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2008年冬シーズンTVドラマスタート状況レビューNO.2

(承前)
月9のスタートがそんな状況でやや落胆させられたことに比べると,放送前には期待していなかったにも関わらず,ヒロインの造形力という点で一頭地を抜く出来を示したのが,日本テレビ水曜日の「斉藤さん」だ。
世知辛い一方,馴れ合いが横行する現代社会で,「筋を通す」ことの困難さを,閉鎖的なサークルの象徴である子育てママの集団を使って描き出そうとする試みは,観月ありさという未完の大器が持てる能力をフルに発揮することによって,思いもかけない成果を生み出す可能性がありそうだ。狂言回しのミムラも化けそうな気配を漂わせるが,不良高校生のリーダーを演じる山田親太朗の顔が,あまりにも小島よしおにそっくりなため,ガン飛ばしながら突然「おっぱっぴー!」とか言い出すのではないかと,視聴者を不安に陥れているのが唯一の誤算か。

コメディということでは,好調が続くテレビ朝日の金曜深夜枠「未来講師めぐる」も,宮藤官九郎的ベタなギャグで笑わせてくれそうだ。ただキャスティングがあまりにも普通で,こんな(スクエアな)役者がこんな下らない台詞を,という落差は少ない。ただ深田恭子のロリータ的な魅力は十分に発揮される気配があり,kinki kidsの後ろでつまらなさそうにしている某バラエティ番組のストレスは,この出演によって発散されることだろう。ドラマの展開としては,深田に20年後には死んでいると見られてしまった者達との絡みを,ブラックジョークとして昇華させていけるかどうかが鍵になるかもしれない。

展開に抱かせる期待の度合いでも,また出足の視聴率(11%前後というまことに微妙な数字)という点でも,「鹿男あおによし」と双璧を成しているのが,TBSの「エジソンの母」だ。
「マイ・ボス,マイ・ヒーロー」で,均一な集団に「異物」が入り込むことによる集団の化学変化と,「異物」自体の成長を見事に描ききった大森美香の脚本は,伊東美咲という「バービー人形」先生役にはまった女優を得て,これまでのところ実に眩しく光り輝いている。
主人公の賢人君を,単に考え方が柔軟で,ユニークな思考回路の持ち主という設定ではなく,アイデアの源を本に求め,「知識」を積み重ね,先人の知恵に触れることによって突飛な行動を起こしてしまう,というキャラクターにしたことが,ドラマのリアリティを増すことに繋がったと見たが,谷原章介や坂井真紀など脇もしっかり固い。
賢人君の興味が論理学や物理学に広がっていくことで,物語のフィールドも大きくなっていけば,ドラマとしても化けそうだ。

本当は,映画版に比べてキャストに難があったため敬遠した「ハチミツとクローバー」や,香里奈の「だいすき!!」もチェックしたいところだが,週末にレコーダーを抱えて居間に籠る私への家人の苦情を考えると,これが限度。
このうちのどれか一つでも,毎週驚愕の展開に圧倒されている「デスパレートな妻たちシーズン3」並の質を持ったドラマに育っていくことを,メタボな体で祈りたい。
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