先日お越しいただいたishiiさんのお宅を、21日に訪問しました。前日の登山から一転、インドアの世界での交流です。向かったのは赤羽です。赤羽と言えばオーディオ交流や関連する飲み会で何度も通っていますが、異なる方との交流もまた新鮮です。渋谷駅の埼京線のホームが改修され、拙宅からのアクセスが格段に楽になりました。待ち合わせの北口改札を出ると、既にishiiさんが来られていました。挨拶もそこそこに、お宅のある高台までバスで移動しました。早速、オーディオ部屋に通していただき、オフ会スタートです。
拙宅同様にishiiさんも戸建ての2階でシステムを組まれています。3WayのトールボーイSPを使われていることも共通します。部屋の形は長方形で、この点はほぼ正方形の拙宅とは異なります。SP配置は短辺配置で、その分、リスニングポジションをSPから離すことができます。LINNの機器を愛用されており、上流の一部機器を除いてLINNで揃えられています。長いオーディオ歴の中で、LINNと出会い、関係を大事にされてきたのだと思いました。ちなみにLINNのESPEK(SP)は15年選手だそうです。
上流の機器です。CDプレイヤーも嘗てはLINN製を使われていましたが、現在はスチューダのD730 MkⅡ を使われています。90年代、ステレオサウンド誌を通じてスチューダやルボックスの存在を知っていましたが、高嶺の花的存在でした。当然、新品ではありませんが、オークションがあり、レストア業者もいるので、使用できるわけです。プリアンプはLINNのフラッグシップ機KLIMAX KONTROLです。フォノイコライザーもLINNから移行です。珍しいFMアコースティクスのFM-122をお使いです。必ずしもLINN一辺倒でないことも分かります。
デジタル、アナログ両方を楽しまれている点も、私と共通です。先日のオフ会では、バラエティ溢れるレコード音源を楽しませていただきました。当然、プレイヤーはLP12となりますね。段階的にグレードアップできるのがLP12の特徴です。ishiiさんもいくつか手を入れている様子でした。
写真のピントが甘くてすみません。パワーアンプもやはりLINN製で、3台使用されています。3つの帯域別に駆動する、マルチアンプシステムを組まれています。LINNユーザーの訪問は何度かありますが、マルチアンプの方は初めてかも知れません。
LINNの3Way トールボーイSPのESPEK です。足元、手前に見えているはバスレフポートで、ウーファーは後面に配置されています。ishiiさんはアクセサリーにも拘られており、SPの周囲には日本音響エンジニアリングのチューニング製品が配置されていました。奥がコーナー向けのANKH、手前がSYLVANです。またSPの足元にはオーディオボードを敷き、ハーモニックス製のインシュレータでSPのスパイクを受けていました。ちなみに音への影響の大きさから、訪問客は1名までに制限しているとのことでした。
前半2時間をデジタル、後半1時間をアナログで聴かせていただきました。冒頭はクラシックです。ビバルディのリコーダー協奏曲、アメリングの歌曲等、オーディオ部屋に積まれたCDからishiiさんが選曲する形式で進行しました。何度か訪問したお宅ですと音場形成のイメージが記憶されていますが、初訪問先では、耳が慣れるの時間がかかります。音場を広げるより、正面にしっかりと音場を置くような印象を持ちました。ishiiさんが大編成より小編成を好まれることと関係しているのかも知れません。一旦、音場に慣れると音楽に入れます。
デジタルの後半は、ポップス、ジャズです。大貫妙子と坂本龍一のコラボ『UTAU』、薬師丸ひろ子の『古今集』等をかけていただきました。ノイズ感の少ないサウンドは、大貫妙子の声に合っていると感じました。坂本龍一のピアノにしばし浸りました。ルームチューニングの効果も去ることながら、プリアンプKLIMAX KONTROLが要として効いている印象を持ちました。私が持ち込んだ八神純子「Be my friend」も、小気味よく弾む、それでいてボリューム感ある低音とや柔らかいヴォーカルが両立していました。
アナログになると、ぐっと鮮度が上がり、華やかさが増します。随分と開放的になります。プリ以降は同じシステムなのに不思議です。ジョージベンソンはギターのイメージですが、歌が上手であることを知りました。「This Masquerade」をカバーし、70年代にヒットさせたこと知りませんでした(汗)。80年代後半のシングルレコードの相場が上がっているそうです。CDの普及が進んだことにいりレコードの生産枚数が少ないこと、昨今のJ-Popsブームが原因のようです。ishiiさんが浅香唯をお持ちであることも驚きでした。
ishiiさん、2週間での相互交流ありがとうございました。サウンドは異なる印象を持ちましたが、共通項も多いとも感じました。現在の部屋にこれ以上大きいSPを入れるのは無理、という現状認識もその一例です。私自身のオーディオライフの方向性を確認する機会にもなりました。部屋を活かし、オーディオ機器に愛着を持つ。基本的なことではありますが、長くオーディオを続けるために必要なことを再認識しました。