珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

バードランドの子守唄

2021-06-13 20:43:18 | ジャズ
横浜方面は依然梅雨入りしていませんが、本日は、少しだけ雨が降りました。明日からの天気もパっとしなさそうなので、そろそろ梅雨入りするかも知れません。今回は、ジャズのスタンダード「バードランドの子守唄」を取り上げます。有名な曲ですので、ジャズを聴かれる方ならお気に入りの音源があることと思います。作曲は英国のジャズ・ピアニスト、ジョージ・シアリングで1952年の作品です。元はインストルメンタルでしたが、歌詞がつけられ、多くの女性ヴォーカリストが取り上げてきました。

スペインの女性ヴォーカリスト兼トランぺッター、アンドレア・モティスのライブ盤です。Youtubeで音源を探索する中で彼女の存在を知りました。私の好きなスコット・ハミルトンが応援で参加していたことも、CD購入のきっかけとなりました。メジャーデビュー前の10代の頃のライブで、途上感いっぱいですが、周りの演奏陣が重しになっています。「バードランドの子守唄」でもそんな対比を楽しめます。Amazon Musicでメジャーデビュー前後の他の作品も聴きました。メインシステムでも聴きたくなりましたので、徐々にCDを集めることになりそうです。


大御所女性ヴォーカリストの作品で最も有名なのはサラ・ヴォーンでしょうか。クリフォード・ブラウンを招いたアルバムです。akahanamizukiさんのお宅でレコードを聴かせていただいたのは、ちょうど4年前の今頃になります。雨飾山の無念のリタイヤ、晴天の春日山城址が思い出されます。早、4年も経ちました。チューバホーンさん宅のオフ会でも、ハンコックさんの持ち込み音源にあったと記憶しています。それらの印象からすると、拙宅で聴くデジタル音源は今一つでした。システムのせいではなく、盤のせいであって欲しいと思います(苦笑)。


エラ・フィッツジェラルドの『LULLABIES OF BIRDLAND』はデッカ時代のアルバムです。45年~55年にかけて録音された音源が、スタンダード半分、スキャット半分の構成で収められています。オーディオ的には、この直後の時代の『Ella and Louis』となるのでしょうが、こちらではよりフレッシュなエラの歌声が楽しめます。「バードランドの子守唄」の出だしは、一瞬、エッという感じで始まりますが、歌が始まるとグッと引き込まれます。やはりスタンダードの「エンジェル・アイズ」と共に気に入っています。


クリス・コナーはのアルバムはこの『Sings Lullabys of Birdland』と『THIS IS CHRIS』を所有しています。本日挙げた5枚の中では、このアルバムの「バードランドの子守唄」がベストです。クリスコナーの声は意外に押し出しが強く、どっしりとセンターに定位します(ちなみに大御所の3枚は全てモノラルです)。メインシステムで聴き入り、白人ヴォーカルの中低域の魅力を再確認しました。クリス・コナーにも膨大な音源が残されています。次はガーシュインのソングブック当りを考えています。


最後は方向性を変えて、阿川泰子です。80年発売の『JOURNEY』に「バードランドの子守唄」が収められています。当時、中学生だった私は、洋楽/邦楽こそよく聴いていましたが、ジャズはテリトリー外でした。阿川泰子の存在を知ったのは、80年代後半になってからです。全体的に洗練されたアレンジでフュージョンの色合いを感じます。バックの演奏陣も素晴らしく、「バードランドの子守唄」では向井滋春のトロンボーンが阿川泰子の大人?の声といい対比になっています。この盤なら、中古レコード入手もありです。


前回、ジャズを話題にしたのは、2015年ですから、ずいぶんと間が空きました。
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You are my everything

2015-09-12 22:43:39 | ジャズ
仕事が忙しくなり更新の間が空いてしまいました。この間、蝉も鳴き声もすっかり弱くなり、朝晩の虫の音が心地よくなりました。涼しさと共にアンプに灯を入れる頻度も上がってきています。いよいよオーディオの秋、開幕ですね。この半年ほどオフ会や登山、その他イベントに追われ?、肝心の音楽の記事も滞っていました。今回はジャズのスタンダードの「You are my everything」を取り上げます。スタンダードにおいて決してメジャーな存在ではありませんが、好んで聴く曲の一つです。ネットでNat King Coleの動画を見ていただければ、この曲が持つゆったり感が分かるかと思います。

この曲を意識するようになった一つの理由がライブです。pat_mthny7205さんに誘われて、女性トランペッターの市原ひかりさんのライブに行ったのはもう2年半前になります。当時の記事を読み返すと、オリジナル中心の選曲だったようですが、数少ないスタンダードの一つが「You are my everything」でした。後述するCDのいくつかは既に持っていたので、肥やしにはなっていたのでしょう。小柄な体で懸命にトランペットを吹く市原さんの姿が、トリガーになったのかも知れません。クラシックと違って、何が演奏されるかは読めない分、曲の巡りあわせはジャズライブの楽しみです。

「You are my everything」で1つ挙げるとすれば、Freddie Hubbardの『hub-tones』の冒頭でしょうか。これはとても気に入っていて、オフ会でもしばしば再生リストに入れています。pat_mthny7205さんに聴いていただい際、歌心というキーワードが出ました。インパクトのある出だし、その後の口ずさむようなフレーズ、厚みのあるトランペット・・・理屈ではありませんね、歌心は。この曲以外は、Freddie Hubbard自身のオリジナルですが、バラードではまた別の表情を楽しめます。続く2曲目の「Prophet Jennings」でのフルートとのハモリにも和めます。ちなみにピアノは、この後も長い付き合いとなるHerbie Hancockです。


オーディオに熱を入れるようになった6年ほど前に購入したAhmad Jamalの『THE AWAKENING』です。当時は現在ほどジャズを聴いておらず、比較的有名な曲が入っていたことが選択の理由でした。ラテンのポピュラー「Wave」が狙いでしたが、原曲をかなり崩していることに戸惑ったことを覚えています。「You are my everything」が入っていることを知ったのでは随分後になってからです。崩しは「Wave」ほどではありませんし、この6年で当方にも免疫はできました。久しぶりにオーディオ目線で聴いてみたいと思います。Ahmad JamalはMiles Davisが感銘を受けたピアニストとしても知られています。


John ColtraneやSonny Rollinsといったサックスの巨匠を積極的には聴いていません。いずれはとも思うのですが、最近、関心があるのがZoot SimsやScott Hamiltonといった白人テナー奏者です。何となしに寛げる感じが気に入っています。同じ白人奏者でもヨレた感じのStan Getzとは異なります。こちらはZoot Simsがピアノの名手Jimmy Rowlesと組んだアルバム『IF I'M LUCKY』です。ここでの「You are my everything」は、アップテンポで実に軽快です。やはり歌心を感じますね。Zoot SimsとScott Hamiltonは世代が異なりますが、競演のライブ盤も出ているようです。少々この方面へ寄り道してみます。


Gianni Bassoは以前、ラテンジャズの記事で紹介しました。アルバムのタイトルが、ずばり『You're my everything』となっています。まだ聴き込めていないのですが、温厚で深みのあるサックスです。イタリアジャズ界の大御所が亡くなってもう6年、早いものです。


相変わらずMiles Davisは50年代の、いわゆる4部作の近辺で留まっています。4部作の中でも評判の高い『RELAXIN'』の中に「You are my everything」が収められています。曲の冒頭ではMilesの渋い肉声と口笛も楽しめます。これまで紹介した他の作品と違って、こちらはバラードです。Miles Davisの切り裂くようなトランペット、John Coltraneの深みのあるサックス、そしてArt Pepperとも組んだ充実のリズムセクション。膨大なMiles Davisの作品に手が回らないのは、まだ十分にこの時代のMilesとオーディオで向き合えていないからです。秋の夜長にミュートトランペットに浸るのもいいかも知れませんね。
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Sunny

2014-01-19 17:16:36 | ジャズ
このところ冷え込みが厳しいですね。会社でもちらほら風邪気味の人を見かけますが、患わずに済むに越したことはありません。昔から、何か怪しいサインを感じたら"卵酒飲んで寝る"を実践していますが、焼酎のお湯割りで代用することも増えました。どこまで効いているかはわかりませんが。さて、今回のJazzはカジュアルに「Sunny」を取り上げてみます。似たような題名の「Blue Skies」を取り上げたのは震災前のこの時期ですから、もう3年経ちました。写真は先週の快晴日のショットで、大菩薩嶺方面です。天気で気分が左右されるのは癪という人もいましたけど、私は単純に晴れていると気持ちいい派です。


「Sunny」はアメリカのシンガーソングライター、Bobby Hebbによる66年のヒット曲です。タイトルとは逆に、悲しい死で失った兄への想いを歌ったブルースです。私が生まれた直後のヒットですから、リアルタイムでの接点はありません。Bobby Hebbのヒット曲は結局、この1曲だけだったようですが、国を超えて、ジャンルを超えて多くのアーティストにカヴァーされています。詞もいいですし、親しみやすい旋律も魅力です。後で書きますように、私は邦楽経由で知りました。SinatraやStevie Wonderによるカヴァーもありますが、ここではJazz界の大御所のアルバムから紹介します。

現役の美人Jazzシンガーの歌を聴いたり、ライブに行くのは勿論楽しいのですが、今は亡き世紀のヴォーカリストの世界に引き込まれるという、オーディオならではの愉しみもありますね。Ella Fitzgeraldが70年代作品『Things ain't what they used to be』で「Sunny」を取り上げています。熱い「Sunny」です。ライブ作品ではありませんが、不思議とライブの感覚があります。声質や歌い方に特徴があるのでしょうね。オーディオ的には、Louis Armstrongと組んだ作品や、ベルリンあるいはカーネギーホールでのライブ盤が引き合いに出されます。私は未だこれからですので、しばらくは追いかけてみようかと。


Oscar Petersonも69年の作品『Motions & Emotions』にも「Sunny」が入っています。オーケストラとのコラボもので、楽曲もJobimあり、Beatlesありですから、Jazzというよりイージーリスニングですね。Paul Mauriatとは言いませんが。とても軽快な「Sunny」です。依然、Jazzはハードバップを中心に聴いてますので、技巧派、音数が多いなどと評されるPetersonとの接点は殆どありませんでした。それでも、オーディオでよく話題となる『The Trio』や『We get requests』はいずれ聴くことになるでしょう。上で取り上げた『Ella & Louis』のピアノがPetersonだと知ったのは最近です。まずは、ここからですね。


続いてオランダのヴォーカリストAnn Burtonの『Blue Burton』です。「Sunny」はアルバムのラストに配置されています。これは渋い「Sunny」ですね。デビューアルバムでこの落ち着きですか。バックの演奏もいいです。Ann Burtonで思い出すのは瀬川冬樹さんの著書「虚構世界の狩人」です。国内盤とオランダ盤(オリジナル)では明らかに音が違うそうです。勿論、オランダ盤の方が張り、艶がいいという話です。国内盤をアンバートンならぬアン婆ァトンと評した文章に笑いましたが、拙宅の渋いAnn Burtonが少々心配になってきました。ただし、オリジナル盤は入手困難ですから、知らぬが仏ということなりそうです。


ここからはJazzから離れます。「Sunny」のカヴァーで最も有名なのは、ドイツのディスコバンドBoney Mかも知れません。乗りのいい「Sunny」で、70年代のディスコ/ソウルの香りがプンプンします。ディスコ&ドイツの括りでは、日本だとArabesqueが有名でした。世界的にみるとBoney Mの方が売れています。84年のヒット「Happy Song」も懐かしい一曲です。こちらはユーロビートで、一転して80年代の香り満載です。


最後は「Sunny」を知ったきっかけ、原田知世の『Summer Breeze』です。70年代のポップスカヴァー集でゴンチチの演奏とセットで楽しめます。原田知世は我々の世代からするとポスト薬師丸ひろ子、つまりアイドルとしての印象が強いですが、90年代の後半は、スウェーデンからプロデューサーを招く等、アーティスト色が出ていました。97年の春先にラジオで流れていた「ロマンス」というシングル曲が気に入って、以後、このアルバムも買うことになりました。ライナーノートによると小学校のバレエの発表会が「Sunny」との接点だったようです。断然クールな「Sunny」となっています。


歌い手、演奏者によって異なる個性を楽しめるがのカヴァー作品の良さです。5者5様ぶりは見事でしたが、別アーティストの「Sunny」は、また違った世界を見せてくれるでしょう。
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Curtis Fuller

2013-01-27 12:18:06 | ジャズ
Jazzは相変わらずハードバップを中心に聴いています。Miles Davisもいい加減、『Kind of Blue』『Round About Midnight』ばかり聴いていないでと思っていましたが、先日のレコード掛け合い漫才でかかったハードバップ時代の『Workin'』が良かったので購入しました。Milesはまずは『Workin'』を含むこの時期の4部作をしっかり聴きこむことからです。

前にWynton KellyとFreddie Hubbardを紹介しましたが、お気に入りのアーティストの作品を集中的に買うようになりました。Curtis Fullerもそんな一人です。トロンボーンにはサックスやトランペットの華やかさはありませんが、素朴な音色には癒されます。『Bluesette』は名声を頼りに購入しました。のっけからの「Five spot after dark」に痺れました。この曲が日本のジャズ喫茶でかかりまくってた様子は想像しかできませんが、いかにも日本人受けしそうな旋律ですね。写真はステレオ盤CDのジャケットですが、アナログは2011年発売のモノラルの復刻盤を所有しています。


Curtis Fullerのリーダー作は、レコード、CD混在でも構わず、初期から集めようとしています。これは地元のレコード屋さんで見つけたアナログ盤です。1957年、22歳の時のデビュー作『New Trombone』で、表題といい、ジャケットの雰囲気といい、なにか新しい息吹を感じさせます。ジャケットはトロンボーン片手にデトロイトからニューヨークへ向かうCurtis Fullerのようにも見えます。ピアノのHank Jones以外はデトロイト出身の若手ジャズメンで、そういった対比を意識して聴くのも面白いですね。アナログで気に入ったものはCDでも購入してますので、これもいずれ揃えたい一枚です。


『The Opener』も1957年の作品で、『New Trombone』のからわずか1ヶ月後の録音です。Curtis Fullerはニューヨーク入りしてから5枚のリーダー作を残していて、他にもサイドでの録音があり大活躍の様子が窺えます。手元にあるのは輸入盤のCD(2008年のりマスター盤で、RVG Eddition)です。A面とB面の1曲目、レコードで一番おいしい場所に、トロンボーン1管のバラードというのが渋いですね。Hank Mobleyとの2管では逆にリズミカルさも出て、トロンボーンが持つ表情の幅を感じます。あと、この盤でアクセントとなってるピアノのBobby Timmonsも気になる一人で、かの有名な「Moanin」の作曲者だそうです。


Curtis FullerにはVol.3という名盤もありますし、Benny Golsonと組んだシリーズもあります。トロンボーンは希少な存在だけに全体から見ると作品は少ないですが、Curtis Fullerと組んだアーティストの中からお気に入りを発見をする、そんな聴き方もいいと思っています。
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ハードバップから・・・

2012-04-22 10:44:30 | ジャズ
このところ購入するCDは、ジャズとクラシックが中心となっています。そしてジャズのほどんどが、いわゆるハードバップと称される1950年代後半から60年代にかけてのジャズです。全般にメロディラインが分かりやすく、入門者の私でも入りやすかったです。この時代は個性的なアーティストが多く、それらアーティストの組み合わせの妙も楽しんでいます。今ではネットでも情報が得られますが、一度、全体観を掴んでおきたかったので書籍も参考にしています。

前回のジャズの記事ではピアノのWynton Kellyを取り上げましたが、ハードバップの華はやはりホーンセクションです。トランペット、サックス、トロンボーン、それぞれの音色を皆さんはどう捉えますか?私の場合、トランペットに翳りを、サックスには洗練を、トロンボーンには素朴さを感じます。勿論、これにプレイヤーの個性が加わりますから、単純ではありませんが。


ハードバップの中では後発ですがFreddie Hubbardは好きなトランペッターの一人です。写真の『Open Sesame』は初のリーダー作品ですとは思えない堂々の吹きっぷりです。フロントを組むTina Brooksから提供された「Open Sesame」「Gypsy Blue」は、メロディよしクールな演奏よしで気にいっています。私の場合、熱いハードバップより、やや控えめのそれを好むようです。


Freddie Hubbardを聴くきっかけになったのは、Tina Brooksのリーダー作品『True Blue』です。ハンコックさんのブログで存在を知り、東芝EMI盤ですが中古CDを入手しました。フロント2人は『Open Sesame』と同じで、録音日も近いです。6曲中5曲がTina Brooks作曲で、渋さ・深みを求めるならこちらです。2管がハモる場面は、オーディオ的快感がグッと増します。


50年代後半から60年代と言えば、巨匠と呼ばれるMiles Davis、John Coltrane、Bill Evansが活躍した時代とも重なります。前者2人にはハードバップの名盤がありますし、かすりもしないと思ったBill EvansにもFreddie Hubbardらと組んだ5人編成の『Interplay』があります。私は勝手にハードバップをジャズの臍だと捉えていて、まずはどっぷり浸かろうと思っています。そこから時代を遡るのもよし、下るのもよしです。この先、ハードバップ像がどう変わるのか、変わらないのかも楽しみたいと思っています。
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