「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

戦後60年 2005・01・06

2005-01-06 07:00:00 | Weblog
 2005年という節目の年を迎え、マスコミが「戦後60年」をテーマに特集を組むことが多くなりそうです。

 戦後の焼け跡からの復興を成し遂げ、高度成長期を謳歌したのが今の50代以上の人々なら、バブル期に舞い上がった挙げ句にバブルが弾け、長期不況に喘ぐ今の日本をもたらしたのも同じ世代の人々だと思うのです。自分は違うと仰る方もおられるかも知れませんが、大勢はそうだったといって間違いはないでしょう。

 低金利、あるいはゼロ金利が年金生活者の暮らしを直撃していると言われますが、現役時代、民間の会社勤めのサラリーマンであった人であると、公務員であった人であるとを問わず、現在年金を受給している人たちにとっては、環境ホルモンだのダイオキシンだの鳥インフルエンザだのと命を脅かす不安の種には事欠きませんが、ここ当面の日本の社会は、物価が比較的安定して低い、生活インフラの整った、暮らしやすいものである筈です。

 住宅ローンの完済に充てた残りの退職金は、生活費への充当で目減りこそすれ殖えはしないし、ぜいたくな暮らしは確かに難しいかも知れませんが、相場や怪しげな儲け話に手を出しさえしなければ、この先まあ食いっぱぐれることはなさそうなのです。この世代の多くの人たちには、自分たちは何とか逃げ切ったという安堵感があるようです。後の世代、とくに若年世代に対する負い目、後ろめたさを覚えるひとも決して少なくはない筈なのですが。

 こうしてみると、高度成長期の余慶に与って良い目をみた時代もあるにはあったのですが、この先一番浮かばれないのは、ベビーブーム世代やその後の世代の現役の中高年ということになりそうです。この世代がこけると、その災厄は老親や妻子に及ぶことがあるから難儀です。リストラ失業に脅かされ、年金受給までにはまだ10年以上の間があるというこれらの世代にとっては随分と生き辛い世の中になったものだと思います。 
コメント
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