放映開始前からネットに「ドラマの本編を,洋服の通信販売のための宣伝扱いに貶めて良いのか?」という意見が飛び交っていたフジの「リアル・クローズ」は,日本のコミックを原作としながらも,予想通り「プラダを着た悪魔」の翻訳バージョン,という趣でスタートした。
若くて(撮影当時23歳)ヴォリューム感のあるアン・ハサウェイであればこそ成り立った「過酷な修行に立ち向かう若僧」キャラクターを,スレンダーで落ち着きの出てきた香里奈に振るだけでなく,ごつい眼鏡の冴えないデパート販売員に仕立てるという設定にも,かなりの無理が感じられるが,それは健康的でお茶目なお母さんキャラが定着しつつある黒木瞳の鬼ボスにも言える。私のようにヨーカドーのイメージ・キャラクターとの乖離が気になって仕方がない,という視聴者は少なくないはずだが,西島秀俊がその距離を埋められるかどうかが,ドラマに幾ばくかのリアリティをもたらすための鍵になるかもしれない。
脇では,ヴェテラン販売員の榊原郁恵は笑えたが,IMALUの起用に加えて,小泉孝太郎に香里奈三姉妹のそろい踏み,という話題だけで捻りの欠片もないキャスティングには参った。こんなやっつけ仕事のキャスティングでは,最後まで付き合えるかどうか,はっきり言って自信はない。
前シーズンでまたもや高視聴率を記録した「救急病棟」に続く医療ものの一つが、藤原紀香が久方ぶりに1枚看板で出演する「ギネ 産婦人科の女たち」。過酷な労働条件の下、産婦人科で奮闘する医師(藤原)の姿を描くドラマは、第1回で14.8%という高い数字を叩き出し、TBSの「JIN」と並んで「医療もの=鉄板」という通説をしっかりと証明して見せた。
腕は良く、生命を救うことに強い執着を持ちながらも、無口で無愛想、複雑な過去を想像させる産婦人科医という、何とも「演技心」をくすぐる役を、藤原はいつものように、それなりになぞっている。取り敢えず落胆もない代わりに、新たな発見もないが、「医療もの」は「弁護士もの」と同様に、ある意味では「黄門さま的予定調和」を期待されている面もあるため、今後もある程度の数字を稼いでいくことは間違いないだろう。
それに、主役を筆頭に、このところ出ずっぱりの松下由樹、キャスターはどうした板谷由夏、そして「医龍2」が最早懐かしい内田有紀と、ノルウェーのFW並みに「大きい」選手をずらりと並べた布陣は、それなりに迫力がある。迫力で勝負してどうする、という気がしないでもないが、凛とした女性たちが、上地雄輔や八嶋智人らの男性陣を引きずり回してきびきびと動き回る姿を、週の中日に眺めようと思う私のような不届き者は結構いるはず。手練れの脚本家大石静が、そんな男性陣を手玉に取りつつ,この番組の主な視聴者と想定される主婦層の共感を得るために繰り出してくるであろう術を,しばし楽しみたい。
若くて(撮影当時23歳)ヴォリューム感のあるアン・ハサウェイであればこそ成り立った「過酷な修行に立ち向かう若僧」キャラクターを,スレンダーで落ち着きの出てきた香里奈に振るだけでなく,ごつい眼鏡の冴えないデパート販売員に仕立てるという設定にも,かなりの無理が感じられるが,それは健康的でお茶目なお母さんキャラが定着しつつある黒木瞳の鬼ボスにも言える。私のようにヨーカドーのイメージ・キャラクターとの乖離が気になって仕方がない,という視聴者は少なくないはずだが,西島秀俊がその距離を埋められるかどうかが,ドラマに幾ばくかのリアリティをもたらすための鍵になるかもしれない。
脇では,ヴェテラン販売員の榊原郁恵は笑えたが,IMALUの起用に加えて,小泉孝太郎に香里奈三姉妹のそろい踏み,という話題だけで捻りの欠片もないキャスティングには参った。こんなやっつけ仕事のキャスティングでは,最後まで付き合えるかどうか,はっきり言って自信はない。
前シーズンでまたもや高視聴率を記録した「救急病棟」に続く医療ものの一つが、藤原紀香が久方ぶりに1枚看板で出演する「ギネ 産婦人科の女たち」。過酷な労働条件の下、産婦人科で奮闘する医師(藤原)の姿を描くドラマは、第1回で14.8%という高い数字を叩き出し、TBSの「JIN」と並んで「医療もの=鉄板」という通説をしっかりと証明して見せた。
腕は良く、生命を救うことに強い執着を持ちながらも、無口で無愛想、複雑な過去を想像させる産婦人科医という、何とも「演技心」をくすぐる役を、藤原はいつものように、それなりになぞっている。取り敢えず落胆もない代わりに、新たな発見もないが、「医療もの」は「弁護士もの」と同様に、ある意味では「黄門さま的予定調和」を期待されている面もあるため、今後もある程度の数字を稼いでいくことは間違いないだろう。
それに、主役を筆頭に、このところ出ずっぱりの松下由樹、キャスターはどうした板谷由夏、そして「医龍2」が最早懐かしい内田有紀と、ノルウェーのFW並みに「大きい」選手をずらりと並べた布陣は、それなりに迫力がある。迫力で勝負してどうする、という気がしないでもないが、凛とした女性たちが、上地雄輔や八嶋智人らの男性陣を引きずり回してきびきびと動き回る姿を、週の中日に眺めようと思う私のような不届き者は結構いるはず。手練れの脚本家大石静が、そんな男性陣を手玉に取りつつ,この番組の主な視聴者と想定される主婦層の共感を得るために繰り出してくるであろう術を,しばし楽しみたい。