がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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琉球短編小説「北山炎華」1/4

2010年10月29日 |   …… 「北山炎華」

さて、昨日予告しました北山戦をモチーフにした短編小説、
公開いたします!

書いた人はワタシじゃなくて、P.Nシルフさん。
(本人の希望によりP.Nで掲載)
写真はワタシ。

絵でも写真でも小説でも、何か自分で作り出したら、
アウトプットして色んな人に見てもらうのが上達の秘訣!
というわけで、彼女のためにもご意見・ご感想もお待ちしております♪

…あっ、ルビふれないので登場人物だけは読み方書いておきますね。

・尚巴志(しょうはし)
・護佐丸(ごさまる)
・攀安知(はんあんち)
・本部平原(もとぶ ていはら)


4回分割で掲載します☆
では、始まり始まり~。



 

「北山炎華」(1/4)  著作/シルフ(P.N)



 
うおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおぉぉ!!!

鎧を身に纏った男たちが、己の武器――剣や槍をつき合わせ、戦っている。
辺りには砂埃が充満し、血の匂いが漂い、断末魔の叫びや男たちの雄叫びが呼び通うというような状況だった。
1416年、場所は琉球北山、今帰仁グスク。尚巴志率いる中山軍は劣勢へと追い込まれていた。


「…尚巴志様!!」
尚巴志の元へ、戦況を報告にきた部下が駆け寄る。
「敵の猛攻が激しすぎます!!このままでは…。」
知性的な涼しげな目元をした男がゆっくりと振り返る。
「そう焦らずともよい…。」
焦る部下とは対照的に、彼は冷静だった。
「さすがは今帰仁、難攻不落の城よ。だが、こちらにはもう一攻……。」
そうつぶやく尚巴志の後ろから、その首を狙い数名の兵が向かってくる。
が、その時。
シュッ
一陣の風が吹き、兵は血を噴出しながら倒れた。
その音を聞いた尚巴志は口元に不敵な笑みを浮かべ、
「待っていたぞ。」
振り向き、敵を倒した者の名を言った、
「護佐丸!」
そこには、虎のように鋭い目をした青年が立っていた。
「尚巴志様。」
護佐丸は尚巴志に向かって跪いた。
「ご命令どおり、裏門にて奴らを挟み撃ちに。順調に敵を片付けております。」
「うむ。」
尚巴志は満足そうに頷いた。
「し、しかし、尚巴志様っ。」
先ほど戦況を伝えに来た部下が、周りの兵士の雄叫びにかき消されぬよう、大声で話かけた。
「敵の攻撃は相変わらずです!このままでは、確実に……。」
「ふ…、心配には及ばん。」
尚巴志は笑った。
「既に手は打っておる。」
にっこりと、しかし油断できない笑みで。

*

さて、時は少し戻り―――

「攀安知王。」
今帰仁グスク一の郭の館で、本部平原は彼、攀安知に声をかけた。
「中山の尚巴志めを蹴散らすことなど、王にとっては赤子の手をひねるがごとく容易いことでしょう。
ですが、このまま城に篭った受身の体制のままでは、諸国や周りの者どもになめられてしまいます。
そこで、不肖この本部平原、ひとつ提案があるのですが……。」
「なんだ。言うてみよ」
攀安知は身を乗り出して、眼前の本部を見据えた。
「私の軍と王の軍、交代で城外に出て戦うのです。
さすれば敵はますます恐れおののき、諸国は王への畏敬の念をますます高めることでしょう。
また、何より我らが兵たちの良い訓練にもなりましょう。」
「ふうむ。なるほど。」
彼はにやりと笑みを浮かべた。
「本部。さすがはわしの右腕。北山軍副将だ。」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます。では、まず手始めに私めの軍から…」
「いや。王たるもの、民草にどうあるべきかを示してやらねばならぬからな。
わしの軍から行こう。」
「ははっ。仰せの通りに。」
そういいながら本部は頭を深く下げた。
その口元に、うっすらと笑みが浮かんだことに、攀安知は気づかなかった。

*

「全軍、進めえ!!」
うおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!
雄叫びと共に、攀安知の軍が尚巴志軍を追い立てていく。
「ふははははははは!!!!まるで蜘蛛の子を散らすように逃げてゆくわ!!」
攀安知は意気揚々と馬を走らせていた。
「所詮中山、我が北山に勝てるはずもなかろうて!!!!」
「攀安知様!」
「チッ……なんだ。」
駆け寄ってきた部下に高揚していた気分を害され、少し不機嫌になる。
「後ろをご覧ください!城が!!」
「城?…なっ!?」
背後を見ると、そこには
「ど、どういうことだ!?」
轟々と、こちらにまで音が聞えそうなぐらいに激しく城が燃え始めていた。
「し、城が!!我が城が!!」
攀安知は振り返り、兵たちに叫んだ。
「すぐに戻れ!!戻るのだぁ!!!」
「「「「はっ!!」」」
だがしかし、尚巴志軍を追い立てていったせいで、ここから城まで結構な距離が開いていた。
「(果たして間に合うかっ!?このような緊急時に城に残っている本部は何をしておる!!?
……それにおかしい…)」
馬を翔けながら、ちら、と後ろの尚巴志軍に目をやり攀安知は思った。
「(奴らめ、なぜ追ってこない!!?今なら絶好の機会だというのに…!!…まさか…。)」
ヒヒーンッ
周りの訝しげな視線を受けながら、攀安知は馬を止め、尚巴志軍を見据えた。
すると、
「…!!?」
一瞬。
にやりと笑みを浮かべた尚巴志軍と目が合った。
「くそっ!!」
攀安知は力任せに馬をけり、再び走らせる。大きく見開いたその目は血走っていた。
「(笑っていた!?…まさか!まさか!!まさか!!!!)」


2/4 に続く




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もふもふ。

2010年10月29日 | ・徒然日記



…チッ、台風それやがった…

昨日の時点ではほぼ全員が今日まで休みのつもりでいただろうに。

くそぅ。


そういうワタシも、気になって早く目が覚めました。
(っていうか、夢にも出てきたよ…。思いっきりそれてる夢)



台風の影響で気温がぐっと下がって寒いです。

ネコスケたちも寒いのか、
毛がもふもふしてます。

もふもふ~。


写真は去年に冬に撮ったススキ。



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