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「常はかつて思はぬものをこの月の過ぎ隠れまく惜しき宵かも
(月を詠める歌1/18首 #7.1069)」
「いつもなら思いもせぬがこの月が過ぎて隠れる惜しい宵かな()」
「大夫マスラヲの弓末ユズエ振り起し狩高の野辺さへ清く照る月夜かも
(月を詠める歌2/18首 #7.1070)」
「もののふが弓の末振り狩をする狩高の野さえ照らす月かな()」
「山の端にいさよふ月を出でむかと待ちつつ居るに夜ぞ降クタちける
(月を詠める歌3/18首 #7.1071)」
「山の端にいさよふ月が出でるかと待てども出ずに夜が経ちます()」
「明日の夜照らむ月夜は片寄りに今宵に寄りて夜長からなむ
(月を詠める歌4/18首 #7.1072)」
「明日の夜に照らん月夜よ今夜来て今宵を長く照らしておくれ()」
「玉垂タマタレの小簾ヲスの間通し独り居て見る験シルシ無き夕月夜かも
(月を詠める歌5/18首 #7.1073)」
「玉簾通して見るもただひとり見る価値がない夕月夜かな()」
「春日山おして照らせるこの月は妹が庭にも清サヤけかるらし
(月を詠める歌6/18首 #7.1074)」
「春日山全体照らすこの月は妻が居る庭照らして清し()」