子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「シャザム!」:相手に聞こえない大見得に腹を抱える
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「アベンジャーズ/エンドゲーム」が世界中で凄いことになっているらしい。数えてみたら札幌のユナイテッド・シネマでは4つのフォーマットで合計13回上映されている。3時間超えの作品だから,効率だけを考えたら決してうまみのある興行ではないのかもしれないが,それでもこれだけの回数上映するということは,それだけの観客が押し寄せているということの証左なのだろう。MCU(マーベル・シネマティック・ユニヴァース,と呼ぶらしい)の関連作品は20以上に上るということだが,全部を見てきた人には堪らない幕引きとなっているらしい。当方,その中でも観たのは数えるほどしかないため,すべて「らしい」を連発するしかないのだが,そのマーベルと覇権を争うもう一方の雄であるDCの新作「シャザム!」は,マーベルの「デッドプール」シリーズに比肩しうるパワフルな笑いで,スーパーヒーローものに縁遠いおじさんをも楽しませてくれる。DC「バカ枠」が生んだクリーンヒットだ。
何と言っても主人公の造形が優れている。少年が「シャザム!」と叫んで変身するヒーローは,もっさりとしたおっさんで,スーパーマンみたいな衣装をまとって駅の構内に立ち尽くす姿はサラリーマンの宴会芸の延長にしか見えない。突然備わった超能力の凄さに,友達と一緒に大はしゃぎする姿も,スーパーヒーローものにありがちな「この能力を活かすことこそが私に与えられた運命だったのだ」という,求道者的な姿勢の真逆を行っていて,実に好感が持てる。演じるザッカリー・リーヴァイの1980年代的な「垢抜けなさ」こそが,この作品の成功の肝だろう。
血の繋がらない家族の団結という,最近よく目にするサブプロットも,反トランプ的な立ち位置を鮮明にした描写が,既視感を超えて物語に立体感を与える役割を果たしている。
加えて悪役を演じるマーク・ストロングの重量感が効いている。オープニングのエピソードがヒーローのものではなく,悪役誕生の秘密だった,という捻りも加わって,シャザムとの対決が実は出自が似ている実質的な「捨て子」同士の闘いだった,というオチが冴える。笑えるポイントは数多くあるが,シビアな対決の最中にストロングが発する大見得が,シャザムとの距離が遠すぎて相手にまったく聞こえないというギャグが最高。
悲愴感よりも笑い,という私には,スーパーヒーローものはこれで充分。
★★★☆
(★★★★★が最高)
何と言っても主人公の造形が優れている。少年が「シャザム!」と叫んで変身するヒーローは,もっさりとしたおっさんで,スーパーマンみたいな衣装をまとって駅の構内に立ち尽くす姿はサラリーマンの宴会芸の延長にしか見えない。突然備わった超能力の凄さに,友達と一緒に大はしゃぎする姿も,スーパーヒーローものにありがちな「この能力を活かすことこそが私に与えられた運命だったのだ」という,求道者的な姿勢の真逆を行っていて,実に好感が持てる。演じるザッカリー・リーヴァイの1980年代的な「垢抜けなさ」こそが,この作品の成功の肝だろう。
血の繋がらない家族の団結という,最近よく目にするサブプロットも,反トランプ的な立ち位置を鮮明にした描写が,既視感を超えて物語に立体感を与える役割を果たしている。
加えて悪役を演じるマーク・ストロングの重量感が効いている。オープニングのエピソードがヒーローのものではなく,悪役誕生の秘密だった,という捻りも加わって,シャザムとの対決が実は出自が似ている実質的な「捨て子」同士の闘いだった,というオチが冴える。笑えるポイントは数多くあるが,シビアな対決の最中にストロングが発する大見得が,シャザムとの距離が遠すぎて相手にまったく聞こえないというギャグが最高。
悲愴感よりも笑い,という私には,スーパーヒーローものはこれで充分。
★★★☆
(★★★★★が最高)
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