初めて行った埼玉スタジアム2002は,やはり浦和レッズという日本を代表するビッグ・クラブと,栄えある代表チームの「ホームグラウンド」に相応しい威容を誇る,独特の空間だった。メインとバック,両方の観客席の大部分を覆う大屋根に,緑鮮やかなピッチ。手を伸ばせば選手に届きそうな,観客席との距離。バックスタンドの上階席には空席が目立ったものの,それでも札幌ドームの前試合のほぼ倍となる3万6千人の観客。6年振りにここへ戻ってきた小野伸二が述懐したように,やはりそこは「特別な場所」だった。
しかし3千名という報道もあった札幌のサポーターは,そんな空気を切り裂く歌声で札幌イレブンを鼓舞し,チームもそれに応えて素晴らしい試合を見せてくれた。
失点はいずれも仕方なかった,と言っても差し支えないものだった。浦和のボール支配率が64%という数字が示すとおり,仙台のように完膚なきまでに叩きのめされるようなスコアになってしまう可能性だってあったかもしれない。
しかしソンユンのファインセーブに加えて,どんなにボールを廻されて,サイドチェンジやフェイントで振られても,フィニッシュだけは自由にさせない,という気概が伝わってくるようなディフェンスは,まさに「アウェーの醍醐味」を感じさせてくれるものだった。願わくば両ウィングの位置,特に左の田中のポジションを勇気を持ってもう少し高く保っていてくれれば,あそこまで浦和のペースにならなかったかもしれないという恨みはあるが,それは今の札幌にとっては贅沢というものなのだろう。
選手の中では,やはり都倉がJ1レヴェルでも絶対にやってやる,という気迫を感じさせるプレーを連発していた。とうとう点を取ってくれた兵藤の気合と冷静さも目立ったが,特筆したいのは先取点に繋がった荒野の前に出るディフェンスだ。リオ五輪世代の遠藤には負けないという気持ちがあったのかもしれないが,引いたディフェンスにあっても,ここぞというタイミングを見極めて前目でボールを奪うことが出来れば,充分に勝負になるということを,おそらく全ての選手が肌で感じたことだろう。
それにしてもJ1のアウェー試合は文句なしに楽しい。試合開始前にスタジアム前の広場で屋台のナシゴレンを食べながら,熱いサッカー談義を聞かせてくれたレッズサポーターのご夫婦からは「うちの社長の人事は,車会社の人事異動の一環だから,サッカーを知っている野々村さんがトップを張る札幌のサポーターが羨ましいですよ。チャナティップ,楽しみですね」というありがたい言葉まで頂戴した。
ありがとうございました。来年もまた,この地に来られますように。
しかし3千名という報道もあった札幌のサポーターは,そんな空気を切り裂く歌声で札幌イレブンを鼓舞し,チームもそれに応えて素晴らしい試合を見せてくれた。
失点はいずれも仕方なかった,と言っても差し支えないものだった。浦和のボール支配率が64%という数字が示すとおり,仙台のように完膚なきまでに叩きのめされるようなスコアになってしまう可能性だってあったかもしれない。
しかしソンユンのファインセーブに加えて,どんなにボールを廻されて,サイドチェンジやフェイントで振られても,フィニッシュだけは自由にさせない,という気概が伝わってくるようなディフェンスは,まさに「アウェーの醍醐味」を感じさせてくれるものだった。願わくば両ウィングの位置,特に左の田中のポジションを勇気を持ってもう少し高く保っていてくれれば,あそこまで浦和のペースにならなかったかもしれないという恨みはあるが,それは今の札幌にとっては贅沢というものなのだろう。
選手の中では,やはり都倉がJ1レヴェルでも絶対にやってやる,という気迫を感じさせるプレーを連発していた。とうとう点を取ってくれた兵藤の気合と冷静さも目立ったが,特筆したいのは先取点に繋がった荒野の前に出るディフェンスだ。リオ五輪世代の遠藤には負けないという気持ちがあったのかもしれないが,引いたディフェンスにあっても,ここぞというタイミングを見極めて前目でボールを奪うことが出来れば,充分に勝負になるということを,おそらく全ての選手が肌で感じたことだろう。
それにしてもJ1のアウェー試合は文句なしに楽しい。試合開始前にスタジアム前の広場で屋台のナシゴレンを食べながら,熱いサッカー談義を聞かせてくれたレッズサポーターのご夫婦からは「うちの社長の人事は,車会社の人事異動の一環だから,サッカーを知っている野々村さんがトップを張る札幌のサポーターが羨ましいですよ。チャナティップ,楽しみですね」というありがたい言葉まで頂戴した。
ありがとうございました。来年もまた,この地に来られますように。