子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2010年サッカーW杯予選 日本対ウズベキスタン戦【1:0】:貴重な75分間を糧に更なる飛躍を!

2009年06月07日 14時51分40秒 | サッカーあれこれ
確かに審判はひどかった。ピッチ状態は悪く,ボールは走らず,ウズベキスタン選手の体格にモノを言わせたチャージのいくつかはファウルだったかもしれない。
それでもキリンカップ2試合で見せた日本代表の成熟,とくに前線の選手の流動的な動きと,「きれいな型」よりもとにかく点を決めるんだ,という強い意志が伝わってきた数多くのシュート・チャレンジを観た後では,どうしてこんな試合になってしまったのかと考え込まざるを得なかった,というのが正直な感想だ。
W杯出場権という,最低にして最大の目標を,1対0という痺れるような展開の末に勝ち取ったことは,諸手を挙げて喜びたい。しかしこのチームが目標をもう少し高いところ(本大会ベスト4というのはひとまず置いておきましょう)に据えていることと,実際に秘めているポテンシャルとを考え合わせると,この日のパフォーマンスとマネジメントはしっかりと分析されなければならないはずだ。それも,徹底的に。

まず考えなければならないのは,中村憲剛を前線の中心に据えた新しいシステムが機能しなかった理由だろう。確かに流れるようなボールワークが見られたのは,岡崎の気迫溢れる見事な得点シーンを除けば,前半終了間際の遠藤の左足シュートで終わった一連の攻撃くらいで,サイドを起点にボールを素速く動かしてシュートまで持ち込む,という攻撃は殆ど見られなかった。
しかしそれはシステム云々以前に,守備と運動量の問題だったのではないかという印象を受けた。
特に運動量の不足こそが,ボールを奪いに行く時の人数が足りない,オフ・ザ・ボール側のスペースの穴埋めが出来ない,ボランチがボールを持って前を向いた時の攻め手がないという三重苦状態が,前半20分辺りからほぼ試合終了まで続いた最大の原因と言って良いだろう。日本の選手達はペットボトルの水を飲みながら,ヘレン・ケラーよろしく「ウオーラァー」と叫んでいたかもしれないくらい,苦しんでいたはずだ。

守備について言えば,あそこまでセカンドボールを拾えない状態に追い込まれることは,想定していなかったのかもしれない。ボール扱いは拙く,洗練されたパスワークも持っていないにも拘わらず,気力と体力でボールを保持し続けたウズベキスタン・イレブンのファイトが日本以上だった,と言ってしまえばそれまでなのだが,それに対抗して打つべき手は日本にもあったはずだ。
つまり,問題は攻撃ではなくポゼッションを上げられない守備の方だ,というメッセージにはなっていなかった最初の交替(中村憲剛に替えて本田を投入した)を,守備の建て直しが本職ではない本田ではなく,3人目で入った阿部か今野にしていたとしたら,間違いなく展開は違っていたであろうということだ。

本番では,ドイツ大会のオーストラリア戦で経験したとおり,この日以上のサプライズが発生する可能性は充分にある。オシムが本大会出場を決めた日本代表に対して「相手に敬意を払い,充分に分析することだ」という言葉を送ったということだが,残り1年強の間想定されるあらゆるQ&Aを用意し続け,間違ってもウズベキスタン戦前に岡田監督が語ったとされる(NHKの解説者山本昌邦が吐露してしまった)「もう準備することは何もない」などという境地に陥らぬことをこそ,強く望みたい。


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