バーレーン戦に続いて怪我で山村を欠いた日本は,ボランチの扇原の相棒に前の試合で途中から出場した山口を持ってきた。日本U-22代表はそのポジション以外,バーレーン戦と選手の変更がなかったのだが,グループ最大の難敵と見られるシリアに対して,前半はまるで全く違うチームであるかのように滑らかにボールを廻し,サイドを崩しては,クロスを入れ続けた。
前半ロスタイムに入る直前に決めた濱田のヘディング・シュートも,そんな迫力ある攻撃から奪ったCKからのものだった。
だがキックオフ直後から約15分間は完全にシリアの時間帯だった。足元の技術は全員がしっかりしていたが,長身で縦への突破力を持ち,シュートの意識も技術も高いという,典型的な中東タイプのアタッカー10番は,特に危険な香りを発していた。
しかし日本は,序盤の相手の激しいプレスが小休止したところでボールの支配権を奪い取り,両サイドバック比嘉と酒井の迫力ある上がりと,大津の突進力を活かした攻撃で,シリア・ゴールを何度も脅かした。選手もボールも動く,という視点で見れば,正に今年の「なでしこジャパン」から受けた刺激を,男子仕様にスピードアップした,と言っても過言ではないレベルのアタックが何本かあった。
清武と原口だけでなく,宇佐見や宮市,更には香川という絶対的な選手を欠いていてもなお,このチームは未知のポテンシャルを秘めているかもしれないという期待を,今予選初めて感じさせてくれた45分間だった。
それでも,先制点を奪われたシリアがギアを一つ挙げた途端に,急に落ち着きを失ってしまった後半の展開は,まだまだ「ユース代表」という印象を与えるものだった。
特に同点弾を喫した場面(決めたのはやはり相手の10番だった)におけるCB二人のバタバタ振りは,目を覆うばかりだった。
結果的にはただ一人の欧州組である大津が,(大学の留年が決まったらしい)比嘉の素晴らしいクロスに合わせてチームの窮状を救うという,絵に描いたような展開となったが,負のムードを変える選手,浮き足だった空気を落ち着かせる選手の重要性が浮き彫りになった感は否めない。
だがこの勝ち点3によって,俄然日本が優位に立った事実は大きい。シリアとのアウェー戦は引き分けでも良くなったことで,精神的な余裕が生まれたことは,戦術上の選択肢が広がったことと併せて,確実に若い選手たちの背中を押してくれるはずだ。
そんなチームにあって,ロンドンへの切符を奪い取る切り札は,大迫がチームの元先輩に敬意を表したわけではないのだろうが「国際試合における柳沢化(≒決定的な場面で弱気になってしまいミスをする)」が著しい中では,やはり永井だろう。チームに戻って,優勝を決める最終節のプレッシャーを経験した上で,その経験値を是非とも五輪代表に還元して欲しい。頑張れ,ヤング・ジャパン!
前半ロスタイムに入る直前に決めた濱田のヘディング・シュートも,そんな迫力ある攻撃から奪ったCKからのものだった。
だがキックオフ直後から約15分間は完全にシリアの時間帯だった。足元の技術は全員がしっかりしていたが,長身で縦への突破力を持ち,シュートの意識も技術も高いという,典型的な中東タイプのアタッカー10番は,特に危険な香りを発していた。
しかし日本は,序盤の相手の激しいプレスが小休止したところでボールの支配権を奪い取り,両サイドバック比嘉と酒井の迫力ある上がりと,大津の突進力を活かした攻撃で,シリア・ゴールを何度も脅かした。選手もボールも動く,という視点で見れば,正に今年の「なでしこジャパン」から受けた刺激を,男子仕様にスピードアップした,と言っても過言ではないレベルのアタックが何本かあった。
清武と原口だけでなく,宇佐見や宮市,更には香川という絶対的な選手を欠いていてもなお,このチームは未知のポテンシャルを秘めているかもしれないという期待を,今予選初めて感じさせてくれた45分間だった。
それでも,先制点を奪われたシリアがギアを一つ挙げた途端に,急に落ち着きを失ってしまった後半の展開は,まだまだ「ユース代表」という印象を与えるものだった。
特に同点弾を喫した場面(決めたのはやはり相手の10番だった)におけるCB二人のバタバタ振りは,目を覆うばかりだった。
結果的にはただ一人の欧州組である大津が,(大学の留年が決まったらしい)比嘉の素晴らしいクロスに合わせてチームの窮状を救うという,絵に描いたような展開となったが,負のムードを変える選手,浮き足だった空気を落ち着かせる選手の重要性が浮き彫りになった感は否めない。
だがこの勝ち点3によって,俄然日本が優位に立った事実は大きい。シリアとのアウェー戦は引き分けでも良くなったことで,精神的な余裕が生まれたことは,戦術上の選択肢が広がったことと併せて,確実に若い選手たちの背中を押してくれるはずだ。
そんなチームにあって,ロンドンへの切符を奪い取る切り札は,大迫がチームの元先輩に敬意を表したわけではないのだろうが「国際試合における柳沢化(≒決定的な場面で弱気になってしまいミスをする)」が著しい中では,やはり永井だろう。チームに戻って,優勝を決める最終節のプレッシャーを経験した上で,その経験値を是非とも五輪代表に還元して欲しい。頑張れ,ヤング・ジャパン!