珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

ルームアコースティック(2)

2012-08-26 08:48:39 | オーディオ
夏の甲子園も終わり、秋の気配がと書きたいところですが、このところの猛暑でうんざりの方も多いと思います。高校野球は昔から観ていて5年前、リアルの甲子園にも行ってきました。ずっと横浜に住んでいるので、原、津末、愛甲、三浦、松坂ら神奈川勢の活躍は勿論、往年の名勝負は音楽と同様に時代と重なって記憶に残っています。今年も桐光学園の2年生左腕、松井投手の快投が光りました。来年が楽しみです。

さて、ルームアコースティックの話題、その2です。ステレオ再生にとって左右のSPの音量バランスは重要ですが、私の場合、SPを鳴らすより部屋を鳴らすことを意識していますので、反射音の左右バランスは課題の一つです。下図はしばらく変えていないSP配置ですが、ご覧のように右SPは隣に壁が無く、左右非対称な環境になっています。あまり感心できないことですが、メインシステムの音をBGMに、隣の書斎でPC操作することもできる状況です。それだけ音のエネルギーが別の場所で消費されていたとも言えます。


左右非対称性の解消として直接音の量でコントロールする方法、つまりSPの内振りに差をつける方法もトライしましたが、ヴォーカルの定位、演奏の左右バランスは、なかなか解消できませんでした。システムの向きを90度変えることも検討しましたが、今度は後方の壁の非対称性として残ります。そこで試みたのが、可動式間仕切りです。木製で反射も期待できますし、普段は開放できるので動線上も問題はありません。カーテンだと役不足なのは想像がつくかと思います。

導入したのはタチカワブラインドのアコウォールという商品で、市内のインテリア施工業者さんにお願いしました。こちらは開いた様子で、これであれば動線は確保できます。万が一、音が悪化した場合は、この状態にすればいい、という逃げ道があったわけです。


こちらは閉めた様子です。元々あったクローゼットの色調とも上手くマッチできています。音源の入ったNASやHUBなどネットワーク系は書斎側にあるので、USBケーブルを通せるよう下部に1cmほどの隙間を設けています。


懸念材料として、1)エアボリュームが減る、2)定在波の観点から好ましくない正方形領域となる、を考えました。1)については音のエネルギーを無駄に消費することが解消できるわけですから、それでも結構と割り切りました。2)はこれから何とかできるだろうと楽観視を決め込みました。

さて、効果ですが、最もわかりやすいのが書斎への音漏れです。ぐっと減ってBGMにはならない状況です。これは家の別の部屋に対する音漏れ対策にもなります。肝心の左右バランスですが、右SP外側の音像が前に出てきたように感じます。以前は左SP外側の音像が前に出ていましたし強さでも勝っていました。間仕切りを閉じると視覚的に狭く感じますが、音の左右の広がり感が出るので聴覚的には解放感が出ます・・・イリュージョンとは言え面白いですね。
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斜里岳

2012-08-21 17:35:17 | その他
夏季休暇を利用して、昔からの山メンバーと北海道の斜里岳に登ってきました。斜里岳は百名山の一つで、麓から見た姿が素晴らしい独立峰です。3年前にも登ろうと現地入りしましたが、雨天で温泉巡りに切り替えた経緯があります。この日曜日は天候にも恵まれて、ようやくの登頂となりました。写真は、出発前、知床斜里駅前のホテルからの斜里岳です。


登りルートには沢沿いを進む旧道と尾根に上がる新道があります。今回は、沢沿いのコースを選びました。何度も沢を横切る場面があり、やや緊張気味でしたが、天然の冷房のお陰で登りの暑さは軽減されました。沢から離れた後の胸突き八丁(心臓破りの急坂)には閉口しましたが。


知床方面は雲がかかっていて、山頂から360度のパノラマというわけにはいきませんでしたが、屈斜路湖、摩周湖等の眺めを満喫しました。こちらは眼下に広がる斜里平野で、さらにその奥はオホーツク海です。ちなみに緑の畑はじゃがいも、カーキ色のそれは牧草です。


帰りは登りとは反対に尾根コースを選びました。ハイマツ(写真の右下に見える、背の低いマツ)がアルペンムードを醸し出してくれます。写真中央の左の凸部が頂上で、ここまで休みなく下ってきました。下りは気が楽ですが、膝をはじめ足への負担がかかるので馬鹿にはできません。


こちらは同じ場所から見た摩周湖です。夏のこの時期なかなか摩周湖は湖面を見せないと言われますが、この日はちゃんと見えていました。中央の小島も確認できます。


下山後はまず麓の温泉へ直行です。その麓から眺める斜里岳です。さすがに北海道、夏の雲は無く、むしろ秋を感じさせる高い雲です。そう言えば道端では、もうススキやセイタカアワダチソウが咲き始めていました。きっと秋から冬は駆け足でやってくるのでしょう。


帰りの飛行機まで時間があったので、温泉で汗を流した後は、摩周湖まで足を延ばしました。実は摩周湖を訪れるのは今回が初めてです。晴れているのが約束されたようなものでしたが、実際に間近で湖面が見えると嬉しいものです。正面遠方には、本日登った斜里岳が映えていました。


摩周湖から女満別空港に抜けるルート上に、ちょうど屈斜路湖の展望の良い場所がありました。3年前の温泉巡りでは屈斜路湖脇の露天風呂に入りました。遠く富士山のように映っている中央の山は、隣の阿寒湖の近くにある雄阿寒岳です。北海道の広さを感じます。


昔は粗い登り方、下り方をしていましたが、最近は基本に帰りつつあります。日常生活で1歩のところを山だと2、3歩かける感覚です。これは登りも下りも共通して意識しています。オーディオも数年で揃えるのでなく10年かけるくらいが丁度いいのかも知れません。
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アナログ導入、その後

2012-08-17 20:36:28 | オーディオ
アナログ導入から、早くも3カ月が過ぎました。これまでデジタル一辺倒だったオーディオに、新しい楽しみが加わりました。当初、プレイヤーの強いオーラに戸惑いも覚えましたが、時を経てメインシステムにすっかり馴染みました。以前の記事でも紹介しましたがアナログを聴く比率は全体の3割~4割程度でしょうか。デジタルも最近、ちょっとした進展があって、双方いずれも楽しんでいます。両者には同じ軸では収まらない固有の面白みがあると感じています。


デジタルに慣れた耳でアナログを聴いた印象ですが、ざっと以下のようなものです。
・予想より低音の押し出しが強い
・空間の広がりはデジタルと同等
・ヴォーカルがリアル
・全般に音の粒がたつ、彫が深い
です。私が聴くジャンルを考えるとこれは、望ましい第一印象と言えます。

ただし、問題もあって、盤のコンディションや、トラックの位置(外周、内周)に影響はやはり気になるものです。ハマった時の音は胸騒ぐものがりますが、ばらつきがあります。ばらつき含めてアナログだと割りきるのは嫌なので、やはりレコード磨きやアナログ装置の調整に、これから入っていくのだろうと思います。先日、町田のレコード店PAMで話好きの店主に洗浄を教わってきました(超音波洗浄等、レコードのコンディションにこだわっているお店です)。

アナログの神髄は調整ですので、時間のとれた夏季休暇を利用して少々踏み込んでみました。一時、ベルトが外れて回らなくなり焦りましたが、自力で復旧できると経験値が上がります。トーンアームも内周優先にしました(付属のSMEのプロトラクターを使うとこうなります)。こうすることで、A面1曲目のパフォーマンスは若干落ちるのでしょうが、曲間のばらつきは減ります。理屈上とはいえ、曲が進むにつれトラッキングエラーが減るのは、心理的にも落ち着けます。


複雑な構造のSMEのトーンアームも実際に自分で動かしてみると、親近感がわきます。実際、プロトラクターの指示する条件を出すには、ベースの取り付けから見直しが必要でした。見た目にはどう動かしていいのか分からない状態でしたが、英語のマニュアル片手に挑戦です。あれこれ弄っている間に、概ねの機構は動かし方を理解できました。元々A面2曲目あたりがベストの設定になっていたようで、内周の歪は軽減しました。


アナログを導入して、逆に認識したのは、デジタルの良さです。同じ曲を聴くと大人しさを感じますが、すっきり感、S/N感の良さで上回っているとも言えます。パフォーマンスの安定感、再現性はデジタルの利点です。したがって音としての課題は、アナログはばらつきの低減、デジタルは全体的な底上げ(アナログが持つ、稠密感の追求)、となります。

ただ、冒頭でも書きましたが、アナログの魅力は音だけに留まらないですね。レコード店を回ってみると、アナログ全盛の70~80年代の盤が各ジャンル共に充実していることがわかります。当時何処ぞで存在していた”モノ”が、年月を経て手元にある不思議さがあります。自分が重ねた30年を眼前のレコードの溝も重ねていたわけです。今後10年、20年は共に過ごすことになるでしょう。そこにはCDでは得難いノスタルジーがあります。
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Triste

2012-08-12 10:31:10 | ボサノバ/ラテン
ロンドン五輪もあっという間に終わりですね。期待された選手がほぼ期待に応えた、そんなオリンピックでした。寝不足の2週間でもありましたが・・・。特に男女のサッカーの快進撃、水泳陣のチームワーク、久しぶりのメダルの女子バレー、が印象に残りました。オリンピックはモントリオール以降、リアルタイムで見ています。時代と重ねてシーンが頭に残っていますが、この点は音楽とも共通します。ロンドンの記憶もまた、思い出されることでしょう。

真空管使いとしては、この時期、オーディオは控えめですが、聴くとなれば涼しげなボサノバは外せません。Antonio Carlos Jobim作の「Triste」を紹介します。

ボサノバを始めとするブラジル音楽がオーディオのローテーションに入って四半世紀になります。このJobimの名盤『Wave』を買ったのも学生終盤で、私の所有しているCDの中では古参の部類になります。Jobimの曲は様々なアーティストが取り上げていますから、Jazzにおけるスタンダードのようなものです。最近は女性Jazzシンガーもアルバムの中でボサノバをスパイスとして入れていますね。「Triste」自体は地味な曲ですが、結構カバーされています。


まずはJorge Benと共に敬愛しているElis Reginaの作品から。Tristeは訳すると哀しみ。詞は片思いの男性の心情を歌ったもので、ブラジル独特のサウダージを感じさせる曲です。写真の『Elis&Tom』は、全般に演奏・録音の良いアルバムで、「Triste」でもアコースティックギターにエレキギターを交えたボサノバ+αのアレンジを楽しめます。このアルバムはどの曲もいいですが、冒頭「3月の雨」(向こうでは秋です)は、ちょっと疲れた時に聴いてみて下さい。


Elis Reginaは、別のアルバムでも「Triste」を取り上げています。これは輸入盤(ブラジル盤?)でジャケットも通常とは異なるもののようです。ジャケットにタイトルが明記されておらずコンピものかと思っていましたが、内容的には死後に発売された『Luz Das Estrelas』と同じです。こちらの「Triste」は、さらにシンプルな構成です。ストリングスが効いていてゆったり感があります。余談ですが、このアルバムには「Para Lennon E McCartney 」という、興味深い曲も入っています。


以前紹介したSergio Mendesや、Sophie Milmanにも「Triste」があります。曲自体はとてもシンプルなので、それぞれのカラーが出ますね。Sergio Mendesだとバックのコーラスが爽やか過ぎて、あまり哀しみといった雰囲気になりません。Sophie Milmanは間奏のフルートとハモるところが、聴きどころでしょうか。彼女はこれまで「おいしい水」「No more blues」をアルバムに取り上げていて、Jobimファンとしても嬉しい女性Jazzシンガーです。



ロンドンの開会式では音楽にもスポットライトが当たりました。ロックからサンバ・ボサノバへ・・・音楽とスポーツには国境が無いこと、そして時代を超えるインパクトがあること、を再認識しました。さあ、2年後のW杯と4年後のオリンピックはブラジルです。まさにViva! Brasilです。
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ようやく、ハイレゾ

2012-08-04 13:45:39 | オーディオ
先週の記事でも少し触れましたが、e-onkyoがワーナーミュージックの音源をDRMフリーで供給し始めています。すっかりデジタルファイル再生に移行してはいますが、これまでハイレゾ音源は様子見、としていました。デジタルで情報量が増えることの効果は、多くの方が写真や動画の世界で実感していることでしょう。音楽においてもプラスになるだろうと予想していますが、44.1kHz/16bitの世界でもまだ進行形と感じていますので、優先度は低い状況だったのです。

いい音楽をいい音で・・・よく聞くフレーズですが、この順番は大事だと思っています。今回は45タイトルが発売されています。マーケットの反応を探っていると思われますが、ジャンルをまたいでなかなか粒は揃っている感じです。それで、早速e-onkyoに登録、まずは1枚買ってみました。買ったのは44.1kHz/16bit音源を持っている中で、Linda Ronstadtの『What's New』です。ダウンロードは1曲ずつ行い、FLAC→WAVファイル変換含めるとアルバム1枚で30分くらいの手間でした。


JAVSのX-DDCもエソテリックのD-07(SPDIF入力)も192kHz/24bitに対応していますので、DSD音源を除くハイレゾ音源入門としては十分な環境です。NASに音源を格納してVoyage MPDで再生しました。問題なく音が出て一安心だったのですが、X-DDCのモニターを見ると44.1kHzのまま。すぐに理由がわからなかったので、ネットで情報収集しました。どうもVoyage MPDの設定ファイルmpd.confの中で44.1kHzに固定していることが理由のようです。該当箇所をコメントアウトして、再生したらちゃんと96kHzの表示が出ました。皆さんが苦労された事を共有できるのはネットのよさです。


さて肝心の音ですが、ヴォーカルの質感はあがったように感じます。バックのストリングスも柔らかく広がりを持った感じです。これが44.1kHz→96kHz、16bit→24bitのいずれの影響によるのか、わかりませんが、ソースの多様化は歓迎です。アナログのヴォーカルでハッとする感じ、デジタルでも出したいところです。
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