子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ライフ」:「エイリアン」本家のスピリット直系
真田広之が流暢な英語を喋り,多国籍クルーの中に自然に溶け込んで演技しているのを観ると,同世代として心からの敬意とエールを送りたくなる。「Mr.ホームズ名探偵最後の事件」でもそうだったが,出自を知らずにハリウッド育ちの「日系人」と言われたら信じ込んでしまいそうな佇まいは,私生活でお騒がせ中の大物俳優「ケン・ワタナベ」とは異なる,独特の味わいがある。
そんな彼の新しい出演作は,「ゼロ・グラビティ」や「メッセージ」のような重量級のSFに比べると仕立てはライトながら,丁寧に作り込まれたB級アクションの心地よさに溢れた快作だ。
宇宙ステーションの6人のクルーが,漂流してきた宇宙船に残された火星の砂に含まれていた謎の生命体「カルビン」を再生させてしまい,その結果クルーが次々にカルビンに襲われていく。筋立ては完全に「エイリアン」だ。
そんなシンプルな筋立てを,最後まで飽きさせずに引っ張るには幾つかのフック,いわば観客の意表を突く仕掛けが必要だが,抜擢された「デッドプール」の脚本家チームが取ったのは,クルーを演じる俳優のうち,「デッドプール」で大当たりを取った主役本人のライアン・レイノルズを序盤で退場させてしまうという荒技だった。だが一見ギャンブルにも見える展開は,結果的にステュワート・ベアードの佳作「エグゼクティブ・ディシジョン」の冒頭でスティーブン・セガールが去ってしまうシーンに匹敵する,強い「引き」を物語にもたらした。
美術や撮影の手の込んだ仕事も見事の一言。「ゼロ・グラビティ」が一気に引き上げてしまった無重力空間の描写は,船内をエイリアンと競争するというシチュエーションの採用によって,更に一段上のレヴェルでの奮闘を強いられているのだが,船外空間でのバトルも含めて,技術陣の努力は実に自然な絵となって結実している。「2001宇宙の旅」で宇宙空間の描写にリアリティを持ち込んだ先達であるキューブリックが生きていたら,6千万ドルを切る予算でこのクオリティが実現している状況を見て,果たして何と言うか聞いてみたいほどだ。
「キャリー」以来定番となった感のあるラストのどんでん返しのショック度は今ひとつだったが,やっぱりね,という安心感も含めて,良心的なホラー映画とお奨めできる。「良心的なホラー」という褒め言葉が,世の中的に成立していればの話ではあるが。
★★★☆
(★★★★★が最高)
そんな彼の新しい出演作は,「ゼロ・グラビティ」や「メッセージ」のような重量級のSFに比べると仕立てはライトながら,丁寧に作り込まれたB級アクションの心地よさに溢れた快作だ。
宇宙ステーションの6人のクルーが,漂流してきた宇宙船に残された火星の砂に含まれていた謎の生命体「カルビン」を再生させてしまい,その結果クルーが次々にカルビンに襲われていく。筋立ては完全に「エイリアン」だ。
そんなシンプルな筋立てを,最後まで飽きさせずに引っ張るには幾つかのフック,いわば観客の意表を突く仕掛けが必要だが,抜擢された「デッドプール」の脚本家チームが取ったのは,クルーを演じる俳優のうち,「デッドプール」で大当たりを取った主役本人のライアン・レイノルズを序盤で退場させてしまうという荒技だった。だが一見ギャンブルにも見える展開は,結果的にステュワート・ベアードの佳作「エグゼクティブ・ディシジョン」の冒頭でスティーブン・セガールが去ってしまうシーンに匹敵する,強い「引き」を物語にもたらした。
美術や撮影の手の込んだ仕事も見事の一言。「ゼロ・グラビティ」が一気に引き上げてしまった無重力空間の描写は,船内をエイリアンと競争するというシチュエーションの採用によって,更に一段上のレヴェルでの奮闘を強いられているのだが,船外空間でのバトルも含めて,技術陣の努力は実に自然な絵となって結実している。「2001宇宙の旅」で宇宙空間の描写にリアリティを持ち込んだ先達であるキューブリックが生きていたら,6千万ドルを切る予算でこのクオリティが実現している状況を見て,果たして何と言うか聞いてみたいほどだ。
「キャリー」以来定番となった感のあるラストのどんでん返しのショック度は今ひとつだったが,やっぱりね,という安心感も含めて,良心的なホラー映画とお奨めできる。「良心的なホラー」という褒め言葉が,世の中的に成立していればの話ではあるが。
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(★★★★★が最高)
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