誰しも本、映画、音楽等で、ふとしたきっかけで、
その創作者に夢中になり、のめり込むことがあると思う。
私も音楽に於いて、ひとりのアーティストの出会いもそのような形であった。
この当時の私は、あるレコード会社に勤め、コンピュータを活用した情報畑に所属していた。
1989年(昭和64年=平成元年)の初め、昭和天皇が崩御された後、昭和から平成と年号の変換、
そして4月から日本で初めての消費税の対応で、睡眠時間を削りながら奮闘していた・・。
1月のある日曜日、土曜休日も奮戦していた為、
昼過ぎまで寝過してしまい、パジャマ姿でぐったりしていた・・。
日曜日の夕方、疲れきった私は、パジャマ姿で家内が買物に行くのを見送ったりした。
そして足早に過ぎていく、夕陽を見たりしていた・・。
お茶を淹れた後、カセット・テープをラジカセCDに何気なしにかけたりした。
そして、何曲目から、人の尊厳を問うかのように、流れ聴こえてきた・・。
♪エレーン
生きていてもいいですかと 誰も問いたい
エレーン
その答を誰もが知っているから 誰も問えない・・(略)・・
私は聴きなが感極まって、やがて目頭が熱くなり、涙があふれ出た・・。
このカセットテープは、シナオリライターの倉本 聰(くらもと・そう)さんが、
監督・脚本の『時計』のオリジナル・サウンドトラックであり、
私の勤務する会社から発売され、試聴用として頂いたのを、初めて聴いたのであった。
この映画に使用された音楽は、金子由香利さんの『時は過ぎてゆく』、五輪真弓さんの『恋人よ』、
中島みゆきさんの『エレーン』、浜田麻里さんの『ハート・ライン』、高橋真梨子さんの『モノローグの九月』、
北原ミレイの『石狩挽歌』、森昌子さんの『越冬つばめ』等であった。
このように各レコード会社の所属する有数な歌手を使用したので、
レコード会社の発売先が難題であったが、テーマ曲が金子由香利さんであり、
私の勤務先の会社で決まった、と上司から聞いたりしていた。
私は初めて中島みゆきさんを心に留めたのは、この曲からである。
中島みゆきさんは、他社のレコード会社に所属していたが、
中島みゆきさんの名と曲ぐらいは、制作に直接に関係のない情報畑の私でも、
私の務め先でアイドル歌手用に、何曲か作詞・作曲をして頂だいたりしてきた。
たとえば、
♪記念にください ボタンをひとつ 青い空に捨てます・・(略)・・
【『春なのに』 作詞、作曲・中島みゆき 】
私からみれば、文学的に感性のあるシンガーソングライターのひとり程度だった・・。
そして『時代』、『わかれのうた』、『悪女』にしても、
当然知っていたが、これまでは何事もなく私の心は通りすぎて行ったのであったが、
心の中に溶け込んできたのは、この『エレーン』をきっかけとなった。
多くの方が魅了されたアーティストに対し、
初期作品から聴いてみたいと思うように、私の場合も同様だった。
こうして私は、中島みゆきさんのデビューアルバムの『私の声が聴こえますか』から
最新の『回帰熱』までのアルバムは、私はまたたくまに購入した。
そして、多岐にわたる分野を書き分ける才能の豊かさには、圧倒された・・。
今、思い出しても、この当時に百回以上聴いた曲は、『アザミのララバイ』、『歌をあなたに』、『時代』、
『冬を待つ季節』、『忘れるものならば』、『ホームにて』、『時はながれて』、
『玲子』、『おまえの家』、『世情』、『根雪』、『小石のように』、『エレーン』、
『異国』、『夜曲』、『肩に降る雨』、『HALF』、『白鳥の歌が聴こえる』、
『クリスマスソングを唄うように』、『ローリング』、『黄砂に吹かれて』、
『群集』、『儀式(セレモニー)』であったりした。
こうした中、随筆集も求めて精読したが、
文体は軽く、随所とらえる感覚が鋭いところがある程度だったが、
意識的に、読みやすく工夫をしている、と解釈した。
ラジオ放送は、わずかしか聴いていなかったが、随筆と同様と判断した。
そして、中島みゆきさんに関しての評論本も購入して読んだりした。
こうした結果として、中島みゆきさんの生命線は、
やはり作詞・作曲、そして歌につきる、と深く思いながら、
コンサートを観る機会を待ち焦(こ)がれたりした。
平成元年(1989年)11月、業界の注目の中で、
渋谷の文化村にあるシアターコクーンで『夜会』が公演されたが、
私は前売りの予約も取れず、キャンセル待ちをわずかな望みを託したが、敗退した。
そして翌年に第2回の『夜会』を平成2年11月29日に、
私は少し高揚しながら鑑賞した。
こうして私は、中島みゆきさんの曲を知り初めて3年間ぐらいは、
物狂いのように無我夢中で、殆ど毎晩聴いたりしていた。
そして熱病から平熱になっても、週に一度ぐらいは聴いたりしていた。
やがて私は40代の半(なか)ばに、ギックリ腰が悪化して、
28日ばかり入院生活をして、もとより業務から離脱し、
社会から取り残されたように心情の時、『永久欠番』で救われたりした。
この後、私が勤めていた会社がリストラ烈風の中、55歳から出向時代していた中で、
『ヘッドライト・テールライト』が支えのひとつとなったりした。
私が初めて『ヘッドライト・テールライト』聴いた時、
瞬時に魅了され、そして感銘を受けたのは、
♪語り継ぐ人もなく
吹きすさぶ風の中へ
紛れ散らばる星の名は
忘れられても
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
【『ヘッドライト・テールライト』 作詞、作曲・中島みゆき、編曲・瀬尾一三、唄・中島みゆき 】
という詞であった。
そして何よりも出向となっていた私の心情を支えてくれたり、
この後の定年退職後の年金生活の今でも、最も励ましてくれる詞が、
♪行く先を照らすのは
まだ咲かぬ見果てぬ夢
遥か後ろを照らすのは
あどけない夢
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
【『ヘッドライト・テールライト』 作詞、作曲・中島みゆき、編曲・瀬尾一三、唄・中島みゆき 】
この励ましてくれる詞が、私にとっては何よりも大切な言葉となっている。
この間、カセット、CD、DVDはもとより、随筆、そして評論集まで購読し、
私の人生の幾たびの苦境の時に、名曲の数々に救われ、
今でも私の秘かな女神となっている。
このような深情のある私は、今回の記事を精読した・・。
中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」劇場版が全国で公開 「歌会 VOL.1」映像作品&ライヴCD発売決定
12月27日(金)、中島みゆき4年ぶりのコンサートとなった、
〈中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」〉を完全収録した劇場版が全国の映画館、
約140スクリーンで公開がスタート。
併せて、同作品の映像パッケージ(Blu-ray / DVD)と
ライヴCD作品が、2025年3月12日(水)に発売されることも発表されています。
2020年、未曾有のパンデミックにより、ツアー途中8公演で中止を余儀なくされた
〈中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」〉から4年。
2024年1月19日から5月31日まで、
東京・東京国際フォーラム ホールAと大阪・フェスティバルホールの2会場で
計16公演行われた4年振りとなるファン待望のコンサート〈歌会 VOL.1〉の模様を
完全収録した最新コンサートが、劇場版となり迫力の5.1chサラウンドで、
全国の映画館の大スクリーンに蘇ります。
大ヒット曲「地上の星」「銀の龍の背に乗って」や、70年代の名曲「店の名はライフ」、
近年のタイアップ・シングル「倶(とも)に」「慕情」。
渾身のメッセージ・ソング「ひまわり“SUNWARD”」、
ファン垂涎の『夜会』ダイジェストメドレー。
そして本編ラストを飾った、アニメ映画『アリスとテレスのまぼろし工場』
(スタジオMAPPA、岡田麿里監督作品)の映像を背景に歌われた
圧巻の最新シングル「心音(しんおん)」を含む、全19曲。
またその歌を支える1988年から中島みゆきをプロデュースする瀬尾一三の指揮をはじめ、
ピアノ、ギター、ベース、キーボード、サックス、弦(バイオリン、チェロ)、コーラス等、
ステージ上のミュージシャン一人一人の演奏する姿も見逃せません。
そんなステージ上の雰囲気も含め、中島みゆきの歌唱を間近で
鑑賞しているかのようなズーム映像や画面いっぱいに広がる感動のシーンなど
コンサート映像作品ならではの魅力が詰まっているので、
ぜひ映画館に足を運んでもらいたいところです。
併せて、来場者先着特典の「歌会 VOL.1」カレンダープレゼントも用意されているので、
こちらもチェック。
そして、そんな劇場版の凄さをほんの少し体感できる60秒の予告編が只今公開中なので、
まずはこちらをご覧ください。
そして、早くも来年2025年3月12日にこのコンサートが映像作品(Blu-ray / DVD)と、
ライヴCD作品になって発売されることが決定。
映像作品は、上記の内容をそのままに劇場版を完全収録の全19曲。
5.1chサラウンドも選択でき、字幕で中島みゆきの歌詞の世界も
同時に楽しむこともできる仕様となっています。
また今回は、Blu-ray、DVDともに初回盤をご用意。
初回盤には、ボーナスDiscとして『中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」16/16+』
(コンサート・ドキュメンタリー映像)を収録。
700時間を超えるリハーサルやバックステージの模様から編集された貴重な映像を収録。
本編同様、翁長裕監督の力作となっています。
同時発売のライヴCDセレクション・アルバム『中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」-LIVE SELECTION-』は、
全19曲から「地上の星」「銀の龍の背に乗って」「倶(とも)に」「慕情」「心音(しんおん)」等、
今作の魅力の詰まった中島みゆき本人セレクトによる珠玉の11曲。
今作のマスタリングは音楽プロデューサー瀬尾一三の下、
中島みゆきの多彩で奥行のある優しく強い歌声、
そして会場の熱をあますことなく伝える、LAの巨匠エンジニア、スティーブ・マーカッセンによる素晴らしい仕上がり。
あたかもコンサートホールの真ん中で、
中島みゆきの歌唱とバックバンドの演奏を聴いているかのような
リアルで臨場感あふれるライヴ音源を楽しむことが出来るファン必聴の作品となっているので、
映像作品と合わせて、発売をお楽しみに。
そして、まずなによりも劇場の迫力の大スクリーンで、今作を体感していただきたいところです。
※文中、楽曲「倶(とも)に」の「倶」は本来、旧漢字になります。・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。
過ぎし3週間前の頃、今回の《・・中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」劇場版が全国で公開・・》、
まもなく上映されると私は知ったりした。
過ぎし2024年1月に都心の東京国際フォーラム ホールAで、
公演された『中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」』は、
公演する前売り券を入手は困難とされる中、たとえ入手が出来たとしても、
都心まで出かけ、公演を鑑賞する意欲と体力が欠落し、無念ながら見送ったりした・・。
せめて地元の映画館で、今回、上映されると知り、
確か10数年前に続き、中島みゆきさんの コンサート劇場版を、
本日、鑑賞して、先程帰宅した・・。
中島みゆきさんの多岐に及ぶ言霊(ことだま)に旋律、表現力の豊かな歌唱力、
これらを包括するように敬愛している瀬尾一三さんが率いるそれぞれのアーティストの演奏力、
コンサートをスクリーン上に表現された優れた作品、と私は感銘を受けたりした。