「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

絵を描く人生 2005・01・14

2005-01-14 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、「鶴見松渕俳画集」の中から書き留めた俳画家 鶴見松渕(つるみしょうえん 本名 鶴見久司 信州松本に生まれ、大町にて客死 1919-1999)の俳句(画賛)です。


 「鎧脱いで 故郷のやま 静かなリ」

 「鎧脱いで 故郷の山 雪真白」

 「ほどほどの 心と決めし 初詣」

 「春寒や 労りあえる 五十肩」

 「寄鍋や ふたりなれども 賑わしく」

 「乱獲の 空しき海や 町凍る」

 「常念に 残雪ありて 花見かな」

 「子の夢を 大きくひろげ 粽喰ふ」

 「よりそいて 肩に小さき アンブレラ」

 「独り旅 彩管ありて 鮎の宿」

 「氷菓子 召し上りたる 石仏」

 「弱法師の 影くっきりと 薪能」

 「爺岳に 春呼ぶ像(かたち) 晴れわたる」

 「配膳の 手馴れし僧や 三宝柑」

 「焼鮎や 九谷の皿に そりかえり」

 「癌告知 黄ばみゆく庭 手だてなし」

 「祖の冥る 寺に紅葉の 時雨ふる」

 「故郷を 守る姉あり 柿とどく」

 「空蝉は 野に残したる 旅衣」

 「ミュンヘンの 薔薇紅々と ビヤガーデン」

 「秋日ふる 死の街影や ベスビアス」

 「石道に 軌跡深々 秋ポンペイ」

 「黄ばみゆく 凱旋門に 茜映ゆ」

 「邦人も 秋の絵を売る モンマルトル」

 「鎧脱ぐ 故里の山 晴れわたる」
コメント
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