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映画「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」:さよならレイア姫

世の中に大勢いるらしい「マニア」の皆さんには怒られそうだが,シリーズ8作目(スピン・オフを入れると実写版は9作目)ともなると,どんなに登場人物が生死を賭けた熾烈な戦いを繰り広げようとも,明暗どっち側の世界で生きていこうか若者が悩もうと,全編にほとんど「007」や「男はつらいよ」的なマンネリ感が漂っていることを認めない訳には行かない。どこかで観たような風景,観たような人々(何度も出てくる人やロボットが複数存在するのだから当たり前ではあるが),似たようなお話,既視感のある戦闘場面が続く展開で,私のような非マニアを,2時間半を超える長尺で一時たりとも退屈させないというのはある意味神業に近い仕事だったろう。おそらくジョージ・ルーカスが監督を降りて久しいのも,自らが作り出したそんなお約束=スター・ウォーズ神話を支える苦労で疲弊してしまったからでは,と私は睨んでいる。
だが今回抜擢されたライアン・ジョンソンは,そんな苦行に挑戦し,その高いハードルを何とかクリアできたように見える。何と言っても152分間,退屈しなかったのだから。

フォースを持つカイロ・レン(アダム・ドライヴァー)がダークサイドに落ちるかどうか,まったく興味を持てない観客を惹きつけるためにジョンソンが本作で選択した戦略は,大胆にも複数の人間関係を等価とみなして徹底的にパラレルに描く,というものだった。
新シリーズである以上,レイ(デイジー・リドリー)が隠遁しているルークを闘いの場に引き戻す話がメインプロットとなるべきであり,事実かなりの尺がそこに割かれてはいる。だが物語自体はポー(オスカー・アイザック)がベニチオ・デル=トロと絡むアクション・プロットがエンジンとなっており,そこにレンとその母親であるレイア(キャリー・フィッシャー)との確執や,フィンとローズの恋物語までもが並行して描かれることによって,ほとんど「グランドホテル」形式と呼びたくなるような賑やかさを伴って展開していく。その分,とっちらかった印象はあるが,スタイルは変われど映画は「娯楽の王様」なのだ。これで良いと私は思う。

世評は高かったスピン・オフ「ローグ・ワン」でも,もう一捻りできなかったのかと不満が残ったラストと同様に,フィンが自爆して終わるのかと思ったら,今回は上手にそれを回避したことも良かった。ずっと生きてるヨーダが出ているとは言っても,命あっての物種,というメッセージは重要だ。亡くなる直前にどえらい告白をしてしまったキャリー・フィッシャーに合掌しつつ,次の「寅さん」を待ちたい。
★★★☆
(★★★★★が最高)
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