珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

佐藤俊介さん、リサイタル

2020-02-02 20:43:56 | ライブ
1月25日、成瀬のアートスペース・オーで開かれた、佐藤俊介さんのリサイタルに行ってきました。今回は、ベルウッドさん、パグ太郎さんがご一緒です。中国出張中にベルウッドさんからお誘いをいただいたのですが、二つ返事で参加の返信を出しました。中国滞在中、日に日に新型コロナウィルスの話題が増していただけに、帰国後直ぐのこのリサイタルを大変楽しみにしていました。長津田駅の横浜線ホームでばったりベルウッドさんに遭遇。その後、成瀬駅でパグ太郎さんを待って、そのまま会場のアートスペース・オーに向かいました。

こちらでのリサイタルは前橋汀子さん、山崎信子さんに続いて、この半年で3回目になります。この後も、いろいろとリサイタルが予定されています。遠方の皆さんに比べると散歩感覚で恐縮です。


恥ずかしながら、佐藤俊介さんは、お誘いを受けるまで存じ上げませんでした。パグ太郎さんの大学時代のお知り合いのお子さんでもあるそうです。ということで、まだお若いアーティストです。その若さにしてオランダバッハ協会の芸術監督というのは、相当なことらしいとも伺いました。モダン/ バロックの両ヴァイオリンを弾かれることを知ったのも、ほぼ当日でしたが(汗)。伴奏のピアノは、佐藤さんとも組まれているスーアン・チャイさんです。


楽曲も実は、バッハのヴァイオリンソナタ以外、馴染みがない曲が殆ど、でしたが、ヴァイオリンの生音を直接浴びる感覚は十分刺激的でした。バロックとモダンではヴァイオリンそのものが異なるものと思い込んでいましたが、意外にも形の類似ぶりに驚きました。一番の違いは弓だったのですね。バロックの方が音が短く、軽快に鳴るそうです。後半の部ではさらに、モダンヴァイオリンの弦の1本をガットからスティールに変える場面もあり、半ば授業を受けているような感覚のまま進行しました。ご本人自らの分かり易い解説+デモで腑に落ちました。アートスペース・オーらしい、至近距離のサプライズです。


シューマン、ブラームスと続いた後半の部が、このリサイタルのハイライトでした。シューマンの幻想小曲集作品73はアンコールでも取り上げられたのですが、染み入るような旋律が残りました。なかなか19世紀の作曲は聴く頻度が上がってこないのですが、よいきっかけをいただきました。全ての演奏が終わり、客席と向き合うお二人です。中国出張の疲れを癒す、素晴らしい演奏に感謝です。


ピアノは勿論、モダン一本となりました。バロック・ヴァイオリンとの組み合わせは、案外珍しいのでしょうか?


今回は、開演が午後4時で、終了後は軽く感想戦へ。成瀬駅前の居酒屋にて、皆さんと談義を続けました。何か分からないことがあると、スマホで正解を引き出せるので、話題が次々に変わりましたね。例によってクラシックの大部分は聞き役になりました。アルゲリッチのアルペジーネ・ソナタ、ピアニストとヴァイオリニストの愛、進振りや中欧~東欧の国々の話題あたりは断片的に憶えているのですが・・・。真冬の八海山の冷酒で、いい気分になっていたようです。

ベルウッドさん、パグ太郎さん、新年一発目のリサイタルをご一緒させていただき、ありがとうございました。
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山崎伸子さん、リサイタル

2019-10-13 09:07:53 | ライブ
10月5日、成瀬のアートスペース・オーで開かれた、山崎伸子さん(チェロ)のリサイタルに行ってきました。曲は、バッハ無伴奏チェロ組曲の1番~6番です。8月の前橋さんのリサイタルで、この日のリサイタルを知りました。バッハつながりで、これは行かねば、と早めに申し込みを済ませていました。バッハのチェロ組曲をライブで聴くのは、浜離宮朝日ホールでの長谷川陽子さん以来になります。全曲通すと、3時間超えの長丁場です。ベルウッドさんの前回のアドバイスに従い、マット持参で会場に向かいました。

会場の成瀬まで、時間に余裕があったので歩いてみました。横浜市と町田市の境の、いつもの散歩コースです。草の茂みや、丹沢・大山の遠望に、去り切らぬ夏を感じます。そう言えば、この日、山崎さんも半袖のカジュアルな恰好での演奏でした。


そうは言いつつも、秋も着実には迫っています。恩田川の桜の葉が色づき始めました。この川を過ぎると、アートスペース・オーまで登り坂です。まだまだ時間に余裕があったので成瀬駅近くの成城石井でジャムを調達して(人気のいちごバターは売り切れ)、会場入りしました。


開演は午後4時でした。1階のギャラリーで陶芸作品を見ながら開場まで待ちました。聴衆はご年配の方が多かったです。音楽なあるいは陶芸なのか分かりませんが、地元のサークルの方でしょうか。今回は一人だったので控えめに2列目の席を確保しました。


この日は1番から順に弾いて6番に至る、珍しい演奏順でした。リサイタルの最後に、山崎さん自身による解説がありました。順番通りに弾くのは体力的にキツいそうです。実際、当初のプログラムは、第1番・4番、第3番・5番、第2番・6番となっていました。各曲の個性を、人生に喩ていたのが面白かったです。山崎さん曰く、1番には10代、6番には60代に相当する雰囲気があるとか。確かに1番の出だしには颯爽とした若さを感じます。オーディオで聴く際にも、そんな見方、聴き方を加えると違った楽しみになります。

休憩を2回挟んでの3時間超えの演奏、終わってみれば早かったです。至近距離で聴くチェロの音は、普段のオーディオで聴くそれとは全く違います。特に低音部のブワァーと押し寄せてくる感じは、生&至近距離ならでは、でした。といっても、その低音に母性を感じるのは、山崎さんだからでしょうか。終始、包まれているような感覚で全曲、聴かせていただきました。この後、文化の日に、王子ホールで全曲演奏をやるようです。アンコールはカザルスの「鳥の歌」でした。吸い込まれるような、沁みる演奏で、締めとなりました。


終演後、会場を後にした時には午後7時半を回っていたでしょうか?秋分の日を過ぎ、日が短くなっているのを実感します。ラグビーW杯の日本-サモア戦の中継が気になっていたので、足早に帰路に就きました。
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前橋汀子さん、リサイタル

2019-08-04 17:14:07 | ライブ
梅雨明け以降、横浜方面は猛暑続きです。3日、成瀬のスペース・オーで開かれた前橋汀子さんのリサイタルに行ってきました。バッハ、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータの全曲演奏です。ご一緒はベルウッドさんです。先の赤羽オフ会の2次会で話が繋がり、今回のリサイタルを紹介をいただきました。前橋さんのことは、以前、長谷川陽子さんの授業でも触れたことがあります。オーディオに熱を入れるずっと前に、2枚組のCDを購入していました。


翌日から北アルプスの槍ヶ岳に登る関係で、会場入りする前に、食料品や、EPIガスのカートリッジを調達、その足で会場に向かいました。ベルウッドさんとは先に着いた方が最前列確保、とのやりとりをしていました。かなり早めに着いてしまい、しばし1階のギャラリーで様々な陶器を見なが涼んでいました。5時半には開場となり、何とか私の方で最前列、かぶりつきの位置を確保することができました。普通では味わえないアーティストとの距離感を最大限、味わおうというわけです。


アートスペース・オーは、今回で2回目となります。前回は2年前の児玉麻里さんのベートーヴェンのピアノ・ソナタでした。灯台下暗しで、少しご無沙汰してしまいました。いわゆるホールの音とは真逆で、直接音を浴びるような鑑賞となります。椅子も体育館で使うような折り畳み式です。この日は長丁場が予想されました。ベルウッドさんからは、事前にクッションを持ってくると良いと、アドバイスいただきましたが、これ、正解でした!オーディオ近況や前橋さんネタを話しつつ、主役の登場を待ちました。


無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータを全曲通しで聴くのは初めてです。オーディオだと集中力の問題もあり、馴染みやすい旋律の数曲をつまみ聴きすることとなってしまいます(苦笑)。ヴァイオリンではなくチェロの方では、長谷川陽子さんの浜離宮朝日ホールでのリサイタルが思い出されます。無伴奏チェロ組曲の全曲演奏で、やはり3時間超えの長丁場でした。ただでさえ暑さで参りそうな真夏に、しかも聴衆は至近距離。演奏する前橋さんも大変だったことでしょう。

会場は満席。第一音が出るまではこちらも緊張します。第一印象は、音が近い!。ヴァイオリン演奏を数m先で聴く機会は、極めて稀です。あらためてヴァイオリンが擦って音を出していることを実感しました。その擦れ方も実に様々です。逆に普段オーディオで聴いている音が、如何に整えられているのか、ですね。更に、前橋さんの呻くような生声を聴くことができました。リサイタルのハイライト「シャコンヌ」でしたので、前橋さんも力が入ったものと思います。ハプニングと隣り合わせの感覚は、やはりアートスペース・オーならではです。

長丁場でしたが、終わって見ればあっと言う間でした。途中、意識が薄れる場面もありましたが、いつも耳にしている旋律、そして眼前の真っ赤なドレス姿に前橋さんに、引き戻されました(笑)。バッハは無伴奏が危ないです。前橋さんは初めてお目にかかりましたが、想像通り凛としてチャーミング。年齢は関係無いですね。お隣のベルウッドさんは、何と中学生時分に買ったスコアを片手に演奏に入り込んでいるご様子。普段オーディオでも気になる箇所があるとスコアで確認するとか。耳が良くなるはずです。


終了時点で21時を回っていたこともあり、この日は感想戦は無しで散会となりました。ベルウッドさん、真夏の夜の夢のようなリサイタルを、ありがとうございました。秋には山崎伸子さんの、やはりバッハの無伴奏チェロがあります。バッハの無伴奏は今年のライブのテーマになりそうです。

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江古田の夜

2018-09-23 06:29:01 | ライブ
15日は、chibiさんにお誘いいただいて、久々のライブでした。6月の拙宅オフ会でchibiさんが持ち込まれた音源に、憂歌団の木村充輝のライブ盤がありました。その日の感想戦で盛り上がり、今回ご一緒することとなっていた次第です。会場は江古田。実は、江古田との接点がこれまで全く無く、記憶の限り初の江古田入りとなりました。江古田は学生の街と言われていますね。池袋が近いので何となく庶民的なイメージもありました。滅多に乗る機会の無い西武池袋線に乗り、江古田駅にてchibiさんと合流しました。

会場のLive in Buddyは駅の目の前でした。chibiさんが整理券を取っていたので、入場もスムーズにいきました。ちょうど中央の6、7列くらいの好ポジションを確保できました。さっそく生ビールでくつろぎます。ここからが長かったのですが・・・。


19:00開場でしたが、しばらく前座が引っ張る展開となりました。結局、御大の登場は20:30でした。この辺はクラシックのコンサートとは違って、アバウトもアバウトです(笑)。しかし冒頭の「Georgia on My Mind」で空気が一変。以後、だみ声のブルースと、大阪弁のトークで盛り上がりました。7、8割は女性客、30~40代が多かったです。木村充輝自身は既に還暦を過ぎていますが、可愛げとやんちゃさが、母性本能をくすぐるのでしょうか?「恋のバカンス」「君といつまでも」「Don't Let Me Down」といったお馴染みの曲も交え2時間あっという間に過ぎました。


私自身、ブルースとの接点が少なく、特に和製ブルースとなると尚更です。オーディオ仲間ではniraさん、KYLYN(キリン)さんがお詳しいですかね。憂歌団の結成は70年代半ばですが、当時は歌謡曲、フォーク、ニューミュージックがメインストリームでブルースは傍らの存在でした。憂歌団と言えば、もう一人の内田勘太郎がバックでアコギを演奏するUAの「アントニオの唄」を記事にしたことがあります。ブルースにはギターとお酒が合います。PAを通した音とは言え、骨太でゆったりしたギターも心地よかったです。当人もステージで3~4杯飲んでました。

終了後、江古田で一杯やりました。事前にchibiさんがピックアップした4軒のうちの一つへ。江古田から横浜へ戻る時間も気にしつつ、感想戦をつづけました。chibiさん、江古田の夜、良かったですねぇ。理屈抜きで笑える、非日常は実に健康的?です。またお願いいたします。
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梅雨の晴れ間のピアノ鑑賞

2017-07-16 11:59:17 | ライブ
横浜は連日の猛暑で、まるで梅雨が明けたような日々が続いています。6月以降を振り返ってみても、雨が降ったという印象が薄いです。九州の豪雨とは逆の方向ですが、これも異常気象の表れと思われます。さて、そんな梅雨の晴れ間に、趣の異なる二つのピアノ鑑賞に行ってきました。一つはN響の定期演奏会です。大野のデーンちゃんさんが行くはずだったのですが、ご都合が悪くなり、ご厚意でチケットを譲っていただきました。もう一つは地元、町田市成瀬のアートスペース・オーで開かれた児玉麻里さんのリサイタルです。こちらはベルウッドさんのお庭です。今回は家内と足を運びました。

N響の定期演奏会は6月24日でした。午前中は仕事があったため鶴見の職場から渋谷へ移動し、NHKホールを目指しました。渋谷の雑踏、若者の多さは時代を経ても変わりませんね。妙な懐かしさを感じながら、公園通りを上っていきました。実はN響の定期演奏会は今回が初めてです。


デーンちゃんさんのお目当ては勿論、河村尚子さん。定期演奏会へは5年ぶりの登場です。冬の大仕事が終わって、解放感の下で聴く尚子さんのピアノを、さぞ楽しみにされていたことでしょう。少し申し訳ない気もしましたが、代打で行って参りました。この日はオール・フランス・プログラムで、デュティユー、サン・サーンス、ラヴェルの構成でした。河村さんの出番はサン・サーンスのピアノ協奏曲2番です。普段、ピアノ協奏曲はベートーヴェン、モーツァルトを中心に聴いているので、サン・サーンスのピアノ協奏曲の存在は、正直、この演奏会で知りました。5つあるピアノ協奏曲の中でも2番は特に人気があるようです。


3階席でしたので、小柄な尚子さんがさらに小さく見える状況でしたが、デーンちゃんさんに成り代わってしっかり目と耳に焼き付けてきました(笑)。初めて聴く曲でもグイグイ来ますねぇ。ダイナミックな演奏は2月にチューバホーンさんのお宅で聴かせていただいたラフマニノフで予習済です。サン・サーンスのピアノ協奏曲2番は全般にメロディが美しい上に、動と静のコントラストがつきます。体を擲って弾く尚子さんとN響の一体感も素晴らしかったです。尚子さん×フランスの組み合わせは珍しいようで、私のような俄かファンはともかく、本来のファンの方も十分満足したのではないでしょうか。


デーンちゃんさん、貴重な機会をいただきありがとうございました。今度は、少し小さめのホールで、尚子さんの演奏を聴き(見に?)に行きたいと思います。10月にはいくつかチャンスがありそうです。うーん、その頃にはデーンちゃんさんは冬籠りでしたか。

7月2日は児玉麻里さんのベートーヴェン プログラムでした。会場のアートスペース・オーはいわゆる音楽ホールではなく、絵画、陶芸、音楽など多目的の芸術空間です。狭いスペースではありますが、直球勝負の音楽鑑賞を楽しめます。喩えると、演奏家の自宅に招かれて演奏を聴く感じでしょうか(勿論、そんな経験はありませんが)?企画自体は90年代初めに始まっており、都合209回目のコンサートでした。嘗てはアルゲリッチ/クレーメル/マイスキーが揃って出演したこともあります。拙宅から至近距離の成瀬で、このような場があると知ったのは、オフ会等でお世話になっているベルウッドさんのお蔭です。


児玉麻里さんは、妹の桃さんとの連弾(チャイコフスキー)のCDで知りました。麻里さん自身は大阪で生まれた後、6才で渡欧し、以後はフランスを中心に活躍されました。ここに来て日本でも演奏や録音にも取り組まれているようです。今回はベートーヴェン プログラムということもあり、嘗てピアノを弾いていた家内も関心が一致。オーディオへの理解は依然さっぱりですが、音楽まで立ち位置を広げれば、円満も可能というわけです(苦笑)。ベルウッドさんとは特段約束していたわけではありませんが、予想通り会場入りされていました。何と3連戦だそうです。毎度のフットワークに脱帽です。


プログラムは19番、20番、8番「悲愴」そして休憩後に29番「ハンマークラヴィーア」という構成でした。ベートーヴェンのピアノソナタは番号が後の方になると曲に深みが出る印象ですが、弦楽四重奏のような難しさが無いので、私の場合、全集聴くならまずはピアノソナタとなります。前半は会場の音を確認しながら穏やかな演奏で、ウォーミングアップ気味だったでしょうか。休憩後は、一転、渾身の演奏となりました。ピアノ演奏の難しさのことはよくわかりませんが、この曲はかなりの難易度のようですね。そういったことも知らずに、至近距離で麻里さんが放つ生音を浴びていました。

こちらのピアノは、ヤマハグランドG3Aです。リサイタル終了後、主催者側の許可をいただき撮像しました。芯もありますが、どことなく円やかさを持った音でした。実はオーディオ投資より家内向けのピアノ投資を考え始めました(アップライトです)。先般、銀座のヤマハにも足を運んだばかりですが、ベルウッドさんからは表参道のカワイも教えていただきました。ピアノを選ぶプロセスも楽しめそうです。


ベルウッドさんが帰られた後、しばし居残ってサイン会に臨みました。併せてペンタトーンのハイブリッドSACDを購入しました。購入したのは「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ集」です。この日、演奏された曲は入っていませんが、家内の好きな17番「テンペスト」が入った盤にしました。


というわけで、本格的な夏を前に、ピアノ三昧の梅雨となりました。真空管使いとしては、夏の本格化=オーディオ一休みの構図ですが、たまには部屋を冷やして、ゆったりとピアノを味合う、そんな夏休みもありかと思っています。
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