子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

日本代表対ボスニア・ヘルツェゴビナ代表【3:0】師匠思いの門下生たち

2008年01月31日 00時00分52秒 | サッカーあれこれ
監督が札幌と横浜で指揮を執っていた時に,その薫陶を受けた選手たちが素晴らしいプレーを見せて,見事に岡田ジャパンの初得点,初勝利に貢献した。この実に日本的な物語は,裏番組で放送されていたハンドボール五輪予選の熱狂に比べると,静かで地味ではあったが,W杯予選に向けたチームの高揚感はしっかりと感じられた。

ボスニア・ヘルツェゴビナは,足下は柔らかく,上背はみんながオシムの親戚であるかのように大きかったのだが,攻めに回った時の運動量は脅威となるようなものではなく,少人数でサイドをえぐるような縦方向の速攻もなかったため,守備面で危ない場面はほとんどなかった。チーム立ち上げ時の連戦を,無失点で終われたことは,新しいチームにとって大きな自信になることだろう。

しかし,前線,中盤共にプレッシャーが少なかったにも関わらず,選手の距離感をどう保つかという共通認識は徹底されておらず,運動量の割には有機的な連動が生み出されることは少なかった。
ただ,チリ戦に比べると意識的なサイドチェンジへのトライ,トップを狙った長いくさびのボールは,攻撃面でのアクセントを作っていたように見えた。結果,前半に相手の高い壁に阻まれながらも,ヴァリエーションを増した攻撃が醸し出していた得点の気配は,後半に入って見事な形を取ることとなった。

特に美しかったのは2点目。一旦相手に奪われたボールを後ろからのチェイシングで奪い返した今野の執念,最終ラインの背後から飛び出した山瀬にピタリと合わせた大久保のパス,そしてGKと1対1となってから相手をよく観てグラウンダーを流し込んだ山瀬の冷静さ。3つの「力強い」プレーが連なって生まれた見事なゴールは,3次予選で守りを固められたときにゴールの意識をどれだけ強く持てるかが勝敗を分ける,という当たり前のことを改めて教えてくれた。
そしてゴール前やDFラインの背後に必ず生まれるスペースに,2列目から入り込むことの重要性と,そこを見逃さない選手が誰かということも。

来週予定されている2010年W杯3次予選の初陣となるタイ戦も,侠気に溢れた監督の弟子たちが,きっとやってくれるだろう,という予感めいたものが,空席の目立つスタンドのそこここに漂っていた。本番当日は,そんな雰囲気に替わって観客が座ってくれると良いのだけれど。


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