珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

古い本ですが

2013-02-24 08:14:19 | その他
お店の試聴会は土日開催が普通ですが、解放感のある金曜日の夜というのも、たまにはいいかも知れません。先日フェーズテックのフォノアンプの記事を書きましたが、その中で触れたEA-1000の試聴会に昨日参加してきました。アナログ100%の試聴会は、製品を聴くことよりレコードを聴くことが目的だったりしますが、今回は製品、レコード共に楽しめました。Saxophone Colossusのオリジナルをモノラルカートリッジで初体験。これは堪らない人には堪らないんでしょうね。EA-1000は、左右の広がりと中央部の厚みの両立が開発テーマだったようで、自分の求める方向とのマッチングは高いと思いました。


最近読んだオーディオ、音楽関係の古い書籍を紹介します。瀬川冬樹さんと黒田恭一さんの本です。瀬川冬樹さんの名はオーディオ系のブログでも未だに見かけます。好意的に捉えている方が多い感じがします。瀬川さんが亡くなられたのは81年、私がSS誌を立ち読みし始めたのは90年代以降です。従って、瀬川さんの文章に直に触れたのは古書が最初となります。黒田さんも、SS誌のディスク紹介を書いている人、程度の認識しかありませんでした。クラシックのイメージが強かったのですが、ジャンルを超えて音楽を聴かれていたようです。後で知ったのですがBURRN!誌(ロックの雑誌です)にも長い間寄稿されていたとは。

読んだのは「瀬川冬樹のステレオテクニック」です。Amazonで1000円程度で買えました。表題の通り、テクニックに関する事項もありますが、むしろ、スピーカー、アンプ、プレーヤーの原理を解説している章が面白かったです。高校の物理を思い出しながら、そして瀬川さん自身のイラストに助けられながら理解が進みました。プレーヤーは勿論アナログです。アナログを再開した身には、アナログしか書いていない本は逆に貴重です。30年以上も前の本なのに内容は陳腐化してません。裏を返すとオーディオの進歩って遅いのかも知れませんね。ケーブル病など陥りがちな落とし穴への警告も、ちゃんとされています。


たまに覗いているaudio identityの中で黒田さんの「音楽への礼状」の復刊の記事がありました。早速、小学館からの文庫本を取り寄せました。お気に入りのアーティストへのお礼が、手紙形式で綴られています。基本は柔らかいトーンですが、時に、厳しい口調が混ざって、却ってアーティストへの愛情を感じることができます。ジャンルありきではなくアーティストありきの視点が、私には心地よいです。オーディオに力を入れるようになり、私もジャンルが広がり、購入するソフトの量も増えました。買ってきたソフトの音を気にせず単純に曲を楽しむことができたら理想です(要はオーディオにのめり込む前の聴き方ですが)。


早いもので2月最後の週末となりました。この時期は日がどんどん長くなるので、季節の進みを余計に早く感じます。近所の梅が咲き始めて大分経ちました。梅のいいところは、楽しめる期間が長いことです。少し余裕が出たら鎌倉あたりに行ってみようかと思ってます。
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GRFさん宅、再訪

2013-02-17 15:09:42 | オフ会
金曜日は小雨、土曜日は晴れながらも北風で痺れる寒さとなりましたが、東京にて二つの非日常を楽しみました。

金曜日は休暇をとって確定申告に行ったあと、そのまま羽を伸ばして千駄木へ。昨年11月にお宅をお邪魔したiさんのギャラリーを訪問しました。2時間ほどの滞在でしたが、絵のこと、オーディオのこと、仕事のこと、楽しいお話ありがとうございました。勝手にイメージしていた現代美術のバリアが解れたような気がします。千駄木の印象も良かったです。神田あたりまではよく足を運ぶのですが、その先の湯島、根津、千駄木は、なかなか馴染みがありませんでした。千駄木は文豪との関わりが深い歴史ある場所です。浅学を晒すようなもので恥ずかしいのですが、団子坂からギャラリーに向かう途中に、鴎外の記念館があることも知りました。司馬さんにも本郷界隈というエッセイがあるようなので、今度読もうと思っています。

土曜日は約1年半ぶりにGRFさんのお宅を訪問しました。前回訪問から、新たにRectangular GRFと電蓄Decca Decoraが広い部屋に加わっています。例によってユニコーンのある部屋からスタートです。ベルリンフィルの配信映像の美しさと音の良さに驚いた後は、CD音源を中心に聴かせていただきました。現在、私自身はCDプレイヤーでの再生を休んでいますが、ここでCDプレイヤーの音を聴く度に考えさせられます。ファイル再生だから・・・CDプレイヤーだから・・・ではない事、忘れてはいけませんね。新たに加わったEMMのCDプレーヤーとCD34改との比較も興味深かったです。明るさ・溌剌さでEMM、深み・切れ味でCD34改と聴きましたが、これは優劣ではないと思います。


普段はクラシックを中心に聴かれているGRFさんですが、私へのご配慮か、ジャンルを変えて選曲していただきました。昭和歌謡は私も好きな分野の一つです。と言っても、ちあきなおみ=喝采のイメージしかなかったのですが、この人のファドは沁みます。伝説の存在になっていること、ご年配のファンの支持が熱いことの理由が分かるような気がしました。80年代のジャズも普段50、60年代に偏っている身には新鮮でした。MJQはスタンダードも扱ってますし録音もいいので入りやすそうです。GRFさんが青葉台のホールで前日演奏を聴かれたフルート奏者Emmanuel Pahudは、早速、ビバルディの協奏曲の音源探しです。


お酒で気分も緩んだところで広い部屋に移動しました。平行法の音は、以前にハートレーで聴いていますし、普段、私自身が平行法を実践しているので、音場の深さ、広がりに対するイメージは持っています。免疫があるとも言えます。セッティングを追い込んだRectangular GRFを一聴して、やはりと頷いてニヤリとしてしまいました。一音一音が丁寧に聴こえ、以前にハートレーを聴いた時より、ユニコーンの部屋と、音色の差が縮まったように感じたのは気のせいでしょうか。さて電蓄です。電蓄という名前はSS誌で目にしたことがありましたが、聴くことは想像していませんでした。自分より先に生まれた装置の音を聴けることに感謝するのみ、音の比較はするべきではないですね。


番外編です。GRFさんは時々ご自宅からの富士山のショットを紹介されています。この日は北風の強い日でしたが、その分、景色はバッチリでした。屋上に案内いただき、360度の景色を見ました。広角かつ逆光で見づらいですが、太陽の左側に富士山が確認できます。ダイヤモンド富士が1週間ほど前ですから、この間、陽が沈む位置が随分と北へ移動していることがわかります。凍てつく寒さの中にも、春が近づいていることを感じました。


2年ほど前にGRFさんが自宅に来られた際に、実験でつないだNAC-HD1(クロックを改造)の音を、いまだに忘れることはできません。ソース装置を変えただけでV40SEとウィーンアコースティックのBeethoven Baby Grandが朗らかに鳴った事に驚きました。下流の装置達からは「まともな信号を貰えればいくらでもいい音を出せるよ」と言われているようで、ある意味ショックだったのです。あれから2年、謎解きはまだ続いていますが、少しは高度を上げれたのでしょうか。
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再びウィーンアコースティック

2013-02-10 07:56:26 | オーディオ
1月の記事で触れてもよかったのですが、ブログを初めて3年となりました。3日、3週間、3か月の壁?は問題なくクリアーしましたが、3年は正直どうかなという気持ちがありました。日記をまともに書いたことが無い私にとって、週1回程度とは言え、記事を発信し続けることは新しい体験でした。この間、デジタルファイル再生への注力、アナログの再開と、オーディオライフ上の大きな変化点がありましたが、適度に音楽の話題、全く無関係な話題も混ぜることで意外にもコンスタントに更新ができました。ブログを通じて同じ趣味の方と繋がりができたことは、何よりのドライビングフォースとなりました。

さて代理店が宙ぶらりん状態だったヴィエナアコーステックですが、ようやくナスペックに決まったようです。既にステレオサウンドONLINEやPhilewebのニュースでアナウンスされています。肝心のナスペックのホームページにはまだ載っていないようですが。メンテンスもナスペックが面倒見てくれるとのことで、ユーザーとしては一安心です。名前もCECが扱っていた当時のウィーンアコースティックに戻りそうです。日本語ではウィーンはウィーンですから、まあウィーンアコースティックでいいのではないかと。


本音はOCTAVEを扱ってるフューレンさんに納まればいいなと秘かに期待していたのですが、各社事情がありますから思い通りにはなりません。ナスペックの扱っているブランドには、プレイバックデザイン、プライマー、ケンブリッジオーディオ、ダールジール、ジョセフオーディオ等があります。個人的には接点が薄かったブランドばかりです。同じオーストリアだとアナログプレーヤーを出しているPro-Jectもあります。今後、試聴会ではプライマーのアンプとの組み合わせになるのでしょう。久々にインターナショナルショウで聴けるのはプラスポイントです。


写真のBeethoven Baby Grandは購入して間もなく4年近くになります。スピーカーが本領を発揮するのは10年経ってから・・・と、何処かでで見たような気がしますが、だとすればまだまだ頑張ってもらわなければなりません。そう遠くない将来、メインシステムを譲る時が来ますが、その時はリビングのシステムへ移して使い続けるでしょう。当面はナスペックの価格設定、特に、Concert Grand シリーズの最高峰のImperial Grandの値付けに注目です。困ったことに円安なんですが。
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フェーズメーションEA-3mk2

2013-02-03 10:37:51 | オーディオ
アナログの話題です。フェーズメーション/フェーズテックの名称の使い分けが今一つ分かりにくいですが、アナログ、デジタル共に協同電子エンジニアリング社にはお世話になっています。アナログではフォノアンプEA-3 mk2を、デジタルではUSB-DDC基板のUDIF7を使っています。同社のラインナップにはまだ弩級のCDトランスポートが残っているようですが、新製品の多くはアナログとデジタルファイル再生に関連しています。CDPによる再生がすっかり激減した私にとっては、動向が気になる国産メーカーです。

アナログ市場が衰退して以降、一般のアンプからはフォノ入力が消えています。レコード再生を再開するにあたっては、別途フォノアンプを買う必要がありました。市場が小さい一方、音にそれなりの拘りを持ったファンが購買層となるので、アナログはデジタルに比べると機器の割高感が出ます。そこを敢えて踏み込むのですから出費は覚悟なのですが、プレーヤーに力点を置いてしまったので、フォノアンプをどうするのかは、考えどころでした。

一つの目安としたのが、デジタルにおいてアンプの上流にあるエソテリックの単体DAC D-07です。アナログ、デジタルを切磋琢磨させたい立場としては、ボトルネック(言い訳)は作りたくなかったわけです。定価ベースではD-07の3分の2程度となりますが、お店の推薦もあってEA-3 mk2に決めました。同じ価格帯ですとBenz MicroとかNAGRAに洒落たフォノアンプがあり惹かれましたが、以前のフォノアンプ試聴会での印象が良かったことも選んだ理由の一つです。見た目にもシルバーの筐体に寒色系のランプは、OCTAVE V40SEやD-07とマッチします。

電源ケーブルならびにRCAケーブルもデジタルと全く同じ条件に揃えました。フォノケーブルはプレーヤー付属品をそのまま使っています。英国chord社がリーズナブルなケーブルを出したようなので、ゆくゆくはと思っていいます。


フォノアンプを入れ替えて比較することをやっていないので、EA-3 mk2の個性を掴んでいるわけではありません。アナログを再開して感じたことの一つに、音の広がりや空間配置は何らデジタルと変わらない点がありました。左右のセパレーションはアナログの弱点かと想像していましたが、これは杞憂だったようです。フェーズメーションからは、昨年、3筺体(L+R+電源)で構成されるフォノアンプEA-1000が発売されています。魅力は大きいですが、勿論、EA-3を使い込むことが先決です。将来、購入を検討できるくらいにアナログの追求も怠るなとのエールと捉えています。
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