名実共に善人キャラの代表と言える存在となった菅野美穂は,前クールの「ギルティ」で悪役に挑んで,ものの見事にコケてしまったのだが,そんな前例に懲りずに仲間由紀恵が不気味キャラに挑戦しているのがフジの火曜22時枠「美しい隣人」だ。
仲間由紀恵の標的になるのが,やはり「好感度キャラ」の列に並ぶ壇れい。果たして第1回は,このキャスティングから思い浮かぶ通りの,ナチュラルな演技の対極にある,目一杯作り込まれた役作りのぶつかりあいとなった。
この二人の対峙を興味深く見た人もいるのかもしれないが,私は外国で見たホタルの様子を語る仲間の話から,自分なりに想像を拡げて,その光景に感動して涙を流してしまうという壇のキャラクターにどん引きした。たとえホタルの飼育活動に携わっていたとしても,日常の家事,子育て,単身赴任の夫と近所に住む義理の親のケアと,おそらくは目まぐるしい日常を過ごしている筈の主婦が,ホタルの群舞を想像して泣くという設定の突飛さは,ブラマヨ吉田の決め台詞ではないが「どうかしてるぜ!」と言いたくなるレベルだった。
事故で亡くなった子供を巡る復讐劇の様相を呈した幕開けではあったが,昼メロの「あざとさ」をゴールデンに持ち込んだら,いつの間にか「わざとらしさ」に変わってしまったという誤算を,プラスに転じることが出来るかどうか。ハードルはかなり高そうだが,仲間由紀恵にとっては越えなければならない試練かもしれない。
「わざとらしさ」という点では少しもひけを取らないと思われるのが,意欲作だった「SPEC」の枠で始まったTBS「LADY」だ。戸田恵梨香から北川景子へ,演技のレベルだけで見れば,サッカー日本代表の香川から大久保へ,くらいの差があるヒロイン交代劇がどうなるかと固唾を呑んで見守ったのだが,連ドラ予約の解除ボタンを押す操作に躊躇いはなかった。まったく。
導入部の演習劇のお粗末さも,登場人物の妙に気取った台詞も,ご都合主義のプロファイリングも,勘弁してくれと言いたくなるひどさ。ジェフリー・ディーヴァーの著作を1冊でも読んだことのある視聴者はおそらく,一斉に同じようなため息をつきながら,リモコンを手に取ったに違いない。
「うぬぼれ刑事」から「SPEC」へと,連続ドラマの可能性を,実験的な笑いを併走させながら追求してきた良い流れが,ここに来てブチンと断ち切られた感じだ。
ひとつ前の「うぬぼれ刑事」はもとより,2年前の「流星の絆」でも,文字通り助演陣の「要」を担っていた要潤の怪演を持ってしても,2回目で一桁に落ちた数字を水面まで引き上げるのは容易な仕事ではないだろう。
ヴァラエティに押されっぱなしのドラマだが,その復権に欠かせないはずの脚本家の人材不足は深刻だ。本来ならば最終手段であるはずのコミック界への依存が恒常的になりつつある現状を救ってくれる,小説界における西村賢太氏(アルバイトしながら芥川賞を受賞した作家)のような異才はいずこ?
仲間由紀恵の標的になるのが,やはり「好感度キャラ」の列に並ぶ壇れい。果たして第1回は,このキャスティングから思い浮かぶ通りの,ナチュラルな演技の対極にある,目一杯作り込まれた役作りのぶつかりあいとなった。
この二人の対峙を興味深く見た人もいるのかもしれないが,私は外国で見たホタルの様子を語る仲間の話から,自分なりに想像を拡げて,その光景に感動して涙を流してしまうという壇のキャラクターにどん引きした。たとえホタルの飼育活動に携わっていたとしても,日常の家事,子育て,単身赴任の夫と近所に住む義理の親のケアと,おそらくは目まぐるしい日常を過ごしている筈の主婦が,ホタルの群舞を想像して泣くという設定の突飛さは,ブラマヨ吉田の決め台詞ではないが「どうかしてるぜ!」と言いたくなるレベルだった。
事故で亡くなった子供を巡る復讐劇の様相を呈した幕開けではあったが,昼メロの「あざとさ」をゴールデンに持ち込んだら,いつの間にか「わざとらしさ」に変わってしまったという誤算を,プラスに転じることが出来るかどうか。ハードルはかなり高そうだが,仲間由紀恵にとっては越えなければならない試練かもしれない。
「わざとらしさ」という点では少しもひけを取らないと思われるのが,意欲作だった「SPEC」の枠で始まったTBS「LADY」だ。戸田恵梨香から北川景子へ,演技のレベルだけで見れば,サッカー日本代表の香川から大久保へ,くらいの差があるヒロイン交代劇がどうなるかと固唾を呑んで見守ったのだが,連ドラ予約の解除ボタンを押す操作に躊躇いはなかった。まったく。
導入部の演習劇のお粗末さも,登場人物の妙に気取った台詞も,ご都合主義のプロファイリングも,勘弁してくれと言いたくなるひどさ。ジェフリー・ディーヴァーの著作を1冊でも読んだことのある視聴者はおそらく,一斉に同じようなため息をつきながら,リモコンを手に取ったに違いない。
「うぬぼれ刑事」から「SPEC」へと,連続ドラマの可能性を,実験的な笑いを併走させながら追求してきた良い流れが,ここに来てブチンと断ち切られた感じだ。
ひとつ前の「うぬぼれ刑事」はもとより,2年前の「流星の絆」でも,文字通り助演陣の「要」を担っていた要潤の怪演を持ってしても,2回目で一桁に落ちた数字を水面まで引き上げるのは容易な仕事ではないだろう。
ヴァラエティに押されっぱなしのドラマだが,その復権に欠かせないはずの脚本家の人材不足は深刻だ。本来ならば最終手段であるはずのコミック界への依存が恒常的になりつつある現状を救ってくれる,小説界における西村賢太氏(アルバイトしながら芥川賞を受賞した作家)のような異才はいずこ?