☆凝り固まった体を瞬時に柔らかくする方法
「無駄な力を抜け」、「リラックス、リラックス」
スポーツやビジネスの場面で、よく他者や自分にそういった言葉がけをしますよね。
けれども自分で瞬時に凝り固まった体の力を抜くなど
難しいと思うのではないでしょうか。
ところが、できるのです。
基本的に体が柔軟な人は、緊張の度合いは低く、硬い人は高い。
ですから力を抜くとは、凝り固まった体を、柔らかくすることでもあります。
これがたった1分間でできるのです。
論よりも、まずは体験を。
やり方は簡単です。
1・最初に、現在の体が緊張状態にあるかどうかを知るために「前屈」と「後屈」をしてみてください。
足をそろえて膝を伸ばしたまま前屈をし、
おおよそ手の指が全部付くぐらいまで曲がる人は、
緊張状態はそこまで深刻ではありません。
後屈には、はっきりした目安はありませんが、
両手を腰に当てて、上半身を後ろに反らせようとしたとき、
ほとんどできない人は、緊張が進んでいると考えて間違いないでしょう。
2・1分間、両手で自分の顔を洗うようにさすってください。
「え、さする?」と疑問に思いましたか。
そうです、さするのです。
さするだけの1分間は、意外と長いのですが、
手を止めずに、顔の後は髪、後頭部、耳の後ろなど頭全体を両手でさすってください。
顔、髪、後頭部、耳の後ろなど頭全体を両手でさする 撮影=今井一詞
そしてもう一度、前屈と後屈をしてみましょう。
どうでしょうか。
最初に行ったときよりも、明らかに柔軟性が増したのではないでしょうか。
今、ダイヤモンド編集部の40代女性も一緒に取り組みましたが、
彼女も最初は前屈して、床に手の指が付くかどうかという程度だったのに、
1分間顔をさすっただけで、しっかりと床に両手が付きました。
体が柔らかくなったのです。
40代女性編集者も実践。
一分間顔をさすった後は床に両手がついた 撮影=今井一詞
☆体の感覚を取り戻して無駄な力を取る
この動作を私は「ボディマップ体操」と名付けています。
さすることで、私たちが脳内に持つ“身体地図”が鮮明になり、
体の感覚を取り戻して、無駄な力を取ることができます。
特に日常生活で、部屋の角に足をぶつける、
狭い空間を通ろうとして、体が当たってしまう、
または小さな段差でつまずく、というようなことがよく起きる人は、
脳内のボディマップが、鮮明ではないのです。
顔だけでなく、肩から腕、ろっ骨まわり、おなかまわり、
脇腹・腰まわり、足と全身を満遍なくさすると、
脳が体の隅々まで学習し、そういったことは起きなくなります。
ただし、脳は、すぐ忘れてしまいますから、繰り返し体をさすることが必要。
1日数回でも毎日行うことで、脳からの指令が神経に伝わりやすく、
関節や筋肉もよく動くようになります。
すると転びにくくなったり、正しい姿勢も維持しやすくなったりするでしょう。
何より無駄な力みが抜けるのです。
☆無理な筋トレをしなくても脱力で引き締まった体になる
さて私は、これまでプロのアスリートから高齢者まで4万人以上のパーソナルトレーナーを務め、
心身の力みを取る方法を指導してきました。
なぜ「力を抜くこと」が大切なのでしょうか。
一言で言うなら無駄な力みは、痛みやコリの原因となる上、自律神経を乱し、
睡眠や精神状態にも悪影響を及ぼすからです。
血流が悪くなり、新陳代謝を妨げ、疲れや不調の原因にもなってしまいます。
ところが近年、力を入れて筋力トレーニング(筋トレ)に励む人が、
なんと多いことでしょう。
筋トレは、筋肉が増えたことが目で見てわかり、達成感を得やすい半面、
血管や関節の負担が大きい。
また一般の人が、筋トレのような力む運動ばかりしていれば、
体を動かすときに、力むクセがつきます。
それでは己の“本当の力”を発揮することができないのです。
無理な筋トレなどしなくても、
脱力によって凝り固まった筋肉を柔らかくすることが、
健康な体や引き締まった体形への近道です。・・》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。