四川家庭料理「中洞」(ナカホラ)
ネット情報によるとオープンは2018年8月。
当店のシェフは日本人ですが四川省での修業経験があり、提供される料理は
化学調味料不使用とのこと。
某日はアンテナが立ちまくったグルメな飯友さんのお声がけにより初訪問。
店は巣鴨駅から白山通りを千石方面に進行し脇道に入った道沿いに立地していました。
少し早くに着いてしまったので、外で待っていると、奥様が表に出て来られ
にこやかに「中へどうぞ」と声をかけてくれました。お言葉に甘えて入店すると
壁にパンダが描かれたまだ新しさが漂う店内は、正面奥に厨房を配し、客席は
カウンター席とテーブル席でレイアウト。女子受けが期待できるお洒落な雰囲気です。
今回の利用は紅コース@4,800にドリンクをセットした貸切宴会ですが、卓上に置かれ
ているのは飲み放題のドリンクメニューのみで、各人への菜譜の用意はありません。
また若干、料理を入れ替えているようなので正確さに欠ける点はご容赦ください。
なお、料理はデザートを除き大皿で供され、取り分けは各自の作業です。
前菜7種(4名分)
①蒸鶏濃厚旨辛ダレ、②パクチーとキュウリのサラダ、③自家製乳酸発酵漬物、
④牛頬肉のネギ味噌和え、⑤牛すね肉の麻辣和え、⑥イワシとワカメ
⑦皮蛋と焼きピーマン
真っ向勝負の四川料理をイメージしていましたが、ちょこちょことした前菜7種は
中華の枠だけに留まらず、さながらおつまみ小鉢といった印象。
しかし、どれも丁寧に作ったことが伝わり、無化調を謳っているだけあって
味に嫌味はなく優しい味わいです。
たとえば、低温調理と思われる蒸鶏はしっとり柔らかく、タレの麻辣ソースは
辛さに円みとふくよかな旨みがあり、飲み干さずにはいられない豊かさがあるのです。
エッジの利いた四川味をとことん愛する方々には少し物足りなく感じるかもしれませんが
これが、当店のシェフの持ち味なのだと実感しました。
粗挽き豚肉焼売
お肉感もりもりのパワフルタイプではなく、豚肉と野菜の甘味が生きた焼売で
程よく柔らかい。ときおりヒットするこりっとした歯触りは軟骨になるのかしら。
食感のアクセントが利いています。
塩熟成豚・カリフラワー山椒炒め
塩漬けにして熟成させたバラ肉の旨味を調理に活用。辛さの耐性にもよると思うのですが
私には山椒の刺激的な辛さも控えめに感じられたので、つまんで食べてしまいました。
白菜のカニ味噌煮
カニ味噌の風味を吸い込んだ白菜はとろんとろん。
野菜からの甘みもたっぷり染みだしているので、まろやかで優しい味わいです。
キノコと春雨のスープ
いろいろキノコに金針菜や春雨が参加し具だくさん。
家庭料理っぽい風体ですが、キノコの風味を大切に、金華ハムと干しエビが
味に深みを与え、この旨味スープを吸い込んだ春雨がご馳走へと昇華しています。
豚スペアリブの煮込み
看板料理の一つなのだそう。
骨付き肉のビジュアルが食欲をそそります。
中華スパイスは控えめ、主観ですが少し醤油が勝ちすぎていた様にも思えました。
春キャベツの強火香り炒め
このスペアリブには季節感を盛り込んだ春キャベツの炒めがセット。
中洞特製、麻婆豆腐&ご飯
香りと辛さに突き抜けた感はなく、やわらか豆腐に自家製辣油とコクのある
豆板醤が調和した口当たりのよいマイルドな麻婆豆腐。
正直なところ、頭で思い描いていた四川味とギャップはありましたが、
日本人の口に合う美味しい麻婆豆腐だと思います。
もちろんオンザライスで綺麗に完食。
デザート2種
タピオカ餅、赤砂糖シロップがけと豆乳プリン、クルミの飴炊きのせ。
ミニサイズのデザートですが、手抜き感はなくきっちり美味い。
個人的にはタピオカ餅が好みでした。
四川省での修業経験のあるシェフがオープンさせた店、という前評判からワイルドな
スパイシーさをイメージして訪問しましたが、実食してみると、その修業先で得た
豊富な知識や経験を根底に日本人の舌にも合う食材の持ち味を生かす
身体に優しい家庭的な創作中華料理店。
オリジナリティに溢れる料理は温もりを感じさせ“優しさ”に満ちていました。
また貸切宴会のため、この日はフロアスタッフさんも数名いましたが、
基本はご夫婦での切り盛りのよう。
アットホームな雰囲気もお店の魅力となっています。
四川家庭料理 中洞
東京都文京区千石4-43-5 ラピュタ千石大武ビル 1F
TEL 03-5981-9494
営業時間/11:00~14:30(14:00L.O.) 17:00~21:45(21:00L.O.)
定休日 月曜日 -店舗情報「食べログ」より-