昨日、行われた将棋・順位戦B級1組9回戦、藤井聡太竜王対近藤誠也七段の一戦は藤井竜王の勝利で終わりました。
長い勝負の決着がついたのは、日付が変わった深夜0時過ぎでした。
AIの評価値では近藤七段が序盤からリード、森内九段他の解説陣の見解も同様でした。
その後、AIの評価値は次第に広がり、夜に入ると近藤七段70%:藤井竜王30%前後に。
ところが、午後11時頃に指した近藤七段の一手で流れが変わりました。
近藤七段の一手により評価値は互角に。
その局面をチャンスと捉えた藤井竜王が見事な手順で一気に形勢を逆転してしまいました。
藤井竜王の必勝パターンは、序盤のリードをじわりじわり広げてそのまま勝ち切るというものです。滅多なことでは逆転を許しません。
だが、この日の近藤七段のように往々にして終盤に逆転を許す棋士は少なくありません。
さらに、そこから二転三転ということも割とあることです。たとえ、それがトップ棋士であってもです。
最終盤、90:10が10:90になり、投了に追い込まれる将棋をしばしば目にします。
才能に恵まれた上で、豊富な研究量に裏打ちされた深い読みと確かな形勢判断、さらには感情をコントロールする力が、藤井竜王の快進撃の原動力でしょうか。