このままでは第2、第3の「山上事件」が起きる…「統一教会ブーム」を知る元週刊誌編集長が抱く危機感

2022年07月20日 22時47分02秒 | 事件・事故

7/20(水) 17:16配信 プレジデントオンライン

厳戒態勢が敷かれた山上徹也容疑者が送検された奈良地検=2022年7月10日、奈良市 - 写真=時事通信フォト

■30年前、芸能界を揺るがす大騒動に発展した

 桜田淳子・山崎浩子・飯星景子。

 安倍晋三元首相を狙撃した山上徹也容疑者(41)が取り調べで、犯行の動機をこう語ったという。母親が宗教にのめり込み、財産をつぎ込んだため悲惨な子ども時代を過ごし、教団に恨みを持った。その宗教団体のトップを殺そうと思ったがコロナ禍で日本に来ないので、教団と関係がある安倍元首相を殺そうと考えたというものだった。それを聞いた私は、すぐにこの3人の名前が脳裏に浮かんだ。

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 警察は、参議院選が終わるのを待っていたのであろう、この宗教団体が世界平和統一家庭連合(旧統一教会=正式名称は世界基督教統一神霊協会。以下、統一教会)であることを発表した。

 いまから30年ほど前、当時、統一教会という新興宗教に入信、桜田を除いた2人の脱会をめぐって、週刊誌やテレビが大騒ぎしたことを覚えている人は少なくなってしまった。

 統一教会と安倍元首相との関係は、週刊文春(7月21日号)で統一教会関係者がいっているように、

 「統一教会は古くから保守政治家との関係が近かったのは事実です。その基盤は、一九六八年に創始者・文鮮明氏が設立した、反共産主義を掲げる政治団体『国際勝共連合』。“戦後のフィクサー”笹川良一氏が名誉会長に就き、笹川氏との交友で知られた岸信介元首相も勝共連合の設立に尽力したとされています」

■当時の大学生の間で「原理研」が人気に

 岸の孫である安倍元首相との関係はさまざまいわれている。霊感商法などで世論の厳しい批判を受けた統一教会は名称変更をしようとしたがなかなか認められなかった。宗教団体が名称を変えるなどということは極めて異例で、何としてでも悪い評判が染みついた教団名を変えたかったのだろう。文化庁がこれを承認したのは安倍政権時代になってからだった。

 私が学生だった頃、東大生の間で「原理研」が人気だという記事が新聞に出たことがあった。統一教会の文鮮明総裁(当時)が提唱する考えだが、私がいた早稲田大学にもあり、活発に活動していたという。

 統一教会の悪名を広く知らしめたのは、1980年代中頃から『朝日ジャーナル』(朝日新聞社・休刊)が始めた「霊感商法」批判キャンペーンであった。

 霊感商法とは、「人の不幸に付け込み、その不幸の原因が先祖の因縁に理由があると不安を煽り、壺や多宝塔、一和(韓国の関連企業=編集部注)の高麗人参濃縮液などを原価の数十倍から数百倍で売り付ける」ものだと、ジャーナリストで元参院議員の有田芳生と週刊文春取材班の共著となる『脱会 山崎浩子・飯星景子報道全記録』(教育資料出版会)に書かれている。

 朝日新聞社が1987年6月に集計したところによると、1984年4月以降の被害は全都道府県で1万3000件、180億円にのぼったという。1987年の衆議院特別委員会で警察庁も、「各種の悪質商法の中でも最も悪質」だと答弁している。

■山崎浩子の「合同結婚式」で各社は大騒ぎ

 しかし、こうした報道にもかかわらず、統一教会に入信する若者は後を絶たなかった。脱会させようとする肉親たちの必死の説得にも耳を貸さず、カネや金品を持ち出したりするケースが多発し深刻な社会問題となっていった。

 そんな中、新体操の女王でタレントとしても人気のあった山崎浩子が統一教会に入信して、韓国ソウルで開催される「合同結婚式」にも参加すると、週刊文春(1992年7月2日号)が報じたのである。

 当時、私はフライデー編集長だったが、週刊文春の発売前から、スポーツ紙やワイドショーが大騒ぎしていたことを覚えている。

 合同結婚式というのは、見ず知らずの男女を文鮮明が選び、スタジアムで見合い・結婚させるものだが、1988年には6500組が結婚したといわれている。

 山崎は当時32歳。3カ月前に母親を亡くしていた。彼女は週刊文春のインタビューに応じてこう語っている。

 「合同結婚式で結婚すると聞いたらショックでしょうね。私もかつてはそうでしたし、ついこの間まで、祝福を希望することはないと考えていましたから。

 (タレント活動の=筆者注)マイナスになることは覚悟しています。三年かかって考えたことを一口に説明することはできませんが、信じているからこうしていると言うしかありません。こうしていられるのも神様のおかげだと思っています。

 あなたは神様を信じないのですか。統一教会の原理を勉強して下されば、せめて四十日勉強すれば、理解していただけると思うのですが」

■直後には歌手の桜田淳子も…

 その直後、さらなる激震が走ることになる。山口百恵、森昌子と一緒に「花の中3トリオ」といわれ、アイドルとしての地位を確立していた桜田淳子も入信していたことが明らかになったのである。

 しかも合同結婚式にも参加するということを、会見を開いて自ら語った。彼女の姉が熱心な信者だったため、感化されて入信したという。

 週刊文春(1992年7月9日号)によれば、彼女は「霊感商法」にも関わっていたようだ。後に彼女が所属していたサンミュージックの相澤秀禎社長は週刊文春に対して、桜田から壺を200万円で売りつけられたと語っている。

 だが、桜田は会見で、霊感商法について記者からの質問に、「霊感商法は詐欺だと考えていません」といい切ったのである。

 統一教会の反社会性に対する批判が大きくなることを恐れた教会側は、合同結婚式に話題を変えさせようと大々的なマスコミの情報操作に乗り出した。教会を批判するメディアには結婚式の取材をさせない、協力的なメディアには情報を与えるというものだった。

 多くのメディアは教会側が小出しにする山崎や桜田の結婚相手の情報欲しさに、教会の暗部を抉(えぐ)ろうと考えるメディアはごく少数になっていった。]

■スタイリストが人気タレントを勧誘する

 1992年8月25日にソウルで行われた合同結婚式の現場は、日本のメディアの取材合戦が繰り広げられ、さながら戦場のような雰囲気になったのである。

 連日、ワイドショーは合同結婚式を取り上げ、人気タレントの結婚式さながらのお祭り騒ぎを流し続けた。

 当時私も、幸福の科学という新興宗教団体と訴訟沙汰に発展していた。連日のように信者である歌手の小川知子や直木賞作家の景山民夫が率いる信者たちが、講談社の前を「フライデーを潰せ」とシュプレヒコールをして歩いていく姿がワイドショーで流された。

 絵になる被写体があれば主張などどうでもいい。テレビのやり方は今も変わらない。

 当時、人気タレントたちを次々に入信させていたのは、有名なスタイリストであった。彼女に誘われたなかに、当時人気キャスターだった飯干景子(旧芸名、以下飯干=編集部注)がいた。彼女の父親は元読売新聞社会部記者で後に作家になり、映画『仁義なき戦い』の原作を書いた飯干晃一氏である。

 週刊文春(1992年10月1日号)が景子の入信を報じると、すぐに父親から編集部に電話が入った。飯干は「統一教会に宣戦布告する」と宣言したのである。娘の景子はニューヨークへ行くといったきり姿を隠してしまっていた。

■連れ戻してからが「本当の戦い」だった

 私は飯干氏とは付き合いが長い。相談したいことがあると彼のマンションに呼ばれ、「何としてでも娘を取り戻したい。協力してくれ」といわれた。憔悴はしていたが、殺気のようなものが体からにじみ出ていた。

 だが、杳(よう)として娘の居所はつかめなかった。飯干氏は週刊文春(同年10月8日号)で「暴力団は肉体の暴力をもって、自らの経済的、政治的な目的を満たそうとする組織であるが、統一教会は精神的な暴力をもって経済的、政治的目的を遂げようという組織である。(中略)私は残りの半生をかけて統一教会と戦っていく」と宣言した。

 彼はあらゆる統一教会の資料や聖書を読み込み、理論武装していく。そこへ突然、景子が帰ってくるのだ。だが、本当の戦いはそれからだった。

 統一教会には、反対し脱会させようとする親たちにどう対処するのかを事細かに記したマニュアルがある。飯干氏は「娘の話はこんにゃく問答のようにつかみどころがない」といっている。信者の中には改心したかのように見せて逃げ出してしまうケースも多い。

 飯干氏は、キリスト教関係者と元信者たちにも来てもらった。少しずつ娘に変化が表れてきた。週刊文春(11月12日号)に掲載された飯干景子の手記「統一教会という迷宮を脱けて」で、彼女はこう書いている。

■「性格や行動、コンプレックス」を把握して忍び寄る

 元信者の一言がおかしいと感じて、旧約聖書のヨブ記を読み始める。そしてとにかく話を聞いてみようと思い立つ。

 「私は原理講論で使われている聖句を、聖書を通してじっくりと読んでみた。そして、統一原理が引用している聖句がいかにねじまげられて使われているかを理解し、統一教会の教理がどれほどずさんで、でたらめであるかを検証したのである。そしてその上で、統一教会自らが出版した膨大な量のパンフレットや書籍などを較べた結果、その中にある数多くの矛盾や嘘を、はっきりとこの目で確かめたのだ」

 数多くの元信者にも会った。何億という金をだまし取った女性もいた。そしてこの教会の恐ろしいところは、「彼等はただひたすら神を信じ、ここで諦めれば先祖も家族も皆地獄に落とされるという呪縛に捕われている。そしてその教えは、一気にその人を虜にするのではなく、徐々にその人の性格や行動、そしてコンプレックスや利用価値にあわせて、じわじわと忍び寄ってくる」と書く。

 彼女は教会幹部たちに問う。「原則として信者同士の結婚と言われている合同結婚式によって、どうして日本の信者の女性が統一原理のトの字も知らない異国の男性に嫁がされなくてはならないのか? (中略)霊感商法は関係ないと公にコメントを続けながら、なぜあんなに多くの元信者が統一教会の名のもとで経済活動を行ったと証言しているのか?」

 奪還に成功した飯干氏と旨酒を呑み交わしたのは、この手記が出た頃だった。

■「都合の悪いことは、全て信者の責任にする」

 山崎浩子を脱会させたのは、彼女の姉だった。子供もいる主婦だった姉は、山崎をマンションに匿い、仕事を辞めてまで協力してくれた叔父叔母と共に必死の説得を続けた。

 長い話し合いの末に、彼女を翻意させたのは姉が連れてきた牧師だった。牧師に手渡された『福音主義神学概説』を読み、統一教会の信仰は本当のキリスト信仰とはかけ離れていることを知る。飯干同様、あまりにもいい加減な聖書の引用、文鮮明師の美談、統一原理のルーツも真っ赤な嘘だった。牧師はこういう。「仕方のないことなんです。あなたたちはマインド・コントロールされてたんですから」

 そしてこう書く。「統一原理が正しければ、経済活動も、珍味売りも、正しいことであるはずだ。だとしたら統一教会は、経済活動も珍味売りもインチキ募金も統一教会でやっていると言うべきである。それが救いなんだと訴えるべきだ。統一教会は絶対に表に出ない。前面に立たない。そして都合の悪いことは、全て信者の責任にする『とかげのしっぽきり』みたいなことは素晴らしい宗教のやることではないと思う」(週刊文春1993年4月29日号「統一教会も私の結婚も誤りでした」)

■母親を引き込むのはたやすかったのではないか

 2人が長い時間はかかったが、マインド・コントロールが解けて脱会できたのは、親身になって支え、説得してくれる肉親がいたからであった。

 山上容疑者の伯父が週刊文春(7月21日号)に語っているところによると、山上の母親が統一教会に入信したのは1994~95年頃のようだ。まだ、桜田たちの入信、合同結婚式などが話題になり、山崎と飯干が脱会したことも話題になっていたに違いない。

 伯父も、子どもたちが困窮しているのを見かねて生活費を出していたが、何としてでも統一教会から脱会させようとはしなかったようだ。諦めが先行したのかもしれない。

 夫が自殺し、山上の兄は重度の障害があった。統一教会が彼女をマインド・コントロールするのはたやすかったのではないか。夫の保険金(5000万円といわれる)も、実父が持っていた土地も無断で売り払って、その金も寄付してしまったというのである。伯父にいわせれば、総額は1億円になるのではないかという。

 大学に入る金がなかった山上容疑者は、海上自衛隊に入る。

 しかし、2005年2月に山上は自殺を図る。彼は保険金の受取人を母親から兄に変更していた。病気の兄に少しでも金を残そうとしたようだ。その兄もその後、自殺してしまった。

 彼の中に、統一教会への恨みが澱のように溜まっていったのであろう。

■母親は「事件と統一教会は関係ないでしょう」

 2020年に奈良県内の派遣会社に登録し、京都府内の工場で働き始める。はじめは黙々と仕事をこなしていたが、翌年から勤務態度に異変が起き、従業員や上司ともトラブルを起こすようになっていったという。

 そして2022年7月8日午前11時29分、事件が起こる。

 事件後、母親は伯父のところに身を寄せ、こう話しているという。

 「私が統一教会に入ったことは徹也の人生には影響していない。事件と統一教会は関係ないでしょう。教義に反するようなことは、話したくない」

 彼女は教団のマインド・コントロールにからめとられたままのようだ。

 桜田や山崎の入信騒動から30年近くがたつ。統一教会は世界平和統一家庭連合と改称した。だが、身内の不幸で心が折れそうになった人たち、一生懸命に働きながらも自分の人生に疑問を抱いている若者たちに、甘言を用いて近付き、話巧みに彼らを“洗脳”して入信させ、物心ともに奪ってしまう非道なやり方が延々続いてきたのはなぜなのだろうか。

 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」日本人総健忘症と、メディアの怠慢だったと、私は考える。

■世間もメディアも教団の被害者たちに冷ややかだった

 山崎や飯干たちが「脱会」して、統一教会の悪徳商法や、信者からすべてを吸い上げるシステムを断罪したが、この国から教団を一掃できたわけではなかった。

 彼らは、宗教名を変え、トップを挿げ替えて、同じことを繰り返していたのに、一部のジャーナリストや被害者たちを救済している支援団体、弁護士を除いて、この教団への関心を持続させず、告発もしてこなかった。

 今回の事件の責任の一端は、メディアにもあると自覚すべきであろう。

 山上容疑者の母親のような悲惨なケースは他にもまだある。その人たちの親族が統一教会に恨みを抱き、同じような凶行に走らないといい切れるだろうか。

 山上容疑者は、教団トップを狙うのは難しかったから、教団と関係があると思われた安倍元首相を狙ったと供述している。だが、彼のいい分に私は首を傾げる。

 山上はツイッターなどに心情を吐露したメッセージをいくつも出している。

 「21年6月7日には、『根こそぎ金を持ち出し親戚に無心し家事は放棄し何日も家を空け、聞けば「世界を救う神の計画の瀬戸際」だと言う。そんな宗教もある。もちろん統一教会だが』と記した」(朝日新聞デジタル7月19日 7時00分)

 不幸だった子ども時代、母親への思い、教団への恨みなどを、誰かに聞いてもらいたかったのだろう。しかし、世間は彼のいい分にほとんど耳を傾けてくれず、冷ややかだった。

■第2、第3の山上事件が起こる可能性がある

 山上容疑者が、母親の不実を詰(なじ)り、自分や自殺した兄がそのことでいかに惨めな人生を強いられたのかを世に訴えたいと考えたとしたら。もしそれが目的だったとしたら、安倍元首相には極めて失礼ないい方にはなるが、彼は目的を十分に果たしたと思っているのではないだろうか。

 平和と家庭の幸福を願っているかのように装う統一教会は、他人の不幸につけ込み、心の中に入り込んでマインド・コントロールするだけではない。長い間、政治の世界にも広く深く根を張り、金と信者たちを使って政治家たちを操ってきたことも知られている。

 日本の事件史の中で初めてといっていい、個人的な恨みで要人を暗殺する凶悪なテロ事件を機に、メディアは総力を挙げてこの教団の闇を暴き、マインド・コントロールされている信者たちを救い出し、政治家にはこの教団とのパイプを断ち切れと求めなくてはいけない。

 そうしなければ、今後、第2、第3の山上事件が起こることになる。私はそう考えている。

 

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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。
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ジャーナリスト 元木 昌彦

 

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統一教会の広告塔だった桜田淳子の今 脱会せず夫婦関係継続も新たに“占い師”にも心酔

2022年07月20日 22時40分53秒 | 社会・文化・政治・経済

7/20(水) 16:15配信 NEWSポストセブン

合同結婚式で結婚した桜田淳子

 連日のように続報が伝えられる安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41才)の供述が明らかになるにつれ、ある宗教団体との関連に注目が集まった。統一教会(2015年に世界平和統一家庭連合に改称。本稿では統一教会と記述する)である。

【写真】合同結婚式に参加した桜田淳子のウエディングドレス姿とお相手男性とのツーショット

「当初、テレビや新聞は“特定の団体”として具体的な名称を伏せていました。ところが、当の教会側が会見で容疑者の母親が入信していた事実を認め、各社が一斉に“実名報道”に切り替えたのです。容疑者が多額の献金が家庭崩壊を招いた要因だったと供述したのを機に、それまで静観していたマスコミの論調は一変、教会には厳しい批判の目が向けられるようになりました」(全国紙社会部記者)

 統一教会の名が広く一般に知られるようになったのは1992年頃。有名女優やスポーツ選手が相次いで入信を表明し、ワイドショーや週刊誌がこぞって教会の問題を取り上げるようになった。あれから30年。当時、教会の“広告塔”といわれた芸能人は、いま何をしているのか、そして今回の事件をどう受け止めているのか。

 1992年、女優として第一線で活躍していた桜田淳子(64才)の告白は、芸能界のみならず日本中を驚かせた。

「韓国で行われる教会主催の“合同結婚式”に参加することを会見で表明したのです。見ず知らずの男性と結婚することは『価値観が一緒で人生の目的が同じ人が集まるのだから、不安はありません』とし、当時問題視されていた“性の儀式”についても『正しい家庭生活をスタートする上での厳粛な儀式と考えています』と臆面もなく言い切っていました」(芸能関係者)

 当時、桜田が所属していたサンミュージックは“脱会”しなければ芸能活動を続けるべきではないと説得を試みたが、彼女の意思は固く、“祝福結婚”と呼ばれる式に参加。そのまま表舞台から姿を消した。

 引退状態だった桜田が約14年間の沈黙を破って出版したのが2006年の自伝『アイスル ジュンバン』(集英社)だ。同書で桜田は、結婚後に3児をもうけたことや幸せな家庭を築いたことを綴ったが、統一教会についてひと言も触れていないことには批判もあった。

「熱心な信者であり続ける彼女が、近況を発信すること自体が“広告塔”としての活動とみなされたのです。出版と同時期に芸能活動を再開することも検討していたようですが、皮肉にもこの一件で再び芸能界と隔たりができてしまった」(前出・芸能関係者)

 その後も活動再開をあきらめずにいた桜田が、捲土重来を期したのは2013年。“育ての親”と言われたサンミュージックの会長の通夜で公の場に姿を見せ、それを機に芸能活動を活発化させていく。

「デビュー40周年を記念したベストアルバムを発売し、ファンイベントも開催。さらに2017年にゲスト出演したイベントでは、過去に主演したミュージカルの主題歌などを歌ってアイドル時代と変わらぬ美声を披露しました。休業中もボイストレーニングを欠かさず、いつ復帰してもいいように態勢を整えていたといいます」(芸能記者)

 2018年の『婦人公論』(3月13日号)では《この先10年間で今までの芸能活動の総括をしようと思っています》と宣言。「桜田淳子プロジェクト」と銘打ってホームページも立ち上げたが、このときも周囲の反応は冷ややかだった。

「芸能活動を総括する前に、いまだ一度も説明していない“広告塔”問題について釈明すべきとの批判が根強くあったのです。脱会する意思のない彼女に対しては、古巣の事務所もバックアップを拒んでいました」(前出・芸能記者)

同時期に報じられた講演会での発言も物議を醸した。

「2015年2月に都内の教会本部で講演した際、大勢の信者に向けて創設者の文鮮明氏を“再臨のメシア”とたたえ、信仰に恥じないよう“誰から見てもうらやましく見える家庭を築きたい”と発言したという内容でした。桜田さんの発言は教会幹部から信者にメールでも送られたと報じられ、いまも広告塔として活動している実態が露見したのです」(前出・芸能記者)

桜田には別に心酔する人物がいる
 その後、地元・秋田の介護施設でボランティア活動をしている姿が目撃されたのを最後に再び姿を消した桜田は、いまどうしているのか。彼女のホームページを運営する代表者は次のように話す。

「いま、本人に連絡を取り次ぐのは無理だと思います。実は今回の事件があってから私も何度か連絡してみたのですが、電話はつながらないし、返事もありません。現在も(教会を)脱会してませんし、夫婦仲も変わっていないと聞いています」

 芸能活動の総括を中断した理由を聞くと、

「占いですよ。占いで“3年待て”と言われたからです」

 実はいま、桜田には信仰とは別に心酔する人物がいる。政財界や芸能界に多くの顧客を持つ四柱推命の女性占い師・A氏だ。四柱推命とは中国の陰陽五行説をもとに命運を推察する占いとされ、A氏は相談者の生年月日と生まれた時間から、10年先までの運気がわかるという。

「仕事関係者の紹介で数年前にAさんの存在を知った桜田さんは、ことあるごとにAさんに連絡をとってアドバイスを求めていました。Aさんによれば人間には“8つの玉”があり、桜田さんの場合はそのうち5つが芸能に関する星なのだとか。活動を自粛したのもAさんの助言によるもので、いまも再開のめどは立っていません」(別の芸能関係者)

 真意を聞こうと桜田の自宅を訪ねたが不在。復帰計画は“開店休業状態”で、関係者とも連絡を絶つ“音信不通”状態が続いている。A氏から止められていた時期はすでに過ぎているとみられるが、今回の事件で再開時期はさらに遠のいてしまったかもしれない。

※女性セブン2022年8月4日号


ガーシー氏、国会どうする 「不当逮捕の動き」と主張

2022年07月20日 22時38分52秒 | 事件・事故

7/20(水) 20:33配信 共同通信

NHK党の立花孝志党首は、参院選比例代表で同党から初当選したユーチューバーのガーシー氏が帰国せず、国会に出席しないとの見通しを示している。「不当逮捕の動きがある」として、帰国には逮捕されない保証が必要と主張する。一方、国会議員には登院義務がある。秋の臨時国会では懲罰を受ける可能性もあり、動向が注目される。

【写真】当選すればさらなる暴露をするなどとして投票を呼びかけていたガーシー氏と立花党首

 ガーシー氏は「芸能界の裏側」を暴露するとしてユーチューブで人気を集めた。15日に記者会見した立花氏によると、アラブ首長国連邦のドバイに滞在。警察が詐欺容疑で不当逮捕しようとする動きがあるとしている。

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ひろゆきが提案する「カルト宗教規制法」に称賛集まる…見え隠れする “政界進出” の野心

2022年07月20日 20時46分57秒 | 事件・事故

7/20(水) 18:20配信 SmartFLASH

ネット掲示板「2ちゃんねる」開設者で実業家のひろゆきこと、西村博之氏が提案する “カルト宗教規制法案” に称賛の声が寄せられている。

 7月8日に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件。逮捕された山上徹也容疑者は、警察の調べに対し、「特定の宗教団体に恨みがあった」と供述しているという。

 複数の報道によると、山上容疑者の母親は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に1億円を超える献金をしたことで自己破産。結果的に山上容疑者は困窮し、教団と関係のある安倍元首相を狙ったとされている。

 たしかに、同教団の関連団体「天宙平和連合」(UPF)が開いた大規模集会に、安倍元首相が祝電やビデオメッセージを寄せてきたことは、これまでも本誌や「しんぶん赤旗」などが報じている。

 また、ほかにも多くの自民党議員が旧統一教会と関係を持っていたことが判明している。こうした事態を問題視するひろゆき氏は、自身のTwitter上で連日にわたり、旧統一教会を規制すべきだと訴えている。

《安倍元首相の暗殺は計画的犯罪なので極刑になるべきです。ただし、彼と同じような境遇の人を二度と出さないためにも、カルト宗教がのさばる状況を変えるべきです。庶民は納税義務があるのに、カルト宗教に非課税の特権を与える続けてる政府の思惑が理解できないおいらです》

《カルト宗教規制法案。カルト宗教は信者に借金させまくって、寄付させて、自己破産させる方法を指南したり、洗脳のために監禁したりという違法行為をしています。違法行為を数えて、一定の回数を超えた団体様は裁判官による判断というフランスの反カルト法のようなやり方で良いと思います》

 これらの投稿には多くの反応があり、ネット上では、

《これについては、ひろゆき氏に賛成》

《この反カルト法は日本でも検討していく価値は十分にある》

《あって当然の法案だと思います》

 と賛同の声が広がっている。

 熱心に “反カルト” を訴えるひろゆき氏。一部では、政界進出への野心の現れではないかと言われている。

「ひろゆきさんがここまで熱心に、繰り返し特定の法案について言及するのは珍しい。ひろゆきさんの “マニフェスト” といえばベーシックインカムですが、ここに “カルト規制” も加わる形ですから、より具体的な社会変革、政治変革への意思を感じます。

 さらに、ひろゆきさんは、参院選で乙武洋匡さんの応援演説をするために、6月にフランスからわざわざ帰国しました。応援に来た理由を『面白いムーブメントの参加者になりたかった』とまるで他人事な “ひろゆき節” を発揮していましたが、単なる “ご意見番” にとどまらず、選挙の応援という形で実際の政治活動に参加した意味は大きいですよ。

 匿名掲示板の管理人だったひろゆきさんは、現在では若年層から熱烈な支持を集める一大論客になっています。政界進出を期待する声はネット上でも数多くあるので、今後、政界に進出する可能性は十分あると思います」(スポーツ紙記者)

 国会での “論破” も期待したいところだが……。

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旧統一教会の元信者が語る献金問題 「韓国への罪悪感が強い動機に結び付く」「家族は愛情が強いほど宗教団体への憎悪が暴走」

2022年07月20日 20時29分54秒 | 事件・事故

ジャーナリスト・多田文明氏
7/20(水) 17:00配信 夕刊フジ

約10年間入信していたという多田氏

安倍晋三元首相を銃撃し、殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)をめぐっては、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入信した母親の巨額献金が家庭崩壊を招いたという背後関係も浮上している。母親はなぜそこまで献金を重ねたのか。旧統一教会に入信経験を持つジャーナリストの多田文明氏は、自身の経験から「罪悪感が献金への強い動機になっている」と話す。

【写真】旧統一教会の信者が購入した"3千万円"の教本や壺など

山上容疑者の親族らによると、母親の献金額は総額約1億円にのぼり、破産した後も献金を続けていた。

悪徳商法に詳しい多田氏は、1987年から約10年間入信していた。その経験を元に「信者に罪の意識を植え付け、償いとして多額の献金を求める。教義ではそもそも人間は堕落し罪を抱えた存在だとし、日本人は韓国を植民地として支配していた時代にひどい仕打ちを繰り返したと徹底して教え込まれた。韓国への罪悪感が献金への強い動機に結び付くからだ」と説明する。

全国霊感商法対策弁護士連絡会は12日の記者会見で、日本国内で求める献金は韓国での献金の約10倍にのぼると明らかにしている。

多田氏は「(創始者の)文鮮明氏が、日本が植民地化していた韓国で、当時の警察から拷問を受けたという話も教えられた。『日本人は救世主(文氏)にもムチを打った罪を背負っている』という言い分だった」と振り返る。

母親の入信や献金で家庭が崩壊したことに恨みを持ち続けた山上容疑者だが、ツイッターや犯行直前にジャーナリストへ送ったとみられる手紙には「オレは努力した。母の為に」など家族への愛情をにじませる文面もあった。

これについて多田氏は「母親が入信したことで、自分自身もみじめで悲惨な目に遭っているという訴えや、家族への愛情を読み取ることができる」と語る。

多田氏が脱会できたのも、家族や親族のサポートがあったという。一方で「信者の家族は、愛情が強いほど宗教団体への憎悪が暴走してしまうことがある。憎悪が凶行へつながる前に、山上容疑者の考えを受け止め、軌道修正できる第三者がいればよかったのだが」と多田氏。

山上容疑者の凶行について多田氏は「最悪の形だが、1980年代に注目された霊感商法がいまだに存在することや、正体を隠し接触する勧誘の手口、政治家との関係、宗教2世問題などが明るみに出た。報復を恐れていた元信者らも声を上げやすくなった」とする一方、こう強調した。

「殺人事件に発展するまで問題が放置されてしまった。恨みは実力行使で晴らすべきではなく、こうなる前に問題が白日の下にさらされるべきだった」

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伊藤詩織さん、性被害当時に刑事部長だった中村格警察庁長官に「お話しして欲しい」

2022年07月20日 12時18分48秒 | 事件・事故

7/20(水) 12:51配信 日刊スポーツ

会見で質問に答える伊藤詩織さん(撮影・村上幸将)

 ジャーナリストの伊藤詩織さん(33)が20日、都内で会見を開いた。元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(56)から性的暴行を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は7日、双方の上告を退ける決定をし、山口氏に約332万円の賠償を命じた。今回の会見は被害に遭ってから7年、裁判を起こして5年を振り返るという趣旨で開かれた。

【写真】性暴力の被害に遭った際に着ていた服を着用してスピーチする伊藤詩織さん

 質疑応答の中で、山口氏に対して伝えたいことは? という質問が出た。伊藤さんは「公で被害を語ることをしてから、自分の中で当事者の観点と、距離を置いてジャーナリストとして2人を作っています。感情としては当事者として伝えたいけれど…」と語った。その上で「感情的な気持ちは、山口氏に対して驚くほどなく、裁判で問いかけたことも、日本の司法裁判で、どういう判決が出るか、ということだった。彼の中の彼なりのコメントとして『違法なこと、犯罪ではない』と繰り返していた。日本では、同意のない性行為は、犯罪ではないかも知れないと大きな声で言える国ということ」と語った。

 伊藤さんは、15年4月3日に山口氏と会食した際に意識を失い、ホテルで暴行を受けたと主張し、準強姦(ごうかん)容疑で警視庁に被害届を提出した。そのことについて、複数のメディアの取材に対して、同6月には山口氏の逮捕状が発行されたが逮捕直前に取り消されたと話し「捜査員から『警視庁幹部の指示』と説明を受けた」と語っている。そのことを踏まえ、当時の警視庁刑事部長だった中村格警察庁長官に対しても、言いたいことはあるか? という質問が出た。

 伊藤さんの賠償が確定したことが明らかになった8日には、伊藤さんの事件が発生した際、政権を担っていた安倍晋三元首相が、参院選の遊説が行われていた奈良市内で銃撃を受けて亡くなった。そのことを受けて、中村氏は12日の会見で「重く受け止めている」と、警備などの責任を認める発言をしている。

 伊藤さんは、安倍元首相の銃撃について「実際のところ(賠償確定の)話は安倍元首相が撃たれたその日に聞いた。(賠償の確定を)どう受け止めて良いか、分からなかった」と語った。その上で、中村氏に対して、一部には同氏の進退が問われているとの報道があることも踏まえ「中村さんには(警察の)トップに立つ立場として、ここまでいろいろな質問が投げかけられた中で答えを出さない。私の中に気持ち悪いものがある。お話ししてから、辞めて欲しい気持ちがあります」と語った。

 

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山上容疑者の母「信仰は続けたい」 妹が事件後に漏らした“本音”とは

2022年07月20日 12時12分36秒 | 事件・事故

7/20(水) 11:31配信 デイリー新潮

兄、妹のために自殺未遂

安倍元総理の銃殺事件から10日余りが経過した。背景にあったのは、山上徹也容疑者(41)の母親の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への傾倒。当の母親は事件後、近しい知人に「信仰は続けたい」と語っているという。

【画像8枚】自殺した父と兄、宗教に貢ぐ母 山上容疑者の複雑な家庭環境

 ***

 山上容疑者の伯父によると、母親は夫の自殺と、息子(山上容疑者の兄)が6歳の時に小児がんになったことを機に、統一教会に入信。その後、夫の死亡保険金などを含め、1億円以上を献金してきた。結果、「(山上容疑者は)大学は入学金や学費の問題があって、断念せなあかんかった」(山上容疑者の伯父)という。

 高校卒業後、任期制自衛官として2002年に海上自衛隊の佐世保教育隊に入隊した山上容疑者は、05年1月、自殺未遂を起こしているが、

「統一教会が原因で兄と妹の生活まで困窮している。そこで、自分が自殺して保険金を渡そうと考えたというわけです。本人からそう聞きました」(同)

「信仰は続けたい」
 山上容疑者を自殺未遂、そして今回の凶行へ追い込んだ母親は、いま何を思うのか。17日朝に電話を受けた、彼女と親しい統一教会の関係者が声を潜めて言う。

「母親は安倍さんのご家族に謝罪したいとは話していましたが、一方で、息子さんがこれだけ重大な事件を起こしたのに、教会の批判は一切、口にしていません。事件後も“私の至らなさで、こんなことになってしまった。でも、信仰は続けたい”と言っています」

 なおも信仰を捨てていないあたり、問題の根深さを感じさせる。一方で、山上容疑者の妹に遭遇した知人は、こう打ち明けられたという。

「もう4年くらい会ってないし、一緒に住んでもおらんから、事件起こしたとか言われても、知らん」

 7月21日発売の「週刊新潮」では、山上容疑者が統一教会を批判するルポライターに送っていた手紙、伯父への取材などから、彼を凶行に走らせた背景について詳報する。

「週刊新潮」2022年7月28日号 掲載

新潮社

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“安倍氏銃撃”の山上徹也容疑者はなぜTwitterのアカウント名を「silent hill 333」にしたのか

2022年07月20日 12時10分53秒 | 事件・事故

7/20(水) 11:45配信 NEWSポストセブン

最近は工場勤務だった(中学生の頃の山上徹也容疑者。卒業アルバムより)

 奈良県奈良市で遊説中の安倍晋三・元首相(享年67)を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者(41)は、宗教団体への恨みなどをSNSに繰り返し投稿していた。山上容疑者は事件直前、安倍氏の殺害を示唆する手紙をルポライターに送っており、そこからTwitterアカウントの存在が判明した。

【写真】山上容疑者の中学時代の意外な姿。他、安倍氏と昭恵さんの結婚時のツーショット。母・洋子さんの94才の誕生会に参加した安倍氏ら三兄弟も

 7月19日現在、当該アカウント「silent hill 333」は、Twitter社によってアカウントが凍結され、閲覧できない状態となっている。一体どんな内容が書かれていたのか。

「2019年から投稿を続けており、〈オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた〉や〈オレは母を信じたかった〉といった自身の家庭環境に関するツイートや、政治やニュースに物申すようなツイートが多かったです。安倍政権に批判的な立場というより、むしろ一定の評価はしていたようで、“ネトウヨ”を自称するツイートもありました。

 また、2019年の時点で〈オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない〉といった投稿もしています」(全国紙記者)

 山上容疑者は、2019年に公開された映画『ジョーカー』に感情移入していたようだ。同映画は、善良な道化師が貧困と病気に悩み、悪の道に進むまでを描いた物語だ。山上容疑者は『ジョーカー』の感想を複数回ツイートし、〈ジョーカーという真摯な絶望を汚す奴は許さない〉とつづっていた。また、、〈この時代のこの人の輝きが永遠に残って欲しい思う〉と歌手・鬼束ちひろのヒット曲『月光』の動画を紹介している。

 山上容疑者のツイートに注目が集まる中、「silent hill 333」というアカウント名についても話題に上っている。2003年にコナミから発売されたホラーゲーム『サイレントヒル3』との関連がまことしやかにささやかれているのだ。

「『サイレントヒル3』は、ホラーゲームの金字塔として名高い『サイレントヒル』シリーズの第3作目です。累計840万本を超える大ヒットシリーズなので、たしかに山上容疑者がこのゲームのことを知っていた可能性はあります。

『サイレントヒル3』はカルト教団をテーマにした物語で、ヒロインは教団をめぐる因縁を断ち切るために信者と戦います。親子愛も大きな要素のひとつで、前向きで感動的なラストではあるのですが、山上容疑者は何か彼なりの受け止め方をしてしまったのかもしれません」(全国紙記者)

 もちろん、上記に挙げた作品やアーティストに事件の責任は全くない。ただ、日本を揺るがした大事件の容疑者であるだけに、“山上徹也とはどんな人間だったのか”に強い関心が持たれ、彼が言及したり、関係していそうなコンテンツにも注目が集まっているということなのだろう。

山上容疑者の内面についても、今後の供述で明らかになっていくはずだ。

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ノンフィクションドラ「説得」ビートたけし主演

2022年07月20日 11時49分53秒 | 社会・文化・政治・経済

説得(平成5年度文化庁芸術祭芸術作品賞受賞作品)

交通事故で重傷を負った息子への輸血を、信仰上の理由から拒否した両親の苦悩を描いたマノンフィクションドラ。出演はビートたけし、大谷直子ほか。

ビートたけし、大谷直子、森本レオ、斉藤洋介、渡辺いっけい、斉藤晴彦、鶴田忍、小日向文世、小坂一也、反田孝幸、青木秋美、森廉 ほか


みどころ
「昭和46年大久保清の犯罪」(1983年)や「イエスの方舟」(1985年)に続く、ビートたけし主演の社会派ドラマとして1993年に制作された「説得」。

交通事故にあった小学生への輸血を信仰上の理由から両親が拒否し、結果死に至らしめてしまった実際の事件を取材した大泉実成の原作を映像化。ビートたけしは、我が子と信仰との狭間で揺れる父親を好演している。

ドラマでは、両親が出会って結婚したのち信仰と出会うまでのエピソードを織り交ぜながら、事件当時あまり知られていなかった医師たちと両親のやり取り、それぞれの立場での葛藤を描く。

重傷の患者を救うために輸血を行いたい医師たちの苦悩。衰弱する息子を目の当たりにしながらも輸血を承諾できない両親の苦悩。

山元清多による脚本は、偏ることなくそれぞれを鋭く描写している。平成5年度文化庁芸術祭芸術作品賞受賞作品。

【ストーリー】
昭和60年11月。少年の乗った自転車がトラックに巻き込まれるという交通事故が起きた。救急車で病院に向かう時点では、少年・荒木健(反田孝幸)の意識ははっきりしていた。処置室に運ばれた健は、複雑骨折をしており、裂傷もひどく出血も多い。容態を落ち着かせるためには輸血が必要だが、それには親の承諾が必要だった。
病院からの連絡を受けた健の父・昇(ビートたけし)と母・ますみ(大谷直子)は、車を飛ばして病院へ向かう。その車中、二人は胸が張り裂けそうな不安をひとつ抱いていた。
「輸血を受けなければならないような大怪我でなければいいが…。」

番組データ
出演 ビートたけし、大谷直子、森本レオ、斉藤洋介、渡辺いっけい、斉藤晴彦、鶴田忍、小日向文世、小坂一也、反田孝幸、青木秋美、森廉 ほか
制作年 1993年
全話数 1話
制作 TBS
プロデューサー 八木康夫
ディレクター・監督 山泉脩
原作 大泉実成
脚本 山元清多

エホバの証人事件で息子の輸血を拒否した父親と、演じたたけしの距離
ビートたけしが演じた戦後ニッポン(4)

俳優・ビートたけしはこれまで多くの「昭和の大事件」の当事者を演じてきた。大久保清、千石剛賢、田岡一雄、金嬉老、東条英機。さらには、3億円強奪事件の犯人、豊田商事会長刺殺事件の犯人、エホバの証人輸血拒否事件で死亡した男児の父親……。

そうした現代史とたけしの半生を重ね合わせながら、戦後の日本社会を考察する好評連載第4回。今回は、「エホバの証人」事件で息子の輸血を拒否した父親とたけしの「距離」に着目した。

たけし、市井の人間を演じる
1984年、ビートたけしは、週刊誌『朝日ジャーナル』の「若者たちの神々」という連載対談に登場した。このころのたけしは、政治や社会問題などへの発言も増え、著書も出すようになっていた。対談では同誌編集長・筑紫哲也がそれを踏まえて

「あなたの書いているものは、自分たちの影響力よりはるかに強いと思う。教祖になってしまうのではないか」

と訊ねると、《だから、宗教団体にするといちばん儲かるといわれてる。あの本は三〇〇〇円で売るべきだと。普通の値段だとまずいんで、高くして経典とすれば売れるって》と返している(筑紫哲也ほか『若者たちの神々Ⅰ』新潮文庫、1987年)。

文字どおり若者の教祖となったたけしは、宗教や信仰をテーマにした映像作品にもたびたび出演している。

1985年にTBSの単発ドラマ『イエスの方舟』(八木康夫制作、池端俊策脚本)で教祖(モデルは実在の宗教団体「イエスの方舟」の主宰者・千石剛賢)を演じたのをはじめ、1993年には、自著の同名小説(1990年刊)を原作とする映画『教祖誕生』(天間敏広監督)に新興宗教の教団幹部の役で出演した。

『教祖誕生』と同年、1993年には、やはり宗教をとりあげたTBSの単発ドラマ『説得――エホバの証人と輸血拒否事件』にも出演している(3月22日放送)。先の2作が宗教団体に焦点を絞ったものだったのに対して、『説得』では個人の信仰がテーマとなった。

『説得』のモデルとなったのは、前回とりあげた豊田商事会長刺殺事件と同月、1985年6月6日に川崎市で実際に起こった事件である(ただしドラマのなかでは日付は変えられている)。この日、小学5年生の男児が自転車に乗っていてダンプカーと接触、両足などを骨折して同市内の病院に救急搬送された。

医師の指示で手術を受けることになったが、駆けつけた両親が、自分たち家族の信仰するキリスト教の一宗派「エホバの証人」の教義を理由に輸血を拒否する。このため医師らはほとんど手の施しようがなく、男児はけっきょく出血多量で死亡した。

このドラマでたけしは、事故に遭った男児の父親を演じている。その役柄はたけしにとってはやや異質といえる。彼がドラマや映画で演じてきた人物の多くは、暴力のイメージがつきまとうが、本作の父親にはそれが一切ないからだ。そもそもまったくの市井の人物(元サラリーマンで、事件当時は小さな書店を経営していた)という役どころからして、たけしには珍しい。

ただ、テレビドラマには難しいテーマをとりあげた点では、ほかのたけし主演の実録ドラマと同じだ。先述のとおり、たけしはこれ以前に『イエスの方舟』で教祖を演じているが、そこで焦点となった宗教と家族の問題は、形を変えて『説得』に引き継がれているともいえる。

子を見殺しにする親
このドラマは、TBSのプロデューサー八木康夫が、ノンフィクションライターの大泉実成の同名の著書(現代書館、1988年)を原作に企画したものである。

くだんの事件に際してマスコミでは、病院に運ばれた男児が「生きたい」と訴えたと報じられ、そう叫ぶ子供をなぜ救うことができなかったのかという批判が渦巻くことになる。

当時大学院生だった大泉は、少年がなぜ「生きたい」と叫んだのか、そしてその意志はどこにあったのかを知りたくて、関係者たちのなかに飛びこんでいったという。

大泉が真相を探るためにとった手段は、男児の父親が出入りしていたエホバの証人の集会所に自らも通い、聖書研究に参加しながら父親と接触するというものだった。いわば潜入ルポというわけだが、しかし大泉は、たとえば鎌田慧がトヨタ自動車の工場に季節工として潜りこんで書いた『自動車絶望工場』のように告発のためにこの手段を選んだわけではない。

そもそも大泉がこの事件に惹きつけられた理由は、何よりもまず、彼自身が少年時代にエホバの証人の信者だったからだ。それゆえ本書の取材においても、あくまで父親に寄り添うように、その心情を探ろうとしている。

ただ、こうした手法で書かれたノンフィクションをそのままドラマにはしにくいはずだ。それに加え、先述したとおりテーマ的にもハードな問題をはらんでいる。事実、脚本を担当した山元清多は、八木康夫から渡された原作を読み、その新しいスタイルに魅かれつつも、テレビドラマにするとなると正直腰が引けたという。

《舞台や映画ならともかく、お茶の間の視聴者に、いかなる理由があるにしろ輸血すれば助かったはずの子供に輸血させないで言わば見殺しにしてしまうという親の選択が説得力を持つのだろうか?》

というのがその理由であった(日本脚本家連盟編『テレビドラマ代表作選集 1994年版』日本脚本家連盟、1994年)。けっきょく山元は、台本を書き始めるまでに、依頼されてから2年近く躊躇の時間をすごしたという。

事件の当事者は普通の人たちだった
躊躇の末に山元が選んだのは、ホームドラマというスタイルであった。

もともとは劇団黒テントの座付き作家・演出家である山元には、テレビでの代表作として、『ムー』シリーズや『時間ですよ 平成元年』『パパとなっちゃん』などホームドラマも多い。ちなみにたけしとは、彼の初の主演ドラマである『刑事ヨロシク』に脚本家の一人として携わっていた。

『説得』では、たけし演じる父・昇と大谷直子演じる母・ますみが、息子の健が交通事故に遭ったことを知らされ車で病院へと向かう。病院に到着するまでのあいだ、回想シーンが折に触れて挿入される。そこでは時間を13年ほどさかのぼり、ともに服地問屋で働いていた昇とますみの馴れ初めから、結婚して子供をもうけ、事故当日を迎えるまでの日々が丁寧に描かれている。

ホームドラマという形式をとって、ひとつの家族が形成されるまでの推移がくわしく描かれたのは、事件の当事者があくまで普通の人たちであったことを強調するためだろう。

昇は、長女に続き健の生まれるころ全国チェーンのスーパーマーケットに転職し、各地を転勤しながら、仕事に生きがいを感じるようになっていた。だが、店次長に昇進後、小学生となっていた長女が引っ越し続きの生活に不満を抱き家出騒ぎを起こしたあたりから、働きづめの日々に疑問を覚え始める。

昇の勤める店舗に対して本社からのノルマもきつくなるばかりだった。そんな本社の売り上げ至上主義に、昇は「俺たちは“安売りの機械”じゃない」とすっかり嫌気が差して、ついには退職してしまう。

昇がますみの勧めで聖書を読む会に参加し、信仰に心のよりどころを求めていったのもちょうどこのころだった。退職後、生まれ育った川崎に戻って個人経営の書店を開いてからは、教派の集会所の建設にも協力、信者同士のつながりを深めていく。

ちなみに、現実の男児の父親が勤めていたのは大手スーパーのダイエーである。1970年に入社した彼は、ダイエー創業者で当時の社長だった中内功(功は正しくは工に刀)の「国民の生活レベルを向上させよう」などのスローガンに共鳴していたという。

しかし、高度経済成長が終わり、大量生産・大量消費から、消費の個性化・個別化へという時代の変化に、ダイエーはうまく乗れなかった。消費者の流れは、ダイエーに「より安く」だけを求め、「よい品」はほかの店で買うというふうに変わっていたのだ。

だが、現場がそのように報告しても本社は聞き入れず、一方的な割り当てをして強制的に商品を送りこんでくる。当然、商品は一向に回転せず、在庫が増えるばかりだった。これに父親は不満を募らせていく。

そこへ来て1980年、中内は小売業界初の売上高1兆円を達成したのを機に、今度は1985年度までに新規事業を含めダイエーのグループ全体で4兆円の総売り上げを出そうという構想を打ち出す。

しかしそれには莫大な設備投資を必要とし、そのしわ寄せは一気にダイエー本体へと及んだ。内部での足の引っ張り合い、首切りが始まるなかで、店次長となっていた父親はそれまでに蓄積した不満を一気に爆発させ、翌81年には退職を決意したのだった。

なお、ダイエーの4兆円構想はその後、1983年より連結決算で3期連続の赤字を出したことで頓挫する。中内の呼号する売り上げ至上主義と、徹底した本部中央集権制はここでようやく見直しを迫られたのである。

劇中での「安売りの機械」というセリフは、現実の父親がダイエーで言われ続けてきた「おまえたちは売る機械だ」との言葉がもとになっている。これに彼は何度も「なぜ人間として扱われないのか」と強い反感を持ったという。これがやがて退職の動機となった。

男児は最後に「生きたい」と言ったのか
スーパー勤務時代、家庭をほとんど顧みず仕事に邁進した父親の姿は、高度成長期以後の日本のサラリーマンの最大公約数といえる。

サラリーマン生活から自らの意志で離脱し、信仰を心のよりどころとしたのは全体でいえば少数派だろうが、しかし父親が聖書を読む会で知り合ったのは、ごくごく普通の人たちであった。

事件が起きてから、病院側に決意書まで提出して子供への輸血を拒んだ両親に批判が集まった。なかには両親を狂信者的に扱い、センセーショナルに伝える報道もあった。

だが、実際には両親、とくに父親には、病院側に輸血拒否の意志を伝えてからもそうとうの葛藤があったことが、『説得』の原作でもドラマでもあきらかにされている。

父親は、息子を助けたい気持ちと、仲間の信者たちを裏切ることで家族の心のよりどころを失いたくないという思いとのあいだで板挟みとなった。病院では何度となく、医師と、集まった仲間の信者とのあいだを往復してそれぞれに相談する。

医師たちは当然、輸血を訴えるのに対して、信者たちはあくまで輸血の拒否を主張した。そのなかで父親は、輸血せずに手術できないかと医師たちに懇願する一方で、ほかの病院でそれが可能なところがあるならそこに息子を移すつもりで電話で探し求めたりもした。

医師たちのあいだでも、あくまで両親を説得してから輸血するという意見と、有無を言わさず輸血するという意見とに分かれた。ドラマでもその様子が描かれている。なかでも印象深いのは、小坂一也演じる整形外科部長だ。彼は自身がカトリック信者である立場から、信仰をできるかぎり尊重しながら説得を試みる。

病院に乗りこんできた警官(演じるのは斎藤晴彦)が「信仰が人間の命より大事なのか!」と叫んだのに対し、小坂演じる部長は「人間は信仰のために死にもすれば、殺しもするんですよ! いま世界中で、宗教の違いからどれだけの紛争や戦争が起きているか知っているのか!」と言い返す。

このあと、男児の容体がいよいよ危なくなり、麻酔担当医が輸血を強行しようとしたときにも、「私は、人間がなぜ信仰を必要とするか理解しなければ、説得はできないと言ってるんだ!」と訴え続けた。

この整形外科部長はおそらく、原作で取材に応じた一人で、男児の運ばれた病院の理事長がモデルと思われる。理事長もまたカトリック信者であり、

《どんな宗教であっても、僕自身が大事にしてると同じように、他の人達も大事にしてる。だから、相手を、僕はやっぱり尊重したいっていう気持ちがあった》

と語り、輸血拒否に対し悩みに悩んだことを打ち明けていた(大泉実成『説得 エホバの証人と輸血拒否事件』講談社文庫、1992年)。

最終的に「子供の意志を確認してから輸血するように」と指示したのもこの理事長だった。取材した大泉は、理事長の真意を、自身もカトリック信者として少年時代を送った体験から、男児の宗教的信念に配慮したがゆえ、最後の最後でその意志を確認させたものと思いこんでいたという。

「肩透かしを食ったよう」
だが、理事長に訊ねたところ、そう指示を出したのは、当人から輸血を希望する声を引き出せば、両親を動かせるという期待によるものであったとの言葉が返ってきた。これに大泉は「肩透かしを食ったように感じた」と書いている。

ドラマでもこれを踏まえて、最終的に理事長の指示で、患者の健自身の意志を確認することになる。医師のなかには、昏睡状態で自分の意志を言えるわけがないと疑念を抱く者もいたが、健に呼びかけ、ちょっとでもうなずいたら輸血することにしたのだ。

医師たちは健の顔を叩くなどしながら「手術しよう、な、生きたいだろう!」と必死に呼びかける。そばにいた昇もまた健の名前を叫んだ。しかしもはや手遅れだった。このあと、昇は妻のますみに、健が最後の最後で「生きたい」と言ったと打ち明ける。

「生きたい」と男児が言ったというのは、事件後に父のコメントとしてマスコミで報じられたものだ。本当に男児はそう言ったのか。大泉が病院側に訊ねたところ、現場にいた複数の医師が否定したという。証言によれば、医師らの声には何も反応しなかった男児だが、父親が「お父さんの言うとおりでいいんだな」と耳元でささやくと、うんうんとうなずいたというのだ。

となると、男児は父の意志にしたがって輸血を拒んだことになる。もちろん、はっきりとした意識のない状態であり、明確な輸血拒否とまではいえないだろう。だが、この男児のうなずきが結果的に、輸血を強行できなかった最大の理由となったのである。

とはいえ、男児は「生きたい」と言っていたと、父親が新聞記者に伝えたのはまぎれもない事実だ。大泉に対しても父親は次のように語っている。

《[引用者注――父親が子供の名前をその耳元で叫んだところ]口元が、かすかに動いた、それが、生きたい、と言ったように、私には見えたんです。でも、後で聞いたら、誰も確認できなかったみたいなんですね。でも、私にはそう見えたので、新聞記者に伝えたんです》(大泉、前掲書)

ドラマでは事件から1ヵ月半後のシーンで、昇があらためて、息子の健が「生きたい」と口にしたように見えたと、事件当日の当直医(演じるのは小日向文世)を相手に語っている。しかし、もし健がそう言ったとするなら、どういう意味でだったのか。医師がそう訊ねると、昇はこう答えるのだった。

《さあ……ふつう、五年生の子が生きたいかと聞かれたら、生きたいと答えるんじゃ……それ以上の意味は……》(日本脚本家連盟編、前掲書)

この答えは、大泉が最後に父親と会ったときに聞いた《ふつう、小学校五年ぐらいの子供が、死の瀬戸際に立って、生きたいか、と聞かれたら、生きたい、と答えると思うんですよね。それ以上の意味はないと思うんです》という言葉をほぼそのまま採用している。

ここから大泉は《彼は、父として一〇歳の息子を見たのだ。エホバの証人であろうとなかろうと、大[引用者注――息子の名前]は彼の息子以外の何ものでもなかった》と、事件を追いかける動機となった当初の疑問にひとつの解答を得たのだった(大泉、前掲書)。

「生きたいかと聞かれたら、生きたいと答えるだろう」という父親の言葉は、息子を救えなかった自責の念ともとれる。それだけに、ドラマのラストで、昇がすでにいない息子を相手にうれしそうにサッカーのゴールキーパーを演じる様子はせつなく感じられる。

なお、事件から3年後の1988年、神奈川県警と高津署は、医学鑑定の結果、男児は輸血をしても命は助からなかったものとして、両親や医師の刑事責任は問わず、事故を起こしたダンプカーの運転手だけを業務上過失致死容疑で書類送検する判断を下した。

この間、男児を受け入れた病院が、今後は輸血が必要とあれば、医師の判断で強行すると決定したほか、各病院がそれぞれガイドラインをつくって対応するようになる。

しかし統括的なガイドラインの素案ができるまでには、2008年まで待たねばならなかった。

医療関連学会5つからなる合同委員会のまとめた素案では、亡くなった男児のように義務教育を終えていない15歳未満の患者に対しては、医療上の必要があれば本人の意思にかかわらず、また信者である親が拒否しても輸血を行なうと定められた(大泉実成『説得 エホバの証人と輸血拒否事件』草思社文庫、2016年)。

自らの意志で手術を拒否したたけし
ところで、エホバの証人の信者が輸血拒否したのとは事情は異なるが、たけしもまた、自らの意志をもって手術そのものを拒否したことがあった。それは『説得』が放送された翌年、1994年8月にミニバイク事故で瀕死の重傷を負ったときのことだ。

一命をとりとめたたけしは、治療を続ける過程で主治医から、複雑骨折した頬骨などを治すため顔面の整形手術の必要性を説明される。当初は手術を拒もうとしたものの、状況としては拒否のしようがなかった。

整形手術を受けたのち、今度は顔面麻痺などの治療として、その原因と思われる神経の断裂を確認するための手術の承諾を求められる。だが、一通り説明を聞いたたけしは、きっぱりとこれを断っている。翌日、所属事務所の社長が医師からあらためて話を聞いて手術するよう説得したものの、気持ちは変わらなかった。

手術を拒否した理由をたけしは手記のなかで、《緻密な論理とか推論ではなく、動物的な勘だった》《確たる根拠などなかった。ただ、これまでの芸人生活で、大きな岐路にさしかかったとき、オレは自分の勘を頼りにやってきた、という事実だけがあった。その勘働きで生き残ってきた》というふうに説明している(ビートたけし『顔面麻痺』幻冬舎文庫、1997年)。

また、べつのところではこんなことも語っていた。

《医者と対決するんじゃないけれど、どこかの部分で自分を出しておかないと、誰でもない単に生かされているだけの人間になってしまう。そのぐらいだったら、死んだ方がいいってこともある。医者と自分、それから生死の問題。この三つを三角関係でうまくバランスを取って対応しないと、何のために生きているのかわからなくなるよ》(ビートたけし『たけしの死ぬための生き方』新潮文庫、1997年)

論理でも、ましてや信仰でもなく、たけしは「いままで自分の勘を頼りにやってきた」という体験から、医師の勧めを拒否したのだった。そうすることで彼はアイデンティティを守ったともいえる。

もっとも、2ヵ月近くにおよんだ入院中にたけしは、生きる目的をどういうふうに考えればいいのかと、釈迦やキリストの言葉をじっくり読んでみたいとも語っていた。そのために手塚治虫のマンガ『ブッダ』を読むなどしている。

だが、そこでわかったのは、仏教にかぎらず、あらゆる宗教は「人間はなぜこの世に生まれて死んでいくのか?」ということについて、本質的には何も言っていないし、どういうことをしろとも言っていないということだった(『顔面麻痺』)。

そんなたけしも、事故直後、意識が戻ってきたときには、自分の頭がどうにかなって、神様でも降りて来て、おまえはこういう存在であるとか、人生とはこういうものだとか、耳元でささやいてほしいと期待したこともあったという。しかしついに神も悪魔も現れなかった。これには正直、困ったという。

《顔はぐしゃぐしゃにしたけど、脳だけは損なわないようにしてくれた。どうも神様が、「たけしよ、自分で答えを出せ。そのために脳は残したんだぞ」と言ってるような気がした。「一所懸命考えろ」って。だから、とんでもない難しい宿題を出されたようで困ったんだ》(『たけしの死ぬための生き方』)

もう一人のたけし
考えてみれば、この「とんでもない難しい宿題」を出した神とは、たけしが事故以前からことあるごとに語っていた「自分を客観的に見るもう一人の自分」ではなかったか。

少年時代よりすでに、ペンキ屋だった父親の仕事を嫌々ながら手伝っているとき、「あ、たけしだ」などと言われると、彼の心のなかには「これは本当のおいらじゃないんだ」と思っているもう一人の自分がいたという(『アサヒ芸能』1993年5月6・13日号)。

以来、たけしはそのもう一人の自分に支えられ、ときには突き放されながら、人生の岐路に立つたびに選択してきたのだ。そうした生き方を思えば、『説得』でたけしが演じたエホバの証人の信者は彼からもっとも遠い役柄であったともいえる。

以来、たけしはそのもう一人の自分に支えられ、ときには突き放されながら、人生の岐路に立つたびに選択してきたのだ。そうした生き方を思えば、『説得』でたけしが演じたエホバの証人の信者は彼からもっとも遠い役柄であったともいえる。

『説得』の父親は、宗教を超えたところで息子の存在のかけがえのなさに気づいた。だが、事件後、一般の人なら悲しみに打ちひしがれるであろうところを、家族で頑張って来られたのは、息子が復活することを信じているからだとも、同書のなかで語っている。けっきょく信仰が彼ら家族の心のよりどころであることは、事件後も変わりなかったのである。

これに対してたけしは、事故に遭ってから、宗教を超えたところで人間の生き死にについて考えようとする。もっとも、それは事故以前のたけしとほとんど変わりない態度だったともいえる。

実際、彼は事故から復帰後、事故の体験を何か特別なものとして語りたくはないと、次のように明言していた。

《これからテレビとかに復帰する時に、ワイドショーとかいろんなことするんだけど、下手すると、一回死にかけた男とか、帰ってきた男の意見みたいなことを言われたらかなわねえなと思ってるんだ。(中略)「たけしさんは、一回ひどい事故で死にかけたんですけど、そこからどんな意見がありますか?」なんて言われたら、なにもないよ(笑)。ただバイクで倒れただけっていう、それだけの問題であってね。

こっちはいろいろ考えるけども、それを前面に出して生きていきたかない、ぜんぜん》(中沢新一との対談「生と死の境で」、『大真実 これからを生きるための43章』、『新潮』1995年4月臨時増刊)

このとき彼は、入院しているあいだ自分が重病人となったコントなどを考えていたと冗談めかして打ち明けてもいた。一時は死の淵に立たされながら、それすらも笑いに変えてしまおうという態度は芸人ならではだ。

しかし、芸人なら誰しもそれをできるわけでもないだろう。自分を突き放し、ときには笑い飛ばしてしまうことこそ、たけしのたけしたるゆえんであり、かつて若者たちから教祖と崇められた「カリスマ性の本質」ともいえるのではないか。

(以下、最終回へつづく http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50284 )

 


人はどうして生まれてきて死んでいくのですか?

2022年07月20日 11時28分15秒 | 社会・文化・政治・経済

質問者たまきこさん

 放送日2018年8月30日(木) NHK

 

ざっくり言うと
さいとうたまきこさん(小学校3年生・愛知県)からの質問
科学の藤田貢崇先生が回答
命はリレーされてつながっている。だから自分自身を大事にしないといけません。
テーマ

科学 藤田貢崇先生

放送日時:2018年8月30日(木)午前11時16分ごろ~午前11時23分ごろ

金井アナ:金井直己アナウンサー
藤田先生:藤田貢崇先生 (法政大学 教授)
たまきこさん:質問者


金井アナ: 愛知県のお友達ですね。もしもし。
たまきこさん: もしもし。たまきこです。
金井アナ: はい。たまきこさん何年生ですか?
たまきこさん: 3年生です。
金井アナ: たまきこさんの質問は何でしょう?
たまきこさん: 人はどうして生まれてきて死んでいくのですか?
金井アナ: あー。人はどうして生まれて死んでいくのか…深いですね奥が。では藤田先生ですか。
藤田先生: はい。たまきこさん、こんにちは。
たまきこさん: こんにちは。
藤田先生: 人は生まれてやがて死んでいきますよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: どうしてかなって。これはとても難しい問題ですよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: 人だけじゃなくって、生き物っていうのは生まれたら必ず死んじゃうんですよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: それは分かりますよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: これがどうしてかっていうと、それは、人間でも動物でも植物でも体っていうのは細胞っていうものから出来てるっていうのは知ってます? 細胞って聞いた事あります?
たまきこさん: いいえ。
藤田先生: 聞いたことないね。体を作ってるのは、とっても小さいものから出来てるんですよ。
たまきこさん: はい。
藤田先生: その細胞っていうのが、どんどん増えていって大きくなるんですね。たまきこさんも、今小学校3年生だけど、来年また再来年となるとどんどん身長も高くなりますよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: それは、必要な分だけ細胞が何度も何度も分裂っていうふうに増えていくっていう事をくり返して大きくなるんですね。ここまでは分かる?
たまきこさん: はい。
藤田先生: 大丈夫?生き物っていうのは、この細胞が分裂する回数が決まってるっていうふうに考えられてるんですよ。
金井アナ: ふーん。
藤田先生: 例えば100回なら100回、200回なら200回っていうふうに分裂すると、もうその働きをしなくなっちゃうんですね。そうすると、とても極端に言うとね、例えば栄養をとって要らない物を体の外に出すとかそういう働きができなくなって、やがて死んでしまうんだっていうふうに考えられてるんですね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: ここまではいいですか?
たまきこさん: はい。
藤田先生: 死んでいくっていうと、たまきこさん死ぬってどんな事だと思います? 何か嫌だなとか思ったりしますか? 不安だったり。
たまきこさん: ちょっと不安です。
藤田先生: ちょっと不安だったりしますよね。僕も不安なんですけど。でもね、ちょっと考えてみると、たまきこさんはお父さんとお母さんから生まれたわけでしょ。
たまきこさん: はい。
藤田先生: そうすると、たまきこさんていうのはお父さんとお母さんの一部なんですよ。
たまきこさん: はい。
藤田先生: お父さんとお母さん、もっと言い方を変えるとたまきこさんはお父さんとお母さんそのものなんですよね。
たまきこさん: えー?
藤田先生: さらにお父さんお母さんっていうのは…。
金井アナ: ふふふ。ちょっと分らなくなっちゃったかな?
藤田先生: ここは分かる?お父さんお母さんからたまきこさんが生まれたから、結局たまきこさんはたまきこさんで自分自身でもあるけど、お父さんお母さんから見たら、元々は自分だったんですよ。
たまきこさん: はぁー。
藤田先生: それが、たまきこさんていう新しい命になったの。
たまきこさん: はい。
藤田先生: 更に考えると、お父さんはさらにお父さんのお父さんとお母さんがいらっしゃるでしょ。つまり、たまきこさんから見たらお父さん方のおじいさん、おばあさんかな。
たまきこさん: はい。
藤田先生: さらにお母さんにも同じように御両親がいらっしゃって、たまきこさんから見たらお母さん方のおじいさん、おばあさんになりますよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: そうやって、命って自分そのものをどんどんどんどん次の世代にリレーしてるの。リレーって分かる?運動会で次の人にバトンを渡しますよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: そういうふうに、たまきこさんのおじいさんからお父さんに、お父さんからたまきこさんに、さらにたまきこさんから大きくなってたまきこさんに子供が生まれるようになったら、たまきこさんからその子供にっていうふうに命はどんどんリレーされていくんですね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: そうやって地球で生まれてる生命、生き物っていうのは昔からそうやってどんどんどんどん命をつないでるんですね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: その長い間に少しずつ少しずつ変わっていくんですよ。
たまきこさん: はい。
藤田先生: 変わっていって、よりその場所の生活に「適応」って難しい言葉で言うんだけど、その場所に生活しやすいように少しずつ体が変わっていったりするんですね。
たまきこさん: はぁー。
藤田先生: それはものすごく長い時間がかかるけれども、そうやってどんどんどんどん昔からつながってるっていう事だね。これから先もつながっていくっていうふうに考えたらどうでしょうね。
たまきこさん: はい。
金井アナ: たまきこさん、どうでしょうか?分かりましたかな?
たまきこさん: はい。
藤田先生: だから命がどんどんつながってるから、たまきこさんはやっぱり自分自身を大事にしなきゃいけないですよね。
たまきこさん: はい。
藤田先生: 私はお父さんお母さんそのものなんだと思ったら、ちょっとは考え方も変わるかな?
金井アナ: はい。いいですか?
たまきこさん: はい。
金井アナ: どうもありがとうございました。
たまきこさん: ありがとうございました。
金井アナ: さようなら。
たまきこさん: さようなら。
藤田先生: さようなら。

番組情報

番組名 子ども科学電話相談
放送日時 [R1] 毎週日曜 午前10時05分~11時50分
司会 石井かおるアナウンサー、山本志保アナウンサー
番組HP http://nhk.jp/kodomoq

矢野監督は「空きがない」…阪神・藤浪「噂される意外な移籍先」

2022年07月20日 11時09分44秒 | 野球

7/20(水) 11:00配信 FRIDAY

2軍で調整中の藤浪。ここ数年、不本意な投球が続いている(画像:共同通信社)

指揮官の言葉からは、どこか冷たい印象を受けた。

「(先発の)空きがない。それを超える(2軍での)素晴らしい投球があったら(1軍昇格を)考えますよ」

【画像】阪神・藤浪 大谷翔平との初々しい「丸刈り2ショット」写真

ヤクルトの選手に大量の新型コロナウイルス感染者がいることが発覚し、試合が流れた7月10日。阪神の矢野耀大監督は、藤浪晋太郎(28)の起用について聞かれ報道陣へこう答えたのだ。

6月に降格して以降、藤浪は2軍で猛アピールを続けている。7月16日の中日戦に先発すると、6回を投げ8奪三振で無失点。ファームで4勝1敗、防御率1.72の成績を残しているのだ(7月19日現在)。なぜ結果を残しながら、1軍から声がかからないのだろう。

「長年の課題である、制球力の悪さが克服できていないからです。2軍では抑えられても、1軍では四球を連発。投球テンポが悪く、チームはリズムに乗れないんです。1軍での防御率は4点台で、今季は勝ち星がありません。現状では、矢野監督は藤浪を戦力として考えていないのではないでしょうか」(球団関係者)

◆「鳴尾浜の帝王」

藤浪は大阪桐蔭高時代に甲子園を沸かせたスターだ。13年にドラフト1位で入団した、阪神のエース候補である。プロ入り1年目から先発の柱として、3年連続2ケタ勝利をあげた。しかし19年以降は制球難に苦しみ、わずか4勝。物足りなさを感じるのも事実だろう。

「本人は相当苦しんでいます。一時はサイドスローに変更するなど試行錯誤。制球難の原因が明確でないので、悩ましいところでしょう。阪神という人気球団にいることも、マイナスに作用している。OBからいろいろなアドバイスをされると、本人も混乱すると思います。1軍を行ったり来たりする現状を、『(2軍の本拠地)鳴尾浜の帝王』などとマスメディアに批判されたこともありますから」(同前)

制球難の原因がわからない以上、技術的な忠告をしてもあまり意味はないだろう。このまま阪神にい続けても、急に再ブレイクできるとは考えづらい。中には、環境を変えるべきだという意見もあるのだ。他球団へのトレードである。

「移籍先の最右翼が日本ハムです。昨年12月に球団OB岩本勉氏のユーチューブチャンネルに出演した際、新庄剛志監督はこう話していますから。『欲しい選手、1人います。阪神の藤浪君。オレのところに来たら化けるよ』と。人気球団で周囲の注目度が高い阪神と違い、北海道でのびのびプレーできるのは藤浪にとってプラスでしょう」(スポーツ紙担当記者)

さらに、意外な球団の名前も噂されている。

「巨人です。巨人は中継ぎが打ち込まれ終盤に逆転されるケースが目立つなど、投手陣が崩壊しています。先発もロングリリーフもできる藤浪は、ぜひ欲しい存在でしょう。ここ数年、不振が続いているとはいえ、藤浪の潜在能力が高いのは間違いない。ライバル球団の戦力を削ぐという意味でも、獲得する意味はあります。実際、内部には『(藤浪獲得を)面白い』と話している人もいる。トレードの可能性はゼロではないハズです」(同前)

悩めるエース候補も、今季でプロ入り10年目。再起へ決断の時が迫っているのは、間違いなさそうだ。

FRIDAYデジタル

 

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最終更新:
FRIDAY

“統一教会”と政治家の関係… 自民党の現職議員が証言 参院選で「票を割り振り」も? 

2022年07月20日 11時09分44秒 | 社会・文化・政治・経済

7/20(水) 1:37配信

安倍元首相を銃撃した男が強い恨みを持っていたという「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”。今、浮き彫りになっているのが、教団と政治家の“距離の近さ”です。19日夜、取材に応じた自民党の現職議員が語ったことは…。

【画像】“統一教会”との関わりは? 岸信介氏と文鮮明氏が握手した写真も…

    ◇

いわゆる“統一教会”の関係団体が、今月6日に集会を開きました。その様子が映された映像では、壇上に、この後の参院選で当選した自民党の井上義行氏がいました。

井上義行氏
「私は普通の政治家とは違うんです!」

そして、教団関係者とみられる人物が、興奮気味に話し始めました。

教団関係者とみられる人物
「うちの教会、うちの組織も、たくさんの問題があります。この問題を支援してくださる方が、井上義行先生でございます! 井上先生は、もうすでに食口(信者)になりました。私は大好きになりました! 戦いをするならば、必ず勝たないといけない。勝つことが善であり、負けることは悪でございまーす!」

井上義行氏
「投票用紙2枚目は~?」

参加者
「井上義行~!」

参加者のほとんどは、教団関係者だったといいます。

    ◇

この2日後、安倍元首相は銃弾に倒れました。山上徹也容疑者は、恨みを募らせていた教団と関連するNGO集会に寄せられた安倍元首相のメッセージを見たころから、殺害を決意したとみられています。

井上義行氏は、第一次安倍政権で総理秘書官を務めていました。

井上義行氏自身のYouTubeに公開された、6月2日の「井上よしゆき君を激励する会」と題した集会の映像では…

司会
「FWP(世界平和連合)事務総長でいらっしゃいます…」

名前を呼ばれたのは、いわゆる“統一教会”の友好団体「世界平和連合」の幹部です。その後、安倍元首相も登場しました。

司会
「安倍晋三先生、今、ご到着でございます!」

    ◇

井上氏は「news zero」の取材に対し、教団との関係について次のように答えました。

井上義行氏
「『世界平和統一家庭連合』では、信徒ではなく、井上よしゆきが政策として掲げている6つの国づくり、これに賛同をえられる『賛同会員』になっています。なお、賛同会員として会費や寄付の提示は受けておらず、また、井上よしゆきからも行っておりません」

    ◇

「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”と政治家の“距離の近さ”が、浮き彫りとなっています。

19日午後8時、自民党の青山繁晴参議院議員が取材に応じました。

――自民党と“統一教会”に関係があったのか?

自民党 青山繁晴議員
「そうですね」

青山議員は18日、自身のブログで以下の内容を明らかにしました。

“統一教会”と自民党議員との関係(青山議員のブログより)
「(参院選前に)良心的な議員がわたしにこう語りました。『所属する派閥の長から(旧)統一教会の選挙の支援を受けるようにと指示されたが、断った。そのため派閥の長は、その分の票を別の議員に割り振ったようだ』」
「わたしがこの派閥の長に、事実関係を問うたところ、『各業界団体の票だけでは足りない議員については、(旧)統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることがある』との率直な答えがありました」

――この「派閥の長」の名前は公表しない?

自民党 青山繁晴議員
「しません。ご本人が…というなら別ですけど、私の方からすることはないです」

――相談した議員は“統一教会”からの支持を拒否し選挙活動に臨んで、当選した?

自民党 青山繁晴議員
「当選したか、落選したかは言えないです」

核心に迫る質問については明言を避ける一方、「教団と政治の関係は、昔から与野党限らずある」と証言しました。

自民党 青山繁晴議員
「彼(相談された議員)がなぜ僕に話したかというのは、やっぱり正すべきことがあるから話されたんだと思うんで。安倍さんが健在であれば、それも諫言(かんげん)申し上げたと思うので…無念の限りですね」

「派閥の長」の名前こそ明かしませんでしたが、「安倍元首相に諫言したかった」と話しました。

    ◇

一方、国民民主党の玉木代表は19日、教団の機関誌を発行する「世界日報社」から寄付を受けていたことを明らかにしました。

国民民主党 玉木代表
「2016年に世界日報の元社長さんから、2万円と1万円の寄付を私が受けていたこと、これは調べましたら事実です。適正に処理されたものですし、公開もされているので、何らやましいところはございません」

    ◇

長年、被害者の救済に取り組んできた、全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士は、政治家との交流による教団側のメリットについて話しました。

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士
「『こんな立派な政治家の先生が、こうやってエールを送っていただけるというのは、やっぱりちゃんとした団体なんだ』と」

教団は取材に対し、「組織的に特定の政党や政治家を支援することはない」としていますが…

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士
「全く事実に反しますね。 今回の選挙では『誰の支援をいたします』、個別に具体的に『あなた行ってらっしゃい』と指示を出すんですよ」

これまで、政治家に要望書を渡すなどして、教団の支援を受けないよう繰り返し求めてきたといいます。

(7月19日放送『news zero』より)

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安倍元首相銃撃、容疑者の心理は 独善的「世直し」思考か 喪失重なり、過激化

2022年07月20日 09時05分20秒 | 新聞を読もう

検証 毎日新聞 2022/7/19 


銃撃事件直前、安倍晋三元首相の演説現場に立つ山上徹也容疑者とみられる男性=奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺で8日午前11時22分ごろ、久保聡撮

 奈良市内で参院選の街頭演説をしていた安倍晋三元首相(67)を銃撃した山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=は、現場で警察官に取り押さえられた。

抵抗するそぶりはほとんど見せず、暴れることもなく終始無言だったという。その姿にはむしろ、脱力感さえ漂っていた。山上容疑者は白昼堂々、安倍氏を銃撃することにどんな「意味」を見いだそうとしていたのか。

 

大渕憲一氏 銃撃は「誤った方向で自分の存在意義かけたか」
深掘り 大治朋子 

 毎日新聞 2022/7/18 11:31
大渕憲一・東北大学名誉教授(社会心理学)=本人提供

 奈良市内で参院選の街頭演説をしていた安倍晋三元首相(67)を銃撃した山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=は、現場で警察官に取り押さえられた。抵抗するそぶりはほとんど見せず、暴れることもなく終始無言だったという。その姿にはむしろ、脱力感さえ漂っていた。山上容疑者は白昼堂々、安倍氏を銃撃することにどんな「意味」を見いだそうとしていたのか。

 人の攻撃性や犯罪心理に詳しい大渕憲一・東北大学名誉教授(社会心理学)に話を聞いた。【大治朋子】

独善的視点からの「世直し」的な思考も
 今回の事件の背景には、特定の宗教団体への強い恨みがあるようだ。宗教団体トップへの襲撃を計画したり、安倍晋三元首相を狙ったりしており、なるべく目立つ形でやりたいという気持ちもあったのかもしれない。

 安倍氏を標的とするようになった過程はまだ分からないが、宗教団体トップが狙いにくかったというこ…

犯行を「一つのパフォーマンス」ととらえ、捕まらないことよりも「見せ場」を重視する。

テロに共通するような、独善的視点からの「世直し」的思考もあったのかもしれない。
そこには「より大きな社会問題として告発した」という「義憤」のような感情と、同時に「自分の存在を社会にアピールしたいうゆがんだ自己顕示欲」も垣間見える。

ゆがんだ正義感に基づき物事を暴力的に解決しようとする暴力的過激主義の根底には、「自己実現の感覚」がある。

そんな「世直しの聖戦」を自己犠牲のもとに完遂することが「天命であり、使命」と思い込んでいく。

共通する過激化プロセスの「起点」は、個人的な苦悩や不満だ。

やがて社会性や政治性を帯びて「大義」として昇華され、第2のステップ、物語の生成へとつながっていく。

「自分=善」「他人=悪」といった善悪二元論に発展。

心理学で「非人間化」と呼ばれる認知のゆがみで、自身を「巨悪に一人立ち向かう英雄」と見なし、使命感を燃やすのだ。

その過程で、犯意を漏らしたり、思想を書いて残したりすることもある。

 

 


「ロシア軍が記者処刑」 同行者、生きたまま焼かれた可能性も 国境なき記者団が発表

2022年07月20日 09時05分20秒 | 社会・文化・政治・経済

2022/6/23 08:59 産経ニュース

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は22日、ロシアのウクライナ侵攻を取材中のウクライナ人記者とその同行者が首都キーウ(キエフ)北方の森でロシア軍に殺害されたと発表した。

RSFは「ロシア軍による処刑は報道の自由に対する犯罪だ」と非難した。

2人はフォトジャーナリストのマクシム・レビン氏(40)と、同行していた友人で軍人のオレクシー・チェルニショフ氏。RSFによると、行方不明となった3月13日にロシア軍に殺害され、遺体は4月1日に見つかった。殺害前に拷問されたとみている。

RSFは5月24日~6月3日に現地調査を実施し、焼けた車両や銃弾などを発見。
遺体の写真などを基に「レビン氏は至近距離で撃たれ、チェルニショフ氏は生きたまま焼かれた可能性がある」とした。
「真実を求める戦いで犠牲になった」と死を悼んだ。

 


相次ぐ「ローンウルフ型」 便乗するIS 事前察知難しく連鎖の恐れも

2022年07月20日 08時59分32秒 | 事件・事故

仏トラックテロ

2016/7/16 07:02

 フランス南部ニースで80人以上が死亡したテロは、単独犯もしくはごく少人数のグループでも、車を使うなどして市民を大量に殺傷することが可能であることを改めて示した。

このところ、過激思想に感化された個人や小集団が起こすテロは各地で目立っており、同様の事件が連鎖する恐れもある。

 今年6月、米フロリダ州オーランドでは、アフガニスタン系の男1人が同性愛者の集うクラブで銃を乱射し49人を殺害する米史上最悪の銃器犯罪が発生。

男は事件の最中にISに忠誠を誓い、それを受ける形でISが犯行声明を発表したが、男とISの直接的な関連は薄いとみられている。

 昨年12月にも米カリフォルニア州で、イスラム教徒の夫婦が福祉施設を襲撃し14人を殺害した。

この事件でもISが犯行声明を出したが、夫婦は、ISとはライバルである国際テロ組織アルカーイダ系のヌスラ戦線関係者らともつながりがあったとされる。

これらの事件は、実行犯本人が犯行を計画・準備したとみられており、ISはその結果に便乗しているだけだともいえる。

こうしたテロは「ローンウルフ(一匹おおかみ)型」「自律型」などと呼ばれ、直接的な指令や組織との定期的な接触がなく、犯行も本人たちだけで行っているだけに、治安当局の事前察知が難しいのが特徴だ。

 今回の事件も、背後関係や思想性はなおも不明ながら、トラックを運転していた男が1人で実行。

凶器となる車や銃さえあれば、大規模テロも可能だと強く印象付けた。

欧米を敵視するなどの過激思想に共鳴しテロ遂行の意思を持つ者らが刺激を受け、犯行を模倣する恐れは否定できない。(カイロ 大内清)