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2009年TVドラマ春シーズンレビューその1:「臨場」など

今のところ今期一番の話題は,TVドラマの代名詞とも言える「月9」の不振だろう。丁寧な作りに好感が持てたが,それほど話題にはならなかった前期の「ヴォイス」が,最低でも10%を割ることはなく,平均で14.56%(Audience Rating TV参照。以下同じ)を稼いだことと比べると,鳴り物入りでスタートした今期の「婚カツ!」が,4回の放送のうち直近2回で早くも一桁を記録してしまったことは,週刊誌も取り上げるくらいの衝撃があったようだ。

ジャニーズ事務所に所属するタレントの起用にも拘わらず,低視聴率に喘いだ例としては前期の「神の雫」(平均6.20%)があったが,今回満を持しての登場となったSMAPのリーダーが数字を取れなかったという結果には,SMAPのファン層の高齢化という現実を差し引いてもなお,重いものがあるような気がする。多少中途半端な作りでも,アーティストの持つパワーだけで最低の数字はもぎ取ってきたのは,もはや過去のものなのかどうか,現時点での判断は難しいところだ。

ただ,来週から始まる木村拓哉の「Mr.BRAIN」は,何処から見てもフジ「ガリレオ」の焼き直しとしか思えない企画にも拘わらず,番組改編によって被った痛手を回復しようと必死なTBSの形振り構わぬ豪華なキャスティングも手伝って,それなりの数字は取るだろうと予想される。そう考えると,本当の検証は秋シーズンまで待たなければならないのかもしれない。

他の番組に目を向けると,「医療もの」,「弁護士もの」,「警察もの」という,近年の日本のTVドラマにおける3大人気ジャンル(あくまで独断ではありますが)のうち,今期はどの局も「警察もの」にターゲットを絞ったような印象を受ける。
おかげで,録り溜めておいた番組を週末にまとめてチェックするという視聴スタイルの私は,観ている間に犯人と警察の関係がゴチャゴチャになるという被害を被って困っている。

中でも一番狙いが明確で,番組の出来もそれなりの水準に達しているのは横山秀夫の原作によるテレ朝「臨場」だろう。内野聖陽主演の警察ものというと,脚本の古沢良太が向田邦子賞を受賞した「ゴンゾウ」が記憶に新しいが,主人公の基本的なキャラクターは共通している部分が多い。凄腕だが,過去に傷を持ち,単独で動く。
異なるのは,今回の主人公は,傍らに理解者(松下由樹)を持つ一方で,反感を持つ若手(渡辺大)を突き放しつつ育てる,という役割を与えられているところだ。それによってキャラクターに膨らみと,物語の展開に余裕が生まれている点が,同期の警察ものとの違いかもしれない。
ただ主人公倉石のライバルとなる捜査一課管理官役の,高嶋政伸の棒立ちとしか言いようのない演技と,今も成長を続けているような松下由樹の後ろ姿の圧力,それと大げさに過ぎる音楽は,少し修正の余地があると思うのだが…。(その1終わり)
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