子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
Jenny Lewis「Acid Tongue」:逞しくも,たおやかな声
オルタナ・カントリーと呼ばれる分野から,ウィルコやルシンダ・ウィリアムズに続いて,驚嘆すべきアーティストが出現した。
よく馴染んだ革製品のような味を持つメロディが,伸びやかで繊細な声と躍動感溢れる演奏によって綴られる。大地にどっしりと根を下ろした安定感と所々で顔を見せる尖ったアイデアが絡み合い,独特なグルーヴ感を生み出している。昨年暮れに出た作品だが,年内に聴いていれば間違いなく「今年の10枚」に入れていただろう。
ベガーズ・ジャパンに載っているプロフィールによると,オルタナティブ・フォークグループであるライロ・カイリーに1998年に加入したヴォーカリストで,3年前にはThe Watson Twinsという双子の姉妹と共にソロアルバムを発表しており,ソロ名義ではこれが2枚目とのこと。その歌声を聴くのはこれが初めてだが,一切デジタルオーディオシステムを使わずに,アナログ録音で録られたという音像は,ジェニー・ルイスの歌声が組成を変えたであろうスタジオの空気を,ダイレクトに伝えることに成功している。
ビートの強い曲から,表題曲のように静かなバラードまで,自在に表情を変えるジェニーの声は,ジョニ・ミッチェルにも通じる老獪とも言えるような柔軟さを感じさせる一方で,何度聴いても色褪せない新鮮さも宿している。
収録曲全てを彼女自身が作曲しているが,フックの美しさ一発で決めるような曲もあれば,3曲目の「The Next Messiah」のように,8分45秒という長尺を鋭角的なギターとコーラスを挟んで何度も表情を変える構成力で聴かせる曲もあり,と10年選手の懐も見せてくれる。
過去にカントリーに対する深い愛情を吐露してきたエルビス・コステロとの共演曲も素晴らしい出来だが,アルバム丸ごとをこれだけの吸引力で聴かせるアーティストはそうはいない。
今年の冬の「ライロ・カイリー」ならぬ「懐炉代わり」に,愛聴することになりそうだ。
★★★★☆
よく馴染んだ革製品のような味を持つメロディが,伸びやかで繊細な声と躍動感溢れる演奏によって綴られる。大地にどっしりと根を下ろした安定感と所々で顔を見せる尖ったアイデアが絡み合い,独特なグルーヴ感を生み出している。昨年暮れに出た作品だが,年内に聴いていれば間違いなく「今年の10枚」に入れていただろう。
ベガーズ・ジャパンに載っているプロフィールによると,オルタナティブ・フォークグループであるライロ・カイリーに1998年に加入したヴォーカリストで,3年前にはThe Watson Twinsという双子の姉妹と共にソロアルバムを発表しており,ソロ名義ではこれが2枚目とのこと。その歌声を聴くのはこれが初めてだが,一切デジタルオーディオシステムを使わずに,アナログ録音で録られたという音像は,ジェニー・ルイスの歌声が組成を変えたであろうスタジオの空気を,ダイレクトに伝えることに成功している。
ビートの強い曲から,表題曲のように静かなバラードまで,自在に表情を変えるジェニーの声は,ジョニ・ミッチェルにも通じる老獪とも言えるような柔軟さを感じさせる一方で,何度聴いても色褪せない新鮮さも宿している。
収録曲全てを彼女自身が作曲しているが,フックの美しさ一発で決めるような曲もあれば,3曲目の「The Next Messiah」のように,8分45秒という長尺を鋭角的なギターとコーラスを挟んで何度も表情を変える構成力で聴かせる曲もあり,と10年選手の懐も見せてくれる。
過去にカントリーに対する深い愛情を吐露してきたエルビス・コステロとの共演曲も素晴らしい出来だが,アルバム丸ごとをこれだけの吸引力で聴かせるアーティストはそうはいない。
今年の冬の「ライロ・カイリー」ならぬ「懐炉代わり」に,愛聴することになりそうだ。
★★★★☆
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