「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

卯波 2005・07・25

2005-07-25 05:25:00 | Weblog





 「死にし人別れし人や遠花火」 

 今日の「お気に入り」は鈴木真砂女さん(すずき・まさじょ、本名=まさ、1906-2003)の句です。

 「女三界に家なき雪のつもりけり」

 「春寒くこのわた塩に馴染みけり」

 「ほろほろと百合根煮くづれ花の雨」

 「貸し倒れ一つ残して春暮るる」

 「ゆく春や身に倖せの割烹着」

 「羅(うすもの)や人悲します恋をして」

 「白桃に人刺すごとく刃を入れて」

 「品書きに鰤書き足して鰹消す」

 「今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ)」

 「手をのせし胸の薄さや今朝の秋」

 「草木よりひと足先に人枯るる」

 「落葉焚く悔いて返らぬことを悔い」

 「戒名は真砂女でよろし紫木蓮」

 「ひとりとは声にはならぬ初笑」

 「一人にも湯気たちのぼる初湯かな」

コメント
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