子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
映画「ア・ゴースト・ストーリー」:「オバケのQ太郎」からヒントを得た…ってことはないだろうけども
夏に公開された「ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」は,正統派のホラーとして私を存分に怖がらせた上で,ラストのワンカットによって3つの物語をつなげつつ,冒頭のショットの種明かしをするという,「カメラを止めるな」に勝るとも劣らない見事な「回収劇」を展開した作品だった。その完成度の高さの割に世間の話題に殆ど上らなかったことは残念ではあったが,その秀作とタイトルだけはよく似た「ア・ゴースト・ストーリー」の方は,出演者の知名度もあってか,そこそこメディアに露出もしているようだ。その出来の方はと言えば,「そこそこ」どころではない,小さいけれども極めて優れた幽霊談と,手放しで推薦できる秀作だ。
若い夫婦が郊外に建つ平屋の家に引っ越してくる。音楽を生業にしていた夫が新居で作った曲を妻に聴かせるような日々が,淡々と描かれる。けれどもその家の中に「何か」の気配が感じられ,ある日の夜中に聞こえてきた音に妻は怯える。やがて夫は交通事故で亡くなるが,その亡骸にかけられていたシーツを被ったまま突如ゴーストとなって家に戻り,その存在に気付かない妻を傍らで見守り続ける。
ショットはその多くがフィックス(固定)で,観客は夫を亡くした妻が,友人が差し入れてくれたパイを延々と食べ続け,やがてトイレに駆け込んで全部吐いてしまう一部始終を,じっと凝視することになる。悲しみに打ちひしがれる妻と,そんな妻を目の前にしながらどうすることも出来ない夫の想いが,交わることなくすれ違い,やがて妻は家を去って行く。
当然,夫の幽霊は彼女についていくものと思いきや,何故か幽霊は家に留まり,出ていく妻を見送るという道を選択する。物語が勢いを増すのはここからだ。
妻への想いに全てを捧げたと思われた幽霊は,後に入居する家族に対して嫌がらせを始める。まるで「妻との思い出が詰まったこの家から出ていけ!」と言わんばかりに。次々に入居してくる住人を追い出した幽霊は,やがて未来から過去へ,「シックス・センス」を想起させるような残虐行為が行われていた開拓時代にまで,時間を超越して同じ場所に留まり続ける。そう,妻への思いが募って守護霊となった男の姿を描いていたと思われた物語は,一転して地縛霊の哀しみへと姿を変えていくのだ。見えているものと見えないものの間に横たわる溝,終盤の展開も含めて「シックス・センス」的な切り返しを,的確な構図でより鮮やかに切り取ったデヴィッド・ロウリーに座布団,じゃなかった,シーツを一枚。
★★★★
(★★★★★が最高)
若い夫婦が郊外に建つ平屋の家に引っ越してくる。音楽を生業にしていた夫が新居で作った曲を妻に聴かせるような日々が,淡々と描かれる。けれどもその家の中に「何か」の気配が感じられ,ある日の夜中に聞こえてきた音に妻は怯える。やがて夫は交通事故で亡くなるが,その亡骸にかけられていたシーツを被ったまま突如ゴーストとなって家に戻り,その存在に気付かない妻を傍らで見守り続ける。
ショットはその多くがフィックス(固定)で,観客は夫を亡くした妻が,友人が差し入れてくれたパイを延々と食べ続け,やがてトイレに駆け込んで全部吐いてしまう一部始終を,じっと凝視することになる。悲しみに打ちひしがれる妻と,そんな妻を目の前にしながらどうすることも出来ない夫の想いが,交わることなくすれ違い,やがて妻は家を去って行く。
当然,夫の幽霊は彼女についていくものと思いきや,何故か幽霊は家に留まり,出ていく妻を見送るという道を選択する。物語が勢いを増すのはここからだ。
妻への想いに全てを捧げたと思われた幽霊は,後に入居する家族に対して嫌がらせを始める。まるで「妻との思い出が詰まったこの家から出ていけ!」と言わんばかりに。次々に入居してくる住人を追い出した幽霊は,やがて未来から過去へ,「シックス・センス」を想起させるような残虐行為が行われていた開拓時代にまで,時間を超越して同じ場所に留まり続ける。そう,妻への思いが募って守護霊となった男の姿を描いていたと思われた物語は,一転して地縛霊の哀しみへと姿を変えていくのだ。見えているものと見えないものの間に横たわる溝,終盤の展開も含めて「シックス・センス」的な切り返しを,的確な構図でより鮮やかに切り取ったデヴィッド・ロウリーに座布団,じゃなかった,シーツを一枚。
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