「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

東京物語 Long Good-bye 2023・12・14

2023-12-14 05:50:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」は 、山田太一さん ( 1934 - 2023 ) のエッセイ

 「 夕暮れの時間に 」から「 小津の戦争 」と題した小文 。  ( 小津安二郎 1903 - 1963 )

   備忘のため 、抜き書き 。

   引用はじめ 。

 「 長いこと『 東京物語 』の瑕瑾 ( かきん ) のように思っていた

  台詞 ( せりふ ) がある 。周吉 ( 笠智衆 ) が紀子 ( 原節子 ) に 、

  もう戦死した息子のことは忘れてくれ 、『 ええとこ 』があっ

  たら 、いつでもお嫁に行っておくれというと 、紀子が『 私

  ずるいんです 』という 。そんな『 いい人間じゃない 』という 。

  『 いつも昌二さん ( 亡夫 ) のことばっかり考えているわけじゃ

  ありません 』『 思い出さない日さえあるんです 。忘れてる日

  が多いんです 』と 。それを『 ずるい 』というように自分から

  三度もいうのである 。

   夫の死から八年がたっている 。いつも亡夫のことばかり考えて

  いないのは当然であり思い出さない日があるのも当然であり 、

  それを『 ずるい 』という強い言葉でいうのは相手がそれを打ち

  消すのを見越した上での偽善の言葉で 、紀子の人物像を小さく傷

  つけるように感じた 。それに周吉は『 いやあ 、ずるうはない 』

  『 あんたは 、ええ人じゃよ 、正直で 』と応ずる 。

   しかし 、紀子は正直だろうか 。本当に自分を『 ずるい 』と思

  っているだろうか 。死んで八年もたてば亡夫が遠くなるのは当然

  と思いながら 、綺麗な口をきいたのではないだろうか 。紀子は

  あきらかに小津作品の肯定的人物なのだから 、こんな疑わしい

  やりとりはしない方がいい 、と名作のこのシーンだけは浮いて

  いるような気がしてならなかった 。

   それがある日 、小津の軍服の写真を見ていて 、紀子が自分を

  『 ずるい 』と感じる気持を突然納得した 。

   亡夫は戦死をしたのであった 。紀子は ―― そして小津は ――

  ただ亡夫を忘れかけていることを『 ずるい 』といったのではな

  かった 。八年前までの戦争でおびただしい数の日本人が死んだこ

  とを 、半ば忘れかけている自分を ―― 小津を 、『 ずるい 』と

  いったのだった 。そのようにとれば八年間は長いとはいえない 。

  忘れかけていることを『 ずるい 』と思う感情もよく分る 。小津

  は生き残った自分を責める気持を紀子に託したのだと 、見る見る

  瑕瑾の消える思いをしたが 、どんなものだろうか 。

                ( 『 東京人 』2003年10月号 ) 」

   引用おわり 。

   ( ´_ゝ`)

   令和5年 師走の平日12日の午後 、NHKBS1で 、小津安二郎

  監督作品「 東京物語 」を視聴しつつ 、思い出したのが 、山田太一

  さんの上の文章 。

   「 東京物語 」は 、1953年 ( 昭和28年 ) 公開の松竹大船のモノクロ

  映画 。( 低い位置にカメラを固定し、角度をわずかに上にあげて撮る ) ロー・

  ポジション ( ロー・ポジ ) で撮った茶の間の一場面を 、たまたま垣間見た若い

  世代の家人が 、一発で 「 小津作品 」と言い当てた

   物語の時代背景は 、シン・ゴジラに破壊される ずっとずっと前の 昭和

  20年代後半の 日本 。ゴジラでいうと 、GODZILLA - 1.0 ( MINUS ONE )

  の舞台となった時代に近い 。団塊世代が幼少期を過ごした頃の 東京 、

  熱海 、大阪 、そして 蒸気機関の夜行列車で東京から15時間もかか

  のどかな 尾道 が舞台 。温泉地 熱海に 日本旅館はあるが 、ホテル や マ

  ンションは 、まだ影も形もない 。

   東京だと 、東京都足立区の千住火力発電所 ( 現存しない 4本の「 お化

  け煙突 」 ) 、東京駅の旧駅舎東京駅八重洲口の発車時刻案内板が 、

  列車の発車とともに 、パタパタと更新されていく さま 、・・・ など

  見覚えのある 、懐かしい風景がいっぱい 出てきて 、興趣が尽きない 。

   日本の家族制度の崩壊や家族形態の変化を描く本作品 、まるまる 136分

  大いに楽しめた 。

    笠智衆さん 、東山千栄子さん 、原節子さん 、杉村春子さん 、山村聰さん 、

  三宅邦子さん 、香川京子さん 、・・・ 。 長澤まさみさん似の 香川京子さん

  以外は みな故人 。 ( 笠智衆 1904 1993 、東山千栄子 1890 - 1980 、原節子 1920 - 2015 、

                    杉村春子 1906 - 1997 、山村聰 1910 - 2000 、三宅邦子 1916 - 1992 、香川京子 1931 -     )            

   近いうちに 、NHKが制作協力したデジタルリマスター版が BS1で

  再放送されるかも 。そしたら 、もういっぺんみて 見納めにしましょうか 。

   ( ´_ゝ`)

   戦争の悲惨さを 、肌身にしみて感じたことがない 戦後生まれ が 、日本の

  人口の8割以上を占めるという 。太平洋戦争の戦死者について 、小津安二郎

  さんや 山田太一さん と 同じような感慨を抱く人も 、すっかり少なくなった

  ように思う 。筆者も 、応召した者や職業軍人が近親者にいても 、家族 、親

  族に 戦死者や戦争で身体に傷を負ったものはいない 。そうなると 、さきの

  大戦ですら 、遠い歴史の中の出来事なのである 。

   親の財産なら 、相続するも 、相続放棄もできる 「 個人 」と 違い 、資産も

  負債もひっくるめて 受け継がねばならない 「 国 」がしでかしたこと 、国が

  遺した「 負債 」や「 負の遺産 」に対して 責任を感じろと言われ続けて ん十

  年 、理屈では承知できても 、感情的には 、なかなか首肯することは出来ない 。

  いつまで謝れば気が済むのかという 、例の「 あれ 」である 。

   観光目的でも China や Korea には行く気がしない というのが正直なところ 。

   かつて 打倒米帝 、造反有理 とか叫んでた人が 、今 共産党・中国 や プーチン・

  ロシア の専横ぶりを苦々しく思ってる 。

   米国に与してきたお蔭で 、今日があるのではないのか 。

   その身は 繁栄の成果を享受し 、自由で 、民主的で 、平和な社会で 、勝手気

  ままに行動し 、己主張の活動をめいっぱいする一方で 、日米安保条約には

  今でも反対で 、どこかで洗脳でもされたみたいに 、憲法改正には一言一句た

  りとも賛成できない 、論議することもやめろ 、安倍晋三は大嫌いだ などと

  う 。それは 、なんだか違うんじゃないかなあ 。思考停止 、自己撞着 、自己

  矛盾の極み じゃないか 、と っと ずっと 思ってる 。

   岸田自民党政権の積極的な支持でも どこかの学会員でもいけれど 。

   ( ´_ゝ`)フー 。。

   裏金も みんなでやると 党おわる 。

   与野党で みんなたべてる 毒饅頭 。 

   官民で みんなたべてる 毒饅頭 。

   孔子の編といわれる中国の「経書」に書かれている「 習い性となる 」 って

  やつですね 。これを野放図に民間の会社でやると 、

   毒饅頭 みんなでくうと ご倒産 。

   ほどほどになさいまし 。   

 

 

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