「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

昨日は「 恋と革命のインドカリーの日 」 Long Good-bye 2021・06・13

2021-06-13 11:19:00 | Weblog



  今日の「お気に入り」は、作家 井伏鱒二 さん ( 1898 - 1993 ) の 「シンガポール 所見 」 と題した 詩 一篇 。

  「 シンガポール 所見
   ―― 戦争中、徴用 されて シンガポール に住む。某日、意外にも キリネー・ロード にて、
     東京 新宿中村屋 の ボースさん を見る。

    走る走る―― 一人の印度人が
    紫外線よけの眼鏡をかけ
    いま熱狂の歓声をあげ
    絵から抜け出た韋駄天だ

    いつさんに自動車を追つて行く
    その車蓋のない自動車に

   これは意外
   にこにこ笑ひながら
   やはり紫外線よけの眼鏡をかけ
   新宿中村屋のボースさんが乗ってゐる

   自動車の行手には
   印度人集会場の草原に たくさんの人だかりだ

   見よ――青空を――あの集会堂の尖塔に
   翩翻(へんぽん)としてひるがへる印度独立の三色旗  」

   ( 井伏鱒二 著 「 厄除け詩集 」講談社文芸文庫 所収 )



    久しぶりにこの詩を読んで、子供の頃、一度か二度、東京 新宿中村屋 の 「 チキンカリー 」を

   食べに、家族連れだって出かけたことを 思い出しました。

    インターネットのフリー百科事典「 ウィキペディア 」には、「 新宿中村屋 」について

   以下の記事が載っています。勉強になりますナ~。

   「 1901年( 明治34年)12月 - 現文京区本郷の東京大学正門前にあったパン販売店中村屋を

    相馬愛蔵・良夫妻が買い取り、個人経営で創業。夫婦ともに学校出であったことから『 書生パン

    屋 』と呼ばれて繁昌した。」


   「 相馬愛蔵 ( 創業者 )

     1901年の創業以来、妻の相馬黒光(良?)とともに独創的なパン・食品を作り続けた。

     1904年にはシュークリームをヒントに現在もポピュラーな菓子パンであるクリ

     ームパンを考案した。1927年には現在の中華まんのもととなる『 中華饅頭 』

     を発売。これが現在の中華まんの始まりとも言われている。」

   「 1918年に娘がインドの独立運動家のラス・ビハリ・ボース ( 通称 中村屋のボース、

    チャンドラ・ボースとは別人 ) から米(白目米)や鳥(軍鶏)にまでこだわった本格的な

     カリーの調理を学び、1927年(昭和2年)6月12日に当時の日本では珍しい

     純インド式カリー を販売している。本店のカリーのキャッチフレーズ『 恋と革命の味

     はここから生まれ、引き継がれている。

    また中村屋では発売開始日の6月12日を『 恋と革命のインドカリーの日 』と定めている。」

    「 フランスパン を日本で最初に発売した京都の 進々堂 創業者の 続木斎 や、山﨑製パン 創業者の

      飯島籐十郎
相馬のもとで勤務していた

      新宿本店には愛蔵・良の人柄に惹かれた文化人が盛んに来店していた。

     その中にロシアの童話作家 ヴァスィリー・エロシェンコ もおり、彼がレシピを伝えた ボルシチ も、

     前述のカリーと並び本店レストランの開店以来の人気メニューである。ただし、この ボルシチ は

    テーブルビート の代わりに トマト を使用した物である。また、エロシェンコ が着用していた ロシ

    ア の民族服 ルバシカ も、その機能性から店員制服として採用されている。」

  「 逸話

    寺山修司 は プレイボーイ誌 で 人生相談欄 を担当していたとき、自殺願望の青年の葉書に対し、

   『 君は 新宿中村屋のカリー を食べたことがあるか?なければ食べてから再度相談しろ 』と返答した。


   おぼろげな記憶ですが、昔、食べた 新宿中村屋の「 チキンカリー 」には、色んなスパイスの他に、

   すりおろしたリンゴ が 隠し味 に入っていたような 気がします。

   今の レトルトカレー とは 随分と違ったお味 だったような ・・・ 。

   そう言えば、ネパール ・カレーのテイクアウトのお店で買った「チキン・バター・カレー」を食べた

   昨日 6月12日は、中村屋さんの『 恋と革命のインドカリーの日 』。

   一緒に食べた ナン は、やけに甘かったナ~、パンケーキほどではないけれど ・・・、

                  ナン専用の業務用小麦粉、 甘さ控えめにお願いしたい、日清製粉さん。




   
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