子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2011年ACL決勝トーナメント1回戦 ガンバ大阪 VS セレッソ大阪【0:1】ひとつの時代の終焉

2011年05月24日 21時45分13秒 | サッカーあれこれ
ガンバ大阪の宇佐見や中澤は,試合終了のホイッスルが鳴ると同時にピッチに倒れ込み,両チームの選手がエールを交わすセンター・サークルに戻ることが出来なかった。
その気持ちはTVの画面からでも,痛いほどこちらに伝わってきた。彼らが立てなかったのは,勝負に敗れた悔しさだけではなく,サッカーの質という,多くのフットボーラーが自らの拠り所とする点で叩きのめされたことが明らかだったからだ。自分たちが長年やってきたサッカーを,目の前で展開され,それに対抗できなかった悔しさは,言葉にするのが難しいくらい深く激しいものに違いない。

セレッソ大阪の完勝だった。
スペースを突く動き,長いクロス,中盤での激しい守備,サイドを長く走る覚悟。
終了間際に右サイドの角度のないところから放たれた素晴らしいシュートは,試合終了まで繰り返し見られたセレッソのこうしたプレーと気迫の全てが,思い切って上がってきた高橋の右足に乗り移ったことによって生まれたように見えた。
これで「セレッソはこれまでずっとガンバの後塵を拝してきました」という,TV放送中何度も繰り返されたフレーズを口にするアナウンサーは,明日からもういなくなるだろう。

ガンバは途中交代で入った佐々木が,鮮やかな身体のキレを発揮して,何度か決定的なチャンスを作り出したが,今日はどうやらフィニッシャーとなるべきアドリアーノの日ではなかったようだ。
本来なら一発退場を宣告されるべきミスを犯してしまった藤ヶ谷が,イラン人審判の情けでレッドカードを出されなかったという幸運を生かすが出来なかったことが,ガンバの衰退を余計際立たせていた。

ユースで育てた豊富なタレントを中盤に揃え,毎年のようにアタッカーを変えながらも,常にJリーグ有数の攻撃的チームとして君臨してきたガンバ大阪。その落日が,ユースの最高傑作と呼ばれた宇佐見がエースとなったその時にやってくるとは,誰も想像しなかったかもしれない。
だが,その日はやって来た。
今でも顔触れだけを見れば,華麗なパス廻しが目の前に浮かんでくるようなチームが,こういう形でACLの舞台から去っていく瞬間を目撃した観客と,ピッチで金縛りにあったような動きを見せてしまった選手達にとって,忘れられない日が。
喜色満面のクルピのインタビューを聞きながら考えていたのは,果たしてこの日を,新しいガンバのバースデイにすることは出来るのだろうかということだった。
立ち上がれ,宇佐見。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。