山下泰裕氏が、月刊誌「致知」2014年7月号で、横綱白鵬氏と対談をしていた。
山下泰裕氏といえば、柔道界で引退するまで203連勝の負け知らずだった選手である。実際、30年前に柔道少年だった自分は山下氏が負けた試合を見たことがない。
その中で、山下氏の中学校の時の恩師の言葉が紹介されていた。
~以下引用~
「みんなの中から将来日本チャンピオンになって、日の丸を胸につけて国際舞台に出ていく、そんな選手が出てくれたら俺は嬉しい。夢は大きく持って、その夢に向かって毎日頑張れよ」と。
そういう話から始まって、しかし途中から転調するんですね。
「しかしな、どんなに柔道で頑張って日本一になった、世界一になったとしても、選手としてやれるのは30歳くらいまでだ。大事なのは柔道で頑張ったことを人生に生かすことだ」
「柔道でチャンピオンになれる人は一人しかいない。しかしその人が人生のチャンピオンになれるかどうか分からない。柔道で学んだことをみんなが普段の生活の中で一所懸命生かしていけば、全員が人生のチャンピオンになれる。柔道はそのためにやるものだ」
さらに具体的なこともおっしゃっていました。
「みんな俺の話を真剣に聞いてくれているよな。大事なのは俺の話を聞くような気持ちで、みんなのことを思ってくれているお父さん、お母さん、担任の先生の話を聞くことだ」
「道場でできることと日常生活を一致させることが大切だ。道場では挨拶もするし、ルールも守る。夢に向かって努力もするし、仲間と力を合わせ、戦った相手のことも思いやる。それを道場で終わらせるな。人生に生かすんだ」
こんな話をたびたびされたんです。わんぱく坊主だった私も、そういう話がスーッと心に入ってきたんです。
~以上引用終わり~
かなりの腕白だった山下少年は、柔道のおかげで、恩師のおかげで心も体も頭も成長することができたそうである。柔道を通しての人間形成である。
柔道に限らず、どんな競技でも、勉強でも、「○○を通しての人間形成」ができると思う。
人間形成ができるかどうかは、やはり指導者の意識次第である。