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「ぬば玉の夜渡る月をおもしろみ吾が居る袖に露ぞ置きにける(#7.1081)」
「漆黒の夜渡る月を楽しめばわたしの袖に露がつきたり()」
「水底の玉さへ清く見つべくも照る月夜かも夜の更けぬれば(#7.1082)」
「水底の玉さえ清く見えるのは夜が更けいきて月夜の故か()」
「霜曇りすとにかあらむ久かたの夜渡る月の見えなく思へば(#7.1083)」
「霜がふり曇るというかかなたなる渡れる月が見えないことよ()」
「山の端にいさよふ月をいつとかも吾が待ち居らむ夜は更けにつつ(#7.1084)」
「山の端にいざよう月がいつ出ると夜は更けるのに私は待てる()」
「妹があたり吾が袖振らむ木の間より出で来る月に雲な棚引き(#7.1085)」
「妻がいる辺りに私は袖を振る木間の月を雲は隠すな()」
「靫ユキ゜懸くる伴の男ヲ広き大伴に国栄えむと月は照るらし(#7.1086)」
「靫ユキ゜かつぐたくさんいたる大伴に栄えあれよと月は輝く()」