計を立てるというレベルの自立では間に合わない。ひと月最低でも100万円の収入が見込める仕事をしなければならないと思った。もちろん学生の本分は勉強なのでこれも疎かにできない。

 孫さんは、1日の大半の時間を勉強に費やすために、仕事をする時間を1日5分と決めた。1日5分の労働で毎月100万円以上稼ぐ方法を考えたのだ。

 友だちからバカにされたが、彼は前例があることを、松下幸之助の本を読んで知っていた。それは「発明」である。

 「発明とは、まるっきり異なるものを組み合わせることで創り出される」と孫さんは考えていた。

 英単語を覚えるときに使ったカードに、思いつくまま言葉を書いた。「本」「ボールペン」「自転車」「傘」など、それらを一つひとつコンピュータに入力した。

 そのとき、その言葉の新しさの指数を10点満点、それに関して自分が持っている知識の指数を50点満点、あるいはそれは発明に結びつきやすいか、コストはどれくらいかなど、40ほどの判断要素を数値化した。

 孫さんは、入力した言葉から三つを組み合わせ、数値化するコンピュータプログラムを作っていた。1日5分という時間の中で、上位に出てきたものを見て、何ができるか、毎日考えた。

 こうして何百万通りもの組み合わせの中で、最も数値が高かった一組に絞った。

 それは、「辞書」と「液晶ディスプレイ」、そして、当時アメリカで開発されていた、人工的に音声を作り出す「スピーチシンセサイザー」、この三つの組み合わせだった。

 「スピーチシンセサイザー」の世界的な研究者は、孫さんが留学している大学にいた。孫さんはアポなしでその教授の研究室を訪ね、自分のアイデアを熱く語った。

 「声の出る翻訳機を作りたい。そのためには先生が開発したスピーチシンセサイザーが必要だ。試作機ができたら、自分がメーカーに売り込む」と。

 教授は、東洋から来た背の低い青年の熱い情熱に賭けてみようと思った。

 試作機が完成すると、説明書を日本のメーカー50社に送った。10社が興味を示した。

 その10社を孫さんは訪問した。その中で「おもしろい」と言ってくれたのはシャープ一社だけだった。

 シャープは孫さんと1億円の契約を交わした。これがのちに世界初となる「音声機能付き電子翻訳機」になる。

 いくつかの異なるものの組み合わせはおもしろい。心がワクワクする。

 考えてみると、人生も組み合わせでできている。過去の様々な経験の組み合わせから生まれたものが「今」だ。そんな「今」を生きる人と人の出会いは、すべて世界初の組み合わせ。

 だから「出会い」から、とてつもない人生が創られる。 

 (日本講演新聞 2015/03/09号 魂の編集長 水谷もりひと 社説より)