「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2005・01・22

2005-01-22 07:00:00 | Weblog
 年明け9日付けの朝日新聞朝刊に、「個人マネーが貯蓄から投資に向かう動きが加速している」という記事がありました。

 「『リスクを抱えても高めの利回りを』と期待する人の資金は外貨資産や投信に流れているようだ」とコメントがあり、「投資」型資産や「元本を大幅に割るリスクがなく、現在は定期預金より利回りがいい」金融資産の例として売れ行きが伸びているという「個人向け国債」が引き合いに出されていました。笑止千万です。

 確かに「定期預金より利回りがいい」、嘘ではない。しかし、所詮目くそ鼻くそを笑うで、いずれも「利回り」を宣伝文句にするのは欺瞞です。定期預金にせよ、個人向け国債にせよ、「実質ゼロ金利時代」に、限りなく低い調達コストで、国が個人マネーを直接、間接に吸い上げる手段でしかありません。

 一体どこの先進国に10年以上の長きに亘り「実質ゼロ金利」という銀行救済策をズルズルと続けているところがあるでしょう。寡聞にして知りません。バブルの頃に無茶苦茶なことをやって不良債権の山を築いた銀行経営者と銀行の暴走を許し、あまつさえそれを助長した金融当局、当時の大蔵官僚の責任は重大です。お隣りの大国なら極刑ものです。口をぬぐって、のうのうとしている人たち、せめて表舞台に顔を出さないで、この先ずっと謹慎していていただきたいものです。情報公開されたときに、恥ずかしい思いをしないで済むように。

 かっての「護送船団方式」が姿を変えた「実質ゼロ金利」をよしとしていつまでも続けている限りは、「もはやバブル後ではない」というプロパガンダは説得力を持ち得ません。

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 今日の「お気に入り」は、その昔書き留めた政治家石橋湛山(1884-1973)の言葉です。

人生とは飽くまでも生存を目的とした順応の経過に他ならない
 哲学、宗教、科学、文芸、その他百般の人生の現象はただことごとく境遇順応の手段、即ち生活する為に起こったものに過ぎないこのほかに意味はない。」
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