朝のTV番組で山田洋次監督が新作映画「小さいおうち」について語っていた。初めて作る恋愛映画だという。昭和10年代のごく普通の家族を通して戦争というものを伝えていこう ということを言われていた。そのなかで「僕たちは高度成長の戦後において、なにかちまちまとした家族の幸福を軽く見て、ただ経済的な豊かさだけを追い続けたきたと思うんですよ。そういうちまちましたものを馬鹿にしていたところもあった。でも今、そういうものを見直さなくてはならない時期にきているように思うんです。」と語られていた。昨年の暮れに京都の町はずれを歩いて思いました。マンションの暮らしは便利だけど、音がない、匂いがない、色もない、生活というもののぬくもりがない。朱鷺色、山吹色、群青色、鶸色、など日常の言葉にも色が豊かだった。母がこんなことを語ってくれた。前の家に3人男兄弟がいて、長男が何となく気になっていた。どうのこうのではないけど、朝雨戸を開けた時、向こうの家もその人が雨戸を開けていて、挨拶をしたことが1日の始まりで嬉しかったと。これはやはり木の雨戸、そして軒のある作りの家でないと情緒がないような気がする。昭和の小さいお家にはこんなお話があったのかも知れませんね。
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