今でも日本では、屋内ではマスクをつけることになっている。
(なお、会話がなく距離が保てればしなくていいと厚労省は言っている。マスクについての厚労省のページはこちら 厚労省「マスクの着用について」)
教育現場にいる者としては、マスクのデメリットも学ぶ必要があると考えている。
マスクをつけることのデメリットについても学べる本があった。
それは、「マスク社会が危ない」(宝島新書)である。
著者は、京都大学大学院の明和政子氏
著者の専門は、人の脳と心の発達である。
本書で特に学びになったことは、次の点である。
○ 大人の脳と子供の脳は違う。
○ 子どもは 大人や友人の表情や声かけ、その時の感情をセットで学ぶが、マスクをすることによって、学ぶ機会が失われている。
コミュニケーション能力や心の発達、共感能力に関して、今の子どもたちは、大きなハンデを負っていることになる。
この弊害が明らかになる頃には、子どもたちは大きくなっているだろう。
そのときにはもう手遅れになっている可能性もある。
なぜかというと、脳の発達する時期を逃したまま、子どもは大人になっているからである。
厚労省の出しているルールに則って、マスクを外せる場所ではなるべく外し、子供に笑顔を見せたいと私は考えている。
最後に、本の中で、特に学びになった部分を引用する。
これらの文章を読むと、子供に表情を見せてコミュニケーションをとることの大切さを考えさせられる。
子どもは、現境の影響を強く受けながら脳を発達させている途上にある存在です。 それはたんなる大人の小型版、ミニチュア版ではけっしてありません。
子ども期は本来、 他者の多様な表情を経験しながら、 他者の心の状態を理解したり共感したりする、ヒト特有の社会性を身につけていくきわめて重要な時期です。この時期の経験こそが、個人が生涯持つことになる特性の土台となるのです。
すでに完成した脳を持っている大人にとっては、「新しい生活様式」は多少の不便さはありながらもなんとか実践していくことは可能でしょう。 しかし、もしこの様式の実践がさらに長期化し、これが当たり前の日常になったら、子ど もたちの脳や心にどのような影響がもたらされるのでしょうか。
たとえば乳幼児期は、目の前にいる人の表情や声かけを日常的に経験しながら、 言葉や他者との関わり方を身につけていく重要な時期です。し かし、マスクをした他者との日常が当たり前になってしまうと、そうした学びの機会が大きく失われて しまうことになります。
「サル真似」という言葉には、「創造性に欠ける」「誰にでもできる 」とい ったあまり良くないイメ ージがあると思います。しかしこれは間違いです。実は、サル真似をする霊長類はヒトだけであり、サル真似こそがヒトの発達を支える基盤となっているのです。
相手の笑顔を、自分でも真似してみる。その時に乳児は、自分自身が笑うと言う身体経験によって心地よさを感じます。 その経験を、目の前にいる人の笑顔に鏡のように照らし合わせていくことによって、「この人は嬉しいんだ」という心の理解が可能となるのです。
マスク着用が日常的に求められる今、子どもたちは相手がどのような表情をしているのかを理解することは難しく、また、それを真似する機会も乏しくなっていま す 。
先生が子どもたちに、につこり笑って「よくやったね」と頭をなでる。こうした何気ないやりとりが、子どもたちの自 己効力感を高め、また頑張ろうという動機づけにつながっていたはずです。とくに学齢期は、親だけでなく、先生や友人をはじめとするさまざまな他者から褒められることで、「やればできるんだ」「チャレンジしよう 」という動機と冒険心を高め、巣立ちの準備を始めていく時期です。
しかし、先生や友人の表情が確認できない、触れ合うこともできない日常で、子どもたちは自分に自信と勇気を高めていく機会を得られにくくなっていると思います。
以上で引用終わり。
こう言う情報を、マスコミは一切流さないなあ。
「マスクをしなさい」という情報しか流さず、マスクのデメリットを流さないのはなぜだろう。