子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ハンガーゲーム2」全米NO.1という惹句が通用しなくなっているのも致し方なし
若者の映画ファンをターゲットにした映画雑誌の不振・休刊(ロードショー)が象徴するように,洋画離れの傾向が近年著しいが,「トワイライト」サーガといい,この「ハンガーゲーム」シリーズといい,アメリカで10代から20代の若い世代を惹きつけている作品が,日本では大コケという事態が続いている。
アメリカでは「アイアンマン3」を抜いて昨年最大のヒットとなった本作も,私が観た劇場は閑古鳥が鳴いていた。ジェニファー・ローレンスという人気と実力を兼ね備えたライジング・スターの威光も,携帯ゲームとSNSに忙しい日本の若者の視線を向けさせるだけの力は持ち得なかったようだ。
アメリカで大人気を博したヤング・アダルト小説(勿論私は未読)の映画化作品の続編で,前作は深作欣二監督作の「バトル・ロワイヤル」との類似性が一部で騒がれたが,日本では残念な興行成績に終わったこともあって,本作にあってはそんな議論があったことすらも忘れ去られてしまったかのようだ。
肝心の続編の日本における評価は,前作よりも上というものが目に付いたが,作品世界の類似性で見ると相手は「バトル・ロワイヤル」から「トゥルーマン・ショー」に移ったようだ。確かに若者同士の殺し合いや,生き残るための疑似恋愛の行方といった要素が後退し,人間の尊厳を踏みにじり,恐怖で支配する国家のあり方への抵抗が前面に出ることによって,作品のターゲット年齢と共に,品位は一見向上したようにも見える。
しかし冗長になることを承知の上で,神経を使って暴力描写が過激に走ることを迂回しながら,若者の刹那の感情を随所で掬い上げていたゲーリー・ロスによる前作に比べて,本作が特段に優れているという印象は受けない。むしろコントロールされた獣や気候との対決色が強まったことによって,アクションのリアリティーは弱まり,イヴェントの儀式性を執拗に盛り上げようとする本作の方が,テンポは悪いと言えるくらいだ。
それでも本作をどうにか続編へと続く,ほとんど詐欺としか言えないラストまで観客を引っ張るのは,ひとえにローレンスの眼差しの力に他ならない。
デヴィッド・O・ラッセルを筆頭とする「作家性」の強い監督とのコラボで良心作を輩出する一方で,ヒットメイカーとしての信頼感を醸成するという荒技を,軽々と実現して見せる新たなミューズこそ,わが前田敦子が目指す姿かもしれない。
★★☆
(★★★★★が最高)
アメリカでは「アイアンマン3」を抜いて昨年最大のヒットとなった本作も,私が観た劇場は閑古鳥が鳴いていた。ジェニファー・ローレンスという人気と実力を兼ね備えたライジング・スターの威光も,携帯ゲームとSNSに忙しい日本の若者の視線を向けさせるだけの力は持ち得なかったようだ。
アメリカで大人気を博したヤング・アダルト小説(勿論私は未読)の映画化作品の続編で,前作は深作欣二監督作の「バトル・ロワイヤル」との類似性が一部で騒がれたが,日本では残念な興行成績に終わったこともあって,本作にあってはそんな議論があったことすらも忘れ去られてしまったかのようだ。
肝心の続編の日本における評価は,前作よりも上というものが目に付いたが,作品世界の類似性で見ると相手は「バトル・ロワイヤル」から「トゥルーマン・ショー」に移ったようだ。確かに若者同士の殺し合いや,生き残るための疑似恋愛の行方といった要素が後退し,人間の尊厳を踏みにじり,恐怖で支配する国家のあり方への抵抗が前面に出ることによって,作品のターゲット年齢と共に,品位は一見向上したようにも見える。
しかし冗長になることを承知の上で,神経を使って暴力描写が過激に走ることを迂回しながら,若者の刹那の感情を随所で掬い上げていたゲーリー・ロスによる前作に比べて,本作が特段に優れているという印象は受けない。むしろコントロールされた獣や気候との対決色が強まったことによって,アクションのリアリティーは弱まり,イヴェントの儀式性を執拗に盛り上げようとする本作の方が,テンポは悪いと言えるくらいだ。
それでも本作をどうにか続編へと続く,ほとんど詐欺としか言えないラストまで観客を引っ張るのは,ひとえにローレンスの眼差しの力に他ならない。
デヴィッド・O・ラッセルを筆頭とする「作家性」の強い監督とのコラボで良心作を輩出する一方で,ヒットメイカーとしての信頼感を醸成するという荒技を,軽々と実現して見せる新たなミューズこそ,わが前田敦子が目指す姿かもしれない。
★★☆
(★★★★★が最高)
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