2005年の8月下旬、キャベツの産地廃棄のニュースが流れた。
野菜ソムリエの試験のために猛勉強していた頃だったので、
群馬県嬬恋村のキャベツ畑にトレーラーが入り、
キャベツを踏みつぶしていく光景にショックを受けた。
その時は、何もわからずに、ただ
「もったいない。ザワークラウトにすればいいのに・・・。」
「学校給食用に提供してあげればいいのに・・・。」
などと考えたものだ。
収穫間際まで育てたキャベツをつぶすことがつらいのは、
農家にとって、当たり前のこと。
しかし、輸送費などを考えると、赤字で出荷するわけにはいかない。
野菜ソムリエになってからも、あの光景が頭から離れず、
野菜の産地廃棄についての勉強会にも参加した。
好天続きで野菜の出荷量が増えると、価格は下がっていく。
その場合、突然廃棄が行われるわけではない。
最初は、出荷を遅らせて様子を見る。
その次に、野菜を加工用に回す。
それでも、追いつかないとわかったら、
最後の手段として、産地廃棄が行われるのである。
しかし、野菜の廃棄は、指定産地だけで行われているわけではない。
「うちなんか、野菜の廃棄はほぼ毎日だよ。」
と、知り合いの施設農園の方がおっしゃった。
指定産地の農家なら、廃棄した分、交付金が支払われる。
しかし、そうではない農家もたくさんいる。
その現状を知ってから、私は軽はずみに
「もったいない。」とか「かわいそう・・・」とか言えなくなった。
季節は動いている。
野菜を畑に残したままでは、次の野菜の苗が植えられないのである。
※指定産地とは
14種類の指定野菜(白菜・キャベツ・大根・ほうれん草・里芋・玉ねぎ・
ねぎ・レタス・きゅうり・ピーマン・なす・トマト・にんじん・じゃがいも)
を安定的に確保するために定められた集団産地のことです。
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